「冬城、配信始めるけど大丈夫?」
「だだだだ大丈夫……」
無理っぽいな、これ。私はその声を聞いてそう思った。
コラボ配信の5分前、冬城のディスコ通話越しの声は震え声に沈んだ声という配信者にあるまじき状態だった。
ダメダメなアタシは誰も愛してくれないぞ。最近V界隈でも流行ってるボカロ曲を思い出しながら、私はなんとか冬城のテンションを上げようと声をかける。
「そんな緊張しなくても。企画でもないんだから事務所の時と同じようにダラダラ駄弁りながら緩くやればいいでしょ」
「で、でも、アタシ、誰かと配信するなんてこれが初めてだし、配信中に急に喋れなくなったらどうしようって……うう、発表役を押し付けられて陰キャ拗らせて断る事も出来ずに黒板の前でなんにも喋れなくなった高校生の時のグループワーク思い出しちゃった……おなかいたい」
「そんな事ある?」
おっと、思わず反応してしまった。悲しい陰キャあるあるなんて聞いている暇はない。
「ソロ配信ならバッチリ面白い配信できるんだから。いつも通りやればいけるって」
「コラボ配信をソロと同じようにやれるなら陰キャなんてやってないよう……」
「それはそう。でも、口答えできるならなんとかなるでしょ。配信中でもちゃんと殴りかかってきてね。こっちも配信中はキャラ作ってイジり倒すから」
「……もし、アタシが何にも言えなくなって配信事故ったらゴメン、ね?」
冬城が申し訳なさそうに小さな声で謝る。あれだけ色々やったけど、自信をつけさせるにはやっぱり配信を成功させるしかないらしい。
コラボ配信といえど、今日はFPSを2人でやるだけ。なんでもない配信だが、冬城のこれからの活動、ひいては私たち3期生のこれからの活動のためには大切な一歩目だ。それに……
「配信事故ったなら事故ったでいいでしょ。それなら次の配信で事故らないように色々考えるからさ。オフコラボでもドッキリでも百合営業でも企画でも、何でもやるよ」
「アタシが駄目駄目でも、また一緒に配信してくれるの……?」
「冬城がコラボを『苦手』じゃなくて、『やりたくない』って言うまでは何回だってコラボするよ。当たり前じゃん。あと、配信事故った時は冬城だけじゃなくてフォロー出来なかった私も悪いんだからね。連帯責任だよ、連帯責任。少しでも私に申し訳ないって思うなら、この配信で『アタシだってちゃんとやれるんだぞー!』って私を安心させてよ」
「……うん。うん! アタシ頑張る!」
とりあえずやる気は引き出せた、かな? 配信中も保てばいいけど。
冬城が前向きな意思を見せたところでちょうど配信開始時間が訪れた。
「時間だね。始めるよ」
「うん……!」
合図を出して、私は配信開始のボタンを押した。
◇
「配信始まるよー……はい、配信始まった。みんな聞こえてるー? 音量チェックするから冬城、声出して」
「わっ……わっ……」
こんみゃー
いつもの声量の半分も出てない
ワッ……!
声小さい
「声ちっさいって。おら、もっと腹から声出せ」
「ひん……」
音量上げてやれw
ことちゃん始まる前からよわよわじゃん
「こいつ初めてのコラボでド緊張してんの。野良とももふゆきっず*1もみんな笑ってやってねー」
「だ、大丈夫だし、やれるし……!」
あっ……(察し)
なんとかしろあきみゃ
不安しかない
コメント欄は冬城の様子を見て、既に心配の声で溢れかえっていた。
冬城の配信の方のコメント欄は見てないけれど、多分向こうもこっちと同じような感じなんだろうな。
そう思いながら、音量調整を行っていく。
「じゃ、音量調整も終わったし改めて。こんみゃー、秋宮ゆららとー」
「冬城ことは、です!」
「二人合わせて3期生ちっちゃい組でーす」「ですっ!」
背も胸も足りてない
自虐が過ぎる
哀れな程薄っぺらな……
「お? 背も胸も足りてない……? お前ら、喧嘩なら買うぞ?」
「ちっちゃいのは背の事ですー! 胸はそのうち大きくなるし!」
「冬城は3期生の冬担当だから貧しいけど、私までちっちゃいグループに入れられるのは納得いかないみゃ。こちとら豊穣の秋担当やぞ。脱いだらばいんばいんやぞ。マッマにいくらでも盛ってもらえるんやぞ」
「冬担当は関係なくない!?」
はいはいすごいすごい
盛るな
盛るという発想が出てきてる時点で…
[うにたら子]ロリには盛りません
草
マッマもよう見とる
「たら子マッマ見てるし。マッマには裏でロリ巨乳の良さを布教するとしてー。今日は冬城と初コラボみゃ。BPEXやってくぞー」
「わ、わー……!」
私の言葉に合わせて、冬城がいまいち乗り切れてない声で相槌をうつ。
なんでBPEXで2人コラボ?
