どうやら天の聖杯の試作品的なものとして転生したらしい 作:壊れたファングメモリ
引き続きアデル視点です。
僕が黒姫について知っていることは少ない。
王都アウルリウムで黒姫についての情報を集めたが、そのほとんどが会ってみなければ確かめようのない噂ばかりだった。
実際に見たことがあるという老人から話を聞く限り、黒姫はイーラの秘宝『シン』と共に行動をしていたらしい。その老人も、容姿までは覚えてはいなかった。
ただ、ヒカリが『姉』と言っていたこと、二つ名が『黒姫』であることから女性だということは確実なのだろう。
…ヒカリの姉、というとどんな性格をしているのか気になってしまうな。僕達よりも長く生きている分、ヒカリよりは常識人だとは思うけど。
「…何?」
「い、いや、なんでもないよ。」
「………。」
ははは…。早いとこ、リベラリタス島嶼群に向かうとしよう。
◇
ヒカリの姉が黒姫だということを確信した僕達は、リベラリタス島嶼群に来ていた。
「ねぇ、本当にここにいるわけ?」
「…正直わからない。」
「だったら、テンペランティアで探した方が早いんじゃない?」
「確かに、数年前に目撃情報はあるけど……。」
テンペランティアは広いんだ。探し回るのはあまり得策じゃないだろう?
「いーや、黒姫は絶対にリベラリタスにいるね。」
ミルトもこう言っているし…。
「なんでアンタにそんなことが分かるのよ。」
「オレは子どもの頃に村の大人達から聞いてたから、ヒカリよりは絶対に知ってるぞ。」
「子どもの頃、ってまだ子どもでしょう?」
「それを言ったらヒカリだって生まれてからそんなに経ってないだろ?!」
「まぁまぁ二人とも落ち着いて。ほら、まだあの島には行ってないんじゃないかな?」
「……ねぇ。」
ん?
「なんだい?」
「あの島浮いてるけど、どうやってあそこまで行く気?」
…。
「とりあえず近くまで行ってみませんか? アデル様。」
「そ、そうしようか。」
◇
これは……。
「ねぇこれ、どう考えても無理じゃない?」
「ははは…そうかも。」
「え、どうするんですか?」
仕方ない。
「じーさんに頼もうか。」
「誰?」
◇翌日
「というわけで、リベラリタス島嶼群まで頼むよ。」
「久しぶりに会っていきなりそんなことを頼むとはのぅ…。」
「そ、そういえば、じーさんは黒姫については知ってるんだろう?」
「露骨に話を逸らしおって…。そうじゃなぁ…昔あの子も、儂の背に乗って各地を飛び回った事があるぞ。」
「そうだったのか…!」
じーさんが黒姫について詳しいのはそういうことなのか。
「ほら、乗れぃ。その島まで送ってやるわい。」
「わかった。二人とも、ほら。」
◇
「じーさん、あの浮島だ。」
「む、あれは……。」
「やっぱりあそこに居るわけ?」
「アデル様! あの島、誰かいますよ!」
本当か?!
「んー…あー、確かに誰かいるみたいね。」
「あれは、黒姫じゃなぁ。」
「黒姫がリベラリタス島嶼群にいるというのは本当だったんですよ! アデル様!」
「ああ! すごいぞ! 僕も実際に会うのは初めてだから、どんなブレイドなのか楽しみだ。」
いやー、伝説とまでいわれる存在に僕も会えるのかぁ。
「ほんっと、子どもみたい…。」
「ん? 何か言ったかい?」
「なんでもないわ。」
「ヒカリは気にならならないのかよ?」
「別に? 今まで会ったこともない姉なんて…。」
「素直じゃないなぁ。」
そんなこと言いつつ、なんだかんだでヒカリも気になっているんじゃないだろうか。
「ほれ、すぐそこじゃぞ。」
◇◆
「あー…せっかくだし、そういう話は中でしましょう。」
そう言うとミデンは、この島の中心に立つ岩の柱に手を置いた。
ピッ!
