ネイバーなどと言われようになったガラクタから俺らの街が襲われたあの日。全てが壊れ、始まったあの日から四年と少し。
都内某所
寒空の下、俺はあるファミレスに向かっていた。凍えはしないが身が震える中を歩く。街灯がポツポツと点き始める。横断歩道を渡り、歩き、また渡り歩く。そうして駅から真っ直ぐ進むと店が見えてくる。店の前には何人かの人影が見える。そこにいる面子に覚えがある。というか知っている。よく知っている。
自称エリートと筋肉ゴリラ、モサモサのイケメン、そしてだまされっ娘。そう、玉狛支部のメンバーだ。
「遅いよさっちゃん!15分も遅刻!」
「いや、小南先輩。先輩が15分も前に来ただけでさとりさんは時間通りですよ」
さて、来て早々濡れ衣を着せてきた娘っ子
「やめてください」
——避けられた。
「ともあれ、待たせたようだ。お待たせ」
一人一人の顔をよく見て俺はそう言う。
筋肉の
「んじゃ、久しぶりに若者組全員揃っての外食だ。存分に楽しもうか!」
そう言ってファミレスの隣の焼肉屋に入って行った。
店に入り案内されるは掘り炬燵式の個室。
適当に注文を済ませて、先に来た野菜を全員に分ける。
「—ていうかやっぱり若者組なんて俺は言っているが、もうそろそろ俺自身、若者じゃなくなるんだよな。な?レイジ」
サラダを渡しながら聞いてみた。
「なんで、俺に聞くんだよ……俺はまだ21だぞ」
「はっはっは。そうか
「いやいや。敬語を使うなって言ったの、さとりさんでしょ〜それにおれ、タメ口に慣れちゃって、今更直せない」
レイジの言葉を乾いた笑いで飛ばすも、違う角度から髪の毛の入る隙間がないほどに素早いアタックを悠一から受ける。
「そうだったか」
覚えてないなー。
「ありがとうございます」
米と肉を持ってきてくれた店員さんにお礼を言う京介。
「京介それ俺らで焼くぞ」
そして、肉が店員から京介そして俺の元へとやってくる。レイジと一緒に焼いていく。
「お願いします」
赤身とカルビの盛り合わせだ。どんどん焼こう。
「でも、あれじゃない?とりまるはさっちゃんにまだ敬語よねー。てか、なんでそんなこと言い始めたんだっけ?」
そんなこと?あ、敬語禁止令のことか。
「背中任せてんだ、敬語なんか使ってたら壁ができて手ぇ届かなくなんだろ」
焼き目のついた肉は次々にひっくり返されていく。火力高ぇな。
「そんな理由だったのか」
レイジ、驚くな。てか肉を焼け肉を。
「んじゃ俺も敬語やめた方がいいですか?俺も助けて欲しいので」
そう言いながら京介はひょいっと一枚のカルビを取り米を頬張る。
「ちょっと!?それあたしの肉よ」
「ほら桐絵、お前のはこっちだ」
子供みたいなことを言うな。赤身をやろう。
俺の受け皿には京介と同じカルビを乗せる。
「でも実際、さとりさんならそんなのなんか関係なしに俺らのこと助けてくれるんでしょ」
「悠一、それは買い被りがすぎるぞ未来を視てるお前と違って俺には限界がある……」
肉を網に乗せ終わり俺も食べ始めながら、そう言ってタッチパネルでまだまだ注文はしていく。
「あ!あたし豚トロ!」
「オッケー。んじゃあ——」
「レイジさん的にはさっちゃんにタメ口は違和感あるの?」
「ま、初めはあったが今はもうないな」
「やっぱ慣れるもんなんすね」
「そう言うけどとりまる。あんただって、さっちゃんと初めて会った時ガチガチだったじゃない」
「小南、お前がビビらなすぎなんだよ」
「なになに悠一、なんの話」
俺が注文している間に話が進んでいた。
「いや、京介がさとりさんと会ったときガチガチだったなって話」
え、まじなんの話。初めて会った時なんて結構砕けた感じだったと思うけど。
