兄「戦いのプロ、傭兵にはかなわない」
弟「兄ちゃん..ここは一気にアレで決めよう。合体技だ!!!」
『天地消滅殺法!!!!』
ウミ「今度は私達の合体技を見せる番ですね。行きますよナツ!!!」
ナツ「おう!」
『水炎爆砕迅!!!』
ルーシィ「この本は...燃やせないわ....カービィさんに届けなきゃ....」
エバルー「さぁ言え、何を見つけた?その本の秘密とは何だ?」
ルーシィ「ア...アンタなんかサイテーよ..文学の敵だわ....」
「文学の敵だと!!?吾輩のような偉~~~~~~くて教養のある人間に対して」
「変なメイドつれて喜んでる奴が教養ねぇ...」
「我が金髪メイドを愚弄するでないわっ」
「痛っ、色んな意味で...」
ルーシィの言葉に怒ったエバルーは、締め付ける手を更に強めた。
「宝の地図か!?財産の隠し場所か!?その本の中にどんな秘密がある?」
ルーシィは痛みに耐えながら、捕まった際に落とした鍵を取ろうと、ジリジリと足を少しずつ近づかせる。
「言え!!!言わんと腕をポッキリとへし折るぞ!!!」
エバルーはそう脅すが、ルーシィはべ―――っと舌をだして馬鹿にする。
「むかっ!!調子に乗るでないぞ!!!小娘がぁあ!!!その本は我輩の物だ!!!我輩がケム・ザレオンに書かせたんじゃからな!!本の秘密だって我輩のものなのじゃあっ!!!!」
そしてとうとう、ボキッという骨が折れる音が地下水道に響く。
「おおっ!!?」
しかしそれはルーシィの腕から鳴った音ではなく、推進力を利用したハッピーとリンの蹴りによってエバルーの左腕が折れる音だった。
「ハッピー!!!リン!!!」
助けに来てくれた事に、ルーシィは喜びで名前を叫ぶ。
「ぎゃあぁあぁあっ!!!」
腕が折れた事で、エバルーは悲鳴を上げる。
「ナイスカッコイイー 」
『にっ』
ハッピー達はそのままくるくると回転し、ちゃぽんと下水に落下してしまう。
「おのれ...何だこの猫共は!!」
折れた腕を抑えながら、エバルーはハッピー達を睨む。
「ぶく、バッビィべぶる、ぶくぶく」
「ぶく、リンべぶ」
「『ハッピーです』『リンです』だってさ。てか、アンタラ上がってきなさいよ」
『ぶくぶく、びぶ..びぼびいべぶる(水..気持ちいいです)』
「下水よ」
汚い水を気持ちいいと言っているハッピー達に、ルーシィはかなり引いている。
「形勢逆転ね、この本をあたしにくれるなら許してやってもいいわよ。一発は殴りたいけど....」
ルーシィは落ちた鍵を拾い上げ、エバルーに突きつける。
「ほぉう...星霊魔法かボヨヨヨ。だが文学少女のくせに言葉の使い方を間違えておる、形勢逆転とは勢力の優劣状態が逆になる事だ」
「間違ってないわよ!!!」
そこに、更に第3者の声が響く。
ルーシィが振り向くとそこには、〈
「伏せてなさい!!ルーシィ!!」
言われた通り伏せたルーシィは、マキが何をしようとしているのかを理解し、身を縮めて衝撃に備える。
「〈破軍歌姫〉――【
すると、マキを囲うように、地面から何本もの銀筒が出現し、その先端をマイクのようにマキの方に向けた。
否、それだけではない。
地下水道の床の各所にもパイプオルガンの金属管が現れ、エバルーに向けて可変させた。
「行くわよ」
マキが身を逸らしながら息を大きく吸い――
『―――――――――ッ!!!』
耳の奥に響くような高音の声を、自分の周囲に立った天使の銀筒目掛けて発する。
〈破軍歌姫〉の銀筒に高音域の声を通すことで、対となる銀筒から物理的攻撃力を持たせた音波をエバルーにぶつける。
「猫2匹に女2人が増えたくらいで、我輩の魔法『
しかし、音波が当たる直前エバルーは地面に潜って攻撃を回避する。
「これ....魔法だったのかぁ」
「てことは、エバルーも魔導士!!?」
ハッピーは今までのエバルーの床を移動する方法が魔法であった事に驚き、リンはエバルー自体が魔導士であったことに驚く。
「この本に書いてあったわ、内容はエバルーが主人公のひっどい冒険小説だったの」
地面から本を奪い取ろうと飛び出てきたエバルーを、ルーシィは後ろに飛ぶ事によって回避する。
