「やだもー。急いで三ルート目考えなきゃいけなし、しかも監視は継続ですよ」
盗聴を警戒して、私は言った。
「雷覇……結婚しよ(お前も呪詛師して)。私、孤児院(教団)の園長(教祖)になるから、それを私たちの子供にしよう。子供は沢山がいいな。女の子が二人(ミミナナ)に、男の子が二人で、一人は主人公みたいな子がいいね。ネタにもなるだろ?(利久と宿儺の器)」
「指輪は雷神でいい?(仕方ないから、もしもの時は殺してやるよ)。本当に私でいい(悟じゃなくていい)?」
「……うん。君が良いんだ(悟の事は大事だから、巻き込めないよ)」
よし。寝取り完了。
私は、傑をぎゅーっとして、戸惑いがちに傑がキュッとして、互いに泣き笑いを浮かべた。
それじゃあ、まずは資金と義足を早めに用意しないとね。
ミミナナの依頼がいつ来るか分からないし、タイムリミットはそこだ。
私も逃げる準備をしておかないと。
あと硝子は腹いせに無事腐界に落としておいた。私は悪い転生者である。
それから。
予定通り、傑は仕事に忙殺された。以前の私みたいである。当事者だと気づかないけど、外から見るとクッソ作為丸出しだわ。原作の傑は誰にも気づいてもらえなかったのマジ可哀想。呪術師は皆余裕ないからね。仕方ないね。
「最近仕事が凄くきつい」
『わかってたけど、使い潰されるのきっつ……』
「よしよし」
「悟が任務、代わってくれようとするんだ。凄くありがたいよ。でも私の任務は私がしないと。お金も貯めなきゃだし」
『悟は、やっぱり私の親友だよ』
「よしよし」
「明日の依頼だけど、辺鄙な村なんだって」
「そう。ちょうど最終回描けたし、次回作のネタになりそうだから話聞かせてよ(準備はオケ)」
じゃあ、最後の呪専の夜を過ごしますかね。
私は最終回のお礼と言って、後輩や同級生に雷神を配って回った。
「いらねーよ。雑魚じゃねーし」
五条さんには断られてしまったけど。
「なんでお前なんだよ。全然気が合わなそうだし、そもそもお前の漫画傑好きじゃねーじゃん」
ガッと首を抑えられる。
「傑は俺の親友なんだよ。傑は……」
「ごじょ、さん……」
「傑、苦しそうなんだよ。俺じゃダメなのかよ」
なんて言えばいいのだろう。なんて言えばいいのだろう。
傑はこれから呪詛師になる。正直、傑の生き残る目はない。
日本と傑の命を天秤に掛けたら、仕方ないじゃん? あの術式持って生まれた時点で、傑はそういう運命なのだ。
でも、目の前の親友様にそれは言えないよなぁ。
「傑の事、泣かせたら殺す」
泣かせるどころか、呪詛師にして殺しちゃうんだけど。
私も地獄行きだね。流石に私も、もう安全圏でどうこうなんて言わないし言えない。
一緒に呪詛師になって死ぬしかないね。嫌だけど日本とは天秤に掛けられない。
翌日。ごく普通を装って貴重品を持って買い物に出た私は、傑と共に姿を消した。
この泥棒猫って五条先生に言わせたかったけど、それには五条先生が聖人すぎた。
あの人よくクズって言われますが、とても良い人ですよね。