で、できれば感想ほしいなぁ……なんて。読んだら感想くれる?
「優斗はさ、どうしてバーテックスと戦おうと思ったんだ?」
いつだったか気まぐれでラーメン(豚骨味)を食べていたとき目の前でうどんを食っていた球子がそう聞いてきた。
「どうしてって……そんなの聞いてどうするんだ?」
「別にいいじゃないか。タマ達は仲間なんだから」
仲間、か。なんでだろうな。そう呼ばれるのがすごく懐かしく感じる。
「……妹のためと、もう何も失わなくてもいいようにするために」
「妹がいるのか?」
「あぁ。少し身体が弱いから今は病室にいるけどな。本人は至って健康なんだが……」
前だって病室にいるのが退屈だから抜け出して春風さんに怒られてたし。笑顔のままくどくど怒られるとか結構嫌だな……。
「そうかそうかー優斗は妹のために戦っているのか!」
「……後半部分が消えてるぞ」
思わずため息を吐きたくなるが、逆にその様子を見て微笑みを浮かべてしまった。
「なら、初戦闘が終わったら会いに行ってみるか?」
「おぉ、いいのか!?」
「あぁ、実は一人だけ先に誘ってはいるんだが、一人増えたところで変わらねぇしな」
嬉しそうだな。お前のその笑顔を見れてなんだか心が落ち着く。なのに……なのに…………
「ふざけるなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は使用神器を焔香と雷花から凪咲に切り替えて二人の身体を凍らせる。これにより血の動きを止めて強制的にスリープ状態にする。
二人の胸を突き破っていた朱槍ゲイ・ボルクは消えており、おそらく持ち主の元に戻ったんだろう。だが、今はそんなことはどうでもいい。
「まさか、連続でバーテックスがやってくるとは……」
違う。そうなんじゃねぇ。アイツは……おそらく最初からいたんだ。機会を伺ってたんだ。
二人を殺す絶好の機会を……俺達に絶望を与える瞬間を……!
『やけに冷静じゃねぇか……なぁ、黒き勇者』
冷静、だと? 今の俺を見てそう思えるなら……
「思った以上に俺は、キレているようだな……」
凪咲を一振りしスコーピオンのいる場所を凍らせる。凪咲もそうだが、焔香も雷花も遠隔操作技あるよな……。
『はっ……やっぱりおめぇ妙な感じだな。さっき殺した勇者らと同じ匂いがするし、オレ達と同じ同族の匂いもしやがる。一体なにもんだ?』
「そんなの俺が知るかよ……」
精霊を降ろした直後の影響なのか、友奈と若葉はまだ動けそうにない。千景は凍りつかせた二人の側にいる。なら今動けるのは……
「俺しかいねぇだろうが!」
瞬間的に速度を上げスコーピオンの懐に入る。そのまま凪咲を斬り上げるが、
『はっ! アメぇんだよ!』
身体を後ろに逸らすことで回避された。そのついでなのか、俺の腹にスコーピオンの鋭い蹴りが炸裂。
「……!?」
蹴りの威力が強すぎる……。たった一発の蹴りで俺の身体は樹海にめり込んだ。
「がは……がはっがはっ!」
びちゃびちゃと音を鳴らしながら血を吐き出す。おそらく内蔵がどこかがやられたんだろう。
『おらぁ! まだまだぁ!』
俺よりも速い速度で迫ってきたスコーピオンはまるでサッカーボールを蹴るように俺の身体を蹴り上げる。そしてボレーシュートの動作で蹴りつけられた俺は、刀を杖にして立ち上がった若葉にぶつかる。
「ぐっ……」
「優斗、大丈夫か!?」
俺と同じように地に倒れる若葉。
今は……自分の心配してろよな。
「大丈夫に……決まってんだろ! アイツを殺すのは俺だからな!」
『ムリだな。今のオメェじゃあ、どれほど頑張ってもオレを殺すことなんて不可能だ。ヴァルゴの時とはわけが違うからな』
そうだ。今の俺の実力ではスコーピオンを倒すことなんて無理だ。何しろスコーピオンは俺達に対して一切油断していないからだ。
本気を出さないのも簡単に死なせないようにするためだろう。ではなぜ、あの二人を殺すのは一撃だったのか……? そんなの今考えてもわかるわけねぇな。
とにかく……
「お前を……殺す」
『はっ! やってみろよ……できるもんならなぁ!』
俺の腹にスコーピオンの槍ゲイ・ボルクが突き刺さる。
「…………あ、あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
痛い。尋常ないほどの痛みが襲いかかってくる。嫌だ……死にたくない。死にたくは……ない、けど!!
