小鳥のさえずりが聞こえる。
チュン チュン
「う~ん、サンチョがいっぱいなんよ~。」
ベットの上で体の長い猫の人形『サンチョ』を抱えて園子は幸せそうな顔で寝ている。
すると、突然…、
ジジジジジジジ!!!!!!!!
目覚まし時計が鳴り響く。
「わわぁぁぁ…。」
園子は飛び起き、急いで目覚ましを止めた。
「もうあさなんや。」
ベットから降り、学校に行く用意を始める。
今日は学校の入学式だ。
期待を胸にサンチョをカバンに入れ、ビューンと外に飛び出した。
・シャロ・
「園子、ちゃんと起きてきてるかしら?」
園子と学校に行くために自身の家の前に立っていると、甘兎庵から千夜が出てくる。
「おはよう、シャロちゃん。」
「おはよう。」
「園子ちゃんを待っているの?」
「ええ、でも少しちゃんと起きれているか不安なのよね。」
園子はよく寝る子だ。
朝には弱いし、授業中でも寝ている姿を見ることがあるほどである。
まぁ、学校まで人形兼枕であるサンチョを持ってくるのだから寝る気満々に思えるのは私だけではあるまい。
そのようなことを考えていると、
「マッチ、キッシー、おはようなんよ~。」
園子がやってきた。
「おはよう、園子ちゃん。」
「おはよう、ほら、学校行くわよ。」
「は~い。」
園子と一緒に学校に向けて歩き出す。
「いってらしゃい。」
「「いってくる(わ)(んよ~)。」」
千夜に返事をしていると、
「あんたたち気を付けていくんだよ。」
千夜のおばあちゃんがお店から顔出した。
「バーヤ、行ってくるんよ~。」
園子はにこにこしながら手を振り、私は軽く挨拶をして、通学路を歩いていく。
・園子・
学校へ向かっていると、離れた場所にこの付近のもう1校の高校の制服を着たココアを見かける。
ココロンなんで制服着てるんだろ?
千夜がその高校に行くため知っているが、その高校の入学式は明日。
つまり、普通今日制服着ているのはおかしいのだ。
などと考えながらじっと見ていると、
「園子、なにみてるの?」
「何でもないんよ~。」
今はシャロと学校に登校しているため聞きに行けない。
万が一聞きに行くことで時間がかかったら、関係ないシャロが私の私情で学校につくのが遅れるからだ。
う~、小説のネタになりそうなのにな~。
面白そうなため少し悩んだが、周りを眺めながら歩くココアはノータッチと決め何もなっかた様に進んでいく。
学校につき、クラスを確認するとシャロと同じクラスだ。
「園子と同じクラスね。」
「おお~、やったぜ~。」
「はいはい、はしゃがないの。」
シャロが軽くなだめながら一緒にクラスにはいる。
クラスに入り少しすると体育館に移動となった。
・シャロ・
入学式が順当に進んでいく。
そして、
「新入生代表の言葉。乃木園子。」
そう、この学校の今年の首席合格は園子なのだ。
マイペースで天然、授業中でも眠ることがあるため気づかれにくいが、彼女は天才だ。
軽く学ぶだけで理解し、運動神経も抜群。
それに、園子の特技というのだろうか、彼女は昼寝していても話を聞くことができ、返事もで来る。
なので、授業に出ていれば大抵は学べているのだ。
その為、園子が首席だというのも必然であろう。
「暖かな春の訪れと共に、~~~~~~。」
園子の代表の言葉が終わり、周りから拍手が送られる。
入学式が終わりクラスに戻ってきた私たちは担任の話を聞き、自己紹介の時間になった。
「初めまして、○○中学校出身の桐間シャロです。好きなものは紅茶です。3年間よろしくお願いします。」
私は自身の自己紹介に手ごたえを感じていた。
よし、これならこのお嬢様学校でも通用しそうね。
「乃木さんちの園子だぜ~。甘兎庵で店員さんやってるんだぜ~。」
いつもの変わらない園子の姿を見ているとさっきまで感じていた緊張が解けた。
ふふ、園子は相変わらずね。
学校は午前中までに終わり、帰り始める。
園子は先生が用事があるとのことで後から追いつくらしい。
その為、1人で帰っていると、帰り道に野良ウサギが現れた。
不良野良ウサギー!?嚙まれる!怖い!通れない!
