見た目は子供頭脳はアニオタなブラック鎮守府再建記   作:暁桃源郷

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提督が来た③

一五〇〇。

そろそろ皆が遠征から帰ってくる時間だ。

そんな中提督は未だに料理をしている。

材料は案外すんなりと通って一時間ほどで到着した。

しかし何故こんなに作る必要があるのだろうか?

軽く100人前はある。

 

「・・・・・・提督、何故そんなに作る必要がある?食べるのは提督だけだろ?」

「長門よ。これは持論だが食事は料理の腕云々よりも皆で食べることが美味しさを引き立たせると思っている。いいか?料理に必要なのは腕ではない。心だッ!心が必要なのだ!」

 

提督が米とルーを皿に盛り付けて私の前に差し出す。

提督の顔とカレーを見比べる。

提督は不思議そうにこちらを見てくるが私は迷っていた。

 

「食べて、良いのか・・・・?」

「それ以外にそのカレーをどうするんだ?」

「・・・・・・・そうか」

 

私はスプーンを手に取りカレーを口に運んだ。

 

「・・・・・・美味しい」

「ならいい」

 

提督が再び手を動かし始める。

提督はエプロンを脱いで畳むと私の隣の椅子に掛けて私の前に座った。

 

「さて、本題だ。食べながらでいいから答えてくれ」

 

静かに喋りだしてまっすぐ私を見る。

 

「長門、ある程度君の反応を見て分かったことがある」

 

さらに視線が鋭くなり嫌な汗が流れる。

ただ思ったことは結局彼も今までの提督と同じなのではないかと言うことだった。

 

「ここって、そんなにブラックな職場なのか?」

 

予想の斜め上の質問にカレーを喉に詰めてしまいむせる。

背中を優しく擦ってくれる提督を見ると朝から警戒していた私がバカみたいだ。

 

「・・・・・・正直に言ってあまり待遇が良いとは言えないな。だから全員で遠征に出払っている。・・・・戦艦や空母は主に哨戒だがな」

 

提督が何かを考え始める。

考え始めてから十数分。

ようやく顔を上げる。

 

「ではまずその状況を改善することにしよう。とは言え私はおそらくそんなことをできる地位ではない。長門、君が変えるんだ」

「・・・・・・・・」

 

何をいっているのだろうか?

私が変える?

変えることが出来なかったからこの鎮守府にいる私が?

 

「・・・・・・言っている意味が分からない。提督は一兵器である私に何を求めているんだ?」

 

私の質問に提督は机を叩く。

いきなりの事に食べていた手が止まった。

 

「今、自分の事を兵器と、そう言ったのか?」

「・・・・・・あぁ」

 

提督が目を瞑って大きく息を吸って吐く。

カッと目を見開きいきなり私の胸ぐらを掴み顔をよせる。

こんなか細い腕で私を引き寄せる力に驚きつつも身体が強張る。

 

「アホな事言っとんちゃうぞ!おまん等みたいな綺麗で可愛い娘が兵器な訳あるかい!兵器は喋るんか?兵器に感情あるんか?兵器は長門みたいに涙流す・・・・って涙ァ!?」

 

頬を触ると何か暖かい液体が頬に付いていた。

それが何か気付く前に提督は私から手を離す。

 

「とにかく、私は荷物を提督室に置いてくる。皆が帰ってきたらカレーを出してくれ」

 

それだけ言うと提督はそのまま食堂を出ていってしまった。

しばらくその場で呆然としていると何人かの足音が聞こえてきた。

 

夕立、只今任務から帰還したっぽい!」

 

白露型四番艦の夕立が入ってくる。

 

「いい匂いっぽい!長門さんが作ったっぽい?」

「いや、これは・・・・」

 

新しい提督が作ったものだといい掛けて言葉を飲み込む。

彼女もまた心無い提督の被害者の一人だ。

もし新しい提督が来たが来たと知ったらどうなるのか想像が付かない。

 

「・・・・・・それはそうと他の皆はどうした?夕立一人か?」

 

話を変えて何とか誤魔化す。

私の質問に夕立が笑いながら答える。

 

「皆はまだ補給してるっぽい!」

「そうか。なら、旗艦の誰かが提督室に・・・・?」

 

待て。

提督は先ほど私になんと言って食堂を出た?

確か、「提督室に荷物を置いてくる」そう、言っていた。

 

「・・・・・すまない夕立。少し用事を思い出した。皆にも言ってカレーは食べておいてくれ!」

 

私は走り出して急いで提督室に向かったのだった。

しかし今の私には知りもしなかった。

まさか提督が・・・・。

 

「ウォォォォ!!!ヤベェよ・・・この年で切れ痔なんてやだよ俺・・・」

 

提督室の前に腹痛でトイレに籠っていた事に。

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