秋宮ゆららは青を喰む   作:Ni(相川みかげ)

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29.【雪山人狼】おおかみですよろしくおねがいします【秋宮ゆらら/@Link】

 

「はーい、自己紹介も終わった所でそろそろ一戦目始めていこっか~」

 

 水無瀬先輩がそう促す。

 今日は水無瀬先輩が集めてくれた3期生4人とべる先輩、アザミ先輩、エレノア先輩に水無瀬先輩自身をあわせた8人でのゲームコラボ配信だ。

 やるゲームは私たちがデビューする少し前にV界でも流行りだしたPROJECT:WINTER、通称雪山人狼と呼ばれるゲームで、タスクをこなして雪山を脱出するのが勝利条件のサバイバー6人と、サバイバーが脱出できないように妨害してサバイバーを全滅させるのが勝利条件である人狼の役割のトレイター2人に分かれて戦う、名前の通り人狼系のゲームと聞いている。

 配信前にこのメンバーで操作方法の確認がてら軽くお試しでプレイした感じでは、パッションやアクションでなんとかなるので人狼とは全然違うゲームだなと感じたけどね。

 

「それじゃコメ欄消すねー。ばいにゃ」

 

ばいにゃー

がんばってー

がんばー

 

 ゲーム開始と同時にコメントからのネタバレを防ぐためにコメント欄を消す。

 スタート地点のキャビンへ場面が変わると、今回の自分の役職が発表された。

 

あっ

早速トレイターか

トレイターきちゃ

相方エレちゃんか

殺せええええええ

 

「おっしゃ殺すぞー」

「やるぞやるぞー」

「おっしトレイター」

『エレちゃん先輩どします?』

『全員殺そう!』

『りょですー。壊しましょう』

 

物騒w

クソガキコンビだ

殺る気満々だあ…

 

 開幕の喧騒に紛れてトレイターの初期装備である青のトランシーバーで仲間のエレノア先輩と会話をする。

 このゲームはゲーム内ボイスチャット式で、ゲーム内の距離が離れている相手とは会話ができないのだが、同じ色のトランシーバーを持っている相手となら距離がどれだけ離れていても秘密の会話ができる。

 そのトランシーバーを最初から持っているトレイターのアドバンテージは大きい。その代わりに序盤に死んだときにトランシーバーを持っているとトレイターである事がバレたり、他のトランシーバーを持てないといったデメリットもあるので気をつけないといけない。

 まあ、全員殺せば問題ないか。

 

『経験者狙ってガタガタにしたいっすね。水無瀬先輩イっちゃいますか』

『ナミちゃんは二人がかりでもワンチャンキツくない? アザミ殺ろう』

『じゃそれで。上手い事3人か4人になりましょ』

「アザミー、物資探しに行こー」

「おっけー」

 

 初動で武器をみんなが作った後に、エレノア先輩がアザミ先輩を誘って上の方へと探索しに行く。

 私はまだ周りに人が多かったので、怪しまれないようすぐには追わずにキャビンの周りで物資を漁る。

 

「冬城ー、食糧作ったら修理素材集めに行こ」

「う、うん!」

 

おこた…

ぼっちでいるから……

ついでに殺っちまうか

 

 他の面々が下の方に探索に行く中、一言もしゃべらずに黙々と薬草を刈っている冬城に声をかけると、嬉しそうな声で返事をして私についてきた。

 まあ、今から殺すけどね。すまんやで。

 

『冬城ヤってから上で合流します。返り討ちにあうかもなので、トランシーバーで話しかけるの禁止で。私からの返事なければ察してください』

『マジ!? いってくれ!』

「わ、こっち修理素材いっぱいあるよ!」

「ふーん、良かったね」

「えっ」

 

 建物の中にあった素材が入っている箱を漁り私に報告をする冬城に、私は適当な返事を返して無防備な背中に鎌を振り下ろした。

 呆然とした声を漏らし立ちすくむ冬城にさらにもう一撃追撃を加える。

 

「ちょっ、えっ早いって!? やめっ死ぬー! 最初に死にたくないー!」

「や、やってんの秋宮じゃん!? 嘘ついてますコイツ! 誰かぁ!」

 

ことゆらてぇてぇ…?

ムーブが狂人すぎる…

てぇてぇじゃん

迫真の悲鳴を上げながら殴るなw

 

 誰にもバレないように初期地点から少し離れた場所で犯行に及んだが、万一誰かに聞かれている時の対策で私は悲鳴を上げながら、冬城に攻撃を仕掛け続ける。

 建物の入り口に陣取っている私がいるせいで逃げ道がない冬城は手にした武器で応戦してくるが、同じ武器で同じダメージしか与えられない以上、先にダメージを受けている方が不利なのは明白だ。

 

「あう!」

 

 体力がゼロになり、冬城がダウンする。

 

「ひん、ゆるして、あきみやぁ、たすけてぇ……あっ、死ぬ! 死……」

 

無言で草

こーれ、DV現場です

あー、サイコサイコ

うわぁ!急に冷静になるな!

