LOVE TAIL   作:ナツ・ドラグニル

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LOVE TAIL、前回までは!!


ミラ「これはリクエストボード。ここから好きな仕事を選んでね」


ロメオ「父ちゃんまだ帰ってこないの?」


ミラ「私達、妖精の尻尾の魔導士達はみんな何かを抱えている。傷や痛みや苦しみを」


ルーシィ「寒い!!いくら山の方とはいえ、今は夏でしょ!!?こんな吹雪可笑しいわ」

 
ウミ「ルーシィ、知らないんですか?山の天気は変わりやすいんですよ」


バルカン「人間の女だ♡」


ルーシィ「てか、助けなさいよォオオオ」




第3話 双竜と女神と猿と牛

 

 

 

ハコベ山、山頂付近。

 

 

「『なんでこんな事に...なってる訳~~~~!!!?何この猿、テンション高いし!!!』と申されましても」

 

 

ホロロギウムの中で涙を流しながら叫ぶルーシィの周りを、バルカンがウホウホ言いながら踊っていた。

 

 

「ここってあの猿の住処かしら。てか、ナツ達はどうしちゃったのよ~......」

 

 

ホロロギウムの中から、ルーシィは辺りを見渡した。

 

 

「女♡」

 

「!!」

 

 

しかし、ガラスに顔をへばり付けていたルーシィの前に、バルカンの顔が至近距離で現れる。

 

 

じ―――...っと見つめ合っていたルーシィ達だったが、ポウンと煙を立ててホロロギウムが消えてしまった。

 

 

「ちょ...ちょっとォ!!ホロロギウム!!!消えないでよ!!!」

 

「時間です、ごきげんよう」

 

「延長よ!!!延長!!!ねぇっ!!!」

 

 

声を荒げホロロギウムに抗議するが、それ以降ホロロギウムの声は聞こえなくなってしまった。

 

 

バルカンは鼻息を荒くし、ルーシィは絶体絶命に陥ってしまう。

 

 

「うおおおっ!!!やっと追いついたーっ!!!」

 

「ナツ!!!」

 

 

ドッドッドッと足音を立てながら駆け付けてくれたナツに、ルーシィは歓喜の声を上げる。

 

 

「サ――ル――!!!マカオはどこだぁぁ―――っ!!!」

 

 

大声を上げながら走るナツだったが、足元が岩から氷に変わったせいでつるんっと足を滑らせる。

 

 

「あがっ!ぐおぉ!ふあっ!ぶへっ!!」

 

 

足を滑らせたナツはゴロゴロと転がり、ルーシィ達の横を通り過ぎてそのまま壁にぶつかった。

 

 

「ふ..普通に登場とか..出来ないのかしら..」

 

 

ルーシィは頭を抱え、呆れる。

 

 

「オイ!!!サル!!!マカオはどこだ!?」

 

「ウホ?」

 

「言葉分かるんだろ?マカオだよ!!人間の男だ」

 

「男?」

 

「そーだ!!」

 

 

ナツとバルカンが言葉のやり取りをしている間に、ルーシィはささささっと移動してナツの後ろに隠れた。

 

 

「どこに隠した!!?」

 

「うわー!!『隠した』って決めつけてるし!!!」

 

 

しかし、そこでルーシィは気づいた。

 

 

「(ま...待って..!!冷静に考えたら..マカオさんってまだ生きてるのかしら...)」

 

 

ナツの言葉にニヤリと笑ったバルカンは、くいくいっと手招きをしてナツを呼んだ。

 

 

「おおっ!!通じたっ!!」

 

 

話が通じた事にナツは喜び、バルカンについていく。

 

 

「(もしかして..マカオさんはもう......)」

 

 

最悪な事態を想像するルーシィを他所に、ナツはバルカンが指を差す外が見える穴を覗き込んだ。

 

 

「どこだ!!?」

 

 

しかし、ナツが穴を覗き込んだ瞬間、バルカンがナツを押して外へと放り出した。

 

 

「あ」

 

 

突然の出来事でナツは口をあんぐりとさせ、ルーシィは目を見開き戦慄する。

 

 

「あああぁぁぁぁぁ!!!サルゥゥゥゥ!!!」

 

