LOVE TAIL   作:ナツ・ドラグニル

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これまでの、LOVE TAILは!!


ルーシィ「あたしの部屋―――!!!」

ナツ「ルーシィの持ってる鍵の奴等を全部見せてくれよ」

ルーシィ「開け小犬座の扉!!二コラ!!!」

ナツ「俺達のチームにルーシィ達を入れよう!!!」

ルーシィ「ハメられた―――っ!!!!」


第5話 DAY BREAK(日の出)

「言ってみれば随分と簡単な仕事よねー」

 

「そうね」

 

 

そこで疑問に思ったリンが、ルーシィとマキに質問する。

 

 

「あれ?嫌がってた割には結構乗り気だね?」

 

「トーゼン!!なんてったってあたし達の初仕事だからね」

 

「えぇ、ビシっと決めるわよ!!」

 

 

ぐっと拳を握り、マキは気合を入れる。

 

 

「要は屋敷に潜入して本を一冊持ってくればいいだけでしょ?」

 

「スケベオヤジの屋敷にね」

 

「そうスケベオヤジ」

 

 

ルーシィはそう言うと、前屈みになって腕で胸を包み、強調する格好をする。

 

 

「こー見えて色気にはちょっと自信あるのよ、うふん♡」

 

「はぁ...」

 

 

ルーシィの行動に、マキはまた始まったとため息をついて呆れる。

 

 

「ネコにはちょっと判断できないです」

 

 

しかしその行為は、ハッピーには意味が無かった。

 

 

「言っとくけどこの仕事...あんたらやる事ないんだから、報酬の取り分2人で5で残りは1ずつよ」

 

「ルーシィ達1でいいの?」

 

「あたしとマキで5よ!!!」

 

 

ハッピーの的外れの発言に、ルーシィは突っ込みを入れる。

 

 

「ちょ..ちょっと待て....俺達..もやる事..ある..」

 

「何よ」

 

「捕まったら助けてやる」

 

「そんなミスしません」

 

「魚釣りでもね、エサは無駄になる事が多いんだよ」

 

「あたし達はエサかいっ!!!!」

 

 

そんなやりとりをしてる間に、ナツ達を乗せた馬車はシロツメの街に到着した。

 

 

『着いた!!!』

 

「馬車には二度と乗らん...」

 

「えぇ...あんなのはもうごめんです」

 

「それいつも言ってるにゃ」

 

 

ルーシィとホノカは街に着いた事に喜び、ナツとウミは馬車に乗った事を後悔していた。

 

 

「取り敢えずハラ減ったな、メシにしよメシ!!」

 

「ご飯を食べるのは賛成ですが、その前にホテルに行きましょう。荷物を置くために」

 

「あたしお腹すいてないんだけどぉ~、アンタ自分の〝火〟食べれば?」

 

 

ルーシィの何気ない一言に、ナツは戦慄する。

 

 

「とんでもねぇ事言うなぁ、お前は自分の〝プルー〟や〝牛〟食うのか?」

 

「食べる訳ないじゃない!!!」

 

「それと同じだよ」

 

「そうですよ、私の水もナツの炎も自分の一部なので食べる事は出来ないんです」

 

「そ...そう?」

 

 

ウミの説明で、ルーシィは自分がとんでもない事を言ったのに気づいた。

 

 

「よーするに自分の火や水は食べられないって事なのね」

 

 

一緒に話を聞いていたマキは、そう考察する。

 

 

「そうだ!あたしとマキはちょっとこの街見てくるから」

 

「はぁ?何よいきなり」

 

 

事前に聞いていなかったのか、マキはなぜ別行動するのか質問する。

 

 

「いいからいいから!!じゃあ、食事は5人でどーぞ」

 

 

ルーシィはそう言うと、マキの背中を押しながら人混みの中に消えて行ってしまった。

 

 

「何だよ...みんなで食った方が楽しいのに」

 

「ねー」

 

『あい』

 

 

ナツの言葉に、ホノカとハッピー達が同意する。

 

 

「何か用事があったのかもしれません、先にホテルに行ってから食事にしましょう」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ホテルに荷物を置いて来たナツ達は、早速その街にあるレストランに入って食事する。

 

 

「脂っこいのはルーシィとマキに取っておこう」

 

「脂っこいの好きそうだもんね」

 

「おおっ!!!これスゲェ脂っこい!!!」

 

「ナツ...ハッピー...普通女の子は脂っこいお肉を好みませんよ」

 

 

ナツとハッピーの2人によるやり取りに、ウミは頭を抑え呆れ指摘する。

 

 

『えっ!!?そうなの!!?』

 

 

ウミの言葉に、同じようにルーシィ達の為に脂っこい肉を残していたホノカとリンが驚く。

 