ゴゴゴゴ……
「なっ!」
「すげー! なんだこれ?!」
「一体、どうなっているんだ…? スペルビアでも見たことがない…。」
地面の一部が開き、地下へと続く階段が現れた。
「とりあえず、入ってください。」
◇
地下には彼女が生活をしていると思われる空間が広がっていた。所々、壁が青く光っている部分もある。宝石の類い…いや、この巨神獣のエーテルラインか。
「さ、座ってください。」
「ああ、失礼させてもらうよ。」
僕達は用意されていた椅子に座った。この椅子も、かなり良質な木が使われているみたいだ。
「…うん、よし。では、改めて自己紹介をさせていただきます。」
やはり伝説の黒いブレイド『黒姫』というだけある。その礼儀の正しさは、こちらまで緊張してしまう。
「私は『ミデン』、天の聖杯であるヒカリ・メツの姉…に当たるブレイドです。」
僕は今、初めて黒姫の名前を知った。
「先程も紹介いたしましたが、私はアデル。イーラ王家第四王子、アデル・オルドーと申します。」
「ご丁寧にありがとうございます。本題に入る前に少々失礼します。」
…なるほど。恐らく、お茶だろう。
「ちょ、ちょっとアデル! さっきの何?! いつものあなたと全く違ったんだけど?!」
「僕だって、ちゃんとした挨拶をすることぐらいはある。」
それにしても、この部屋には見たことのない機械がたくさん並んでいる。彼女がスペルビアで店を開いていたというのは、恐らく本当なのだろう。
黒姫『ミデン』が戻ってきた。
「はい、どうぞ。」
「えっと、これは?」
「? セリオスティーですよ? …自作ですけど。」
おお、とても美味しそうだ。
「やっぱり噂は本当だったんですねアデル様。」
「ちょっと待て。噂って何?」
「え? わかってやってるんじゃないのかい?」
「えちょっと待ってください? …噂の詳細を教えてもらってもいいですか?」
「え? ああ、いいけど…。」
なんだか、緊張感が一気に吹き飛んでしまったな…。
◇
「そんな噂があるの…?」
僕達はイーラで聞いた話をミデンに伝えた。まさか、ここまで自覚がなかったとは。…意外と、世間知らずなのかもしれないな。
「スペルビアの技術を5年先に進めた覚えはマジでないんだけど?」
「あー…えっと、本題にはいってもいいかな?」
「あ、うん。」
やっぱり僕には砕けた会話のほうがあっているみたいだ。
「早速だけど、(さすがに)メツのことは知っているよね?」
「そうだね。よく知ってる。」
「なら話は早い。メツ討伐任務に協力してくれないかな?」
「…………少し、考えさせて。」
「ああ、わかった。」
◇
「…うん。考えがまとまった。私はアデル達の協力をするよ。」
「おお! それは助か「だけど、」…。」
な、なんだ…?
「立場的に一緒に行動することは難しい。だから、私はアデル達とは別行動でメツによる破壊を
「…そうか。だが、協力してくれるだけでもありがたいよ。」
「立場的に、ねぇ…?」
「いや、しょうがないでしょ? 勝手に守護神みたいなことにされてんだから。」
「そうかもしれないけど………。」
うーん…。こうして見ても、姉妹という感じはあまりしないような。
「まぁいいじゃん。まだ何か話しておくべき事とかはある?」
「これといった話は……いや、一つある。イーラの秘宝『シン』の事だ。」
そう言った瞬間、彼女は一瞬動きを止めた。
「公にはなっていないのだが、そのコアクリスタルは15年程前に宝物庫から盗まれたんだ。今もまだ見つかっていない。」
「なるほど。じゃあシンを見つけたら、そのドライバーごとイーラへ連れてきてほしいということね。」
「そういうことだ。君なら、シンの姿は知っているんだろう?」
「うん、知ってる。最後に会ったのは結構前だけど、頑張って探してみるよ。」
「助かる。」
◇
「話は済んだのか?」
「ああ、一応ね。」
「じゃあまた今度ね。次会う時は、王都アウルリウムかな? セイリュウも久しぶりに会えて嬉しかったよ。」
「そうじゃな、儂はいつでも此処に来られるからのぅ。またいつか来ることがあるかもしれん。」
「確かに。じゃあミルト…とヒカリも気をつけてね!」
「はい! ありがとうございました!」
「ちょっと! 私がついでみたいな言い方じゃなかった?!」
「気にしない気にしない。ほら、セイリュウ。」
バサッ!!
「あ、ちょっとまだ話は──」
「ヒカリ、立ってると危ないぞ。」
「キャァッ!」
スレ民「ヒカリをからかいすぎでは?」
プロトTS(天の聖杯)「だって楽しいんだもん。それに、ヒカリが『妹』なんだよ? わかるでしょ?!」
顔文字ニキ「(´・д・`)ワカルワァ…。」
スレ民「えぇ....(困惑)」
イーラ編エンディング時のミルトをどうするか迷ってます。
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原作通りにミルト死亡
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ミルトを庇いミデンが雲海に沈む(生存)
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ミルトを庇いミデンが半分死亡