 

突き落とされたからか、ナツは怒声を上げながら谷底へと落下していく。

 

 

「ナツ―――!!!」

 

「男...いらん、オデ...女好き♡」

 

 

驚きから我に返ったルーシィは、ナツの安否を確認する為にバルカンが近くにいるにも関わらず穴に近づく。

 

 

「やだっ!!!ちょっと..死んでないわよね!!!あいつ、あー見えて凄い魔導士だもんね..!!!きっと大丈.......」

 

 

ルーシィは大丈夫だと言い聞かせるが、底の見えない谷底を見て自信を失くしていく。

 

 

「男いらん、男いらん、女~女~!!!ウッホホホ~」

 

「女!女!!ってこのエロザル!ナツが無事じゃなかったらどーしてくれるのよ!!!」

 

 

ルーシィは腰にぶら下げている鍵に手を掛けると、ジャリッと音が鳴った。

 

 

『ルーシィ!!!』

 

 

後ろからルーシィを呼ぶ声が聞こえ、勢いよく振り返る。

 

 

そこには、ナツほどではないが走ってきているウミ、ホノカ、マキの姿があった。

 

 

「マキ!!みんな!!来てくれたのね!!」

 

「当たり前でしょ!!」

 

「私達は仲間だからね!!」

 

 

仲間だから助けるのは当たり前だと告げるマキ達だったが、ウミはナツがいない事に気付き辺りを見渡す。

 

 

「ルーシィ、ナツはどうしました?先に来ていた筈ですが...」

 

 

マキ達が来た事で喜んでいたルーシィだったが、ウミの質問でハッと我に返る。

 

 

「そうだ!大変なの!!あの猿にナツが谷底に落とされたの!!」

 

「え!?」

 

「嘘!?」

 

 

ナツが落とされたと聞いてマキとホノカは、驚きで目を見開く。

 

 

「よくもナツを...絶対に許しません!!」

 

「行くよウミちゃん!!」

 

 

ホノカはウミの隣に並び立ち、足元に赤い魔法陣が展開する。

 

 

「――焦がせ、〈灼爛殲鬼(カマエル)〉」

 

 

次いでホノカが、その名を口にする。

 

 

すると彼女の周りに炎が生まれ、巨大な根のような円柱形を形作っていた。

 

 

そして、ホノカがその根を手に取った瞬間、その側部から真っ赤な刃が出現する。

 

 

それは――あまりに巨大な、戦斧だった。

 

 

ルーシィとマキの目の前で、ホノカが身体の周囲に(ほのお)を纏わせながら立っている。

 

 

袖が半ばから揺らめく火焔(かえん)に変貌した、白い装束。

 

 

天女の羽衣のごとく身体に絡みついた炎熱の帯。

 

 

その姿。

 

 

その力。

 

 

ルーシィは知っていた。

 

 

「その身を護る絶対の盾〈霊装〉を身に纏い、それに対を成す最強の矛たる武装〈天使〉を有す。それは形を持った奇跡と呼ばれる太古の魔法(エンシェントスペル)

 

「そう、それがホノカの使う〈女神魔法〉、〈焔の女神魔導士〉イフリートのホノカ」

 

 

ウミの説明にルーシィ達、特にマキが驚いていた。

 

 

「ここは私達がやるから!!」

 

「2人は下がっていてください!!」

 

 

ウミ達は2人で戦う為に、ルーシィ達を下がらせようとする。

 

 

「そういう訳にはいかないわ!!私だって、妖精の尻尾の魔導士なんだから」

 

 

ルーシィは、腰に下げている鍵の一本、ブレード部分の先が斧になっている金色の鍵を手に取る。

 

 

「開け!!金牛宮の扉..タウロス!!!!」

 

「MO―――!!!!」

 

 

(ゲート)を潜り、ルーシィの前に現れたのはホノカと同じぐらいの戦斧を担いだミノタウロスだった。

 

 

「牛!!?」

 

 

ルーシィが召喚したタウロスに、初めてバルカンが反応する。

 

 

「あたしが契約してる星霊の中で、一番パワーのあるタウロスが相手よ!!!エロザル!!」

 

 

そう宣言するルーシィだったが、自分が召喚したタウロスによって台無しにされた。

 