「我輩が主人公なのは素晴らしい、しかし内容はクソだ。ケム・ザレオンのくせにこんな駄作書きおって!!けしからんわぁっ!!!」
上下左右と縦横無尽に動き回るエバルーを、バックステップで避け続けたルーシィだったが背中が柵にぶつかってしまう。
「無理やり書かせたくせに、何て偉そうなの!!?」
「偉そう?」
手を掛けた柵の上で逆立ちし、飛び出てきたエバルーは柵に激突する。
「我輩は偉いのじゃ!!!!その我輩の本を書けるなど、物凄く光栄な事なのじゃぞ!!!」
「脅迫して書かせたんじゃないっ!!!」
「脅迫?」
脅迫という言葉に、ホノカは疑問符を浮かべる。
「それが何か?書かぬと言う方が悪いに決まっておる!!!」
「なにそれ...」
エバルーの態度に、マキは嫌悪感を抱く。
「偉―――いこの我輩を主人公に本を書かせてやると言ったのに、あのバカは断りおった」
そう言うと、エバルーはもう一度地面に潜る。
チョロチョロと動き回るせいで、マキは輪舞曲の照準を合わせらず、ホノカは動けないでいた。
すると、ルーシィ達の後ろに手だけを出したエバルーが喋り出す。
「だから言ってやったんだ、書かぬと言うなら奴の親族全員の市民権を剥奪するとな」
意味を理解したハッピーは、声を上げて驚く。
「市民権剥奪って...そんな事されたら商人ギルドや職人ギルドに加入できないじゃないか!!コイツにそんな権限あるの!?」
「封建主義の土地はまだ残ってるのよ、こんな奴でもこの辺りじゃ絶対的な権力をふるってるって訳」
辺りをキョロキョロと見渡し、何処から出てくるかルーシィは警戒する。
「けっきょく奴は書いた!!!」
「!!」
足元から出てきた手が、がしっとルーシィの足を掴む。
「しかし、1度断った事はムカついたから独房で書かせてやったよ!!!ボヨヨヨヨヨヨ!!!やれ作家だ文豪だ...とふんぞり返っている奴の自尊心を砕いてやった!!!」
ガッガガッと掴まれてる反対の足で、エバルーの手を蹴りつける。
「自分の欲望の為にそこまでするってどうなのよ!!!独房に監禁されてた3年間!!!彼はどんな想いでいたかわかる!!?」
「3年も...!!?」
3年も監禁されてたと知ったリンは、口を両手で抑えて驚く。
「我輩の偉大さに気付いたのだ!!!」
「違う!!!自分のプライドとの戦いだった!!!書かなければ家族の身が危ない!!!だけどアンタみたいな大バカを主人公にした本なんて...作家としての誇りが許さない!!!」
そこでマキは、何故ルーシィがそこまで詳しいのか気になった。
「ちょっとルーシィ、何であんたそこまで詳しく知ってるの?」
足の拘束を外し、バックステップしたルーシィは『DAY BREAK』を掲げるそう言った。
「全部、この本に書いてあるからよ」
「はぁ?それなら我輩も読んだ。ケム・ザレオンなど登場せんぞ」
「もちろん普通に読めばファンもがっかりの駄作よ、でもアンタだって知ってるでしょ?ケム・ザレオンは元々は魔導士」
「な....!!!まさか!!!」
そこまで説明された事で、マキやホノカ、エバルーまでも気が付く。
「彼は最後の力を振り絞って..この本に魔法をかけた」
『おおっ!!!』
驚きの事実に、ハッピーとリンは声を上げて驚く。
「魔法を解けば我輩への怨みを綴った文章が現れる仕組みだったのか!!?け..けしからんっ!!!」
「発想が貧困ね、確かにこの本が完成するまでの経緯は書かれていたわ。だけど、ケム・ザレオンが残したかった言葉はそんな事じゃない。本当の秘密は別にあるんだから」
「な....っ!!!なんだとっ!!!?」
衝撃の事実に、エバルーは驚愕する。
「だからこの本はアンタには渡さない!!!てゆーかアンタには持つ資格なし!!!!」
ルーシィは腰のホルダーの中から、ブレードの先が蟹になってる鍵を取り出す。
「開け!!!巨蟹宮の扉..キャンサー!!!!」
星霊界からの門を潜り、頭や背中から蟹のような脚が生えている男が現れる。
その男の両手には、ハサミが携えていた。
『蟹キタ――――――!!!』
最初に話を聞いた時から食いついていた巨蟹宮の星霊が現れた事で、ハッピーとリンのテンションが上がる。
