どうやら天の聖杯の試作品的なものとして転生したらしい 作:壊れたファングメモリ
年末は…忙しいものです。(言い訳)
…はぁ。ここに来るのは二度目だが、やっぱり慣れない。
「さて…行くよ、ウワバ。」
「少しは休ませやがれ…!!」
「ごめん、もうちょっと頑張って。この先にシンがいるからね。」
「はァ? つゥか、そもそも此処は何なんだァ? 地面がやけに硬くて、動きづらいったらありゃしねェ。」
「あー、ウワバはここに来るの初めてか。じゃあ移動しながら説明するよ。」
◆
「──なるほどなァ…。情報量で頭がパンクしそうだぜ…。」
「…人類に失望でもしたか?」
「ハッ、バカ言うな。皆が皆そうってわけでもねェだろうが。少なくとも、オレ達はな。」
ウワバ…!
キィン! ガン!
「…ミデン。」
「ああ、シンだな。よし…行くよ!」
「躊躇いはなしか…。嫌いじゃねェがなァ。」
今から三日と経たずに、この世界は大きく姿を変える。
変わった後の世界を視ることはできない。どんな未来が待っているかなんて、アルストの誰にもわからない。
それでも…前へ進め!
俺は全力で駆け抜けるッ!
◇◆
人間の
「…何故俺を助けた?」
「『何故』、かぁ。誰であっても目の前の命は助けたいって思ってるからかな。」
「…お前は─」
その先の言葉は続かなかった。
「どうかした?」
「…いや、気にするな。」
なんて言おうとしたのだろう。
もしかしたら『お前は甘い』と言おうとしていたのかもしれないし、そうじゃなかったのかもしれない。
「……。」
「……。」
「このモルスの地─」
先に沈黙を破ったのはシンだ。
「─お前の目にはどう映る?」
「どう、って……悲しい、とは思う。」
「悲しい……?」
「うん。」
ミデンは遠くにある崩壊したビル群を見ながら、ゆっくりと言葉を続ける。
「こんなにも科学が発達していたのに、そのせいで戦争が激化して全てなくなってしまったって考えると……もっと他の未来もあった筈なのにな、って悲しくなる。……それでも─」
変化した声のトーンに反応し、シンはミデンに顔を向ける。
「─これだけは確実に言える。これからもこの世界に希望は存在し続けるし、意志は受け継がれる。」
「!」
「…てあれ? 途中からモルスの地関係なくなってるね。」
ミデンは苦笑いを浮かべた。
「……本当に不思議な存在だな、お前は。」
「それ、
◇◆
33:プロトTS(天の聖杯)
無事にレックス・ヒカリと合流できたね。あとカグツチとハナも。
34:名無しの転生者
話聞くだけでもヒヤヒヤしたわ。
35:名無しの転生者
よくシンに斬られなかったな…。
36:博識ゾロアーク
借りがあるからじゃないか?
37:プロトTS(天の聖杯)
落ちる前から斬られないって事はわかってたからねぇ。
38:名無しの転生者
それなら安心…とはならんやろ。
39:名無しの転生者
てかシンと二人きりとか空気死んでなかった?
40:プロトTS(天の聖杯)
>>39ちょっとだけ気まずかったくらいかな。近くにウワバもいたから、完全に二人きりってわけじゃなかったしね。
41:名無しの転生者
その『ちょっと』って絶対ちょっとじゃすまないやつだ…。
42:名無しの転生者
ていうか、そろそろ世界樹?
43:名無しの転生者
まだじゃね?