恐怖で動けないでいると、
「あーまた通行のジャマしているな、ほらしっしっ。」
同じ制服を着た人が追い払ってくれる。
「大丈夫だったか?」
「は、はい。」
「それならよかった。」
そういいながらその人はほほ笑む。
「い、いえ、私は高校1年の桐間シャロといいます。助けていただきありがとうございました。」
「気にしないでくれ、私は高校2年の天々座(てでぜ)リゼだ。よろしくな。」
そこに園子がやってきた。
リゼと園子がお互いに事項紹介をし、リゼと別れる。
「テーリン先輩また今度~。」
「ああ、また…ん?テーリン?」
また変なあだ名を…天々座先輩が怒ってないことが攻めての救いね。
少し歩くと園子が口を開く。
「キッシー、今日の特売はいつなの?」
「?、16時でけど…。」
「なら、車で迎えに行くからマッチも誘って一緒に行っていいかな~?」
別に断る理由もないわね。
「いいわよ。」
・千夜・
「千夜、園子から電話だよ。」
甘兎庵で働いているとおばあちゃんが声をかけてくる。
「は~い。」
家に設置された電話の受話器をおばあちゃんから受ける。
でも、なんで家の電話にかけてきたのかしら。
「もしもし、園子ちゃん?どうかしたの?」
『16時にスーパーでタイムセールがあるんやけど~、車で迎えに来るから一緒に行かない?』
「16時?行きたいのはやまやまなのだけど、その時間はまだ営業中なのを知っているでしょう?」
『ふっふっふ~、その辺はもうバーヤの許可を取ってるんよ~。』
あ、先におばあちゃんに伝えるために家の受話器で電話してきてのね。
「それなら、行かせてもらうわ。」
『了解なんよ~。15時半までには家の前に迎えに行くね~。』
「わかったわ。」
電話が切れた。
「千夜、それで行くのかい?」
仕事に戻ろうとしたらおばあちゃんに話しかけられる。
「ええ、行ってくるわ。」
「そうかい、なら15時には上がっていいからね。それから、玄関の近くにメモを置いておくから、買ってきておくれ。」
「任せて‼」
15時になり仕事を終え、買い物に行く用意もを割らせて外に出る。
「あ、千夜の用意は終わったのね。」
外にはもうシャロがおり、あとは園子待ちになった。
そして軽く話していると、奥からリムジンが現れる。
リムジンが前で止まり、1番後ろの窓が開く。
その開いた窓から、
「へい、お二人さん、乗ってかないかい?」
園子が顔を出す。
「はいはい、乗せてもらうわ。」
「そんな!?シャロちゃんがナンパに応じるなんて!?」
「ナンパじゃなくて、園子のいつものおふざけでしょ。」
む、反応がいまいちね。
チラッと園子を見ると一瞬目が合う。
「そんな~、キッシーの将来が心配なんよ~。」
「元といえば園子の発言が問題なんでしょうが!!」
園子ものっかてくれるみたいだ。
「そんな~、キッシーが人のせいにするなんて~(棒)」
「シャロちゃん、最低よ~(棒)」
「あ、あんたらね~(怒)」
やっぱり、シャロちゃんをからかうのは楽しいわ~。
少し怒りかけているシャロに園子はまるでさっきまでのやり取りがなかったというかのように、
「早くいかないと特売に送れるんよ~。」
などと平然と言う。
「もともとあんたが原因でしょうがーーー!!!!!」
あたりにシャロの声が響くのだった。
当初は買い物回も書こうと思いましたが最後の落ちを思いつかなかったので行く直前までにしました。
少し考えていた設定を変更したため、第1羽のセリフを1部変更させていただきました。
*園子のあだ名一覧
保登 ココア『ココロン』
桐間 シャロ『キッシー』
宇治松 千夜『マッチ』
天々座 リゼ『テーリン先輩』