どうやら天の聖杯の試作品的なものとして転生したらしい 作:壊れたファングメモリ
レックス達は裏でストーリーをそれなりの速度で進んでいるとお考え下さい。
「お久しぶりですね、ミノチさん。ちょっと…いや、かなり老けましたね。」
「そういうお前さんは相変わらずじゃな。」
「…なんか『成長してない』って意味で言ってません?」
「さて、どうじゃろうな。」
「……ふふっ。」
「なんじゃ急に。」
「いや、なんて言うか…今の俺、めっちゃ幸せなんですよ。今こうやって過ごす時間もすっごく『日常』を感じられて。
ほら、誰だっていつか死ぬわけじゃないですか? 俺だっていつか消えるかもしれないわけですし。だから、当たり前の日常を送れるのは尊いものなんじゃないかなって思うんですよ。
…もし、もしですよ? ミノチさんが普通のブレイドとして生まれ変わっても、俺は同一人物だと思うことはないんですよね。きっとそのブレイドは、今とは違う別のミノチさんなんですよ。
将来どうなるかなんて俺にはわからないですけど、俺は“今”が大切だと思うんですよね。もちろん、過去と未来も大切ですけど。
んー、なんか話が脱線してきたなぁー…。自分でも何言ってるかわかんなくなってきました。」
「『やめだ、やめ。』、か?」
「…俺そんな風には言ってないと思うんですけど。」
「自分で自分のことを完全に理解している者などおらん。だからこそ他者との繋がりが大切なんじゃよ。」
「そっか…そうですね。ありがとうございます、ミノチさん。」
「大したことは言っとらんよ。」
「それでも、です。」
他者との繋がり……俺は上手くできるだろうか。不安はあるけど、俺ならできる。少なくとも、そう思っていたほうがきっと上手くいく。
「それで、“妹”に会う決心はついたのか?」
「うっ…、いやぁ…まだちょっと…。正直、気まずい以外の何物でもないですから。」
「…儂のときはそうでもなかったと思うが?」
「え、そうでしたっけ?」
□
「HAPPY NEW YEAR! 今から神歴3812年だー!」
「…時の流れってのは早いもんだな、アヤメ。」
「…50年くらい前から毎年同じこと言ってるよ、それ。」
「そうか?」
「うん。」
マジか。まぁ結構色んなことしてきたからな今年…いや、去年は。
「今年の目標は何にする? 今年もまたあれみたいな変な機械作るの?」
「変な機械って言うなよ。ジェットパックは男のロマンだから!」
「ミデンちゃんは…今は女の子だからね? ってかそうなってから324年経つよ?」
「わかってるけど認めたくない事ってあるんだよ、アヤメ。まぁ7割認めてるけど。…そうかー、もう300年経ってるのかー…あ。」
「? どうしたの?」
「今年の目標決めたわ。ミノチさんと一緒に孤児院建てよう。」
「急だねぇ。いつものことだけど。」
だって随分前、いつかやるって決めた事だし。
よし、まずはミノチさんが何処にいるのか探すところからだな。多分インヴィディアにいるだろ。
「ま、今日はもう寝るがな。」
「私もミデンちゃんと寝るー♪」
………まぁ今日は寒いし、たまには同じベッドで寝るのもありか。別に変な意味じゃないからな? 本当だぞ?
◆◆
ミノチさんを見つけるのに半年掛かった。
というのも、あんまり派手な動きをしてイーラ組に目をつけられることは望んでいないわけだ。『空を飛び回って探す』みたいなとか出来ないんだよね。ドローンでも作っておくべきだったか…?