愛の鞭だね

 

 殺した相手に命乞いされてもなと思いながら無言で殴り続け、完全に殺しきると冬城の声は聞こえなくなった。ごめんね……

 

「……ぬ! あー!死んじゃったあ!」

「よし」

 

よしじゃないが

まずは1人

ビューティフォー…

鮮やかな手口だったね()

 

「それじゃあ次は……っと」

「……うん?」

 

 このゲームでは、死んだプレイヤーの皮を被るとそのプレイヤーの見た目と表記になって擬態する事ができる。

 した所で声でバレるからほとんど意味がない場合が多いけれど、今は配信中なのでなるべく面白いプレイを意識した方がいいだろうとの判断で、私は冬城の死体を漁り、声を作る。

 

「あ、あ、あー……あてぃしの勝ちぃ~! 私に歯向かうからこんな事になるんだよ秋宮ぁ~」

「ちょおおおっ! 乗っ取られたんですけどぉ!?」

 

似てるw

おこたの中すごくあったかいナリ~

キマシタワー

生意気おこたの真似かわいい

ことゆら合体(意味深)しちゃったね…

 

『エレちゃん先輩、冬城殺りました。ここから先は私が冬城なんでよろしくお願いします』

『おお! ナイスぅ……うん? どゆこと?』

『私がトレイターの秋宮を返り討ちにしたって設定です。今の私の見た目は冬城です』

『いや草。とりまアザミ殺るか』

『りょ』

 

 よし、後は……

 

「だれかぁ~。誰もいないのぉ……? 秋宮がトレイターです! ひぃん、あてぃし、一人ぼっちはヤダよぉ~」

「アタシ、そんな事言わない」

 

誰もいない所で面白い事をするなw

なんで逃げてるのに拠点の方に行かないんだよw

おこた、死んだあとも辱められてて草

 

「……おこたちゃんの声聞こえない? なんか泣いてるけど」

「ぷっ……ホントじゃん。おーい、おこたちゃーん」

「あっ、気づいてください先輩!」

 

 冬城のモノマネをしながら、トレイターだけが開けれる物資の入ったチェストを開けたりしてしばらく進むと、遠くの方から声が聞こえてきた。

 

「あっ、スゥーッ……せ、先輩だ……たまちゃん、さく姐どこぉ……

「めっちゃ声小っちゃくなってる……おこたちゃん、怖くないよー」

「……ぷぷっ」

「秋宮さあ……先輩もこれ気づいてないよぉ……」

 

バレてないなこれw

流石に草

エレちゃん笑ってるやんw

 

 怯えた声を出すと、アザミ先輩が優しい声で呼びかけてくる。

 エレノア先輩は噴き出すのをやめてほしい。バレちゃうから。

 そうこうしている内に視界の先に先輩方の姿が見える。

 このゲームは下方向の画面表示が若干狭い。この位置ならば私の姿が見えていない可能性もあるだろう。

 まあ、見えていてもやる事は同じだ。私は先程チェストから見つけた銃を構えた。

 

『エレちゃん先輩、ちょっとアザミ先輩から離れてください。銃で撃ちますんで追撃お願いします』

『わかった!』

「あっそうだ! えとえと、秋宮がトレイターで! さっき襲われて! えっと、それからえーっと……」

「うんうん、落ち着いて……」

「死んでください」

「ちょーっ!?」

 

これアザミちゃん視点サイコすぎるだろw

判断が早い!

おこたこわ…

 

 銃声が響く。多分当たったけど、反応が薄くてわからない。

 とりあえずこのまま撃ち続けるか。

 

「おらっ! これがあてぃしのエイムじゃ! おりゃおりゃ!」

「痛っ、痛いっ! ってかあきみゃじゃん!?」

「あてぃし、冬城! あてぃし、冬城!」

「モノマネが急に雑!? はーちゃん2対1で殺ろう!」

「さっきまでも大概雑だって!」

「了解!」

「私じゃないってえ!?」

 

連携うまくハマったなあ

ないすぅ!

