闇堕ちっていいよね、特に男の娘の   作:skそsksk

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おーちたおちた、だーれがおちた

 

 

 

 

 

 

 

××月××日

 

 グランドマスターのユウキさんが日記をくれたので、とりあえず書いてみようかな。

 何を書けばいいのか分からないけど、まあいいや。

 思ったことをそのまま書いてみよう。

 

××月××日

 

 ボクは学校に通ってるんだ。

 イングラシアっていう国にある、英雄シズエ・イザワが教鞭を振るう有名な学校だ。

 でも、ボクはそんなに学校が好きじゃない。

 クラスの皆はボクのことをイジメるし、授業も難しくてよく分かんないんだもん。

 親がいないだけで(・・・・・・・)イジメてくるのはもっと分からないけど。

 

 

××月××日

 

 昨日はああいったけど、学校にもボクの楽しみはある。

 学校には異世界人の子供もいて、その子達は学校中の生徒から嫌われてるんだ。

 強大な魔力を持っていて危ないと先生は言っていたけれど、ボクはそうは思わない。

 知らない世界に迷い込んで、その上肉親のいない中一人過ごすのは途轍もない苦痛だと知っていたから。

 嫌われ者同士気が合ったのか、ボクと彼らはとても仲が良いんだ。

 彼らは全員で五人いて、まず年長者のゲイル。大人し気なリョウタに喧嘩っ早いケンヤ、本好きなクロエちゃんと人形好きのアリスちゃん。

 皆ボクの大切な友達で、休み時間にしか彼らと会うことは出来ないけど、それがボクにとっては一番幸せな時間なんだ。彼らの担任であるシズエ先生も優しいし、いっそのことボクも異世界人のクラスに行きたいなぁ、なんて。

 

××月××日

 

 特に書くことがないので、友達のことを書こうと思う。

 ケンヤとリョウタは普段通り勇者ごっこをして、対照的にアリスちゃんとクロエはおままごとばっかしているので、成り行き的にボクはゲイルと一緒になることが多い。

 別段することもないから、ヒマつぶしにボク達は世間話をするのだが、これがなかなか面白いんだ。

 その内容は国の情勢だったり友達の話だったりと決まった話はない、ただ思ったことを話すのがボク達の世間話だ。

 ゲイルが口にする言葉は難しくて殆ど分からなかったけど、ボクにとっては内容よりも友達と話すことに意味があるからそんなのは気にしなかった。

 ああ、楽しい。

 

 

 

××月××日

 

 ケンヤがアリスちゃんにちょっかい出して泣かしてた。んで、クロエちゃんに怒られてケンヤも泣いた。クロエちゃん凄ぇ。

 

××月××日

 

 ゲイルとの話でクロエちゃんの話題になった。

 彼女は異世界組の中でも異質というか、不思議な雰囲気を纏う子だ。ユウキさんやリョウタと似てるけど、それとは少し違う気がする。

 この前彼女が読んでいた本を貸してもらったけど、旅をする人の物語で難しい言葉ばっか並んでいた。ゲイルでも読めなかったというし、クロエちゃんってかなりの博識家なんだな。

 

 

××月××日

 

 皆と一緒にランチを食べた。

 気持ちのいい野原に布を広げて、満点の青空の下でピクニック。今日という日は人生の中で一番幸せだったと思う。アリスちゃんとクロエちゃんの手作り料理がすごく不味かったけど、そこはまあご愛敬、かな?

