「さて五条さん。五条様! 帰ってください。伏してお願い申し上げます」
「麗には聞いてない」
「いやほんと、帰ってね? これから私、3人も殺すし、君の相手してられないんだよ」
「もしかして、受肉させるの?」
五条さんは虎杖くんの手の中の呪物を見る。
「っ そう! そうだよ。私は悪の呪詛師だからね」
「じゃ、僕がやる」
「「やめてね!?」」
私と傑の声がダブる。何言い出してんだこの最強は。
「お客さまやめて下さい困りますだめですあーっお客様ー!ゲホッ」
私は蹴られる。ほ、本気で蹴ったな。
「だって、お前何にも話してくれない。あれだけ綺麗事に拘ってたお前だ。理由があんだろ」
「ないよ! あったとしても君には関係ない」
「ないわけないよね。だから、これから僕も呪詛師になって関係しようっていってる」
「ダメに決まってるだろ、そんなの。君は日の当たるところから出ちゃダメだろ!」
「はあ? 馬鹿も休み休み言えよ。呪術師が日向を歩けるかよ」
「とにかく、迷惑だ! 君は真面目に先生やってろよ!」
「そんなに麗が好きかよ!」
「雷覇なんて道端の石ころよりどうでもいいよそんなの! 君の為に言ってんだよ、日本の為もあるけどさ、君の為に怖いの我慢して頑張ってんだよ!! 私だって殺すの怖いし、これでいいのかなって迷うし、殺した人数えて天秤に掛ける作業は鬱になるし! 君の為だから頑張れるんだ、なのに呪詛師になる? ふっざけんなよ!!」
「は……はぁ? 俺の責任にするなら尚更ちゃんと言えよ! ほうれんそうって知ってますかぁ?」
戸惑ったが、煽ってくる五条さん。子供達は必死に弁護しだした。後傑さん、石ころ以下とはどういうこと。
「ごっ 五条先生っ 五条先生には共犯者になられたら困るっていうか……! 事情は言えないけど、夏油さんの為にも、ここは下がってくれ、頼む!!」
「夏油様を虐めるな!」
「夏油様は呪詛師なんかじゃない!」
「夏油様は日本を守る為に動いてるんだ!」
その言葉は、逆に油に火を注ぐ。
「そいつらは知ってんの? 引きこむの? 僕には何も言わないくせに!」
「悠仁はある意味私と同じで、最初から詰んでる子だから……」
「詰んでるってなんだよ。……これが最後だ。全部話せ。でないと僕は僕で勝手にやる。傑がそうしたみたいにね」
やばい五条さんの空気が変わった。私は慌てて這いつくばった。
「えっとじゃあ、間を取って事態が解決したら夏油さんの何でもいう事聞いてくれる券で一つ」
「は?」
「ひっ ダメに決まってますよね、そうですよね!」
「話を聞こうか」
「私は一体何をさせられるんだい……?」
傑が恐れ慄く。
でも五条さんの気が変わらないうちに、契約書を取ってきた。勇者様が呪詛師になられたら困るのだ。
でもなんでいつの間にか上層部の人が契約書作成に関わってるんですかね……?
「えーと。第一条。私夏油傑は、頭に継ぎ目のある呪詛師(脳味噌名羂索)の死亡が確認され次第、五条悟の「天元様に対する術式の使用」を除くあらゆる命令を聞きます。第二条。五条 悟は第一条に反しない限り、美々子、奈々子、利久が呪詛師にならない限り、成人までの保護を約束します。第三条」
縛りの内容は、
メロンパンを倒した後は私と夏油さんは五条悟のいう事聞け。
それまでも自分に対して含む無駄な殺しは避けろ。
ミミナナ利久四兄弟の人質兼保護(それぞれ文面は違う)。
この三つだった。
「悟。この契約は……!」
「あ? 文句あるのか」
「これは、私に生きていいって言ってるようなものじゃないか……!! 私は呪詛師だぞ」
「あ? あー、当然だろ、死に逃げは許さねーよ」
そうよな、やたらすぐ殺したがる呪術界とは思えぬ寛大な処置である。
上層部の条件……責任は五条家で取るみたいな取引もしていた。
しかも、なんか上層部の方達が申し訳なさそうなのだ。漫画と比べかなりの聖人なのでは? 言い過ぎか。
「悟……私、頑張るよ。頑張る」
『呪霊操術と漫画家に離反の意思が無かったことは確認した。縛りを使ってまで絶対服従するというのなら戻っても構うまい』
「「ありがとうございます」」
そして、五条はにっこり笑っていった。
「羂索はもう殺してあるからさ。傑と麗……雷覇は今から僕に絶対服従ね。残党こっちにきたのはごめん」
「は?」
「は?」
「えっ まさか俺が指食った意味って」
「悠仁は残念だったね。でも、その代わりお兄さんの受肉と生存は公的に認められたから呪専内だったら大手を振って歩けるよ。処刑もできるかぎり伸ばすから。津美紀は事前に対処してあるから大丈夫。恵には言ってなかったけどね」
「なんで? なんで、なんで、なんで!!!」
「いやーでも、無期限無制限の絶対服従とかどうして縛っちゃうかなぁ。一般出って怖。これ、死刑よりずっと重い措置だよ? まーそのおかげで呪術師復帰が受け入れられたんだけど」
「どうしてだい、悟? 私は君に何も言わなかった」
「失踪届だして7年経つと、死んだ事になるんだよね。で、10年前にお手紙出してない? 傑。自分が死んだ事前提の」
「あ“ー!!!」
「殴っていいですか、夏油さん?」
「で、麗」
「ぴ」
殺気を込めた声で呼ばれてビクッとなる。
「傑が世話になったな……」
「ひぇぇ」
「お前のせいで青春不完全燃焼なんだよ!」
「悟。それは」「本当にごめんなさい」
「傑の親友は僕。僕!! 卑怯な方法で傑を奪いやがって、この泥棒猫! 最初から全部素直に話してくれれば良かったんだよ!!」
「あうあうあう」
「ばっかじゃねーの!? その為に足だって失ったんだろ。ほんと無駄!」
「あうあうあう」
「しかも俺に対して寝とってごめんなんて言ってたらしいな!」
「待って違うのしょうがなかったの誤解なの決してやましい事はしてないし……殺さないで」
悟の手が振り上げられて。ペチンと音を立てて私の頬を叩いた。
「罰として学校戻って、今度はちゃんと俺らと向き合って第二の青春送ろうぜ」
「五条さん……!」
「悟……」
そして、私達は呪専に戻ったのだった。