豪鬼(仮)   作:Sanae001

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 ——我らが神タニグクへ勝利を捧げよ!
 戦争が始まる。我が国(タニグク)が謎の国から攻められたのが一週間前。それを考慮すれば行動が遅いと言う非難はできないな。
 敵は国ではなく遊牧の民。伝説の中で眠ってくれればいいものを。
 「サトル。緊張しているのか」
 「いえ、武者震いです。敵はテロリストのようなものでしょう」
 「てろ?なんだそれは」
 「こっちの話です」
 伝説の民。ヘビガミ。無条件に国々を滅ぼして回ると言うが……
 
 ——来た。
 
 戦争開始だ。



No.13 はじめの一歩残しとくってね

 目覚めがこれほどまでに良いのは久しぶりだ。楽しみで昨日は眠れないなんて思っていたのにな。出発地点は我が家の地下、研究室。

 そそくさと着替えて、トリガーを起動。向こうで目立たない服装になる。とは言え、そこまで変な服装ではない。灰色のマントを羽織るのだから中の服装なんてそこまで気にしない。ま、俺の身長的に目立ってもしょうがないと言える。

 こんな事ならトリオン体の時だけでも平均身長になれるようにしておくべきだった。

 最後の晩餐ならぬ朝餐を済ませて、エレベーターで降りる。死ぬわけでもなし最後は余計だったか?

 なんて思いながら、ハッチを開け、乗り込む。うん、いい乗り心地だ。さてと、見送る人間などいない。さっさと出てしまおう。もらった御守りは結局、武器ポーチに付けることにした。

 操縦桿を操作し、艇の上に一体の蛇を出す。空中にその体を留めて、その蛇は自分の尾を咥え、輪っか状になる。みるみるうちに大きくなっていく。艇をちょうど囲うくらいの大きさになると黒く光り、中心に黒い膜を作り出す。

 

 「蛇の入り口、蛇口だな」

 

 この家と隣国につなげることができるゲートだ。さ、行こうか。

 

 《ゲートヨリ発進シマス。カウントダウンヲ開始……十、九……》

 アナウンスが流れる。

 しばらくは揺れるからな、シートベルトはしっかりした。

 あ、そう言えば鍵閉めたっけ?

 と言う疑問が、家を出てしばらくすると、生まれるが今は家の中だ。そんな疑問も生まれまい。

 《三……二……一》

 《ゲートヲ突破。安定軌道ニ入リ次第、シートベルトヲ解除シマス》

 

 意外と揺れる。周りの景色を見たいところだが、この空間もとい、玄界と近界の間にはトリオンの乱れがすごいからなガラスなんてもってのほか、透明なトリオンなんて脆いものを使えば、すぐに瓦解。ま、仕方ないな。

 

 《安定圏ニ突入、直近ノ国・オラクルム。近ヅキ次第アナウンスイタシマス》

 

 しばらくは暇か。降りる準備でもしとくか。

 

 手帳を手に予定を改める。入国に関しては問題あるまい。旅人という扱いで入る。その後は知り合いに会いにいく。

 神託の国……まったく、そこの長である巫女は気難しいと聞く。どうなることやら。しかも会いにいくのはその弟ときた。

 

 え?知り合いならどんな人間か知ってるだろって?いや、知り合いは知り合いらしいのだが、俺は知らない。言いそびれていたな。俺には過去の記憶がないらしい。最近覚えた感覚を探るうちに、そのような結論が出た。

 知らない俺の知り合い。言葉から矛盾しているが、国名とその名前だけが頭の中にはある。ま、知ってると言ってもいいかな。

 みんなにはどうだろう、十年以上前のことは記憶しているだろうか。

 ま、俺のことなんてどうでもいな。それよりもオラクルムについてだ。近界に存在する国は国の核(マザートリガー)を起動するのに、世継ぎと呼ばれる人柱が必要となる。

 本来であれば起動時点で人柱となる人間はトリオンと融合。人間として死ぬまで動き続ける歯車となる。ま、若干ではあるが人柱の寿命は伸びる。これが一般的な国の成り立ちだ。

