今回投稿が遅れたのは仕事が忙しかったのと、中々スマホをイジる時間が少なかったからです。いいわけです。ごめんなさい!
球子とキャンプを楽しんだ次の日。とある場所に向かおうとしていた俺は、農業王と書かれたオシャレ?なシャツを着た白鳥歌野に捕まっていた。
「お願い! 私の野菜を買って!」
「……なんでだよ」
「だって野菜好きでしょ!? 私が心を込めて育てた野菜を買ってください! そして私に向かってラブコールをプリーズ!」
「アホか! んなことしたらお前の嫁に殺されるだろうが!!」
読者の皆様ならわかるだろう。歌野の嫁といえば誰であるか。そんなの一人しかいないよね?
「うたのん……私という女がいながら優斗さんに浮気する気なの?」
「う、浮気じゃないわみーちゃん! だってまだ結婚もしていなければ付き合ってもいないもの」
「うたのん……」
「みーちゃん」
「うたのーーーーーーん」
「みーちゃーーーーーん」
なにこれ……? 俺はなんで二人の仲を見せられているんだろうか? なぜ浮気や結婚の話題が出たのかは謎として……いや結局浮気云々の話題はどこに消えたんだよ?
初めて出会ったのは諏訪に来たときだったか。その時は今みたいに強引に買わそうとはしていなかった。多分香川に来てからだな。こんな調子になったのは……。
「はぁ……俺もう行くぞ?」
「待って! せめて野菜だけでも……」
「いやしつこいって」
早く行かないといけないんだから止めんなよ……ってか、お前ら俺が今からどこ行くのか知ってんだろ。
未だに腕にしがみついて離れない歌野に困っているとなぜか水都に肩を掴まれた。力強いです痛いからもうちょい優しく……見た目よりもお前力強いな!?
「優斗さん……うたのんの
お前今野菜をなんて言った?
「わかったわかった! 買ってやるから腕を離せ! なんか柔らかいもん押し付けんな!」
「計画通り」ニヤァリ
今度から絶対に買ってやらないからな……?
結局野菜を買わされました。一種類ずつな。
ようやく着いた……なんで下らないの事でこんなにも疲れなきゃいけないんだよ。
ブツブツと心のなかで愚痴りながら階段を上がっていく。目的の場所は四階の奥にある。ここには人はいない。いや、正確には一人だけいる。
「入るぞ?」
「来たの? 嬉しいな……入って入って」
許可を得たので扉を開けて中に入る。
ここは大社が管理している病院。その中でも特に特別な部屋だ。
「嬉しいな嬉しいな〜兄さんに会えて嬉しいな〜」
この病室にいるのは俺の妹……井嵩真奈。昔から身体が弱くて外に出たがらない奴だ。だというのになぜかスタイルはいい。意味わかんねぇ。
「前にも来ただろ?」
「それでも嬉しいんだよ。ここには人が来ることがないから……」
「……今度同じ勇者達を連れてこようか? 元勇者や巫女でもいいぞ?」
「ありがとう、兄さん」
「それで……やっぱり目は」
真奈はずっと眼帯をして目を隠している。あの日……星屑が襲来したあの日、突然力に目覚めたらしい。それも巫女とは違う力が、な。
真奈の瞳にはなにか特別なものが見えるらしい。俺を見たときは黒いモヤモヤしたオーラと白い狼。なんだよ白い狼って……。
そして俺と春風さんを除くすべての異性を問答無用で虜にするという意味わからねぇ力だ。ある意味最強だと思ってる。
春風さんに見てもらったところ、その力は常に発動型らしく抑える方法はないらしい。でも異性を魅了する力は真奈の瞳を見なければいいので眼帯で隠している。
まぁ、ちゃんと前は見えるように春風さんが改造したらしいので動いた拍子に何処かにぶつかるってことはない。
「やっぱり制御は難しいみたい。春風さんも「どんどん瞳の力が強くなっている」って言ってたから」
一体何が原因でこの力に目覚めたんだろうな。あの自称天才が匙を投げだしたくなるなんて相当だと思うぞ。まぁ、まだ登場してないから匙を投げたいのかどうかはわからないけど。
「兄さんメタいよ」
「さり気なく人の心を読むな」
頭を撫でてやると「えへへ〜」って頬を赤く染めながらだらしない顔を晒す。お前本っ当に俺以外の人の前でその顔するなよ? 結構真面目に美少女がしていい顔じゃねぇから。
「次俺が来るまでに欲しいもんメールで送れよ? 俺はエスパーじゃねぇからお前のほしいもんなんざわからねぇからな」
「わからないの?」
「わかるか!」
なにその「本当はわかってるんでしょ?」みたいなことを言いたげな表情は!? マジでわかんないからな!?