 

「ルーシィさん!!!相変わらずいい乳してますなぁ。MOー素敵です」

 

 

んふー、んふー、と鼻息を荒くさせながらそう語る。

 

 

「そうだ...こいつもエロかった..」

 

 

そんなタウロスを見て、ルーシィは顔に手を添えため息をつく。

 

 

「よりにもよって何でそいつなのよ」

 

「しょうがないじゃない!!今使える星霊はコイツしかいないんだから!!」

 

 

嫌悪感丸出しでタウロスを睨むマキに、ルーシィはそう言い訳する。

 

 

「ウホッ、オデの女とるなっ!!」

 

「オレの女?」

 

 

バルカンの一言に、タウロスが反応する。

 

 

「それはMO、聞き捨てなりませんなぁ」

 

「そうよタウロス!!あいつをやっちゃって!!」

 

 

ルーシィの指示で、タウロスはバルカンへと突っ込む。

 

 

「MO―――!!」

 

 

タウロスは斧を振り上げ、地面に向かって思いっきり振り下ろす。

 

 

すると、地面を伝って衝撃波がバルカンを襲う。

 

 

「ウホー!!」

 

 

バルカンはタウロスの攻撃を避け、タウロスに接近する。

 

 

「早い!?」

 

 

ルーシィがバルカンの動く速度に驚く中、バルカンがタウロスに殴りかかろうとする。

 

 

タウロスもルーシィも速度に対応できず、バルカンの攻撃が当たると思った次の瞬間。

 

 

「おらぁ!!」

 

 

バルカンの拳より先に、ナツの蹴りがタウロスに入って吹っ飛ばされる。

 

 

『ナツゥ!!?』

 

 

バルカンにではなく、仲間であるタウロスに攻撃した事にルーシィだけでなくウミ達も驚愕の声を上げる。

 

 

「MO...ダメっぽいですな...」

 

「弱―――!!!」

 

 

ナツに吹っ飛ばされ、地面に倒れたタウロスはそのままダウンしてしまった。

 

 

「おい、何か怪物増えてんじゃねーか?」

 

 

バルカンを指差し、ナツが質問する。

 

 

「味方よ味方!!!星霊よ!!!」

 

「猿が?」

 

「牛の方!!!」

 

 

星霊を倒され興奮するルーシィを放って、マキがナツに質問する。

 

 

「それよりも、アンタどうやって助かったのよ?」

 

 

マキの質問に、ナツはにっと笑いながら答える。

 

 

「ハッピー達のおかげさ、ありがとうな」

 

『あい!』

 

 

ナツの上を翼を広げて飛ぶ、ハッピーとリンの姿があった。

 

 

「そっか...ハッピー達、羽根があったわねそーいえば」

 

「あい、能力系魔法の一つ『(エーラ)』です」

 

 

その話を聞いたルーシィは、ナツに質問する。

 

 

「あんた乗り物ダメなのに、ハッピー達は平気なのね」

 

「何言ってんだオマエ、ハッピー達は乗り物じゃねぇよ。『仲間』だろ?ひくわー」

 

「ルーシィ、その質問はどうかと思いますよ」

 

 

ナツだけでなく、ウミにまでドン引きされたルーシィは素直に謝罪する。

 

 

「そ...そうね、ごめんなさい」

 

 

しかし、今まで黙って見ていたバルカンも流石に相手にされていない事に怒り、ナツに向かって右腕を振り下ろす。

 

 

「オレの女!!!」

 

 

バルカンの攻撃を、ナツは片手のみで受け止める。

 

 

「いいか?妖精の尻尾のメンバーは全員仲間だ!!!」

 

 

攻撃を受け止められたバルカンは、直ぐに右の回し蹴りを繰り出す。

 

 

「ウッ!!」

 

 

繰り出された回し蹴りを、ナツは腕をクロスする事によって防いだ。

 

 

だが、勢いだけは殺せず、ズザザザザッと後ろに下がってしまう。

 

 

「じっちゃんもミラもコトリも、うぜぇ奴だがグレイもエルフマンも」

 

 

話始めるナツに向かって、バルカンが迫って来る。

 

 