 

 が、オラクルムは違う。あの国のマザートリガーは融合しても、意識が残り、ある程度の意思を持つ。言わば人間トリガーとなれる。その指示のもと民草を動かし守るのが巫女の役目とされている。

 そして、そんな権力者の弟君に会いにいく。何か神託でも受けられるのだろうかね。

 ちなみに、オラクルムは過去数十年と戦争をしていない。他国からも認証されるほどの有数の中立国だ。旅の始まりにはもってこいってな。

 

 《オラクルム周辺空間ニ到着。待機モードヘト移行シマス》

 さてさて、いよいよ到着だな。大方予定通りに進んでいる。

 近界への第一歩。盛大に踏みしめよう。

 

 

 

 「ゲート」

 

 はい。二度目の登場蛇口くん今度のは扉としての役割を果たすため、先ほどよりは格段に小さい。

 潜り抜け、オラクルムへ……レッツゴー。

 

 

 

 「避けろ!!」

 はぁ。せっかくの第一歩。踏み出すどころか踏み抜いてしまった……

 降り立った瞬間どこかしらが飛んできた刃物が俺の胸元に差し迫る。いやはや、こんな遅い攻撃で誰が殺せる。

 ん?遠くに人影。戦争か?いやしかし……

 ま、この攻撃にはトリガーすら必要ない。こんなのは指で十分だ。

 刃物を捨てとりあえず安全そうな場所へと移動する。

 

 「無事か!」

 男が近づいてくる。喧嘩しないよう物腰柔らかな対応をするかね……

 「あ、はいはい。無事です無事」

 さっきの声の主だろうか。心配そうな顔をしてこちらに歩み寄って来た。

 「お前、オラクルムの人間じゃないな。突然現れたし……どこから来た」

 

 人の顔を見るやその反応。この人間はオラクルムの兵士だな。

 意外と老けてる四十代前半といったところか、髭の似合うおっさんだ。

 「旅の者です。ついさっき着いたところに今の攻撃が飛んできまして」

 「それは災難だったな、見ての通り今隣国から攻められていてな。悪いが手続きはしてやれない。また、日を改めて……」

 それは困る!こっちにも予定があるんだ。いや、戦争になってるはずがないという前提の予定。今更意味はないのか?

 

 「日を改める事はできませんので、微力ながら助太刀いたします。敵の情報と数を」

 「……ッ!!助かる!」

 いいのかね、こんな敵かもしれない不審者にそんな情報。

 「よろしいのですか?信用して」

 しまった、思わず口から思っていることが漏れてしまった。ゲロってしまうなんて……

 

 「敵から攻撃を受けた人間が、敵国の人間なわけないだろ」

 「味方でもないかもしれませんよ?」

 「そんな真剣な顔で助太刀するなんて言ってか?」

 それもそうか。てか、逆にこんな質問相手からし、たら不安を煽るようなことでしかないな。旅人が助太刀なんてよくある話だ。

 

 「降参です。それでは状況を」

 「数は中型トリオン兵が十。人間が五人だ。うち接近したトリオン兵五体は破壊を確認した」

 なるほど。中型っていうと、モールモットくらいの大きさか?

 

 「それなら偵察の可能性が大ですね」

 偵察の時点で人間を出してくる国。よほどトリオン兵が少ないか、焦っているかだな。

 

 「同感だ。こちらとしては、中立国を名乗っている以上、殺しは避けたい。捕虜として迎えたい」

 「勧告はしました?」

 「もちろんだ」

 それじゃ捕まえても何の問題もないな。

 しかし、偵察段階でほとんど戦争の開戦のような状況にする、敵の目的がわからない。敵国は、この国が中立国だと知らないのか?いや、周辺国で知らない人間など……あ、無軌道国家か。不規則に移動する惑星国家なら、納得がいく。しかし、それならなおさら先発隊の喧嘩腰が理解できない。敵わない敵だった場合、逆に反撃されてしまうだろうに……