 

「ウミの言う通り、あたしがいつ脂好きになったのよ...もう...」

 

 

するとそこに、街を見て回ると言っていたルーシィの声が聞こえた。

 

 

「お!ルー.....シィ?」

 

 

「遅かったね、マ.....キちゃん?」

 

 

横から声が聞こえ、ナツとホノカが同時に言葉を詰まらせた。

 

 

「結局あたし達って何来ても似合っちゃうのよねぇ」

 

「ううぅ...何で私がこんな格好を...」

 

 

なぜならナツ達の目の前に、メイド服に着替えたルーシィとマキの姿があったからだ。

 

 

「お食事はおすみですか?御主人様。まだでしたらごゆっくり召し上がってくださいね♡うふ♡」

 

「な、な、なんなりと、も、も、申しつけください...」

 

 

ルーシィは乗り乗りでメイドに徹し、マキは顔を赤くして恥ずかしそうに台詞を言う。

 

 

その様子を見ていたナツ達は脂汗を掻き、ナツに至っては口の中に入っていたお肉をボロボロと零す。

 

 

そしてナツ達5人は1か所に集まり、ひそひそと話始める。

 

 

「どーしよぉ~!!冗談で言ったのに本気にしちゃってるよ!!メイド作戦」

 

「どうするんですか!!今更冗談なんて言えませんよ」

 

「しょうがねぇ、こ..これでいくか」

 

「聞こえてますがっ!!!?」

 

「ふざけんじゃないわよっ!!!?」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

色々とひと悶着を起こした一同だったが、無事に大きな屋敷の前に到着した。

 

 

「立派な屋敷ね~ここがエバルー屋敷の...」

 

「いいえ、ここは依頼主の方の屋敷です」

 

 

ルーシィの言葉を、ウミが否定する。

 

 

「そっか...本一冊に20万に20万Jも出す人だもんね」

 

「お金持ちなんだぁ」

 

 

マキとホノカがそんな会話をしている間に、ナツはコンコンとドアをノックする。

 

 

すると、ドア越しで声が聞こえた。

 

 

「どちら様で?」

 

「魔導士ギルド、妖精の(フェアリー)

 

 

「!!!しっ!!!静かに!!!」

 

 

ナツがギルド名を名乗ろうとしたその時、急に慌てたような声へと変わる。

 

 

「すみません..裏口から入って頂けますか?」

 

『?』

 

 

意味が良く分からず、首を傾げるナツ達だったが言われた通り、裏口へと回った。

 

 

裏口からナツ達を招き入れたのは、2人の初老の男女だった。

 

 

「先程はとんだ失礼を......私が依頼主のカービィ・メロンです。こっちは私の妻」

 

「うまそうな名前だな」

 

「美味しそう!!」

 

『メロン!』

 

「あなたたち、失礼ですよ」

 

「あはは!よく言われるんですよ」

 

 

ナツ達の失礼な態度にも、眉を寄せる事なく笑って済ませていた。

 

 

「(メロン...この街の名前もそうだけど...どこかで聞いた事あるのよね)」

 

 

メロンという名前に疑問を思っていたルーシィだったが、メロンが話を続ける。

 

 

「まさか噂に名高い妖精の尻尾の魔導士さんが、この仕事を引き受けてくれるなんて....」

 

「そっか?こんなうめぇ仕事よく今まで残ってたなぁって思うけどな」

 

「そうだよね」

 

「(仕事の内容と報酬がつりあってない。きっと、みんな警戒していたのよ)」

 

「しかも、こんなお若いのにさぞ有名な魔導士さんなんでしょうな」

 

「ナツは火竜(サラマンダー)、ウミは水竜(リヴァイアサン)って呼ばれてるんだ」

 

「ホノカちゃんもイフリートって呼ばれてるにゃ」

 

「おお!!その(あざな)なら耳にした事が」

 

 

そして今度は、ルーシィとマキの2人へと視線を変える。

 

 

「....で、こちらは?」

 

「私達も妖精の尻尾の魔導士です!!!」

 

 

メイド服を着ていたせいか魔導士とは思わなかったようで、メロンはじ――――っと2人の見つめる。

 

 

「その服装は趣味か何かで?いえいえ..いいんですがね」

 

「ちょっと帰りたくなってきた」

 

「本当、意味わかんない...」

 

 

メロンにそう言われた事でナツ達が笑いを堪え、ルーシィとマキは早々に帰りたくなった。

 

 

「仕事の話をしましょう」

 

「おし」

 

『あい』

 

 

メロンが仕事の話を切り出した事で、ナツ達は気合を入れる。

 

 

