どうやら天の聖杯の試作品的なものとして転生したらしい   作:壊れたファングメモリ

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最善に自分の無事は含めるべきだと、オレは思った

 

 

 

例のお嬢様なcmに腹筋崩壊太郎されました。


 

アーケディアの女神『ファン・レ・ノルン』の国葬、三国での首脳会談は何事もなく終わったが、依然としてスペルビアとインヴィディアの二国間は緊張状態だ。

 

その理由は、これから二国間だけでする対談があるからだ。

 

インヴィディアはアーケディアとは少し距離を置いているため、あまり聞かれたくない話もあるのだろう。スペルビアも、今回の件の対応を改めて決めるらしい。

 

だがどうやらアヴァリティア商会前会長『バーン』がこの対談を狙っているらしく、それを知ったスペルビア側は天の聖杯とそのドライバー達に協力を持ちかけた。

 

バーンが狙う理由は二国間で戦争を起こすため。戦争が起きれば金になる。その金で会長の座に返り咲こうという魂胆だ。

 

『何かきな臭い話とか知らないか?』とレックス達は手当り次第に声を掛け、かなり情報が集めた。

 

「やっぱり毒殺なのかな?」

「可能性は高いかと。」

「物騒だなー…。」

「ミデンは毒殺やと思うか?」

 

一行はバーンが料理に毒を入れる可能性が高いという結論を出そうとしたが、それに待ったをかける人物がいた。

 

「違うんじゃない? 毒殺で確実に殺せるかっていうと微妙だし。スペルビアの廃工場で造られてた巨大兵器とか、()()()()()()()()とか気になることは他にもあるしね。」

「もしかしたら、毒殺も巨大兵器での襲撃も全部仕掛けてくるかもしれねェな。」

「確かに…。」

「これ以上時間を掛けられねェんだよな? とりあえず、毒殺の可能性があるなら急いで止めないとじゃねェか? 種類が分かれば解毒薬なんていくらでも作れる。」

 

毒のプロフェッショナルからそう言われた一行は、会談が行われるスペルビアの巨神獣戦艦に入っていく。

 

普通なら一般人は入れないが、今回はスペルビアの特別執権官メレフがいるため問題ない。

 

艦内を大勢で走り、大きな音を立てながらも調理場へとたどり着いた。

 

中ではほぼ完成している料理を前に、コックの格好をしたターキン族が難しい顔をしながら話し合っていた。と言っても、ターキン族は鳥類の見た目をしているため表情はほとんどないようなものだが。

 

「その料理、ちょっと待った!」

「ナ、ナンダ?」

「その料理、毒が盛られてるんとちゃうか?」

「ド、ドドドド毒? オ、オマエ達、何ヲ言ッテ─」

「みんな! いくよ!」

「え、あちょっと待っ─」

 

ミデンが制止しようとしたが、それを聞く前にそれぞれが抜刀してターキン達に攻撃を始めてしまった。普段なら敵に突っ込んで行く前にメレフが冷静に判断するのだが、残念なことに今はスペルビア皇帝と共にいる。

 

「…ウワバ。」

「回復アーツを用意しとけってんだろォ?」

「察しがよくて助かるよ。ほんとに。」

 

目の前で一方的にターキン達が蹂躙されている光景から、やらかしたと判断した一人と一体は既に次の事を考えていた。決して現実逃避ではない。

 

─そういえばこうなることを完全に忘れてたわ。反省だね…─

 

「ヤ、ヤラレタ…。」

 

そうこうしているうちにターキン達は全員倒れた。

 

「ってちょっと待つもー!」

「プニンさん!? 何でここに?」

「何で、って…世界に名だたる料理集団『火龍団』を手配したのはこの私も!」

 

そう、ここにいるターキン達は列記とした料理人もとい料理ターキンなのである。ちなみに、その火龍団のメンバーはウワバが回復アーツで傷を治している。

 

「つまり…俺達の勘違い?」

「そうみたいだね。ウワバ、一応毒とか入ってないかも確認してもらっていい?」

「あァいいぜ。……毒特有の臭いはねェし、変な味もしねェな。すげェ美味いぞ。」

「何勝手に食べてるも! ていうか、お前達のせいで料理が台無しも!」

「ご、ごめん。てっきり暗殺者かと…。」

 

盛大な勘違いのせいで料理は台無しになったが、毒殺の可能性をなくせたのだ。良しとしよう。

 

ドォォン!!