 「わかりました。親切に教えていただいたお礼に、敵全て私一人で片付けてきます。えっと……」

 「——?あ、トークンだ」

 「さとりです。トークンさんはお仲間に事情説明と、受け入れ態勢を整えてください」

 「いや!それでは君の負担が大きすぎる」

 「大丈夫です」

 

 「私、結構強いので」

 

 目つきを尖らせ、安易に邪魔だという意思を送る。ま!初めて会った人間とバディなんてごめんだ。

 「そうと決まれば……と」

 そう言いながら武器ポーチから。俺の俺のお気に入りを数個出す。桐絵や栞にあげた卵の上位互換だ。

 「では、トークンさん。お仲間のことはよろしくお願いします」

 そう言って敵が目視されたであろう場所へ走る。木々が生い茂っているから蔦などを使って移動も楽だな。

 先程の攻撃は遠投した感じだったが、距離はそこまでないだろう。

 

 (ほら、いた)

 走って五分。距離にして二キロ弱ってとこか。森が開けた場所に敵と思われる団体がいた。トリオン兵の数も合うな。

 

 ——白蛇(シロヘビ)

 

 一つの卵から十匹の小さな白い蛇が孵る。 

 ちょっと絵面的にやばいな。ま、可愛いからいいか。

 シロヘビはその名前の通り白い蛇。目が赤いのが特徴で、その用途は主に拘束。長さは一メートルほどだ。

 茂みに撒いて、いつでも拘束できるようにする。ま、安全第一だが。

 そして、

 

 ——(ハミ)

 

 自動攻撃用の蛇を出す。数は二匹で十分だな。

 ありがたいことに全員こちらには気づいていないし、固まってくれている……これなら簡単に終わりそうだ。

 

 「今!」

 合図により二体の蛇・ハミがトリオン兵を瞬殺していく。

 それに気づき統率の取れていない、雑兵には……

 

 ——旋空・孤月

 

 これで真っ二つ。うん相変わらずの切れ味。さて、換装が解けあらわになった者どもにはさらに

 

 ——毒蛇(コブラ)

 

 神経毒もとい催眠効果を含んだ毒をこいつが注入する。はいはい、おやすみっと。

 そうしてる間にハミがトリオン兵掃除してくれた。

 「コブラ、ハミ。そのガラクタ二体残して後は食べていいよ。おいでシロヘビ。君らはこいつらを縛って運んだらご飯だ」

 会話とまではいかないが、こちらの命令を聞いてくれる。愛くるしい仲間だ。

 とりあえず、このニ体は細かくして船に入れとくか。特に知りたくなるような機能はなかったし問題ない。

 

 「これで最後っと」

 ガラクタを跡形もなく掃除して、今か今かとこちらを見て待機してるシロヘビ達。やば、実戦では久しぶりだけどかわいいわ。ゲート用の蛇達にも名前つけるか……と、急ごうか。

 

 ——槌子(ツチノコ)

 

 最後はこの子、主に荷物を運ぶのに使う運搬要員。こいつ一人で全員乗っかる。道は、森林伐採にはなるけど、切り進めば行けるだろう。

 そんな安易な考えのもと、轟々と音を立てながら進んでいく。

 コブラとハミは小さく丸まり元の卵へと戻っていった。これがこいつらの最大の利点。傷を負っても、死なない限り丸まって卵からやり直せば、次使うときには完全体としてまた生まれる。数に限りはあるが、今回は無傷だしノーカンだろう。

 シロヘビとコブラも同様だが、こいつらはお仕事の真っ最中だ。

 

 さて、トークンさんは話をつけてくれてるかね。

 




 はい。ということでどんどんオリジナル設定が出てきます。
 これぞ二次創作!!……でしょうか?
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