「そうだったっけ?」
「ま、さとりさん自身デカいし、あん時は寝不足で目つきも悪かったからな」
レイジ、お前には言われたくねぇよ。
「というか、小南先輩はどうだったんですか?」
話の中心に居たくないのか桐絵にふるのか。京介よ。
「あたし?あたしは普通よ。ね?さっちゃん」
「ああ。桐絵はなんというかベッタリだった。うん」
思い出すなぁ。初めて会ったのなんて何年前だ。
「あ、そうそう!林藤のおっちゃんが居ない日とかはとくにそれ「あああぁぁぁああ!!」……」
びっくりした。てか、遮るくらいなら話を振るなよ。危うく肉巻きライスが落ちるところだった。
「さっちゃん!その話は無し!無し!絶っっ対に無し!」
わかったわかったって。
「迅さん。何があったんですか?」
「ん?あぁ実はな」
やめたれ京介。悠一も乗るな。ほら、桐絵がキッッみたいな効果音がつきそうなほど睨んでるから。
「小南、肉焼けてるぞ」
「お、いつのまにか肉増えてるし、レイジお前も食えよ」
「大丈夫。ちゃんと食ってる」
そんなこんなで楽しい楽しい食事は進んでいく……
食後のデザートもほどほどに俺たちは帰り支度をする。いくら個室だからって、座敷だからって寝転がれるスペースはない。
若干一名小さいのが転がってるけど。
「おら、桐絵。帰るぞ」
食べすぎた……という声が聞こえたが聞かなかったことにした。ため息ひとつ、鞄を漁り財布を探る。
話によると今日は全員玉狛支部に帰るらしい。
「レイジ、帰りの運転変わってやろうか?」
「いや、さとりさんの家逆方向だろ。流石にいいよ」
「……そっか、あれ?悠一は?」
見当たらない。いつのまにか消えていた。トイレか?
「トイレじゃなーい?」
しまった桐絵と思考が被った。
「京介、悪いんだけどトイレ見てきてくれ。レイジは桐絵の介護な」
俺は靴を履いて会計に向かった。
会計が終わり、財布が軽くなったのを実感しながら座敷に戻ると、悠一が戻っていた。
「よう、トイレか?」
「うん、まぁそんなとこ」
そうかとだけ返し今日はお開きとなった。
俺は来た道を、レイジは未成年者どもを連れて玉狛へ。悠一は寄り道をするとかで、俺と同じ道を辿る。
「なぁ、悠一。お前、あんま抱え込みすぎんなよ。今は、俺がいるんだから」
「えーなんのこと?」
おどけて笑うそいつに俺はデコピンを一発。
——そういうのだよ。
サイドエフェクトなんてもののせいでこいつは要らぬ責任まで背負い込もうとする。それはだめだ。前までそんなんだった俺が言うのもなんだけど。
「もっと自由でいいんだよ。お前は子供のままでいい」
「俺、もう19なんだけど?」
「そういうことじゃねぇ。それに俺にとってはいつまでもお前らは子供で、
「——そりゃ、27のおじさんだもんね」
再び一発今度は思いっきり。
「はっ!まだ27のお兄さんだ!まだまだ若い」
「最初あんだけ言ってたのに」
いやいや、まだ27だ。若いだろ。うん。きっと。
そんなやりとりをしていると来た道も短く感じた。駅が見えて、アナウンスも聞こえる。歩く人も多くなる。みんな家に帰るのだな。
「それじゃ、俺はこっちだから、じゃあね…………さとり
「———ははは。おう!じゃあな」
揶揄われたのか?懐かしい呼び方をされた。
不思議と温かい気持ちにさせてくれるその呼び方は、もう聞くことはないと思っていた。まだ俺がガキだった頃の記憶。記憶の奥底に埋めたはずの記録。家族のこと。
感傷に浸る必要も間も無く。一息置いて、俺は悠一の背中を見送り家路に着くため改札を通る。
なんでもないダラダラ回でした。
感想。会話が……難しいです。キャラ崩壊。解釈違いは……すみません