44:博識ゾロアーク
先にイーラの巨神獣…だったものだな。
45:名無しの転生者
イーラの巨神獣って特別って感じするよね。
46:名無しの転生者
死んでも形が残ったままだしなぁ。
47:プロトTS(天の聖杯)
んー…他の巨神獣も消滅してるってわけじゃないんだけどねぇ。
48:名無しの転生者
まぁ、そっちはゲームじゃない現実だし。
◇◆◆◆
シンの考える事はよく分からん。いやね? 全部が全部が理解不能ってわけじゃないし、共感できるのもところどころ無いわけじゃない。
うーん……。
「だからこそ、かな…。」
「どうしたの?」
「…?」
「いや、なんていうか自分の今までしてきた行動を振り返ると…なんだか、正しい事だったのか分からなくなるんだよな。」
「ん〜…私はミデンちゃんがしてきた事は正しい事だと思うよ? だって、誰かのために行動してきたんでしょ?」
それは…そうなんだけど…。
「……うーむ。」
「ウワバは? なんかないの?」
「オレは……そうだなァ……正しいとか間違ってるとかそんなのは結局ンとこ、誰かの感情的なモンでしかねェと思うんだよなァ。」
たし…かに。そういう考えもあるか。
「ミデンが起こした行動で救われた命があるってだけで、正負も善悪も無いんじゃねェかァ?」
「正しいも間違いもない…。」
「なんだかよくわかんないなー…。」
「少なくとも、結果は残るが。…原因って言葉と合わせて、因果ってこれはどうでもいいか。まァとにかくミデン、オレが言いたいのはそんなに悩む必要はねェってことだ。」
「そう、だな。うん…ありがとう、ウワバ。気が楽になった。」
「オレはただ、自分の考えを言っただけだ。」
「…わ、私はミデンちゃんが間違ってないって断言出来るからねっ!」
「…はははっ! アヤメも、ありがとな。」
「どーういたしまして♪」
本当に…仲間に恵まれてるよ俺は。
いつだったか、今よりずっと前に『過去は変えられないから今を生きる』なんてことを言った覚えがある。自分で言ったその決意表明…みたいなものだ。
まぁ、勢いで言ったやつなんだけど。
とにかく…俺が命を救った事実が『正しい事か?』なんて考えずに、ただ誇れるように生きられるならそれがいい。
「姉さん、みんな準備出来たって。」
「わかった。アヤメ。」
「ん、おっけー♪ 世界樹の案内は任せて♪」
ピコン!
◇
62:プロトTS(天の聖杯)
世界樹攻略RTAはーじまーるよー!
63:名無しの転生者
どうしてその発想になるんですか?(現場猫)
64:名無しの転生者
違うそうじゃない。
65:博識ゾロアーク
最速で駆け抜けるって、なにもそういうことじゃない気がするんだが…。
66:名無しの転生者
一応聞くけど計測終了のタイミングは?
67:プロトTS(天の聖杯)
>>66第一低軌道ステーション直前の『ゼブル第1エレベーター』がある場所に入った瞬間とします。
68:名無しの転生者
ストーリー終盤で機械の建物…機神界かな?
69:名無しの転生者
確かに似とる。
70:名無しの転生者
機の律動良いよね。
71:プロトTS(天の聖杯)
あのBGM最高。そのうち弾きたい。そしてオラァ!
72:名無しの転生者
>>71きゅ、急にどうした?
73:名無しの転生者
モンスターか?
74:博識ゾロアーク
世界樹のはモンスター、というよりかは警備ロボットだが…この際どうでもいいか。
75:プロトTS(天の聖杯)
っと悪い悪い。アヤメがハッキングに失敗したやつにモナドバスターぶち込んでた。
76:名無しの転生者
攻略が順調なようで何よりですはい。
77:名無しの転生者
自爆するやつに気をつけるんよ。
78:プロトTS(天の聖杯)
あの爆丸モドキは、ハッキングで爆発出来なくなったところを蹴り飛ばしてるから大丈夫。
79:博識ゾロアーク
大丈夫と言えるのかそれは…?
80:名無しの転生者
まぁ、無視して進めないこともないし…。
81:名無しの転生者
RTAならむしろ戦わない方がいいまである。
82:名無しの転生者
現実じゃレベルの概念とかないからね。
83:プロトTS(天の聖杯)
…あ、違うわ。
84:名無しの転生者
>>83何が?
85:博識ゾロアーク
?
86:名無しの転生者
•́ω•̀)?
87:プロトTS(天の聖杯)
いやほら、さっき計測終了地点は『ゼブル第1エレベーター』って言ったじゃん?
88:名無しの転生者
せやな。
89:名無しの転生者
それがどしたの。なんか違った?
90:プロトTS(天の聖杯)
あのですね…サタヒコを助けるために俺途中で離脱する予定なのよ…。
91:名無しの転生者
うん…あ。
92:名無しの転生者
…え? わからん。
93:博識ゾロアーク
なるほど。世界樹を降りるから上まで行けないということか。
94:プロトTS(天の聖杯)
>>93そうなんですよねぇ。
95:名無しの転生者
あーそっかー。
96:名無しの転生者
じゃあどうすんの?
97:プロトTS(天の聖杯)
決まってる。走者をレックスにしよう。
98:名無しの転生者
弟に走らせるとか…。
99:名無しの転生者
貴様それでもオネーチャンか!?
100:名無しの転生者
>>99誰目線なんだそれは。
101:プロトTS(天の聖杯)
だってしょうがないじゃないか。まぁ、ちゃんとアヤメには言っておくから大丈夫。
102:名無しの転生者
信用ならんなぁ…。
103:プロトTS(天の聖杯)
何故に!?