 

××月××日

 

 シズエ先生は爆炎の支配者と言われるほど強いらしい。その噂が本当かは知らないけど、少なくともボクなんかは足元にも及ばないってことは見れば分かる。普段は聖女のように優しいんだけど、怒ると怖いんだ先生。だからボクは絶対に先生が怒るような真似はしないと誓っている。あれはもう二度と経験したくないね、寿命が縮まるかと思ったよ。

 

××月××日

 

 この学校には昔から『子供達だけで冒険する』という謎の仕来りがある。毎年開催されていて、グループになって目的地まで辿り着くというものだ。それが近々開催されるらしい。魔物や盗賊は大丈夫なのかと心配になったが、先生の話じゃ事前にその辺り一帯は危険な魔物は駆逐されているだとか。それならまあ、安心できるが。

 しかし、残念なのがグループを構成するメンバーはクラスメイトじゃなければいけないのだ。当然と言えば当然だけど、皆と一緒に行けないと思うと寂しくなってくる。自分だけ仲間外れにされてるようで、なんだか気持ちが暗くなっていく。あーあ、早く終わらないかなぁ。

 

××月××日

 

 クロエちゃんは魔法が得意だ。アリスちゃんも魔法には長けているんだけど彼女の場合、人形魔法に特化してるから学べることが少ない。なのでクロエちゃんから魔法を教わることにした。

 ボクは身体が弱い。この前聞いた行事じゃ大人も同伴しないらしいし、チカラを持たないボクじゃただの足手まといになってしまう。クラスメイトのためになりたいとは一切思わないが、足手まといだとは思われたくないのだ。

 

 

××月××日

 

 シズエ先生も魔法の訓練に手伝ってくれた。炎の魔法は生憎ボクには適正がなかったので習得することは難しいが、魔法の制御の仕方についてはかなり分かった……と思う。あくまで感覚なので実践で有効かは分からないけど。

 

××月××日

 

 ……明日はとうとう開催日だ。あれからクロエちゃんとシズエ先生も一緒に教えてくれたけど、水を少しばかり指先から出すのが精々だった。そりゃそうだ、クロエちゃんやシズエ先生は膨大な魔力を持ってるのに、それを持たないボクが二人のような魔法を行使できるわけがないのだ。

 旅に向けて早く寝ようとしたが、眠れそうにない。

 

 

 

 

 

××月××日

 

 先生や皆に見送られてボク達は旅に出た。

 ゲイル達は異世界組だからか知らないが、この行事には参加できないことになっている。いいなぁ、ボクもそっち側に行きたいな。

 

 旅に出た直後は何もされなかったけど、少し経ったら皆荷物をボクに押しつけてきた。ただでさえ重いのに……、勘弁してほしいや。

 

××月××日

 

 足が重りのように感じる。

 楽しそうに探検してるのはボク以外で、付き合わされる身としては堪ったものではない。昨夜もボクだけテントに入れてもらえなかった。そのせいか、ちょっと寝不足かも。

 早く帰りたいな。

 

××月××日

 

 川に水を汲みにいったら、巨大蜘蛛(ジャイアントスパイダー) に襲われた。

 ボクの水魔法があるって言ったのに、「ボクの出した水なんて欲しくない」と断れてしまったのだ。そして、そこを根城にしていた巨大蜘蛛(ジャイアントスパイダー)が侵入者を追い出そうと襲ってきたわけ。

 洞穴に逃げ込んでなんとか難を凌いだけど、魔物が壁にぶつかった際に岩壁が崩れて出口が塞がれちゃった。大人の力なら退けられそうな岩で、しかしボク達じゃ力を合わせても退けることは出来なかった。

 ……先生が助けに来るのを、待つしかないかぁ。

 

 

 

 

××月××日

 

 この狭い洞穴じゃ、食糧も水もありはしない。

 早くもメンバーの子達が泣き始めた。お母さんとか、お腹が空いたとか。可愛そうとは思わないないが、もしボクにもお母さんがいたら……まあ、いいや。うるさいったらありゃしないので、頭痛がしてくるね。

 

 ××月××日

 

 ボクに水を出してくれと頼んできた。とてもじゃないが、出してあげる気にはなれない。いつもイジメてくる癖にこんなときだけ友達面かよ。「ボクの出した水なんて欲しくない」んだろ?そう返すと、彼らは激昂して襲って来た。