「まだ……死ぬわけには、いかねぇんだよ!!」
凪咲を振るい槍を吹き飛ばす。
なんとか立ち上がるが出血の量が多すぎて頭がふらつく。あと一撃でも喰らえば、意識を持っていかれそうになるだろう。
情けない! こんなんじゃ三重の時と同じじゃねえか!! 何も守れないじゃねぇかよ!
そう、心が闇に負けそうになった時……
「ぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!」
勢いよく立ち上がった友奈の叫び声が聞こえてきた。
〜〜高嶋友奈〜〜
優斗くんが血を流しながら戦ってる。
少しだけだけど武道を嗜んでる私だからわかる。タマちゃんと杏ちゃんを一撃で殺したあのバーテックスには勝てない、って。でも、それでも優斗くんは戦ってる。
優斗くんが必死に戦ってるのに……どうして私は今こんなところで寝ているんだろう? 今立ち上がらないといけないのに……。
「…………あ、あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
優斗くんの腹に赤い槍が突き刺さった。おそらく私達じゃ考えられないほどの痛みに襲われてるはず……。悔しい。何も守れない自分が憎い!
立って! 立ってよ! 今私が立たないと優斗くんが死んじゃう!
そんなの……だめだ!
「ぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!」
自分の身体に無知を打つように立ち上がる。精霊降ろしの反動なのかまだまだ身体は痛いけど、優斗くんの傷に比べればこれぐらい……
「なんてことない!!」
私はすぐさまスコーピオンに向かって飛びかかり勇者パンチを繰り出す。スコーピオンに槍で防がれたけど、まだ足がある!
「勇者キィィィク!」
『甘えんだよ!』
私の蹴りを手で抑えたスコーピオンは槍の柄を回転させて私の腹に突き刺せる。それにより私の身体は吹き飛ぶけど、完全に樹海に落ちきる前に受け身を取って立ち上がりまた殴りかかる。
何度も何度も吹き飛ばされる。
(だめだ……今の私じゃ、相手にならない。一目連じゃ火力が足りない……もっと強いやつが……強い精霊が必要だ!)
でも、私は一目連しか知らない。前にみんなで妖怪に関する本を読んだけど、私はそこまで頭がいいわけじゃないから覚えられなかった……。
優しい優斗くんは夜遅くまで私に付き合ってくれたのに……これじゃあ情けなくて泣きたくなってくるよ。
強い力がほしいか?
頭の中に声が聞こえてくる。少し低めの少年の声。
オレに身体を借りてくれれば……そうだな、お前の望み通り力を与えてやるし、アイツを……あの槍野郎をぶっ殺してやってもいい
本当に?
あぁ、オレは
本当にみんなを殺そうとするアイツを……スコーピオン・バーテックスを倒してくれるの?
もちろんさ。おまえの望むままになぁ。さぁ、どうする?
だったら……私に力を貸して!! もう誰かが悲しむのは見たくないから!!
ククク。あぁ……いいぜ! 契約完了だな
私の中にとても熱いのが流れてくる。身体中が熱くて熱くてたまらない。それと同時になにか強大な力が溢れてくる。
この力があれば……アイツに勝てる!!