「私の依頼したい事はただ一つ、エバルー公爵の持つこの世に一冊しかない本。日の出(デイ・ブレイク)の破棄又は焼失です」

 

『!!!』

 

 

メロンが伝えた依頼内容に、ナツ達は驚く。

 

 

依頼書には盗んでくると書いていたにも拘らず、メロン自身は破棄又は焼失と言ったのだ。

 

 

疑問に思ったウミが、メロンに質問する。

 

 

「盗って来るのではないのですか?」

 

「実質上、他人の所有物を無断で破棄する訳ですから盗るのと変わりませんがね....」

 

「驚いたなぁ....あたしはてっきり、奪われた本かなんかを取り返してくれって感じの話かと」

 

 

メロンの説明に、同じように驚いていたルーシィもそう呟いた。

 

 

「焼失かぁ...だったら屋敷ごと燃やしちまうか!!」

 

「そうだね!!私とナツ君だったらそれぐらい余裕だからね!!」

 

「楽ちんだね」

 

「何を言ってるんですか!!?そんな事したら確実に牢獄行きですよ!!」

 

 

物騒な事を胸を張って言うナツとホノカに、ウミが突っ込みを入れる。

 

 

「一体..何なんですか?その本は...」

 

「.........」

 

 

ルーシィが質問するが、メロンは黙ったまま何も話さなかった。

 

 

「どーでもいいじゃねーか、20万だぞ20万!!」

 

「いいえ....200万Jお払いします。成功報酬は200万Jです」

 

「ヴェッ!!!?」

 

「にっ!!!?」

 

「ひゃ!!!!」

 

「くぅ!!!?」

 

「まん!!!?」

 

「ジュ!!!!」

 

「エル!!!?」

 

 

報酬が20万だと思っていたナツ達は、200万につり上がった事を始めて聴いて驚きの声を上げる。

 

 

『なんじゃそりゃあああああっ!!!』

 

 

驚きの余り、叫び声を上げるナツとホノカ。

 

 

「おやおや......値上がったのを知らずにおいででしたか」

 

「200万!!!?ちょっと待て!!!7等分すると.................うおおおっ計算できん!!!」

 

「簡単です、私達5人で40万ずつで残りはルーシィ達です」

 

「頭いいなぁ!!!流石ウミ!!!」

 

『残らないわよっ!!!』

 

 

動揺しすぎてる2人のやり取りに、ルーシィとマキが突っ込む。

 

 

「まあまあみなさん落ち着いて」

 

 

動揺するナツ達を、メロンが落ち着かせようと声を掛ける。

 

 

「な..な..何で急にそんな...200万に...」

 

「それだけどうしてもあの本を破棄したいのです。私はあの本の存在が許せない」

 

 

マキの質問に、メロンはどこか悔いる様に吐き捨てる。

 

 

話を聞き終えたナツ達だったが、突如としてナツの顔が燃えだした。

 

 

するとナツは、ルーシィとマキの手を取って部屋を飛び出した。

 

 

「燃えてきたぁ!!!!行くぞルーシィ!!!!マキ!!!!ウミとホノカも着いてこい!!!!」

 

「ちょ....ちょっとォ!!!」

 

「何よいきなり!!!」

 

 

いきなり手を掴まれて走り出したナツに、2人は戸惑い声を上げる。

 

 

「すみません、私達はこれで失礼します」

 

「待ってよぉ~ナツ君!!!」

 

 

走り出したナツ達の後ろを追いかけ、ウミは一言告げて出ていった。

 

 

「あなた..本当にあんな子供達に任せて大丈夫なんですか?」

 

 

ナツ達が完全に出ていったのを確認した妻は、主人に確認する。

 

 

「先週..同じ依頼を別のギルドが一回失敗しています。エバルー公爵からしてみれば未遂とはいえ、自分の屋敷に賊に入られた事になります。警備の強化は当然です、今は屋敷に入る事すら難しくなっているんですよ」

 

「わかっている....あの本だけは..この世から消し去らねばならないのだ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

依頼主のメロンと同じぐらい大きな屋敷、『エバルー公爵邸』の前にルーシィとマキの姿があった。

 

 

「失礼しまぁす♡金髪と赤髪のメイドさんの募集を見て来ましたぁ♡」

 

「すみませーん誰かいませんかぁ」

 

 

入り口から中に聞こえるように叫ぶ。

 

 

「(ふふ...簡単簡単、エバルー公爵ってのに気に入られればいいんでしょ?後は本を探して燃やして200万、チョロいな)」

 

「(うぅぅぅ....何でこんな目に...)」

 

 

そんな2人の様子を、近くの木に身を潜めナツ達が見守っていた。

 

 

「うまくやれよルーシィ、マキ」

 

