もしこれを読んでくれる人が感想とかくれたら凄く嬉しいな。誰か〜俺に感想を……
〜〜高嶋友奈〜〜
鋭くなった優斗くんの目を見て、私――高嶋友奈の背には冷や汗が流れ落ちる。いつも笑顔を浮かべる事にしている私が思わず後ろに下がってしまう。
それぐらい今私たちの目の前にいる優斗くんの存在感は大きかった。私の隣にいる若葉ちゃんでさえも冷や汗を流しながら後ろに下がったもん。
多分無意識だと思うけど、優斗くんから発せられてる殺気は私たちと同じ年齢の子が出せるものじゃない。一体どれほど修羅場をくぐり抜けてこれればこれほどまでになるんだろう!!
「どうした?かかってこないのか?そんなんではバーデックスは待ってくれないぞ?」
四国にやってくる3年前に私達よりも多くのバーテックスと戦ってきた優斗くん。今では黒の勇者という異名が付けられているけど、彼はいつも寂しそうで辛そうな感じがする。
どうしてそう思うのかはわからないけど、彼を見ていると私の心までキュって苦しくなる。
長々と考え事をしていたのがいけなかった。
「……えっ!?」
ちょっと考え事をして視界から外した隙に、目の前で双剣を振る優斗くんがいた。咄嗟に身体を横に跳んで攻撃から避けるけど、優斗くんの重くて早い斬撃が左足に掠ってしまう。
「くうぅぅぅ」
とても痛い。痛い痛い痛い。あまりの痛さに受身もとれずに地面に倒れてしまう。
ちょっと掠っただけなのに高熱の鉄板で火傷したぐらい痛い!! こんなの涙出ちゃうよぉ。
「だ、大丈夫か!?」
若葉ちゃんが心配して私の元に駆け寄ってくる。その間、優斗くんは私たちを見守っていた。
表情からはわかんないけど多分心配してくれてるんだと思う。少しだけ瞳が悲しそうだもん。
「だ、大丈夫だよ。まだやれる」
「本当に大丈夫なのか? 一回病院に行った方が……」
見守っていた優斗くんが声をかけてくる。仲良くするつもりはないなんて言ってるのに心配してくれるなんて……優しいね。
「ふふふ」
相手は私達五人を簡単に倒しちゃうぐらい強い!! なら、遠慮はいらないよね!! 全力でぶつけても壊れたりしないよね!? アハハハ!!
「痛いけど……い、行くよ! 優斗くん!!」
「……」
拳を構えて一直線に殴り掛かる。私だって武術を嗜んでいるんだ!! 相手がいくら早すぎる大剣の攻撃だとしても、必ずどこかで隙が生まれるはずだよ。
二刀流には攻撃を放つ『攻め』と相手の攻撃を防ぐ『受け』が存在する。それは必ず左右どちらかで行われるからそれさえ見切れたら、私にも……ううん! 私たちにだって勝機はあるもん!
だから私の拳を遠慮なくぶつける。私たちが動けなくなるその時まで! お互いの技をぶつけまくろう!!
「……ちっ!
バーサーカー? 私が? なるほど。そう見えるんだね!
「アハッ! 楽しいね!」
「この状況を楽しんでるのは友奈だけだと思うのだが……」
若葉ちゃんが何か言ってるけど何も聞こえなーい。
「……友奈を怖いって思ったのは初めてかもしれんな」
「……物凄く癪だが、俺も同意だな」
二人とも酷いなぁ。
でも、そんな私の拳を普通に躱したり受け流したりしている優斗くんもおかしいと思うんだ。なんであんな巨大な剣で素早く受け流せるの?
結局私のスタミナがなくなるまで私たちの稽古は続いた。終わった時にひなたちゃんに怒られたのは語るまでもないと思うね!
◇◇◇◇◇◇◇
友奈の暴走気味の稽古から数日が経った。
いつも通り道場から行方をくらましていた優斗はひなたからの小言を食らわずに済んだ。その代償として――
「じゃあ、次はこっちだよ!!」
桜の勇者――高嶋友奈の荷物持ちにされているが。既に両手が塞がるほどの量にまで荷物を片手で抱えている優斗は内心冷や汗をかいていた。
(ヤバいな。人が多い)
昔から人混みが苦手な優斗は群がるように歩いている大勢の人を見て吐き気を催す。3年前の『降り注ぐ白き災厄』のおかげで、簡単に吐くことはなくなったが、現在の体力の都合上どこまで持ちこたえられるかが不安だった。
そもそも優斗が真面目に人付き合いができたのは過去の親友二人のおかけであり、あの二人がいない今優斗が人と向き合うことなどできない。
「大丈夫?なんか顔色悪いけど」
「別に、なんでもない」
慌てて顔を逸らす。
高嶋友奈は勇者の中では一番コミュニケーション能力が高い。
優斗は後から来たから知らないが、最初は郡千景も過去の事もあり誰とも仲良くなろうとはしてなかった。その千景に友情を気づかせたのが、今優斗の目の前にいる少女なのだ。
友奈の行動力には優斗も尊敬の眼差しを向けるほどであり、仲良くなりたいとは思えなかった。
気づいた頃には辺りはもう暗くなってきていた。優斗は相変わらず片手に荷物を抱えている。持ちきれない物は頭に乗せて、空いた手には名無しの神器である凪咲を握っている。
友奈の買い物に付き合ってからずっと視線を感じていた。その視線に邪悪なものを感じとった優斗は、誰にも知られないように神器を呼び出しいつでも斬りかかれるように待機状態にしている。
優斗がこの3年間で身につけた技である待機状態。それは常に意識を周りに向けることによって、どのような悪意からも対応できるようにするものだ。
四国に来てから男の勇者であることに気に入らない人間に狙われることの多かった優斗が、いつでも斬れるように習得した自己流の技なのだ。ただし、この技は先程言った悪意にしか反応しないため、殺意を持たずに接近されれば対応はできない。
だからこそ気づけた。たとえそれが
嬉々として優斗の前を歩く友奈は気づいていない。二人の後ろから刃物を持った五十代ぐらいの男性が走ってきていることを。
(ちっ!クソがっ!)
