できれば感想ください。自分ではこの作品の評価とかよくわからないので……皆さんが実際にこの作品を読んでどう感じたかを聞いてみたい。
そこはあたり一面真っ白な世界。空からはらはらと雪が舞い降り地面に消える。そんな世界には一つの王座があった。
黒と金の色が特徴的な椅子には誰も座っておらず、そのすぐ横にマフラーを巻いた青年が立っていた。
「おや? こんな世界に客人が招かれるとは……不思議なこともあるものですね」
青年は薄く微笑みを浮かべると、脇に挟んでいた大きな本を開く。
「ではここで自己紹介を……私の名はウィルダム・ユットマン。この世界を管理する者です。気軽にウィルとでもお呼びください。さて、この本によれば……後に西暦最強と呼ばれることになるかもしれない黒き勇者井嵩優斗は、スコーピオン・バーテックスによって殺されてしまった仲間を蘇らせるために死者蘇生に関する資料を漁ることになります。その途中不思議な本を見つけて……おっと、読みすぎるところでした。これから先は皆様自身の目で確かめてくださいな」
そう言って本を閉じた青年――ウィルが王座を後ろを通ると、光りに包まれ何も見えなくなる。
私達の初戦闘は敗北に終わった。何もできずに仲間を二人も失い、友奈は酒呑童子を宿したことで全身血まみれの状態で病院に運ばれた。
千景は友奈のあの状態を見て顔を真っ青にして倒れてしまった。アレから一週間が経ったが、今も部屋に籠もっているのだろう。それほどまでに衝撃だったと私は思う。
私以上に死を急ぐような戦いをしていた優斗は、春風さんの家で眠っているらしい。春風さん曰く「誰も死なせたくないというその想いが、あの三人を生かそうと必死になっていた」らしく、今までの優斗を見ている私としては変わったなと思うと同時に、それほどまでに人の死を見てきたんだなと思った。
私はもうあのような無様な姿を晒したくない。何もできなかった。二人を殺されたときも、友奈が酒呑童子を宿したときも、優斗が血を流しながら戦っていたときも……何一つできなかった。
「若葉ちゃん、もう休まないと……」
「ひなたか、大丈夫だ。これしきのことでは私は倒れん」
「いえ……そういうことでは」
ひなたの言いたいこともわかる。千景の戦意喪失、友奈の入院、そして私達以上に努力家で強い優斗が居ない今戦えるのは私だけだ。
私が今ここで倒れてしまっては四国を守るものがいなくなることを心配しているのだろう。
「だめだ! 君はまだ寝てなきゃいけないんだよ!」
この声は春風さんか……? 一体大赦になんのようだろうか? 確か今日は優斗の様子を見るために休暇のはずなのだが。
「このまま眠ったままでいられるかよ。アイツらはまだ死んでない。だからまだ間に合うはずなんだ!」
「無茶だ! まだ君の体力は完全ではないんだよ!?」
優斗か!? なぜここに……見れば隣りにいるひなたも困惑している。
「何しに来たんだ? もう起きても大丈夫なのか?」
「若葉か……別にこれぐらいは大したことはないさ。あの三人に比べれば、な」
いや、そうなはずはないだろう……お前も大概動けるはずのない傷を負っていたはずだと思うのだが……?