「ハッピーもリンもウミもホノカも、そして...ルーシィもマキもみんな仲間だ」

 

 

ナツの言葉に、ルーシィとマキは頬を赤らめる。

 

 

「だから...」

 

 

ナツの足元に、魔法陣が展開される。

 

 

「俺はマカオを連れて帰るんだ!!!」

 

 

ナツの右足に炎が纏い、バルカンの腹に蹴りが炸裂する。

 

 

シュボッという肉が焼ける音が、バルカンの腹部から聞こえる。

 

 

ナツの蹴りで吹っ飛んだバルカンは天井に当たり、幾つもの氷柱と一緒に落ちてくる。

 

 

「早くマカオの居場所言わねぇと、黒焦げになるぞ」

 

 

ナツの一言が逆鱗に触れたのか、バルカンは一緒に落ちてきた氷柱を手に取りナツに投げつける。

 

 

「火にはそんなモン効かーん!!!」

 

 

氷柱がナツに当たるが、全て溶けて水に変わってしまう。

 

 

「ウホ」

 

 

その時、バルカンがタウロスの斧を拾い上げる。

 

 

「おっと、それは痛そうだ」

 

「タウロスの斧!!!」

 

 

さっきナツに蹴り飛ばされた時に、タウロスの手から離れたようだった。

 

 

肝心のタウロスは、未だに気絶中だった。

 

 

「ウホッ!!」

 

 

バルカンが横薙ぎする斧を、ナツは後ろに飛ぶ事で回避する。

 

 

その後の猛攻も回避するナツだったが、つるんと足が滑ってしまう。

 

 

「なっ!?」

 

「ナツ!?」

 

 

ドシンと音を立てて倒れたナツに、斧を振り下ろすバルカンを見てルーシィは目を瞑る。

 

 

ガキンッ!!!

 

 

肉を潰す音ではなく、金属通しがぶつかり合う音がルーシィの耳に入った。

 

 

恐る恐る目を開けるルーシィの目に飛び込んできたのは、〈灼爛殲鬼(カマエル)〉でタウロスの斧を受けとめるホノカの姿だった。

 

 

「ホノカ!!」

 

「戦ってるのはナツ君だけじゃないよ!!!」

 

 

ホノカの叫びに反応したのは、今まで黙って見ていたマキだった。

 

 

「えぇその通りよ」

 

 

マキは、両手を前に大きく広げた。

 

 

「――行くわよ!〈破軍歌姫(ガブリエル)〉!」

 

 

次の瞬間、マキの足元に白色の魔法陣が広がった。

 

 

マキの声に呼応するように、その魔法陣の中心部から、何か巨大な金属塊のようなものが地面からせり上がってくる。

 

 

鈍重な本体から銀色の細長い円筒(えんとう)が何本も連なって生えた奇妙なフォルム。

 

 

それはまるで、聖堂などに設えられている巨大なパイプオルガンを思わせた。

 

 

「まさか...マキあなたも!?」

 

「えぇ、私もホノカと同じ女神魔法の使い手、音の女神魔導士よ」

 

 

するとその手の軌跡を辿る様に、虚空に光り輝く鍵盤が現れた。

 

 

「〈破軍歌姫(ガブリエル)〉――【行進曲(マーチ)】!!!」

 

 

そして両手の指を、激しく鍵盤に走らせていく。

 

 

すると洞窟内に、身が奮い立つ力が漲るような、勇ましい曲が響き渡った。

 

 

瞬間――その曲を聴いていたナツ達に力が漲る。

 

 

「これは!?」

 

「力が溢れてくる!!」

 

 

自分達の力が底上げされている事に、ナツ達は驚く。

 

 

「ありがとうマキちゃん!!」

 

 

力が均衡していたバルカンとホノカだったが、マキに強化された事によりそれが覆された。

 

 

灼爛殲鬼(カマエル)〉は、ホノカの動作に合わせて赤い軌跡を残しながら、さらにその輝きを増した。

 

 

「――〈灼爛殲鬼(カマエル)〉!!」

 

 

ホノカは気合を入れる様に言葉を発し、焔の戦斧を凄まじい勢いで前方に振り抜いた。

 

 

風を薙ぐ音が、ルーシィの所にまで響いてくる。

 