「絶対語尾に『~カニ』つけるよ!!!」
「間違いないにゃ!!!カニだもん!!!」
「オイラ知ってるよ〝お約束〟って言うんだ!!」
「集中したいの..黙んないと肉球つねるわよ」
ホノカもハッピー達と一緒にはしゃぎ、それをルーシィは注意する。
「ルーシィ..マキ..今日はどんな髪型にするエビ?」
『空気読んでくれるかしら!!?』
『エビ―――――――!!!?』
キャンサーのKYな発言に突っ込みを入れるルーシィとマキ、そしてカニなのにも拘らず語尾がエビだった事に驚くハッピー達。
「戦闘よ!!!あのヒゲオヤジやっつけちゃって!!!」
「OKエビ」
ルーシィの命令を受けて戦闘に入ろうとするキャンサーだったが、ここでハッピーとリンが空気の読めない発言をする。
「まさにストレートかと思ったら、フックを食らった感じだね」
「うん!!もう帰らせていいにゃ」
「あんたらが帰れば」
3人がそんなやり取りをしている間、エバルーはケム・ザレオンの秘密について考察していた。
「(ひ...秘密じゃと!!?まだ何か...ま..まさか我輩の事業の数々の裏側でも書きおったか!!?)」
そこまで考えたエバルーは、冷や汗を流す。
「(マズイぞ!!!評議員の検証魔導士にそれが渡ったら...我輩は終わりじゃないかっ!!!)ぬぅおぉおぉっ!!!!」
エバルーは雄叫びを上げると、懐から1本の
「開け!!!処女宮の扉!!!!」
「え!!?」
「ルーシィと同じ魔法!!?」
「こいつも星霊魔導士だったの!!?」
エバルーがルーシィと同じ星霊魔導士だった事に、ルーシィ達は驚愕する。
「バルゴ!!!!」
「うそぉ!!!?」
門を通ってルーシィ達の前に現れたのは、先程ナツ達に伸されたメイドゴリラだった。
「お呼びでしょうか?ご主人様」
「バルゴ!!!その本を奪えっ!!!!」
メイドゴリラの正体が星霊である事に、ルーシィは驚きの声を上げる。
「こいつ..星霊だったの!!!?」
「エビ」
しかし、ルーシィ達はもっと驚く者を目にする。
「あっ!!!」
「あ!!!!」
「あ!!!!?」
ルーシィ達が目にしたのは、バルゴの服を掴んでいるナツと、ナツの腰に腕を回ししっかり捕まっているウミの姿だった。
「ナツ!!!!」
「ウミ!!!!」
「お!!?」
「ここは!!?」
自分達が何処にいるのか分かっておらず、混乱するナツとウミ。
「なぜ貴様等がバルゴと!!!」
「あんたら...どうやって...!!?」
意味が解らず、ナツ達に質問するルーシィ。
「どう...ってコイツが動き出したから後をつけてきたらいきなり..」
「私は...後をつけたナツが一緒に光りだしたので...思わず抱き着いてしまいました...」
「訳分かんね――!!!」
説明されても尚、ルーシィは理解する事が出来なかった。
「『つけて』って言うか....『つかんで』でしょ!!!」
がっしりっとバルゴの服を掴んでるナツに、ルーシィは突っ込みを入れる。
そこでルーシィは、ナツ達がバルゴと一緒に地下水路に現れた経緯を推測する。
「まさか...人間が星霊界を通過してきたって言うの!!?ありえないって!!!!」
本来なら、人間が星霊界に入ることは不可能なので、ルーシィは頭を抱える。
「ルーシィ!!俺は何をすりゃいい!?」
「指示してください!!」
状況が解らないナツ達は、ルーシィに指示を仰ぐ。
「バルゴ!!!早く邪魔者を一掃しろ!!!」
「そいつをどかして!!!」
エバルーとルーシィが、同時に指示を出す。
「おう!!!!」
「了解!!!!」
バルゴが動く前に、ナツとウミがバルゴを沈める。
「どりゃあっ!!!!」
「はぁっ!!!!」
ナツの拳とウミの蹴りが、バルゴの顔面に直撃する。
「ぼふおっ」
「なにィ!!」
最後の砦だったバルゴが倒されて、エバルーは驚きの声を上げる。
ルーシィが腰に着けている鞭を外し、エバルーを拘束しようとする。
しかし、それよりも早くマキが動く。
『―――――――――ッ!!!』
〈破軍歌姫〉の銀筒はマキの声を幾重にも反響させ、目に見えない手で締め付けるように、エバルーを拘束した。
「む!?なんだこれは!?」