たまちゃんとか呼べばよかったのに
「あっ、ほら冬城、BPEXなのになんで2人コラボって聞かれてるよ」
「えぅ……やっぱり聞かれる?」
「あのね、冬城にいきなり3人コラボとかさせたら絶対事故るだろ。みんなわかってないみゃあ。まずはタイマンで無理矢理喋らせないとね」
コラボ地蔵は見ててこっちも辛くなる
同期の絆()
ことちゃん、そんな陰キャだったのか
「『え、陰キャ極めすぎてコラボできないwwwって話してたの本気だったんですか!?』……本気に決まってるだろー!」
「草」
向こうのコメント欄に流れてきたコメントなのだろう。冬城がキレていた。
「まあ、そんなおもしろいおもちゃ……ゴホン」
「秋宮?」
「間違えたみゃ。そんなかわいそうなぼっちの冬城のコラボ処女を私がいただいて大人のレディにするのがこのコラボの目的でーす」
「なんだろう。言い直してるのに馬鹿にされてる気がする……」
言い方w
一応アイドルやぞ
同僚を食い散らかすな
「はい。トークはこれくらいで、そろそろゲームやってこうか」
「う、うん」
「ちなみに私、FPSはほぼ初心者なんで。冬城がそこそこやってるから今日は姫プしてもらいまーす」
「が、頑張る!」
トークを適当な所で切り上げて、ゲームを始める。
無難な初動から敵と交戦することなくアイテムを回収していく。
「敵もいないし、しばらくは暇そうだねー。冬城なんか話そうよ。会話デッキは持ってきてるでしょ?」
「え? スウーッ……今日は、天気いいね」
「そうだね」
「……ひん」
天気デッキはもう環境落ちしてるぞ
会話を広げようとする意志をもて
コミュ障をイジメるな
「天気きっかけで会話を広げるのは難しくない? コメント欄なんか話してほしい事ある?」
「ふゆきっず~、助けて~」
あきみゃが同僚アイドルを誑かしてる件
デートの話ちゃんとしろ
ことちゃんとワンナイトしたってホント?
リスナーに話を振るとコメント欄が冬城とのデートの話で埋まった。
「そういやデートの話って私からしてなかったっけ。冬城は雑談配信でちょっと話してたよね」
「恥ずかしいからほとんど喋ってないけど……」
「じゃあ、私からもちょっと喋っちゃおうかな。この前、二回目のデートしたんだー。二人っきりでカフェとか服屋行ったんだよねー」
個人的に楽しむな定期
正妻が黙っていませんよ…
「足が出るスカート着せた時に『あ、あてぃしにこんなの似合わないって……』って照れながら言ってきたの可愛かった。完全にその時の冬城は萌えキャラだったね」
「アタシの真似下手すぎない!?」
草
そんな声出せるのかw
モノマネ無駄にうまくて草
「みんなモノマネ上手いって言ってるけど?」
「う、裏切りものぉ……」
実際似てるし…
本物よりかわいい
「だいたい冬城とはもっとすごい事したし、こんな事で恥ずかしがらなくてもいいじゃん。食べさせあいっことかポッキー……」
「わー!? わー! 敵きた! 敵来たからその話はやめてぇ!?」
「しょうがない、倒してから改めて……」
「ダメーーーー!」
kwsk
おい、そこまで言ったなら最後まで話せ!
ことゆらもガチやん……
◇
125:名無しのV ID:BMMq8h6Or
おつみゃー
最初はどうなるかと思ったけど、全然事故らなかったね
ことゆらてぇてぇ
129:名無しのV ID:f/HrWg3kG
あきみゃも何だかんだ言って、話題振ってあげるのやさしい
というか二人ともそれなりにゲームも上手いんだよな
132:名無しのV ID:RfuOhS/UW
ことちゃんはともかく、あきみゃ初心者であれだけできるならこれからが期待できそうやな
あと、裏でやってる百合は百合営業なんだろうか…?
137:名無しのV ID:3SRNoGnWO
あれだけ営業うんぬん言ってるのに表に出さないのホンマ…
いいぞもっとやれ
140:名無しのV ID:5ifQktNks
ことちゃんは反応可愛いからからかいたくなる気持ちはすごくわかる
143:名無しのV ID:MaotpOvp3
女誑し……いや、純愛だからセーフ
147:名無しのV ID:9Oow5X6uk
>>143
同期に手出しまくってんだよなあ…純愛とは?
さくやさんも時間の問題でしょ
152:名無しのV ID:eaAg9ebqe
あきみゃ、完全にオタクに優しいギャルなんだよな
ことちゃんが懐くのもわかるというか…
156:名無しのV ID:uuv6B9xX3
百合ハーレムはそれはそれでアリ
161:名無しのV ID:tkJxhog53
>>152
無理矢理手を引っ張って自分の知らない世界に連れて行ってくれる女の子、オタク好きがち。僕もソーナノ
163:名無しのV ID:uuvdk26k
ことゆらとたまゆらどっちを推せばいいんですか!?
167:名無しのV ID:nfnU2hG
>>163
どっちも推せ