 

今の強烈な一撃をタウロスの斧で受け止めたバルカンだったが、受け止められず手からタウロスの斧が離れてしまった。

 

 

「今だよ!!ナツ君!!ウミちゃん!!」

 

「おう!!」

 

「はい!!」

 

 

ホノカの言葉を合図に、ナツとウミがバルカンに迫る。

 

 

「いくぞぉ...火竜の!!!」

 

「水竜の!!!」

 

 

2人の拳が、バルカンの顔面に直撃する。

 

 

『鉄拳!!!!』

 

 

ドゴォン!!!という音を立て吹っ飛んだバルカンは、壁に激突して動かなくなった。

 

 

『決まったー!!!』

 

 

バルカンを倒した事に、ハッピーとリンは大手を上げて喜んだ。

 

 

「あーあ...この猿にマカオさんの居場所聞くんじゃなかったの?」

 

「あ!!そうだった!!」

 

「忘れてた...」

 

 

ルーシィの質問にホノカが声を上げて思い出し、ナツも頭を掻きながらそう呟いた。

 

 

「完全に気絶しちゃってるわよ」

 

 

マキが、壁に逆さまで挟まっているバルカンを覗き込む。

 

 

その時だった、みみみみみと音と共にバルカンの体が光り出す。

 

 

「な..何だ何だ!!?」

 

「何が起こってるの~!!?」

 

 

突如光り出すバルカンに、慌てふためくナツとホノカ。

 

 

白い魔法陣がバルカンの前に展開され、ボゥゥンと音を立てて辺りが煙に包まれる。

 

 

「一体何が...」

 

 

しばらくすると、ナツ達を包んでいた煙が晴れていき、視界が良好になる。

 

 

『なっ!!?』

 

 

煙が晴れた後、ナツ達は自分達の目を疑った。

 

 

なぜなら、先程までバルカンが居た所に中年の男性が同じ格好で倒れていたからだ。

 

 

「マカオ!!?」

 

「えー!!?この人が!!?さっきまでエロザルでしたが!!?」

 

 

バルカンの正体に、ルーシィは声を上げて驚愕する。

 

 

「バルカンに接収(テイクオーバー)されてたんだにゃ!!!」

 

接収(テイクオーバー)!!?」

 

 

リンが言った接収(テイクオーバー)という言葉を知らなかった為、ルーシィが質問する。

 

 

「体を乗っ取る魔法です。バルカンは人間を接収(テイクオーバー)する事で生き繋ぐモンスターだったんですね」

 

 

ルーシィの質問に、ウミが答えた。

 

 

元に戻った事で、バルカンの状態で開けた大穴からマカオは転げ落ちてしまった。

 

 

「あ―――――っ!!!」

 

 

すぐさまナツが駆け寄り、マカオを掴もうとする。

 

 

ナツが動くのと同時に、ハッピーも翼を展開し後を追いかける。

 

 

ナツが身を投げマカオの足を掴み、更にそのナツの足をハッピーが掴む。

 

 

「2人は無理だよっ!!!羽も消えそう!!!」

 

 

「くっそぉおおおっ!!!」

 

 

何とか踏ん張るナツ達を、ルーシィがハッピーの尻尾をがしっと掴み引っ張り上げようとする。

 

 

「ルーシィ!!!」

 

 

「重い..」

 

 

ルーシィの助太刀に喜ぶナツだったが、それでも重すぎて持ち上げる事も出来なかった。

 

 

「大丈夫ですかルーシィ!!」

 

 

「私達も手伝うよ!!」

 

 

ウミ、ホノカ、マキも加勢するが、流石のウミ達も大の大人、しかも男性2人を持ち上げる程のパワーは無かった。

 

 

「リン!!ハッピーと一緒にナツを持ち上げてください!!」

 

「分かったにゃ!!」

 

 

ウミの指示を受け、リンも翼を展開しハッピーとは別の足を持って上へと持ち上げる。

 

 

その時だった。

 

 

ウミ達とは別に、ルーシの体を支える者が現れた。

 

 

「MO大丈夫ですぞ」

 

 

それは、気絶から回復したタウロスだった。

 

 

「タウロス!!!」

 