 

どうやら良くないことが起こったらしい。

 

「…格納庫で爆発だね。行くよ!」

「ああ、わかった!」

「急ぐで!」

 

格納庫で爆発が起き艦内が騒がしくなっていることから、何かトラブルがあったと判断した一行はまた走り出した。

 

「あっ! こら、待つも! 踏み倒して逃げるつもりかもー! フンゴフンゴもー!!」

 

格納庫が近くだったためすぐに着くことができた一行は、巨大兵器を目にした。

 

その巨大兵器はかつてスペルビアの廃工場で戦った、『サクラ』という巨大ロボと酷似していた。唯一違うのは、額の少し上に大きく『G』の文字がくっ付いている点だ。

 

さらに運が悪いことに、インヴィディア烈王国女王『ラゲルト』が護衛二人を引き連れ格納庫に来てしまっていた。

 

「何者です! まさか、スペルビアの謀略…!」

『ブブ〜! そしてピンポーン! ハズレだけど当たりも。女王にはここで死んでもらうも。スペルビアに謀殺されたことにすればまた大儲けだも。』

「その声…アヴァリティア商会のバーン?」

『ピンポーン! 大当たりも。』

 

バーンは巨大兵器と共に、積荷に紛れることでこの巨神獣戦艦に潜入していた。会長の座を追われたくらいで諦めることなんてなく、どこまでいっても強欲(アヴァリティア)な男の執念だ。

 

「待てっ! バーン!」

『お前は、レックス…!? くぅー!! また俺の邪魔をする気かも!!? いちいちムカつく奴だも!!』

「ご主人!」

「さ、サクラ!? それにしては、すごい力を感じるも…。特にあの額のマークにっ!」

 

ミデンの瞳はそのマークを見た後、三秒ほど青く光った。

 

「ウワバ、あの反対側の出口あるだろ? あそこにバーンが逃げる。」

「その表情(カオ)…なるほどなァ。死ぬなよ。」

「俺にはモナドがあるし、ちょっとやそっとじゃ死なないさ。」

「……アヤメを泣かせるようなことにはなるなよ?」

 

ミデンが頷いたことを確認したウワバは、誰にも気付かれずにバーンから見えない位置へ移動した。その際に物音一つ立たなかったのは流石としか言いようがない。

 

「何事です! こ、これは…!?」

『何と何と…皇帝陛下までお目見えとは、飛んで火に入るなんちゃらも。』

 

これだけ目撃者がいれば逃げ切ることはもはや不可能に近い。だが、バーンは全員殺して逃げるつもりのようだ。

 

『サクラをパワーアップさせたこのグレートサクラ…。この前のようにはいかないも!』

 

その言葉を皮切りにそれぞれが武器を構え、戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

「とりあえず、皆さんは俺ん"ん"ッッ私の後ろに下がっていてください!」

「わ、分かりました。」

 

流れ弾に気を使わないといけないけど、今の俺にはガンブレードしかないからなぁ。ここでモナドをブンブンしたら、後々面倒な事になるのは目に見えてる。視なくてもわかる。…ややこしいな。

 

「ワダツミ、彼女の援護を!」

「承知!」

 

お、助かるねぇ。

 

「おー。前から思ってたけど、やっぱりワダツミさんの防御は頼りになるねぇ。」

「前から? 私と君は初対面だと思うのだが。」

「ああ、そうだったね。じゃあ改めてよろしく。ミデンだ。」

「こちらこそよろしく。」

 

相変わらずワダツミさんはすごいなぁ。広範囲のシールドを持続できるのがずるいと思うほどにね。俺もやろうと思えばできるけど、持続するのは『ゲート』の力がないとキツイかも。

 

「…そういえばスペルビアの陛下、もしかしてあそこの木箱って中身燃料だったりします?」

「え? そうだと記憶していますが……はっ!」

 

あ、うん。絶対燃えるやつじゃん。

 

「陛下、急ぎ艦内から避難の準備を。」

 

これ結構しんどくない? だって、Gサクラのミサイルが一発でも当たったら引火するよね?

 

さて、どうすっかな。

 

『だからあれほどプランは建てておけと…。』

 

しょうがないでしょ。計画なんて今まで結構狂った中でやってきたんだぞ?

 

その割にはアドリブの対応力がない? …知るか!

 

「ていうかこれだとレックス達も危ないじゃねーか…!」

 

ウワバを呼び戻す…には時間的に厳しいような気がするし、未来視で自爆のタイミングがよく分からない以上巻き込むかもだし。

 

いつでもモナドは使えるようにしておくか。

 

『斬』でぶった斬って変に爆発されても困るから『銃』で援護射撃がメインだろうけど。

 

『ももー!? なんで動かないも!? 動けも! このポンコツ!』

「皆! 今だッ!」

 

戦闘自体は勝利で終わりそうなんだけど、自爆阻止が出来ないと俺達は負ける…いや、避難してるみたいだし大丈夫か。防ぐに越したことはないんだけど。

 

バチバチッ!!

