「雷覇君、きばりやー! あ、でも無理せんでなー!」
京都校のくせに東京校の応援をする直哉。一瞬で懐かれた。さすがはオタク。
直哉君のイラストを描いてあげたらあの調子である。甚爾くんのイラストも喜ばれたが、傑は複雑そうな顔をしてた。
京都校の人も五条さんもぽかんとしてる。
「何あれ」
「あの、昨日ちょっと話す機会がありまして」
「俺らとは全然話さねーじゃん」
「彼、人懐こいですよね」
「あいつ、全然人懐こくねーし」
「直哉さん、部屋に呼びに行ってからですよね。戻ってこなかったし」
「あっ 傑君も頑張りやー♡」
「夏油さんもいませんでしたっけ」
「傑ー! 昨日、結局なんの用事だったんだよ!!」
「別に、なんでもないよ」
「なんでもないです」
「なんでもないで」
「ゼッテー嘘じゃん!」
はい、夏油さんに抱きつく五条さんいただきました。
普段は軽く流す夏油さんが五条さんに抱きつき返して、五条さんがびっくりしてる。
これが浮気の罪悪感ゆえの優しさ……!
まあせいぜい青春を楽しむが良い。どう転んでも何が順調に行っても平和なのは三年までだからね!
私も巻き添えで呪詛師になる確率が高いので、今だけのアニメ化を喜ぼう。
卒業までになんとか完結させておきたい。
夜蛾先生に呼び出しを受けた。
「雷覇。雷覇のしている副業についてだが」
「それ、内緒なんですけど」
「そうか。そうだな。生徒指導室に後で来るように」
「何その副業って」
「いや、麗が言わないのなら俺からも言えない。だが報告はしてほしかったな」
「いや、全力で隠すでしょ」
「気持ちはわかるが」
そして、生徒指導室。
「今、アニメ化しているマジカル仙界伝なんだが。上が呪術規定の秘密の規定に反しないか心配している」
「はあああああああ!?? そこは一番気を遣ってますよ、あたりまでしょ!?」
「だが、周囲の人をモデルにしているだろう」
「そりゃ人生経験をもとにアウトプットしてるわけですから、似る部分はどうしてもありますけど、でも意識して十分に改変してるつもりです」
「上としては、活動を止めるように言っている」
「そんな権利ない!!」
「あるんだ」
「ぐぬぬ」
「傑と直哉と話が弾んでたのは、漫画家だと知ってたからか」
「まあそうですよ。漫画自体のファンなわけではないですが、漫画家自体が割と人気な職業ですし」
「そうか、でもなんで秘密に?」
「いくら友人が描いてるからって、マジカル仙界伝読んでるって言えないでしょ大の男が」
「……少年漫画だったように思うが」
「まーそうなんですが。客層は女性が圧倒的なんですよ」
「そうか。そういえば、若い術師への悪影響とかも言われていたな。五条家が特に心配していた」
「ぐぬぬ」
「それにさっきモデルは変えると言ったが直哉出したろ」
「あれは本人の強い希望で! 能力は変えてあります」
「はあ。とにかく、止めるか監修を受け入れるかだ。元々卒業後は術師を止める相談も受けてたしな。入学時に進路が決まっていたものを潰すのはどうかと進言しておいた」
「ありがとうございます……止めるよりは監修を受け入れます」
「こんな前例無くてな。すまんが我慢してくれ。あとは監視がつく」
「……厳重! 疚しいことはないから良いですけど」
「すまんな」
可笑しくないか? この程度で監視?
いや、疑心暗鬼かも。でも傑と話す時は気を付けないとな。
まあ事前に提出するだけだし、仕方ないか。用心だけしておこう。
私の考えは砂糖ブレンドのハチミツのように甘かった。まさかおもくっそ内容に口出しされるとは思わなかったのだ。