都に鬼が解き放たれるまでは、後三日
その部屋には竹が持ち込まれていた。
七人の赤子の心臓が抜き取られ。
だめになった脳を除き五つの脳が抜き取られた。
小さなはずだった心臓と脳が無惨の血によってある程度の大きさになり埋め込まれていく。
・・・一体何がしたいのか・・・
「・・・。」
ご苦労な事だ。
今更私で何を試そうというのか。
血が回り出す。
狂狂と廻り堕した。
生まれてから一度も感じた事のない恐怖が身体の内側から感じられた。
産まれてしまったのだ。化け物が。
これが進化であるものか。
ただ内側に居た何かが動くための身体に成り果てようとしているだけだ。
私は私のままであらねばならない。
埋め込まれたこの命は果たして食べた事になるのだろうか?
私は私の願いを破ったのかもしれない。
私が私を許す事などないのかもしれない。
私に私を抑える術がないのであれば。
一体いつから私が人であったと錯覚していたのか。
初めから、そう初めから私は人ではなかったのではないか?
母は浮かび上がった痣と共に息絶え。
兄からは家に呪いを振り撒いたと言われ。
父とは一度も会ったことすらない。
呪い子と、鬼子と呼ばれ。
この世全ての悪であるかの如く扱われてきた。
唯一医者は私を実験材料と見ていたが。
我慢する必要等ないのではないか?
ああ犯しいなぁ・・・
人は救われなければならない。
全ての鬼を救ってあげなければならない。
私はただ・・・。
人であったはずの自分が救われて欲しいだけだ。
「・・・そう・・・。」
「見事な物でしょう?火鼠の皮衣だとか。なんでも火に当てても燃える事がない。なんとも不思議な物だ。」
「・・・なんて怖い・・・。」
「いやはやなんとも。」
(ばかなひと・・・それは私より強大な・・・いえあいつの送ってきた物っていう事?)
「・・・っはぁ・・・」
「っっ!・・・。(・・・ごく)」
「この龍の首の珠はどうだ?」
「仏の御石の鉢を見てくれ!」
「わしは燕の子安貝じゃ!」
「わ・・・わたしは蓬莱の・・・玉の枝?を持ってきた。」
バタンッ!
「そいつは偽者だ!」
「だれじゃ!」
「・・・?誰だ?」
「な・・・なぜここにお前が・・・!?」
「話は聞いたぜ!この私の眼が紅い内に全てを白状しな!」
「お前の目は最初から赤いし色は変わらないだろう!?」
「粋ってもんがわかってないぜおとっつぁん!」
「なんだこのお転婆娘は・・・」
「・・・あら・・・面白いじゃないの・・・。」
「!・・・そ・・・そうだこの子は私の子で・・・その・・・この子の母になって欲しいんだ。」
「・・・私の母ちゃんは生きてんだろうが!」
「はぁっ?」
「はっはぁ。」
「愉快ですな。」
「聞いたぜ。蓬莱の玉の枝。そいつぁ産屋敷が用意したもんだな?」
「・・・何・・・を・・・私はこれはその・・・。」
「・・・白い髪って美しいのね。・・・欲しいわ・・・。」
バタバタバタバタバタ
「一向に姫が参られぬと思えば。一体何の騒ぎですかな?」
「・・・ばかばっか・・・。」
「くくっ・・・思った以上に愉快じゃないか。しかし呪い子と言いながらああ育つとは・・・根は善良だとでもいうのか?あの男。」
「・・・。」
「あぁ臆病なだけか。周囲の悪意を受けるのも自らが悪であると思われるのも全てが怖いだけ。」
「・・・。」
「存外ああいう小心者もそれなりに適合するかもなぁ?」
「・・・。」
「っふ・・・まだあいつは動かんか。まぁいいどうせいつかはこっちに来るだろう。ほぉ・・・随分と煩くなったなあの男。」