 

「バーン! お前の負けだ!」

「観念するんだな。国家元首の暗殺未遂、罪は重いぞ。」

 

…バーンが降りてこない? てかGサクラから火花が散って電気系統もちょっと見えてる。…なんか今にも爆発しそうで怖いんですけど。

 

『ぐもも…!! こうなったら死なばもろともだも!!』

 

降りずに自爆する気か!?

 

「今すぐ距離をとれ!! そいつ自爆するつもりだ!!」

「「なっ!!」」

『距離をとったところで無駄も!』

 

まずい! 今皆が一箇所に集まってるから爆発自体は防げ…自分の身は防げるか? いや考えてる場合じゃない!

 

ワダツミさんは皇帝陛下と避難中だ。ヒカリも消耗してるし、俺は死んでも復活できる! なら─

 

「俺が護─」

 

 

 

ドォォォン!!

 

 

 

あー…なんか最初に世界樹で吹き飛ばされたときと似てるなぁ。

 

「───!」

「────!!」

 

耳がなんか聞こえづらいんだけど? キーンってなってて。あと喉と脚が痛い。でもお腹は痛くないのはなんでだろう?

 

皆が無事で良かった良かった。あれ…なんかねむいかも? …あ。

 

「──!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お腹に穴あいてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…なんてね。想定通りだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

熱ッ! 熱ッッ!! ミデンは大丈夫かこれ!?

 

「ももっ!? お前─」

「邪魔だァ!」

 

適当に痺れさせときゃ後で兵士が見つけるだろ。前もそうだったしなァ……前?

 

あァくそッ! 今は他のことを気にしてらんねェのに…!

 

「おいお前らァ! 無事かァ!?」

「ワイらは無事やけど、ミデンが…!」

 

なっ…! こいつこうなるって本当にわかってたのか?! とりあえず止血…するがこれじゃあなァ…。

 

「いや…諦めたらオレが死ぬかもしれねェ。」

 

これを知ったアヤメに殺されるような気がするからな。それは勘弁だ。

 

出来ることは全部やってやる。そう簡単には死なせねェから。

 

「だから早く血ィ止まれよ!」

 

回復アーツだけで止まる気がしねェ…。最悪、オレの体で穴を埋めるくらいはしねェとか…?

 

内蔵をやられてるのがキツイな。奥に血濡れの金属部分が落ちてるし、かなりの速度で貫通してないとこうはならねェ…。

 

ぅ、ウワバ…!

「無理に喋ろうとするな!」

「…─!」

 

何、後ろ? っ! …マジかよ。

 

「も、燃えてる!? なんで?!」

「木箱内の燃料に引火したのかと…。」

「……バーンか!?」

「アニキ! 早く逃げるも!」

「でも姉さんが!」

 

放置して逃げるわけにもいかねェし、止血もギリか…。火で止血…いや無理だ。これ以上のダメージがあったら本格的にまずい。

 

つゥか、普通の人間ましてや強めのブレイドでもこの時点で死んでるんだが。同調した時もそうだったが、『天の聖杯』ってのは桁違いだなァ。

 

「ウワバ、姉さんを運んで避難できる?!」

「…出来なくはねェ。艦内が火に包まれるのと勝負─」

 

ガシャァァン!!

 

「崩れてきおった!」

「─…は着いちまったみてェだな…。」

「───! ──、────!」

 

分断されて声も聞こえねェか。向こう側に全員……何でニアとビャッコはこっちにいる!?

 

ガラガラ…!

 

「熱ッ…! 危ねェ…! おいニア!ビャッコ! お前ら早く行かねェと─」

「ねぇ、ウワバ。ミデンの治療、アタシと替わってくれない?」

「…何?」

「お嬢様…それは…。」

「お願い。アタシなら治せる。」

 

…なるほどなァ。

 

「そういうの『覚悟を決めた顔』って言うんだったなァ。いいぜ、オレのドライバーを頼む。」

「任せて。………!」

「…マンイーターか。」

「みんなには内緒にしてもらっていい?」

「…いろいろ事情があるみてェだし、オレからは何も言わねェよ。」

「ありがと。」

「感謝をするのはオレ達だ。ありがとう。もちろんビャッコもなァ。」

 

ミデンお前…これも視たってのか? 未来視ってのは末恐ろしいながらも、それ以上に頼もしいな。

 

全く…起きたらオレに詳しく伝えなかったことの説教だなァ。

 

 

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