どうやら天の聖杯の試作品的なものとして転生したらしい   作:壊れたファングメモリ

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白い蛇

 

ゼノブレイド3で巨神獣イーラの『ダナ砂漠』が復活? イーラ君生き返ったの?

 


 

「ヘェ〜、つまりその『因果』とやらをお前の都合のいいように改変するってことかァ?」

「都合のいいようにって…。」

「実際そうだろォ? ま、協力するけどよ。」

 

いやするのかよ。

 

「面白ければ何でもいいんだよ、オレは。」

 

こいつの精神構造って危ういのでは? イーラ側にいてもおかしくないぞ。

 

「いつっ…! やっぱまだ動けないか…。」

 

この傷は警告として受け取っておく。シンからの、ね。

 

だが俺()には関係がない。

 

「ウワバ、俺は暫く動けないんだよね?」

「起き上がろうとするのすらキツいだろォ? それが答えだ。」

 

だよなぁ。

 

「まぁいいや。とりあえず、ウワバはアヤメのとこに向かってくれ。位置は分かるでしょ?」

「………確かになんとなくわかるがよォ、自分のドライバーを置いていくってのは…。」

「アヤメもお前のドライバーだから気にしなくていい。」

「そういうことを言ってるんじゃねェ。…まぁ本人が良いって言うならいいのかァ…?」

 

こいつ回復ロールだけど、医者には向いてないな。

 

「一番いいのは自宅で休むことなんだけど…。」

「何処にあんだ?」

「リベラリタス。」

「…。」

 

黙るなよ…。

 

「とにかく、アヤメのとこに行って。指示は出すから。」

「わかったわかった。ンじゃあ、行ってくる。」

「よろしく〜。…そこ滝になってるけど大丈─」

「あっやべ─」

 

 

 

 

 

バッシャーン!!

 

 

 

 

「痛ってェ!!」

 

 

 

 

─………さて、ケータイに意識を向けつつ仮眠しようか。

 

あぁ〜…体も心も結構キツイ。お茶でも飲みたい気分だな。

 

 

 

 

 

 

─ぐォォォォ……!! 溺れ死ぬかと思ったぜ…!─

 

位置エネルギーと運動エネルギーの凄まじさを全身で味わった後、なんとか滝つぼから脱出したウワバ。つい先程まで自分がいた場所を見るが、戻れそうにはない。

 

─上から見たときにはそんな高く感じなかったんだがなァ…。まったくよォ…一瞬で体が冷えちまった。─

 

びしょ濡れになった鱗を鬱陶しく感じながらも、器用に尻尾や舌で水滴を払う。たまに『オ゛エ゛ッ゛!』とか言っているが気にしてはいけない。

 

─てか今更だが、オレって普通ブレイドには見えねェから首都に行ったらモンスターと間違われて襲われねェか…?─

 

そんなことを考えながら白蛇のモンスター…ではなく蛇型ブレイドのウワバは、インヴィディア烈王国の首都へと体を揺らしながら進み始めていた。

 

僅かに生えている木々の間や岩の隙間を縫うように移動しているが、その特徴的な体色のせいで逆に目立ってしまっている。

 

─最初に『オレはブレイドだ。』とでも言ってみるかァ? 疑いの目は凄そうだが…。─

 

人語を話す蛇なんてアルストのどこを探してもウワバしかいないだろう。というか話す話さない関係なしに、首都に向かってくる大蛇とか恐怖でしかない。

 

そして人間が未知の生物と遭遇した場合のリアクションは主に3つ。拒絶か共存、もしくは崇拝である。まぁウワバが崇拝される可能性は限りなくゼロに近いけどね。

 

さて、首都へと向かう道はいくつかあるが残念ながらウワバはほとんど泳げない。なので道は限られる。

 

「まァ…上の方行って道なりでいいだろ。」

 

『ファーレン水域』を北に進めば首都に着くことはできるだろう。だが、道中にいるモンスターは多いため時間はとても掛かる。それでもなんとかなるだろう。

 

 

 

 

 

 

─いやコイツら何体居やがんだ! 多すぎんだろォ!!─

 

前言撤回。イグーナ族が思ったよりも多かったせいでウワバは逃げることしか出来なくなっていた。

 

なぜこうなったのか。それは通っている道が悪いとしか言いようがない。

 

泳がなくて済む浅瀬を進み、ウワバは首都へと続く道を見つけた。だが、その道中にはイグーナ族の巣があり貴重な食糧として狙われることに。

 

ちなみに、イグーナ族というのは人と蜥蜴のような爬虫類を足して2で割らなかった人型モンスターだ。一体一体はそこまで強くはないが、如何せん数が多い上に地味に統率が執れている。厄介なことこの上ない。

 

─アァ…? まだ付いてくんのかよォ……!?─

 

最初こそ『目には目を、歯には歯を、トカゲには毒牙を』の精神で噛み付いて電撃と毒液を浴びせていた。

 

だがドライバーであるミデンとアヤメのどちらもいない為、本来の力で戦うことが出来ず防戦一方な状況に逃げることになったのだ。そして今の状況に至る。

 