「来い! 酒呑童子!!」
〜〜井嵩優斗〜〜
そんな……嘘だろ。友奈が……勇者システムに搭載されている精霊降ろしの中で最も適正が強く、そして使ったら死ぬ確率の高い酒呑童子を使うなんて……。
春風さんに聞いていた中で二つだけ、もし使用したら死ぬ確率の高い精霊について聞いたことがある。
その精霊の名は……酒呑童子と大天狗。その強大さから当初勇者システムに加えるはずがなかった精霊だ。まぁ、春風さん曰く上の命令には逆らえない、らしいから疑似戦力として加えたらしいけど。
本当なら今の友奈では使用不可能のはずだ。俺達勇者の身体に精霊の力を馴染ませてからではないといけないから。その過程を吹き飛ばして力を使っているんだ。当然酒呑童子の力を使った代償は大きいはずだ。
一体どういうことなんだ? 若葉達も友奈の姿に困惑している。
「力が溢れそう……この力があれば……!」
まるで実在したと言われている鬼と似た姿の友奈は、スコーピオンを睨みつけると拳を握り放つ。距離はだいぶ離れている。当たるはずもない。なのに……
『うおぉ!?』
その拳はなにもない空間を殴り、圧縮された風圧としてスコーピオンを襲った。それを真正面から受けたスコーピオンは今までの強者感がどこかに行ったのか情けない悲鳴をあげて吹き飛んだ。
「まだまだ行くよぉ! 全身全霊! 勇者! パーーーーーーンチ!!」
たった一歩。その一歩でスコーピオンの懐に入った友奈は渾身の勇者パンチ(見た感じアッパーカットでは?)を繰り出した。
たった一発の拳を食らったスコーピオンは今までの比じゃない距離を飛ばされる。何度も樹海に身体を打ち付けて槍を突き刺すことでようやく止まることに成功する。そして俺達を見るとニヤリと笑みを浮かべた。
『ぐっ!? 人間如きに傷をつけられるとはなぁ……こりゃ、オレら
そこで言葉を区切るとスコーピオンは俺達を見渡す。そして、最後に俺を見ると
『テメェの正体がなんなのかは今はお預けだ。あいにくと考えるのは苦手なんでね。だが、このオレに一発を与え楽しませてくれた褒美として……一つだけいいことを教えてやろう』
「……」
『テメェらにとっちゃオレはだいぶ強いように見えるかもしれねぇがな、これでもまだオレは弱いほうだぜ。だからもっと強くなれ! オレ達
それだけ言うとスコーピオンはまだ痛みが引いてないのか腹を抑えながら壁の近くまで飛ぶ。
『今日のところはこれまでだ。元々その二人を殺したらすぐに帰る予定だったからな。次来るときまでに強くなっとけよ? 弱かったら承知しねぇ』
うるせぇよ! 文句が多いわ!
スコーピオンは言いたいことだけ言って壁の無効に消えて行った。
「クソが……初めての戦闘で大敗北じゃねぇか!」
拳を地面に打ち付ける。そうだ、友奈の様子を見に行かなければ……。
「高嶋さん!! 高嶋さん!!」
切羽詰まった千景の鳴き声。その声を聞いて俺は動けそうにない身体にムチを打ちながら友奈の元まで走る。
どうやら既に若葉も来ているようで、その表情は真っ青だった。
そして……
「やっぱりか……」
友奈の容態はだいぶ酷い。元々一目連を使用したあとの状態で身体に負担のかかりすぎる酒呑童子を宿したんだ。身体中がボロボロになっている。今も所々から出血していてこのままでは死んでしまうかもしれない。だからこそ……
「……凍てつけ」
一度友奈の身体を完全に凍らせる。
「貴方…高嶋さんになにを!!」
「落ち着けよ」
「落ち着いていられるわけないでしょ!! 高嶋さんの身体を見てなんとも思わないの!!」
もう何も聞こえない。意識が遠のきそうだ。でも、今ここで意識を失えばせっかく凍らせた三人の氷が溶けてしまう。取り敢えずアイツらが病院に運ばれるまでは意識を保たなければ……。
「どうして……仲間がこんな状態になってるのにどうして平気そうにいられるのよ!」
「やめろ千景! 優斗が何も感じてないわけないだろ!」
「うるさい! 貴女に何がわかるのよ!」
千景、胸ぐらをつかむのをやめてください。意識が……俺の意識が遠のくから……。
神樹の施した結界である樹海化が解けていく。ちょっと遅いな。
完全に樹海化が解けると凍りついた三人を見てひなたが血相を変えてどこかに電話を掛けている。あの様子から見ておそらく病院だろう。というか、病院以外にどこにかけるのだろうか?
「……! …………!!」
ひなた、どうした? 何を言っているんだ? ごめんな、何も聞こえねぇよ。
あぁ、今にも倒れそうだ。ダメだダメだ。まだ倒れるわけにはいかない。なのに……俺の身体は言うことを聞いてくれないようだ。
ゆっくりと後ろに倒れていく。
「おっと……ちょっとどころか、かなり無茶をしたようだね。もう安心してくれ。あの三人は僕が病院に運んだから……安心して寝るといいよ」
そうか……じゃあ、ちょっとだけお休み。
「うん、おやすみ」
誰かの声を聞いたのを最後に、俺の意識は真っ暗になった。
春風ストーリーいりますか?
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ぜひ書いてほしい
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書かなくていい
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第一章・乃木若葉の書を書き終わったらで