場所は外界とは隔絶された僻地
深々と生い茂る木々、深い樹海のなか穴があくようポッカリと森が排斥された場所に村があった
「第一特別訓練施設」
呪術師の数が年々減り呪霊の数が増えるなか、その対抗策として戦力となる術師を増やすべく才能があると見定められた非術師の家計の者、呪霊の被害から存在を隠匿された術師の子供を誘拐し呪霊が蔓延る村に強制的に住まわせ、呪力操作、体術訓練、実戦を得ることで今後の呪との戦争に備えるべく作られた13ある施設の1つ
その村の人気のない小さな民家から少女が走り駆け出す
齢は12歳ほど例えるならそれは嵐、、髪は燃える炎のように鮮やかで美し朱、子供ではあるが細くもしっかりとした肉つき、
少女からは溢れんばかりのエネルギーが満ちており、低級呪霊程度なら触れただけで祓えると思わせるほどだった
「待ってよ、姉さん!」
声をあげ、民家からもう一人の少女が出てくる、
先ほどの少女とは真逆のようで彼女が嵐ならこの少女は凪、少女とは思えないほど大人っぽい容姿、結ばれたブロンド髪は黒曜石を思わせるほど深い黒、華奢な細腕からは信じられないほどの呪力を身に秘めていた
真逆の才能をもつ二人の少女が
「遅いよ日陰、急がないと始まっちゃうじゃん!」
赤髪の少女は後を追いかけてくる少女に急かすように明るく声をあげる
後ろを向くこともなくその言葉とともに速度をあげ、少女との距離が開く
舗装もされていない道とも呼べないような草木を走り抜け、砂利まみれで大小様々な砂利が転がっている坂をかける
女の子とは思えないようなスピードで加速し走る少女に、黒髪の少女は瞳に涙を浮かべながら、待って、と言い加速する
異常なほどの身体能力をもつ赤髪の少女は泣きベソをかきながらも自分に並走する妹に満足しながら
一方では驚異的な呪力量と出力をもつ黒髪の少女は無意識に呪力を操作し加速し続ける姉を涙目で追いかける
「いいよ!いいよ日陰!早い!早い!今日なら私に勝てるんじゃない?」
姉は必死に自分に追いついてくる妹を煽りながら尚も加速し続ける妹を鼓舞というよりは楽しそうにからかっていた
不意に二人の距離が離れる、集中力が途切れたのか先ほどまで小さい体に収束されていた呪力が溢れだしていた
妹は涙になりながらも離されまいと必死に足を動かす、呼吸する口から白い吐息が出る、少女の体温が上がり先程まではなかった息切れが起こる
それでも足を止めることはなく腕を足を、呪力を稼働させる
酸素を必要とし肺が痛む、胸を手で押さえながらも足を動かす
視界が涙に歪み、酸素不足で視界に映る景色が点滅する質の悪い硝子越しにみているかのようだった
「アッ、、、」
不意に爪先に何かが当たったのような感覚とともに地面の感覚がなくなる
視界も真っ黒に染まり頭に痛みが走る、鉄の味がする
少女は何が起こったのか理解できなかった
ザラザラと砂利が肌に触れる感覚から自分が転んだのだと自覚した
「いッツ・・・・」
立ち上がりその場にへたりこみ、自分の体をみる、膝や肘は砂利の上で転び擦れたのか、肌に砂が張り付きその間からは皮膚が裂け真っ赤な血がみえた
「痛い、、、いた、、いよ」
真っ赤な傷口をみて、ヒリヒリと痛み涙が溢れる、周囲に人の気配はなく一人ボッチという孤独から少女はヒクッとしゃっくりのような声をあげ泣き出してしまった
虚空のなか少女の声が木霊する、泣きじゃくる声は誰にも聞こえることなく消えていく
「だい・・・・いた・・い?」
ボソボソと呟くように少女を労るような声がする
少女からみた向かいの茂みが揺れる
「いた・・・・・だい・・・・じょう?」
言葉にもならないような声が響く
もちろん大声で泣きじゃくる少女には聞こえていない
茂みから姿を表した何かは体をくねらせ、地面に伏せていたのか体をを起こしその全長を顕にする
10mを越える巨体、全身には白みがかかっており、肩や肘といった関節には苔が生い茂っていた
顔はのっぺらぼうで顔はなく体は肥え太ってはいたが体を支えている筈の足は細く巨体を支えるには余りにも頼りなかった
地面にへたりこみ、手で眼を覆い、声をあげる少女に
それは近づいていく
のそり、のそりと巨体と貧弱な足からかその歩みは遅いが確実に少女との距離を詰める
歩きながらそれは少女に手を伸ばす、100m、50mと少女を覆いこむほどの巨大な手は彼女の頭にのばされる
「お姉・・・ちゃん?」
白い巨腕ら少女との距離1mというとこで腕がとまる
少女が泣き止み顔をあげる、目の前に迫る白い巨腕をその持ち主であろう白い異形を視る
ピシリと何かが割れるかのような音が鳴り、先ほどのっぺらぼうだった顔が割れ大きな口を涎とともに開けた
「だいじょうぶぅぅぅぅぅぅ?」
視られたことで隠す必要がなくなったのかそれは本性を現した
悪霊村、ここは呪術師の育成場所として秘密裏に運営されている訓練所山を降りれば小さくはあるが地本では知らない人間などいないほどの著名な神社がある
そこではお祓いが行われており、何度も住民からの依頼を解決してきたことで信頼を得ていた
だがその実は呪いを持ちかえり村近くの森で放す、だけでありその問題解決には一切従事してはいなかった
大小様々な呪いが集まり、中には呪い同士で食い合うものも存在した
呪いのもつ呪力を吸収する事で稀に進化を遂げ、下級呪霊であったものが一級、極稀に特級まで変態する
この行為から訓練所として運営され才能を見初められた術師ら幼いながらも此処に監禁され呪いと対峙させられる
これはあくまでもその例に過ぎない
仮想悪霊、大喰入道
神社に持ちこまれた怨み、憎しみ、嫉妬という呪を好んで捕食し生まれた呪
その空気を揺らすほどの咆哮が村に轟いた