まぁそんなわけで、インヴィディア以外も含めて探し回った。自分達の脚を使って。
ちなみに、俺達の走りをライブ配信で見てたゾロアークさん達は、『なんだこの速さ…。』『素で速くて草』『ターフで通用するレベルやな。』みたいな反応だった。
俺とアヤメはスタミナがほぼ無限だからな。足場にはよるけど、常に時速70キロは出てると思ってる。ところでターフって何。
まぁ、前置きはここらへんにして感動の再会。アヤメは家で寝てる。
「どうもー。久しぶりですね、ミノチさん。200年以上経ちますかね?」
「お前…!」
「まさかテンペランティアにいるとは思わなかったですよ。…どうしました? …いやそんな幽霊でも見るような顔をしないでくださいよ。」
「生きて…いたのか?」
「あー…いや、死んだは死んだんですよ。説明するのが─」
…ちょ、待って。『じゃあお前何なんだよ。』みたいな目でこっち見ないで。説明するから。
「俺のコアは無事だったから、雲海に沈んだ後復活できたんですよ。」
「まさか…そんなことが…。」
俺も『こんなことが有り得ていいのかよ…。』とは思った。コンティニューは反則だよなぁ。自分の事だけど、生命の冒涜感がすごいんだよ。新壇黎斗だ!
まぁ、ミノチさんが驚いてるのは
「ていうかミノチさんはなんでこんなところにいるんですか?」
「ちょっとした用があってな。」
多分、傭兵関係なんだろうなぁ。
「そうですか。ところで! 覚えていますよね、ラウラの夢は。」
「もちろんだが…。」
「俺も協力したいと思いまして。…あれ…?」
「……何か、あったか?」
「なんか、涙が…! な、なんででしょうね! あぁ、とりあえず、インヴィディアに行きましょう!」
「…生きて戻ってきてくれた事、俺は嬉しいぞ。」
「ッ! あ、ありがとう…ございます…!!」
□
「……思い返したらそうですね、見た時に嬉しいのと安心したって想いのほうが大きかったですから。」
「だろうな。あの時の泣きそうに嬉しがる表情は、忘れはせんよ。」
「え、俺そんな顔してましたっけ? 全然覚えてない…。」
泣きそうだったかなぁ? うーん…。もしかしたらそうだったのかも…いや、ないな。うん。俺、頻繁に泣くような性格じゃあない…………よな。
強いて言うなら、モルスの地にあるビル群を見たのとこの前サフロージュを見て色々思い出して泣いたくらいしかない。後は…掲示板民の話を聞いて涙ぐんだりはしたけどね。
ていうか、あと30年で600歳になるんだよな俺。コアクリスタル状態での75年も含めたらだけど……。なんだろう、長く生きてる割にはガチ泣きした回数が少ないような気がする。
「まぁいいです。とにかく、“妹達”には会って話をしてみたいと思います。」
「そうか…。ヒカリはお前に対して負い目を感じているはずだ。くれぐれも慎重にな。」
「はい。…やっぱりミノチさんはいいことを言ってくれますね。あ、これ渡しておきます。」
「これは…薬か?」
「アヤメ達から聞きました。頑張って材料集めて作ったやつなんで、効果は期待してください。薬師ウワバのお墨付きです。」
「お前という奴は……。感謝する。」
本当に集めるの大変だったんだよな、これ。特に竜涎香が。モナドに機械特攻はあっても虫特攻はないからね。
「じゃあ、また会いましょう。」
「ああ、いつでも来るといい。」
リベラリタスに帰ろう。
◇
「ただいま。」
当然だが今は一人だから返事はない。この小さな巨神獣を買った時にはそれが日常だったから、特に気にしたことはなかった。
でも、もう違う。アヤメがいて、新しくウワバが仲間入りした。
これが俺にとっての新しい日常。
「とは言っても、既に非日常は始まってるんだけどな。」
さて、次にシンに関わったら俺の体はボドボドでは済まないだろう。
ならばどうする? 暫く関わらなければいい。もしくは、互角に戦えるまで強くなればいい。
単純だが効果的。それに、シンはとある事情で全力を出し続けることが出来ない。戦闘が長引くほど、こちらが有利になる。
つまるところ、モナドニューンによる遅延行為。
俺が狙うのは
現実でこれをやろうとするのは俺くらいだろうが、そんなことはどうだっていい。勝てばよかろうなのだぁ!
まぁ、マルベーニを倒すまでシンが死ぬところは視えないんだけどね。
時間の神にアイオーンっているんですね。初めて知りました。
『ニューン』は調べればすぐにわかると思います。