「牛―――!!!良い奴だったのかぁ―――」

 

 

ルーシィだけでなく、ナツも涙を流しながら喜んだ。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

タウロスの協力で、何とかマカオとナツを引き上げたウミ達はマカオの治療を行っていた。

 

 

医療の知識があるマキが手当をする為に、上着を脱がせ診察を始めた。

 

 

接収(テイクオーバー)される前に、相当激しく戦ったみたいだね」

 

「ヒドイ傷だわ、脇腹の傷が深すぎる...持ってきた応急セットじゃどうにもならないわ」

 

 

全身の打撲もそうだが、脇腹の切り傷が酷く出血が止まらず致命傷になっていた。

 

 

「(てゆーか....これは助からない....)」

 

 

マキが身体を強張らせ、ルーシィもマカオから眼を背ける。

 

 

誰もが助からないと思っていたが、ナツだけは諦めなかった。

 

 

ナツは、ボッっと手に炎を纏い出した。

 

 

「ちょ..」

 

 

マキが何か言い終える前に、炎を脇腹の傷口に当てる。

 

 

「ぐああああっ!!!!」

 

 

マカオの叫び声と、肉を焼くじゅうううううっ!!!!という音が洞窟内に響いた。

 

 

「何してんのよっ!!!!」

 

 

いきなりの出来事に、マキはナツを止めようとする。

 

 

「今はこれしかしてやれねぇ!!!我慢しろよ!!!マカオ!!!」

 

「あぐああっああ!!!」

 

 

あまりの激痛に、マカオは暴れ出す。

 

 

「ウミ!!!ホノカ!!!マカオを押さえろ!!!」

 

 

ウミとホノカはナツの意図に気付き、マカオの体と両足を押さえる。

 

 

そこでようやく、マキもナツの意図に気付いた。

 

 

「(そっか...火傷させて傷口を塞ぐのね!!確かに止血にはなるわ...)」

 

 

「死ぬんじゃねぇぞ!!!ロメオが待ってんだ!!!」

 

「ふがっ、あっ、ぐっ」

 

 

そこでようやく、マカオの意識が戻った。

 

 

「ハァハァ、くそ....な..情けねぇ..、ハァハァ19匹は倒し..たん..だ」

 

『え?』

 

 

マカオの言葉に、ルーシィとマキは我が耳を疑った。

 

 

「うぐぐ..20匹目に.....接収(テイクオーバー)..され...ぐはっ」

 

「わかったから、もう喋んなっ!!!!」

 

「そうだよ!!傷口が開いちゃうよ!!」

 

 

尚も喋ろうとするマカオを、ナツとホノカが止める。

 

 

「(うそ...!?あの猿...一匹じゃなかったの...!!?そんな仕事を1人で....)」

 

 

ルーシィは、マカオが1匹ではなく19匹も倒していた事に驚愕する。

 

 

マキも声が出ない程、驚いている。

 

 

「ムカつくぜ...ちくしょォ..これ..じゃ....ロメオに...会わす顔が..ね....くそっ」

 

「黙れっての!!!殴るぞ!!!」

 

 

涙を流しながら自分を貶すマカオを、ナツが黙らせる。

 

 

その様子をみていたルーシィとマキは、改めて妖精の尻尾の魔導士の凄さを実感する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ナツ達の帰りを、夕焼けに包まれながらロメオは家の前で待っていた。

 

 

待っている間ずっと、ロメオはなぜこうなったのか考えていた。

 

 

『何が妖精の尻尾の魔導士だよ!!』

 

『あんなの、酒ばっかり飲んでる腰抜けな奴らばっかじゃん』

 

『俺は大きくなったら、騎士になろうっと』

 

『魔導士は酒くせぇもんね』

 

 

妖精の尻尾を、何より自分の父親を馬鹿にされたのが悔しかったのか、ロメオはマカオに仕事に行くようにお願いする。

 

 

『父ちゃん!!仕事に行ってきてよ!!俺、このままじゃ悔しいよ!!』

 

『良し!!』

 

 

ロメオの話を聞いたマカオは笑顔でそう返事をし、仕事へと向かった。

 

 

ロメオはこのままマカオが帰って来なかったら自分のせいだと考え、涙が止まらなかった。

 