エバルーの腕が不自然に歪み、ロープで縛られるかのようにぐぐっと身体に密着する。
「ナイス!!マキ!!もう地面には逃げられないわよ!!!」
マキの意図を理解したルーシィは、キャンサーに目配せで合図を送る。
マキによって拘束されたエバルーは、ルーシィ達の頭上に勢いよく放り出された。
「アンタなんか..ワキ役でじゅうぶんなのよっ!!!!」
「ボギョオ」
繰り出されたキャンサーのハサミが、エバルーの頭に繰り出される。
エバルーの唯一あった髪が全て無くなった。
「お客様...こんな感じでいかがでしょう?」
「ははっ」
キャンサーの活躍に、ナツは笑みを浮かべる。
「よーし!!最後は私が決めるよ!!」
既に決着は付いてると言っても過言ではないが、ここまで活躍が無かったホノカがそう宣言する。
ホノカは〈灼爛殲鬼〉を天高く掲げると、その手を離した。
すると〈灼爛殲鬼〉の刃が空気に掻き消え、棍部分のみがその場に静止する。
「〈灼爛殲鬼〉――【
ホノカの声に応えるように、刃を失い棍のみになった〈灼爛殲鬼〉が
柄の部分が本体に収納され、ホノカが掲げた右手を包み込むように装着される。
肘から先を長大な棍に覆われたホノカは、その先端を倒れてるエバルー達に定めた。
――その姿はまるで、戦艦に備えられた大砲を思わせた。
「ちょ、ちょっと待ってくださいホノカ!!!こんな所でそんな技を放ったら!!!」
ホノカが今から何をするか気づいたウミは、止めるように声を荒げる。
ウミが止めようとするが時既に遅く、〈灼爛殲鬼〉がその体表を展開させ、赤い光を放っていた。
そしてホノカの周囲にまとわりついていた焔が、その先端に吸い込まれていった。
ホノカが、静かに口を開く。
「――灰燼と化せ、〈灼爛殲鬼〉」
次の瞬間――ホノカの構えた〈灼爛殲鬼〉から、凄まじい炎熱の奔流が放たれた。
辺りが一瞬、一足早い夕日に彩られたかのように真っ赤に染まった。
「きゃあ!!」
ルーシィは思わず腕で顔を覆った。
わずかに空気を吸っただけでも、鼻と口から入った熱気が粘膜を灼き、呼吸を阻害する。
数秒ののち、地下水道を灼く炎熱の光線が段々とその体積を減らしていき――ホノカの右手に装着された大筒が、過酷な作業を終えた機械のように白い煙を勢い良く吐き出した。
「けほ....っ、けほ......っ」
軽く咳き込んでからルーシィは視線を上げる。
視界を覆う煙が晴れ――ルーシィは小さく肩を揺らした。
地下水道の壁や天井は凄まじい熱に融かされ、下水は全て蒸発し
「やるじゃん!!ホノカ!!」
「イェーイ!!」
ナツの言葉に、ホノカはパアン!!とハイタッチを交わす。
ゴゴゴゴゴゴゴ!!!
「ん?」
地響きが聞こえ、ナツ達は頭上を見上げる。
すると、エバルーが空けた穴の罅がどんどん広がっていく。
先程のホノカの攻撃が止めとなり、地下水道が崩壊を始めた。
「ま...まさか...」
嫌な予感が過ったルーシィ達は、外に向かって走り出す。
「噓でしょ!!?」
「急げぇ!!」
ナツとホノカは笑いながら走り、その後を翼を出したハッピー達が追いかける。
ウミとマキが険しい顔で走り、ルーシィは涙を流しながら必死で走る。
「何で私がこんな目に――――!!!」
ルーシィの叫びが、崩壊し始める地下水道に響いた。
地下水道を抜け、無事脱出したナツ達は崩れていくエバルーの屋敷を眺めていた。
「派手にやったなぁ、ルーシィ、マキ。さっすが妖精の尻尾の魔導士だ」
「あい、でもまた壊しちゃったね...」
「これって私達のせい?」
「いや...狭い空間であんな大技を繰り出したホノカのせいですね」
「え―――!!!私だけのせい!!?」
ナツ達が崩れる屋敷を眺める中、バルゴはエバルーを抱えて崩れる地下水道から脱出していた。
リン「本も奪えて、エバルーも倒したしこれで依頼達成にゃ!」
ウミ「倒す必要は無かったのですが...それにしても、ルーシィはあの本をどうする気なのでしょう?」
リン「何か秘密があるって言ってたから、その秘密をメロンさんに教えるのかもしれないにゃ!」
次回、DEAR KABY~親愛なるカービィへ~
ウミ「ところで、秘密って何なんですかね」
リン「リンが知るわけないにゃ」