都に鬼が解き放たれるまでは、後四日
真夜中の事だった。
美しい少女が都へと運ばれていた。
明らかに豪奢な輿で。
帝へと目通りするのだと言う話だ。
誰もが美しいと称える少女だった。
一目見て欲した。
しかし求婚するには外聞が悪い。
理由が欲しかった。
ふと思いついたのは呪い子の事だった。
真っ白な髪に赤い目をした我が娘。
呪い子の噂も我が子を捨てぬ自分への賞賛もこのためであったような気がした。
あの少女を手に入れるため我が子の母になって欲しいと願うのは
お か し く な い は ず だ 。
口元がゆがむ。
必死に戻すもどこかおかしい。
何かが犯しい。
待っていろ。美しいお前には美しい母が必要なのだ。
「成ったな。」
「・・・。」
「屋敷に居る呪い子とやらを見てみたいな。」
「・・・。」
「いいや私が直接出向こう。そうだな、その子には父親が求婚した相手におかしくされたように見せてやろう。」
「・・・。」
「いくつかの小細工を用意する。鬼の頭骨、鬼の腕、鬼の皮、鬼の眼、鬼の心臓。求婚の贈り物として見繕ってやろう。」
「・・・。」
「くだらない。奴らは本当の呪いを知らんのだ。私は呪いを克服し進化した。」
「・・・。」
「呪い子の少女は生きるため、父のため、そして仇のため進化して見せてくれるはずだ。」
「・・・。」
「なんだ?奴なら何をしても構わん。」
「・・・。」
「呪い子が鬼に成ったならば奴の嫁にでもするか?・・・いやそんな者必要としてはいないか。」
「あたまがいたいよ・・・」
血まみれの少年が歩いていた。
「みんなしんじゃった。」
歩く速さにしては明らかにおかしい、踏み進む一歩の距離もおかしかった。
「おなかもいたい・・・。」
空腹の事を痛みとして感じていた。
「なんでだろう・・・おいしくないや・・・。」
いつもなら美味しいと喜んで食べていたものなのに食べる事ができなかった。
「あぁ・・・あぁ・・・どこにいけばいいの・・・。」
何かに呼ばれているようできっとそこに行った方が良い気がした。
「おにぃちゃん。」
少年には兄が居た。しかし今では聞こえてくる何かを兄・・・いや鬼ぃちゃんと呼んでいた。
おかしな実験が始まった。
私の頭を斬って何をするのか?今更私を殺そうというのだろうか?
私の腕を切り落された。
私の皮を剥がされた。
私の眼を抜き取られた。
私の心臓を引きちぎられた。
血を抜くだけでは足らなくなったのか?・・・
いや伍匹と言っていたか?まさかな・・・
私の血であればある程度適合するだろう。
だが私の肉まで与えてしまえば、ほぼ適合するはず等ない。
しかし・・・これでも死ねないのだな・・・私は。