 

「ロメオ―――!!!」

 

 

その時、ロメオを呼ぶ声が聞こえる。

 

 

ロメオが顔を上げた先に見えたのは、ナツに肩を貸して貰いこっちに歩いてくるマカオの姿だった。

 

 

そしてその後ろをウミ達四人が歩いている。

 

 

「あっ...」

 

 

恥ずかしそうに頭を掻くマカオの姿を見たロメオは、目に涙を浮かべマカオに抱き着いた。

 

 

「父ちゃーん」

 

「うおっ!!?」

 

 

受けとめきれなかったマカオは、そのまま地面に倒れてしまった。

 

 

「父ちゃん!!ごめん!!オレ」

 

「心配かけたな、スマネェ」

 

 

泣き出したロメオを、抱きしめるマカオ。

 

 

「いいんだ..俺は魔導士の息子だから....」

 

 

2人の様子を見ていたナツとハッピーは笑顔で見守り、ウミ達は目に涙を浮かべ見守っていた。

 

 

そしてナツ達は、これ以上は親子の邪魔をすると思ってその場を後にした。

 

 

「今度クソガキ共に絡まれたらこう言ってやれ、テメェの親父は怪物19匹倒せんのか!?ってよ」

 

「うん!!」

 

 

マカオの言葉に元気よく返事したロメオは、去っていくナツ達の背中に向かって叫ぶ。

 

 

「ナツ兄―――!!ウミ姉―――!!ホノカ姉―――!!ハッピ―――!!リン―――!!ありがとうぉ――!!」

 

「おー」

 

『あい』

 

 

ロメオの感謝の言葉に、ナツは片手を上げ返事をし、ウミとホノカは手を振る事で返事をする。

 

 

「それと..ルーシィ姉とマキ姉もありがとうぉっ!!!」

 

 

その言葉に、ルーシィとマキも笑顔で手を振った。

 

 

7月4日、晴れのち吹雪のち晴れ。

 

 

妖精の尻尾はめちゃくちゃでぶっとんだギルドだけど、楽しくてあたたかくてやさしくて。

 

 

あたし達はまだまだ新人の魔導士だけど、このギルドが大好きになれそうです。





ナツ「ふぅ...そろそろ仕事に行かないと、金がねぇな」


ホノカ「それだったらこれなんてどう?」


ナツ「ほう?面白そうじゃねぇか...どうせだったらウミやルーシィ達も誘おうぜ!!」


ホノカ「そうだね。あっ!そうだ!明日ルーシィちゃん達の家に遊びに行こうよ!!」


ナツ「おっ!!ナイスアイデアだな!!ホノカ!!」


次回!!『小犬座の精霊』!!


ホノカ「でも...どうやって中に入ろうか?」


ナツ「それはもちろん、窓から侵入するに決まってんだろ」




どうも!!ナツ・ドラグニルです!!


今回、ようやくホノカとマキの魔法が出せました。


その名も『女神魔法』。


安直すぎるかなと思いましたが、他に出てこなかった為にこうなりました。


もし、こっちの方がいいんじゃないですかという、名前のアイデア提供があればよければそっちに変えます。


今回、ホノカが使った〈灼爛殲鬼〉はデート・ア・ライブのキャラの1人、五河琴里が使う天使です。


そして、マキが使う〈破軍歌姫〉は、同じくデート・ア・ライブのキャラの1人、誘宵美久の使う天使です。


最初、ウミ以外のキャラは出す予定は無かったのですが、真姫が原作でピアノを弾いている事から、〈破軍歌姫〉が合う事に気付き、他のメンバーも天使を組み合わせました。


そのせいか、μ’sのメンバーの中で海未だけは最初から滅竜魔導士の設定にしてたので、女神魔導士ではなくなりました


さて、今後の投稿日ですが決まった日に投稿出来るよう、頑張っていきたいと思います。


LOVE TAILを15日に、プリキュアとアクセル・ビルドを1日に。


プリキュアとアクセル・ビルドは難しいかもしれませんが、LOVE TAILの方は毎月15日に投稿していきたいと思います。


これからも、応援の程、宜しくお願いいたします。


それじゃあ、またな!!
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