 魔法はボクが自ら行使しないと発動されないのに、そのことを忘れてしまったのだろうか。あまりにもうるさいので、石でブン殴って倒してやった。それを見た他の子達は、動かなくなったその子に怖くなったのか黙り込んだ。……ふん、それでいいんだよ。

 

 ××月××日

 

 二週間が経った。

 ボクもそろそろ水だけじゃ辛くなってきたが、彼ら程ではないだろう。血迷ったのか全員でボクに掴みかかってきたので、苦労しながらも全員ブン殴ってやった。そしたら静かになって、耳鳴りが良くなって嬉しい。

 

 ××月××日

 

 お腹が空いた。

 文字を書くのも必死だ。

 

 

 

 ××月××日

 

 ようやく、洞穴の岩が退けられて先生が助けに来てくれた。けど、皆良い表情はしなかった。……なんでだろう?

 

 

 

 

 ××月××日

 

 シズエ先生やユウキさん、ゲイル達がボクを迎えてくれた。

 無邪気にボクの無事を喜ぶゲイル達と比べて、心なしかシズエ先生とユウキさんの顔色は暗いように見える。直接聞いてみたけど、有耶無耶にされて終わり。

 ただ、私達は貴方の味方だからねと、最後に何度も言い聞かせられた。どういう意味なのかボクには分からなかった。

 

 ××月××日

 

 明日ボクは裁判にかけられるらしい。

 それを伝えてくれたユウキさんは、言葉にするのが難しい顔を浮かべていた。

 裁判って、アレだよね?悪い人にお仕置きするっていうアレ。でも、ボクは悪いことしてないから大丈夫だね!

 それを聞いたユウキさんは、一層顔色を悪くした。あれ、何か間違ってるかな?

 

 

 

 

 

 ▽

 

 

 

 

 

 

 

 

「ならばお主は、助ける方法を持っていたのにも関わらず見殺しにしたのか?学友ともいえる他の生徒を」

 

 議席に着いた老人が、椅子に座る少女―――――――――ではなく、少年に問いかけた。

 追随するように傍観席からも非難の声が上がる。

 

「人殺しーッ!」

「悪魔め、私の子を返しなさいよ!」

「そうだ、悪魔だ!こんな身元も分からない子なぞ、悪魔決まってる!」

「やめんか。ワシはこの子に尋ねておるのじゃ」

 

 手を上げて老人が声を押さえさせた後、再度少年に問う。

 

「どうして助けなかったのか、わけを言いなさい」

 

 裁判所にいる者の目が少年の集約し、言葉を待つ。

 ウフ、と少年は笑った。

 

「だって、ボクの魔法だもん。誰のために使うかなんてボクの勝手でしょ?」

「子供達は皆、頭を打たれて死んでおった。それをやったのもお主か?」

「うん。早くくれってうるさいから、ちょっと黙ってもらいたかったんだ」

 

 黙ってもらいたかった、か。

 老人はそう呟いて、最後に少年に確認する。

 

「友を殺すというのは惨すぎる所業じゃ。自然とお主の周りはお主を信用できなくなり、そしてお主も周りを信頼できないようになっていく。ワシにも殺しの経験はあるが、友を殺したことはない。……聞くが、お主は自分で殺したのか?」

「……長くって、よく、分かんないや」

 

 答えない少年に、老人は判決を下す。

 

「追放じゃ。未だ幼いことを考慮して、追放で済ましてやる!分かったらさっさと行けい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ××月××日

 

 

 今日、ボクは学校を離れる。

 好きじゃなかった学校だけど、別れとなると寂しくなるなあ。でも、ケンヤやクロエちゃん、リョウタやゲイルにアリスちゃん、彼らと別れるのはもっと辛いなあ。

 一人で旅をするのは危ないからと、シズエ先生が付いてきてくれるのが救いだ。

 

 

 

 

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