 

 エレノア先輩が後ろから斬りかかり、アザミ先輩がダウンする。

 

「2対1でやった!」

「ナイスゥ!」

「ひどいぃ……あんまりだぁ……」

「おら、ぱーんち!」

「ぱんちぱーんち」

「いたいぃ……イジメないでー! あ」「っ……ワイ死んだ」

「なんかごめんなさいです……」

 

クソガキたすかる

これがイジメの現場です

クソガキ共がよ…

 

 エレノア先輩と寄ってたかってダウンしたアザミ先輩を殴って殺しきる。

 

「いやー、ナイス秋宮! すっごい気持ちよく決まったなー!」

「上手くハマりましたねえ。……ノリでやっちゃいましたけどここから先どうしましょうか?」

「流石に4人で行って2人で帰ると怪しまれるよねー。秋宮はおこたちゃんの皮被っちゃってるし、このまま単独行動して、私が向こうに戻って潜伏にする?」

「逆にしましょうよ。そっちの方が面白いし」

 

 序盤に2人落とせたならもうだいたい勝ちだろう。それなら面白いプレイに重きを置いた方が得だ。

 向こうにはたまがいるけど……まあ、しばらくの間はバレないだろう。たぶん。

 

「秋宮、思ったよりアグレッシブだねー。じゃあそうしよう。トランシーバーはそろそろ傍受されてもおかしくないし使用は慎重に、だからね!」

「わ、わかりましたぁ! あてぃし、がんばる!」

「あ、もうモノマネ始めるんだ」

「む、ムカつく~~~!」

「おー、怒ってるおこたちゃんレアだ……ありがてえ」

 

 

 

@Linkについて語るスレ ○○スレ目

 

468:名無しのV ID:8qFE+aq4U

雪山人狼面白かった~

おこたちゃんがどんどん人を信用できなくなっていくのホント草

 

470:名無しのV ID:a/0a1L5c7

あきみゃinおこた、顛末まで含めて最高だった

 

475:名無しのV ID:upctk5YZC

>>468

1戦目:あきみゃに即死させられ皮被られ生き恥

2戦目:あきみゃを警戒して、ついていったたまちゃんの仕込んだ毒で毒殺

3戦目:さく姐についていくも最後の最後で銃殺

4戦目:「俺はソロだ……(半泣き)」

おお…もう…

 

480:名無しのV ID:XbLS267nE

>>470

あきみゃinおこた「たしゅけてぇ……あてぃし、斬りかかられて……あっ、アザミ先輩が倒されてっ、トレイターは秋宮とエレノア……」

たまちゃん「(無言でニコニコしながら殴りかかる)」

判断が早すぎる

 

485:名無しのV ID:AVhY7jEHb

>>475

不憫かわいい

 

490:名無しのV ID:tm+OLgFH1

>>480

この後の試合も懲りずに、おこたの声でトランシーバー使ってふざけ倒してたの草なんだ

あきみゃ「あてぃし、この戦いが終わったらアイドルになるんだ……」

おこた「あてぃしの声で変な事言うな秋宮!」

あきみゃ「あてぃしの夢を否定しないで秋宮ぁ!」

さく姐(トレイター)「2人共あてぃしあてぃしうるさい!」

おこた「ひん、あてぃし悪くないもん……」

なみちゃん(ニコニコしながらトランシーバーをトレイターボックス内に捨てる)

 

491:名無しのV ID:pWMchaC9y

>>480

秋宮ゆらら過激派オタクすぎる…

 

496:名無しのV ID:rMXM3lhic

>>475

4戦目は不憫に思った先輩達に優しくされてて良かったよね

同期はもう少しこう何というか…手心というか…

 

497:名無しのV ID:kc6FUNRph

>>480

トランシーバーで即死した事を伝えられたエレちゃんほんと…

 

500:名無しのV ID:DkWKhTt0k

>>475

たまゆらはトレイターの時にサイコの片鱗出しすぎなんだよなあ…

こんたまー!こんたまー!(アザミちゃんを殴打)

 

505:名無しのV ID:P6CCRInZO

>>497

あきみゃ「すみません、たまに殺されます。私の事は見捨ててください」

エレちゃん「即死じゃんwww」

あきみゃ「思い出したけど私、狼じゃなくてねこ……(死亡)」

エレちゃん「(大笑い)」

とはいえ1戦目のクソガキコンビ面白かったわ

 

508:名無しのV ID:g5pzHGghi

>>500

(倫理)ゆるふわ系

 

513:名無しのV ID:rmg36MH54

>>496

おこたとべるちゃんが陰キャ繋がりで仲良くなったの草なんだ

 

517:名無しのV ID:ov4S9KZKF

>>513

べる「ぼ、ボクの傍から離れないでねえ」

おこた「あ、ありがとうございましゅ、す」

ぎこちないやり取りほんとすこ

この後なみちゃんに2人共やられるのも含めてすこ

 

520:名無しのV ID:rRrVjaV6F

>>500

殴られて嬉しそうな声出すなきりおじ

 

 

 




マシュマロ
→自由に使ってください。こっちも自由に使います。

キャラ設定まとめ思ったより時間かかりそう。気長に待ってて。

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