「頑張ってください」

 

「ファイトだよ!!」

 

『がんばれ~!』

 

 

ナツ達が応援する中、突如ルーシィ達の足元がボコっと盛り上がる。

 

 

次の瞬間、盛り上がった地面から、何かが出てきた。

 

 

『ひっ』

 

 

ズシィン!!と地響きを立て、ルーシィ達の前に現れたのはゴリラのようなメイドだった。

 

 

「メイド募集?」

 

「うほっ」

 

「ヴぇっ」

 

 

メイドゴリラに驚き、ルーシィ達は変な声を上げる。

 

 

「御主人様!!募集広告を見て来たそうですが――」

 

「うむぅ」

 

 

メイドゴリラは自身が出てきた穴に向かって話しかけると、また別の場所から何かが出てきた。

 

 

「ボヨヨヨヨ~~~~~ン!吾輩を呼んだかね」

 

 

穴から出てきたのは卵体型に変な髪形をしたおっさん、『エバルー公爵』だった。

 

 

『(出た!!!!)』

 

「どれどれ」

 

 

観察するように、エバルー公爵は2人の事を見つめる。

 

 

「宜しくお願いします 」

 

 

じいいいいとジトっと視線で見つめる視線に、2人は鳥肌が立つ。

 

 

「(と....鳥肌が....がんばれあたし!!)」

 

 

脂汗を掻きながら、気持ち悪い視線に耐えるルーシィとマキ。

 

 

しかし。

 

 

「いらん!!帰れブス共」

 

『ブ....』

 

 

まさかブスと言われるとは思いもよらず、2人は言葉を失う。

 

 

「そーゆー事よ、帰んなさいブス共」

 

 

ぐいっと、メイドゴリラに持ち上げられるルーシィとマキ。

 

 

「え....!!?」

 

「ちょ....」

 

「吾輩のような偉~~~~~~~い男には....」

 

 

エバルー公爵の言葉を合図に、4人の影が地面から飛び出してくる。

 

 

「美しい娘しか似合わんのだよ、ボヨヨヨ....」

 

「まぁ、御主人様ったらぁ 」

 

「上手なんだからぁ」

 

「うふ~~ん」

 

「ブスは帰んな!!しっしっ!!」

 

 

メイドゴリラとは別のメイドが4人出てくるが、それはお世辞にも美しいとは言えないブス達ばかりだった。

 

 

「あちゃ―――――――っ!!!」

 

 

思いもよらない出来事に、ルーシィは頭を抱える。

 

 

 

 

 

メイド作戦が失敗に終わり、ナツ達と合流したルーシィ達はメイド服から着替えていた。

 

 

ルーシィ達はブスと言われた事に傷つき、膝を抱えてしくしくと泣いていた。

 

 

「使えぇな」

 

「違うのよ!!!エバルーって奴、美的感覚がちょっと特殊なの!!!!」

 

「そうよ!!!あんたも見たでしょ!!?メイドゴリラ!!!」

 

「言い訳だにゃ」

 

「キィ―――!!!!くやし―――!!!!」

 

 

リンの言葉に、ルーシィは悔しそうに喚く。

 

 

「よし!!こうなったら〝作戦T〟に変更だ!!!」

 

「えぇ!!」

 

「あのオヤジ絶対許さん!!!」

 

 

流石の理不尽さに、ルーシィとマキも気合を入れる。

 

 

「所で〝作戦T〟って何?」

 

「Tは突撃のTだよ」

 

 

ルーシィの質問に、ホノカが答える。

 

 

「それの何処が作戦よ!!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

屋敷の前でナツ達が作戦を練っている間、ラクリマを通じてエバルーはその様子を見ていた。

 

 

「性懲りもなくまた魔導士どもが来おったわい。しかもあのマーク、今度は妖精の尻尾か」

 

 

エバルーは身体をじっくり見ていた時に、ルーシィの右手の甲にギルドマークがついている事に気付いていた。

 

 

「隠さんトコもマヌケだが、どーせなら美人を連れて来いっての」

 

 

そう愚痴るエバルーの後ろに、守る様に2人の影が立っていた。

 

 

「さーて....今度の魔導士はどうやって殺しちゃおうかね、ボヨヨヨヨヨヨ!!!」





ウミ「エバルーの女性の好みは凄かったですね」

リン「特にメイドゴリラは凄かったゃ」

ウミ「こんな事は言ってはいけないのですが、あの女性達がエバルーに抱きついた時は背中がゾゾゾっと震えました...」


次回!!第6話「潜入せよ!!エバルー屋敷!!」


ウミ「さて気を取り直して、作戦Tを決行しましょう!!」

リン「うん!!燃えてきたにゃ!!」

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