「ひゃっっっほーーい!」
声をあげて坂を下る、それはまるで幼い子供が戦隊もののヒーローの実物をみて興奮して走る子供のように
年相応にはしゃいでいる、自分では大人気ないなどと考えたりもするが仕方がない(子供だが)
何せ久しぶりの強敵だ、呪力操作も体術訓練も、呪霊討伐も全てにおいて人並み以上に行える彼女にとっては退屈なものだった
毎日毎日同じことを繰り返し、殺し飽きた下級呪霊を作業のように狩り続ける
そんな面白味のない日常を過ごしていたが一年前にそんな彩りのない生活に変化が起きた
異常事態の発生だ
呪霊狩りの夜、本来は三級以下の呪しか発生しない村だが、その夜だけは違った
いつもの夜とは違う、濃密な瘴気で村全体が埋めつくされていた
その日は、不思議と呪霊がそいつ以外は存在しなかった
だが、そいつの放つ呪力は村全体の呪を纏めても比較すら出来ないほどのものだった
対峙したときのその姿は今でも鮮明に想いだせる
民家よりも遥かに大きく10mはあろうと思えるほどの巨体、その顔は人の頭蓋そのものであり肉と呼べるものはついていなかった
どうも同じだ肋骨、背骨など人体を支える骨組みを露出した骨の人間といった感じだ
唯一人間と違うとするなら骨が異常発達したかのように太く、闇のように黒く、紫色の光を瞳があったであろう顔と
心臓があったであろう胸が爛々と輝いていた
周囲には呪霊と同じように白骨化した死体が転がっており十中八九こいつの仕業だとわかった
少女は死を目前にしそのときも笑っていた
クスクスと可笑しそうに、恐怖で狂ったのではない
死が隣にあるそんな刺激に彼女は歓喜していた
(まぁ惨敗だったんだけどね、)
クスリと死にかけたことを思い出し可笑しそうに笑った
あのときあの一瞬が自分が最も生を感じることが出来た瞬間だった
死の境を彷徨ながらもその夢の中で何度も思い描いた戦闘、夢の中では何度も死に、死に続け10を越えるシュミレーションの末にようやく勝ち
そして眼が覚めた
そこは村の民家のなかだっただが、気を失う前の瘴気を感じなかった
だがそれよりも異質な呪力を纏った女が居た
「ナイスファイトガール」
女は彼女を褒め称えるかのように賛辞の言葉を送ってきた
呪霊の影響か体に力が入らず目もみえない
「本当は君の好みでも聞こう思ったけど、、、どうやらそんな場合じゃないようだね」
女は冷静に話すが私にはどうでも良かった、既に興味は自信にはなくあの呪霊を倒した女に向けられていた
強い、姿は見えないし何者かもわからない
だが強い。それだけで少女の興味を惹くには十分だった
「左目のほうは無理だな」
女は私の体をまさぐりながら話してくる
どうやら左目は駄目らしい
そんなことを呑気に考えていた
「そういえばあんたの名前は?」
静寂に耐えかねて話題をふる、もう逢うことなどないだろうが、聞いておきたかった
始めてみる強い呪術師の名前を・・・
「私は九十九由基、特級術師さ、」