どうにか出来ないものかと考えながら逃げ続けること約1分、彼の頭にはひとつのアイデアが生まれた。

 

─そうか、別の奴に押し付けりゃァいいのか。─

 

運がいいことに、少し先には野良のドライバーとブレイドが合計6人いるじゃあないか。

 

獲物を見つけた白蛇は、目を光らせ一直線に進む。

 

「な、なんだぁ!」

「白いアング族…初めて見るな…。」

「おいおいおい、イグーナ族めっちゃいるじゃねーかよお!」

 

─ンじゃあ、コイツらに押し付けて……いや、コアチップが欲しい。イグーナが片付いたとこに仕掛けるかァ…。─

 

予定変更だ。

 

押し付けておいて漁夫の利を狙うという、バトロワゲームでやったら死体撃ちされそうな戦法をとることに。

 

ドライバー達の間をすり抜け、近くの岩場に身を隠し機会を伺う。ミデンと同調してから初めてのはずのその行動は、まるで何百何千と繰り返したかのようなものを感じる。いや、実際に今まで何度も繰り返したのだろう。その記憶がないだけで。

 

そんなこんなで、多くいたイグーナ族もラスト一体。ドライバー達もかなり消耗している。狙うなら今しかありえない。

 

─ご苦労さん。─

 

ギシャァァァ!!

「ぐあああ!」

 

まずは一人を噛み付いた後岩場に投げ飛ばす。一番弱そうな奴から狙うのは多対一の鉄則だ。

 

「なっ!?」

「慌てるな! 白いがアング族であることに変わりはない。」

「そいつはどうかなァ?」

「しゃ、喋ったあ!?」

「隙ありィ!」

「うぐっ…!」

 

驚いたところに素早く電撃を当てる。さすが大蛇きたない。残りは一人、どことなく強キャラ感を醸し出している槍使いだ。

 

「お前、普通のモンスターじゃないな?」

「失礼なヤツだなァ、オレはモンスターなんかじゃあねェよ。てかお前、この状況で敵と会話しようとするのかァ? 随分余裕そうだなァ…。」

 

─まだこっちはクナイを見せてねェ…。なら勝率は9割ある。余裕そうなその態度が崩れた時の顔はどんな表情をしてんのかなァ?─

 

考え方が完全に悪役のそれである。口に出さないだけまだマシだが。

 

「そんな槍じゃ当たんねェよ! よっ! ホラっ!」

「速い…。」

「もしかして、何か仕掛けるタイミングを狙ってんなァ?」

 

─だが、攻撃するために近づいた時点でチェックメイトってやつだぜ。─

 

頭を上げている分だけ相手の方向に伸ばせる尻尾の長さは変わるが、ウワバの全長は約5メートルあるため相手が槍の間合いを保っていても後ろから回り込ませることができる。

 

そしてシュルシュルと音を立てながら、相手のドライバーを締め付ける。

 

「何ッ!」

「『いつの間に!』って表情(カオ)だなァ!」

 

結論から言うと、相手のドライバーとブレイドの敗因はウワバの顔ばかりを見ていて尻尾にまでは気が向いていなかったことである。

 

人間同士の戦闘であれば、相手の目線や武器を気にしていれば一方的にやられることはなかっただろう。だが今回は相手が蛇だ。それも人間と同等以上の知能を持っている。

 

巻きついたまま電気を纏うことで敵を麻痺させ、口にくわえたクナイを胴体に振る。相手のドライバーはダウン。勝負あり、だ。

 

─コアチップはここかァ?─

 

敗者の持ち物を奪うのは勝者の特権、自然の摂理。強い者が生き残り、弱い者は淘汰される。まぁ命を奪ったわけではないけどね。

 

それはともかく、この先勝ち続けるためにもコアチップで武器を強化しよう。

 

「〜〜〜♪」

 

その鼻歌を一体どうやって発声しているのか気になるところだが、あまり気にしなくていいかもしれない。人間と会話する巨神獣がいるんだから、喋る蛇型ブレイドがいたって何もおかしなことはない。

 

─コアチップはっけ〜ん。早速埋め込んでェ…と。─

 

遠くからこの光景を見ている者達がいる。自身のドライバー含む、主人公御一行である。

 

少し前に首都に着いていた彼らは、『コール』という老人の営む劇場で聖杯戦争の公演を見た。その後ミデンが『私達のブレイドが近くに来てるから迎えに行く』と言ったら全員着いてきたようだ。

 

そうとは知らずにポーチを漁り続けるウワバ。埋め込んだコアチップの性能が悪かったからといって、それ以上漁っても何も出ないと思うぞ。アヤメも『うわっ…』と口に出てしまうほどだ。

 


 

Q イグーナ…イグアナ……トカゲじゃなくね…?

 

A ま、まぁ、爬虫類だし?

 

 

ウワバ君が頑張って戦っていた同時刻にあったかもしれない話

 

ミデン「へぇー…カレーにもいろいろあるんだなぁ。」

半分くらいしか聞いてない。

 

博ゾ「あぁ、他にもスパイスの配分で──」

ずっと語れるタイプ。

 

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