優斗は左手に持った凪咲で力いっぱい友奈を吹き飛ばし、指先だけで鍔を弾いて鞘から当身を抜き出す。本来ならこのような扱い方を優斗は嫌うのだが、片手が塞がっている今は仕方ないと心の中で凪咲に謝りを入れる。
そして弾いたことで鞘から出て浮いた凪咲を掴み取り、荷物を落とさないように慎重になりながら後ろを振り向く。それと同時に凪咲を振って男性の持つ刃物を弾き飛ばした。刃の部分折れたけど。
「なっ!?く、クソがっ!!」
(……ッ!?チッ!凪咲、鞘を納めてくれ!)
――了解だよ、マスター!!
刃物がなくなっても素手で殴りかかってくる男性に心の中で舌打ちしつつ、すぐさま飛んできた鞘で凪咲を納める。その後男性に向かって力加減を最小限に抑えて凪咲を振る。
位置的に鞘付きの凪咲が男性の横腹に当たると、男性が吹き飛び壁にぶつかった。そのまま男性は気を失ったので、後ろで尻もちをついている友奈の元に近づく。
「大丈夫か?」
片手に荷物、片手に凪咲で両手が塞がっている優斗は友奈を起こすことは出来なかったが、一応心配したように声をかける。
「あはは、大丈夫だよ。ちょっとビックリして」
なんの怪我もなく立ち上がった事に安堵しつつ、周りを警戒する。男性を気絶させた事で周りの人間から視線を集めてしまっている。
くだらない事で友奈の買い物を中断させるわけにはいかないと、変な使命感のようなものを感じている間、騒ぎを聞き駆けつけた警察官から友奈が事情聴取されていた。
「――それで、その男はどこに?」
「えっと、あっちです」
今もなお衝撃で伸びてしまっている男性を指さす友奈。その男性に近づき何やら溜め息を吐いている警察官。
〜〜〜〜〜
「そう。そんなことがあったのね」
所変わって千景の部屋。
今日あった事をひなたに報告し、部屋に戻ろうとしていた優斗は突然千景に呼び止められた。
なんの用事かと思っていた優斗は、
「あ、そこにアイテムがあるわ。とっておきなさい」
「友情破壊していい?」
「だめに決まってるでしょ……潰すわよ」
千景とマリ○ブラ○ーズをしていた。いやなんで?
勇者となって大社から大金が渡される少女達は、そのお金で自分たちの好きな物を買っている事を知っていた。優斗は欲しいものがないために大金を財布に入れっぱなしにしているが。
そして何故優斗が千景の部屋でマ○オブラ○ーズをしているのか、それは優斗も知りたいところであった。
「で、何故俺は今この部屋でマリ○ラを?」
「高嶋さんから聞いたわ。今日高嶋さんを狙う男性をやっつけたらしいわね」
そういうことか、と優斗はすぐに理解できた。
千景にとって高嶋友奈という存在は太陽にも等しい。ずっと闇の中を彷徨っていた千景がここまで人と向き合えるのも友奈のおかげとも言える。
今も闇の中を歩いている優斗からすれば、今ここに生きている千景は羨ましい存在なのだ。
「高嶋さんを守ってくれてありがとう」
「…………」
千景からの感謝の言葉。これをほかのメンバーが聞けば相当驚くだろう。特に若葉など。
優斗は千景に対して特に一歩引いた距離を保とうとしていた。何故か千景が自分と似ていると感じたから。
「別に、たまたまあの男性が高嶋を狙っていた。だから助けた。それだけだよ」
素直に感謝されることに慣れていない優斗は顔を逸らしつつ、受け取らなかった。何故か千景はそれを不満そうに見ていたが。
「そう。そうだ。今度みんなでゲームをするのだけど、一緒にどうかしら? ゲームは『ス○ブラ』よ」
「…………………………………………………………………………………………………………………………考えとく」
物凄く間を開けて返事をする。
こうして優斗の一日が終わった……気がする。