「まぁ、とにかくメールを送ってこい。そしたら来るついでに買ってきてやるから」
「は~い」
本当にわかってんだろうか?
「んじゃ、今日は帰るわ。また来るから」
「は~い、兄さんなら毎日でも大歓迎だよ!」
めっちゃ笑顔な真奈に見送られながら俺は病室を出る。誰もいない廊下を歩きながらスマホを取り出す。
何回かコールが鳴ったあと相手が出た。
「悪い、今大丈夫か? 今度一緒に来てほしい場所があるんだが……」
その主の朝は早い。
人一人いない部屋の中で、自分が最も嫌う人間の真似事として暮らしている。
「ふふ……気に食わないな」
少女が小さく呟く。長い黒髪を跳ね除けて立ち上がる。誰もが魅了されるほどのプロポーションを持つ少女の丸みを帯びた肉体。
何も来ておらずその裸体を晒しているが、少女は気にもとめていなかった。
「
『ここに』
綺麗なソプラノの声に呼ばれた男は何もなかった空間から突然現れる。
血に染まったかのように赤い魔槍を携えた男は、片膝をつくと自らを呼び出した主の次の言葉を待つ。
「ねぇ、君なら四国にいる勇者二人を殺すことぐらい簡単だよね?」
『ご命令とあらば殺してきましょう』
男――否、スコーピオンの言葉に少女は薄く微笑む。だが、その瞳はなんだかつまらなさそうだ。まるでその答えが来ることがわかっていたかのように見える。
「そう……じゃあ、オレンジと白い勇者の女の子二人を殺してきてね。あの二人は私のお気に入りに近づきすぎだから」
『御意』
スコーピオンの気配が消えた。
『アイツに任せても大丈夫かねぇ?』
突然響いた男の声。その方に瞳を向かれば扉に背を預けた男が腕組をしながら立っていた。
「なんだ
『いやいや滅相もない。アンタみたいな化け物相手に喧嘩を売るような行為をするわけないだろう?』
「……どの口が」
男――オフィウクスは楽しそうに近づくと大げさに手を広げる。
『そんなにアンタのお気に入りに人間の女がお近付きになるのが嫌かねぇ?』
「嫌に決まっているだろう。ヤツの中には私が最も愛する人の魂が眠っている器なのだぞ?」
そういうもんかねぇ、そう言いながらオフィウクスの気配が消える。おそらくどこかに遊びに行ったのだろう。
「全くお前は私のお気に入りとはまた違った可愛さがあるな……私が創り出した人間抹殺くんであるのも関わらず人間を殺すことをせず遊び歩いているとは。しかも私の探知も効かない」
やれやれ、と肩をすくめた少女は光りに包まれると黒と赤の陰陽服に近い着物のような服装になる。
「一体いつになれば私にとって憎しみでしかない人間を滅ぼせるのだろうか……というか我が愛しき妹がお気に入りのすぐ近くにいるのだと思うと……イラッてくるな」
ふふふ、妖艶に笑う少女の気配もその場から消える。
人が争い天下を決める戦いにてとある将軍が得た城……大阪城には誰の気配もしなくなった。
できれば感想くれたら嬉しいなぁ~
次回「精霊と魔槍ゲイ・ボルク」