104:名無しの転生者
前科ありでしょーが。
105:博識ゾロアーク
この終盤で伝え忘れたは許されないからな?
106:プロトTS(天の聖杯)
ハイ!!
107:名無しの転生者
てか今どの辺?
108:名無しの転生者
結構進んだのでは。
109:プロトTS(天の聖杯)
今もう『スカイブリッジ』まで来たよ。
110:名無しの転生者
は、早くね?
◇◆
「よい、しょっ!」
ガンッ!!
割と余裕とはいえ、やっぱり蹴り飛ばすと足が痛いんだよ。金属の塊だからねぇ。
いくら最短ルートとはいえ、走り続けている合間合間にずっとそんなことをしていたら骨が折れる。二重の意味で。折れたぐらいならすぐ治るけど。
「えっと〜ここのロック解除は〜…。」
「…後ろからなんか来てるみてェだぞ?」
「あれは…ああ。」
いつぞやのバイク集団じゃないか。それぞれが同一個体かは知らないけど。
「姉さん、ここはオレ達で時間を稼ぐからその間にロック解除をお願い!」
「了解。やるぞアヤメ。ウワバは俺達の防衛メインで。」
「任せとけ。…足、回復しておくぞ。」
「助かる。」
よし、ハッキング開始といこうか。
◆
なんかもう…あれだね。チートってやつだよね。私たちの
だって想像力次第でなんでも出来るなんて、物理法則はどこに行っちゃったの?
え? 高次元の力だから三次元の法則は適応されない?
…やっぱりチートじゃん。
「あとはーここを書き換えて終わるけど…ミデンちゃん、どう?」
「こっちもあとちょい…完了!」
「おっけーい♪」
よいしょー!
ウィーン
「お前ら! 開いたぞ!」
「かもーん♪」
「気が抜けるっつゥか、なんかなァ…。」
「別にいいでしょ?」
「悪いとは言ってねェよ。」
なーんかな〜…。嫌いってわけじゃないんだけどね。
「ソードバッシュ! みんな今だ!」
おお、統率のとれたうごきってヤツ? チームワークの賜物だね♪
◇◆
地面が硬ェ。アルストにも金属で形成された床が無いわけじゃねェが、こんなに長いこと移動するのは初めてだからな。疲れるんだよ。
…音が軽くなったな。てことは、この通路は外に通じてるっつゥことだ。奥に行くにつれて、温度も低くなってるみてェだしな。
あとあれだ、通路の途中途中に変なロボットがいそうだなァ。ま、それはアヤメがなんとかすんだろうな。アレ、何やってるか意味不明なんだがなァ…。
ハッキング? 内部のプログラム? なんだそれは。人間で言うなら……脳をいじってるみたいなもんか?
いや怖ェなオイ。
「あ、外だ…って高!」
…コレちょっと降ってんな。水滴は当たらないが空気が冷てェ。
ここより上はもっと寒いんだろうなァ。オレとミデンはこれ以上…いやもう少し上までは行くんだったか? とにかく、一番上までは行かないからな。関係ねェ話だ。
「…ここから落下したら簡単に死ぬだろうなァ。」
「そりゃあこの高さだし。」
「当然だねー。」
「それくらいで死ななそうな人達がなんか言ってるも…。」
確かにミデンとアヤメはそうだな。
「いや自分は違うみたいな顔してるけど、ウワバも含まれてるからね?」
「マジで言ってんのかニア? オレはただのブレイドだぜ?」
「いやいや、アンタみたいなのがただのブレイドで済むわけないでしょ…。」
「そうか?」
…いや確かに回復能力は自信あるが、耐久力はそうでもねェぞ?
「『天の聖杯』としてのミデンを見てるとどうしてもなァ…。」
「あの人普通のブレイドじゃないから比べるだけ無駄だって。」
それもそうだ。
だが、そうなるとオレは誰と比較すりゃいいんだ? 他に蛇のブレイドでもいりゃわかりやすいんだがなァ。
「ウワバ、さっきからニアと何話してんの?」
「雨が降ってんなって話だ。」
「降って…るね、たしかに。分かりずらいけど。」
…ちょっと待て、こいつカメラ持ってきてやがる。さっきから何してるのかと思ったら、写真撮影かよ…。
一切立ち止まってこなかったからわかんねェよ。尊敬はできるが真面目にやれ。どうせ心の中で『写真撮るのは今しかできないからね!』とか考えてんじゃねェか?
イーラの連中は命掛けてんのにこいつ…も命結構掛けてんな。
カメラ「出番ヤッター!」
あ、次で最終話なのでもう出番はないです。
カメラ「ゑ?」