「俺には……寝ている暇なんてないんだよ。まだ間に合うはずなんだ……まだ。だから大赦にある死者蘇生に関する本を片っ端から貰おうと思って」
優斗……お前、そこまで私達のことを考えてくれていたいたのか。ならばその想いに私も応えたい! そのためにも今よりももっと強くならねばならないな。
「それじゃあ、俺が言えた義理じゃねぇけど身体を壊さねぇ程度に鍛錬しろよな」
「ふっ、余計なお世話だ」
お互いに笑みを浮かべその場で別れる。春風さんはなぜか私達を見て微笑ましそうに見ていたが……。
「ふふ、優斗さんもだいぶ私達の事を信じているみたいですね」
「そうだな……さて、鍛錬を再開するとしよう」
「またですか!? もう、くれぐれも身体を壊さないようにしてくださいね!」
「わかっているとも。ひなたにはいつも迷惑を掛けるな」
〜〜井嵩優斗〜〜
「くそ! どの資料を探しても蘇生術に関する伝説が載ってねぇ!! このペースじゃあ、いつまで経ってもあの二人を目覚めさせることができねぇ!」
イライラが募ってしまい思わず机をぶん殴ってしまう。ダメだ。こんなんじゃダメだ。
無意識のうちに勇者の力が上乗せされた拳は人を余裕で殺せるほどの威力がある。そんな力で殴られた机は見るのも悲惨なボロボロとなった。
「……はぁ、ちょっと外の空気吸いに行こうかな」
ボロボロの破片となった机の残骸を片付けて本を本棚にしまう。その最中に、俺はとある本を見つけた。
「……何だこれ?」
それはさっきまではなかったはずの白い本だった。試しに本の中を開いても何ま書かれておらず白紙の状態。これではとてもではないが本とは呼べない……なのに、俺の頭がこれを読めと言っている。
面白そうだ。もしかしたらなにかわかるかもしれない。そんな確信が、俺にはあった。
「取り敢えず今日は帰ろう」
そう思い白紙の本を持って部屋から出る。
『全く……天の神も何を考えてんだか』
〜〜〜〜
「相変わらず何も書いてねぇな」
本来なら絶対にやらない歩き……なんとかというのをやっている。言わば本を見ながら歩いているのだ。そんなことをしていれば人とぶつかると思うだろう? その心配は皆無だ。なにせ俺達勇者(と言ってもほぼ俺だけだが)は勇者の力を得たことにより身体能力が格段に上がっている。そのため目の前に人がいればすぐに気配でわかる。
今も、そしてあの白き星が降った日も、俺達は死ぬか生きるのかの瀬田際に立たされながらも人々を導いてきた。
蓋を開けてみれば生きる欲望に塗れた醜い人間を見てしまう。なぜこんな奴らのために俺達が傷つけられねばならないのか理解できない。あくまで俺はそういう考え方だ。だけど、ほかは違う。
友奈や若葉は必死に勇者としてそんな醜い人間を救おうとしている。その姿が俺には眩しかった。輝いて見えた。
「まぁ、今は気にしてもしょうがないか」
正直勇者としての使命とかどうだっていい。仲間を……若葉達を守ることさえできれば他がどうなろうと別に構わない。
「飯でも食うか……」
空を見上げれば太陽は沈みかけている。時間帯的にもお腹が空いてきた。
「確かこの辺に、前若葉と球子が勧めてくれた美味しい鶏焼きがあるんだっけ? ちょっと行ってみようかな……ん?」
二人が雛か親かで言い合いしていたのを思い出してくすりと笑う。その時、なにやら視線を感じた。
敵対心があるわけでも殺意があるわけでも悪意があるわけでもなさそうだ。どちらかといえば未知に対しての恐怖感と警戒心といったところか。
「俺になにか用事でもあるのか?」
「……驚いたな。まさか気づかれるなんて」
後ろから声がする。声の感じからして同い年くらいの少女の声だ。後ろを向けば黒髪の少女が電柱の後ろから現れた。
「あんなにも警戒心と恐怖感を向けられたら、逆に気づかないほうがおかしいと思う」
「それもそうか」
「で、お前誰だよ?」
なんとなくだが……目の前にいるこの少女はただの一般人じゃない気がする。なんだろうな……若葉や友奈とは違う、どちらかといえば、ひなたに近いだろう。
「ボクかい? ボクの名前は■■◆◆だよ」
聞いたこともない名前だな。なのになぜ、ひなたと同じような巫女の気配がするんだろうか? 見た感じでは一般人なのに。
「お前も……巫女、なのか?」
少女が――◆◆が少し驚いた表情を見せる。この様子からして巫女なのは間違いないと思いたいが。
「違うよ。ボクはそんな特別な力なんてない」
◆◆はそれを否定した。まるで忌み嫌っているかのように。平凡でいることを望んでいるかのように。でも、その平凡もまた嫌っている感じがする。
「そうか。では、改めて聞くが……俺になにか用事でもあるのか?」
「大したことは特にないよ。ただ、噂になってる黒い勇者を見てみたかっただけ」
おそらく今のは嘘だろう。
「でも、そうだね。君には一つだけ言いたいことがある。忠告でもあるかな?」
「……なんだ?」
「もうこれ以上ゆうちゃんに近づくのはやめてもらえないかな?」
これから先どうなるのやら。
おまけ
井嵩真奈は重度のブラコンであり、将来兄と結婚するんだと本気で思っている、らしい。
次回もおたのしみに!
春風ストーリーいりますか?
-
ぜひ書いてほしい
-
書かなくていい
-
第一章・乃木若葉の書を書き終わったらで