見た目は子供頭脳はアニオタなブラック鎮守府再建記   作:暁桃源郷

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提督が来た⑥

腹の調子も良くなり、あちこち歩き回ってようやく提督室の前に着いた。

ドアを開き部屋に入る。

 

「はぁ・・・・、重・・・」

「な、な・・・・」

 

次に目に入ったのはフフ怖でお馴染みの天龍だった。

・・・・・・え、天龍?

天龍ってあの天龍?

 

「何だテメェは!」

 

ヤベェ!はなしかけられた!

どう話せばいい!

俺は推しの一人に向かってなんて話しかければいいのだ!

 

「・・・・・・・・・・・・・」

「無視すんじゃねぇ!」

 

あぁ!無視してしまった!

と、とりあえず何かしら考えないと!

先ずは時間稼ぎに欠伸だ!

・・・・・・あれ?何か怒ってる?

 

「腹、減ったな・・・・」

「あぁ!?」

 

もっと怒ってない?

お腹空いてるから怒ってたんじゃないの?

と、とりあえず話しかけなければ!

 

「天龍・・・・」

「ッ!?な、何だよ・・・」

 

俺は息を吸ってプラカードに文字を書いて天龍がみえるように掲げる。

 

『遠征ご苦労だった。報告は書類で頼む。一々来るのも面倒だろう』

 

ようやくまともな会話が出来た。

そう思いながら満足げに天龍を見るとさらにわなわなと震えだし、俺は既にどうすればいいのか分からなくなっていた。

 

「ざ、ざけんじゃあねぇ・・・。ふっざけんじゃねぇぞ!」

 

そう言って天龍は艤装の砲口を俺にに向けた。

少し、いや、かなり驚きはしたが、元々ここは艦娘が強いたげられていた所謂ブラック鎮守府。

俺を殺そうとしていても不思議ではない。

 

「さっきからふざけやがって・・・!テメェら提督はそうやって安全な机から偉そうに指示を出すだけだろうがッ!」

 

俺は目をつぶり深呼吸をして引き金が引かれるのを待つ。

推しに殺されるのなら悔いはない。

 

「・・・・・・・今、楽にしてやる・・・」

 

・・・・・・・・・いや、やっぱり怖い。

俺は立ち上がって天龍を驚かしてみる。

うん、驚いている天龍も可愛い。

しかし、それも束の間。

直ぐに天龍は顔を強張らせ砲口を俺に向ける。

次に俺は天龍に近付いていき砲口を自分の額に当てる。

至近距離から見る天龍のご尊顔はやはり可愛く、しかもカッコいい。

世界水準なんてきっと軽く越えているだろう。

 

「な、なんだよ・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「何か喋れよ!」

 

天龍はそう言うが、オタクの俺にとってはリアル推しのご尊顔がある前で声が出せるわけがない。

それでも声を出さなければならない時もある。

だから俺は声を絞り出す。

 

「・・・・・・・・撃ちたいなら撃て」

「ッ!?なん、だと?」

 

さらに、頭で組み立てた綺麗事口から吐き出していく。

綺麗事を口にするだけで吐き気がする。

それでも俺は綺麗事を口にする。

 

「正直に言おう。私は今日初めて提督になった。士官学校にも行ってないしおそらく階級も将校より低いだろう。しかし、腐っても私は提督だ。君達が過去に何がありそこまで提督と言う存在に憎しみを抱いているのか知らないし興味もないが私は提督として君達を守らなくてはならない」

「・・・・・・・・・・・」

 

俺は今どんな目をしているだろうか?

きっと綺麗事を入っている割には希望なんて一切見ていないような目になっているのだろうか?

天龍を見てもポカンとしているだけでよく分からない。

 

「・・・・・・・・それと、しばらく艦隊は長門に任せる」

 

最後にそれだけ伝えて数秒が経過する。

天龍が黙り込み、俺もしゃべれない。

この数秒だけで数時間過ごしたような感覚に陥る。

しばらくして、何かを考えていた天龍が砲口を下ろす。

 

「・・・・・・・・・分かった。だが、オレはテメェのこと提督って認めた訳じゃねぇからな!」

「あぁ、それでいい」

 

一先ず安心してほっと一息つく。

それと同時に本物の天龍に会えたことににやけてしまっている隠すように後ろの窓に振り返る。

外では何やら飛行機が飛んでいる。

空母の誰かが飛ばした物だろうか?

そして、もう一つ、俺はあることを疑問に思い、ところで、と言葉を紡ぐ。

 

「私は何処に住めば良いのだろうか?」

「・・・・・・・知るか!」

 

天龍が叫び部屋を出ていってしまう。

完全に天龍が行ってしまったのを耳で確認し、俺はファーストコンタクトが上手く行ったことに一人の部屋でガッツポーズを取るのであった。

 

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