ハイスクールⅮ×D 血塗られた蒼い薔薇   作:ひよっこ召喚士

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一華


 

 オカルト研究部、グレモリー家が娘、リアス・グレモリーが率いる眷属たちが主を中心に活動する部屋、そこに私を含めて全員が集まっていました。

 

「それでは調査の結果について纏めましょう」

「「「はい」」」

 

 今日は私が入学してからこれまでで1か月、その間に調査したクラスメイト、要するに私と同じ新入生についてが今日の議題になる。

 

「まずは彼の経歴についてね。私の家の情報網も使って調べたけどおかしな所は何処にも無かったわ。ただ彼が養子であるという点が少し気になったわね」

 

 部長の家の力でも調べられないという事は本当におかしな点は無いのだろう。養子であるというのは私も知っている。クラスで実の両親は死んでるという事を男友達と話していたのをよく聴こえる耳が拾ってしまった。

 

「一般人として送り込まれた可能性があるってこと?」

「いえ、それにしてはおかしいのよ。彼が養子になってこの街に来たのは私が管理者になる前の事なの。前任に対しての策ならば前任の時に動きがあるはずだし、私がここに来ることはその時点では誰も知り得ないわ。そもそも彼の存在自体が潜入なんかには絶対に向かないでしょう?」

 

 悪魔と言う種族自体に何かをしたいのであれば彼ほどの存在をこんな場所で使うのはおかしいし、確かに彼を悪魔の領地に潜入させる馬鹿はいないだろう。

 

「あるとすれば悪魔の領地に養子に出すことで手を出しにくくしたとかかしら?」

「逃亡者の可能性……もしそうだった場合に彼が追手に見つかったと仮定してどう動くつもり?」

 

 何かから逃げてここに辿り着いたのだとすればその平穏が少しでも続いていくことを祈るしか出来ない。彼と悪魔が相容れる事はないでしょうから。

 

「そこいら辺の事はソーナとも相談しないといけないわね。後は裏とか関係なく、単純に彼が敵対する可能性についてね。祐斗、小猫」

「では僕から話します。それとなく彼の評判を聴いたところ、悪い噂はなく、むしろかなり人気のある人物のようです。ただ少し気になるのが小猫ちゃんを向かいに行くのを理由にちらっと彼のことを覗いたんですがたぶん気づかれました。僕だと気付くと『ああ、なんだ』と当たり前かの様な反応をしていたので裏の事を知らないという訳では無いと思います」

「ええ、最低でも聖書の3陣営については知ってると思います。その上で敵対する事は無いと思います」

「どうしてそう思うの、小猫?」

「彼、私が近くにいると気付くと直ぐに力を抑えてくれているんです。敵に配慮する者はいないでしょうし、この学園に来たのは偶然だと思います」

 

 最初はお互いに距離を測りかねていたが、最近では席も近いので多少は話すこともあるが危険は感じない。

 

「それなら良いのだけれどまだ断定はできないわ。こちらから動かなくても注意ははらっておくべきね。とりあえずは警戒しつつ、観察を続けて行くことにしましょう」

 

 こうして今日のオカルト研究部の活動は終わった。私も部長の眷属としてその命令に従う。しかし、彼のことを警戒出来るかが少し悩みだ。

 

 


 

「と言う訳でしばらく監視させてもらいます」

「それをボクに言っちゃダメだと思うけど、それじゃしばらく監視させられます」

「ありがとうございます。……もぐもぐ、この焼き菓子美味しいですね」

「どういたしまして。小猫ちゃんが喜んでくれたなら持ってきて良かったよ。とは言っても近くにいると辛いでしょ?監視と言ってもちょっと離れてた方が良いと思うけど」

(いばら)くんが抑えてくれてるので平気です。茨くんが抑えるのが大変なら離れますが……」

「簡単とは言えないけど力を抑えるのは慣れてるから気にしなくて良いよ。だけど悪魔にこの光の力は毒でしょ?無理はしないでね」

 

 駒王学園、一年の百華(ひゃっか)(いばら)。人間であるはずの彼はその身に大きな光の力を持っている。その力は下級の悪魔であれば触れられただけで死にかねないほどだ。悪魔にとって恐ろしい力を持っていながら優しい彼をしばらく命令を理由に見ていくとしよう……そう思っていたが監視の時間は直ぐに終わりを迎えた。

 

「小猫、茨くんをここに今度連れてきなさい」

「はい……」

 

 基本的には接触しない様にとも伝えられていたのにバッチリ近づいていた私は部長に怒られた。くれるお菓子が美味しいから、何気ない話が楽しいから、理由はいくつかあるが、命令を破ったうえで仲良くなった事を報告せずにいたのは流石にまずかったみたいです。

 


 

「今日もいい天気だ。この様子なら体育はグラウンドでしょう」

 

 この駒王の地に住み始めてからもう10年は経ちますが、()()出来る様になったのは本当に嬉しいですね。おかげで高校からは学校に通える様になったのですが、こうして通学路を歩いていると嬉しさが溢れるようです。

 

「おっ!よう茨!!」

「おや兵藤先輩、おはようございます」

 

 この人は1つ上の学年の兵藤一誠先輩だ。ちょっとした間違いはあったものの登校初日に優しく話しかけ、学園を案内してくれた。

 

「チクショー、なんでお前女じゃねぇんだよ!!その顔でニコッと微笑んで優しく挨拶なんかすんなよぉ……分かっててもドキッとしちまったじゃねぇか!!」

 

 そうこの先輩は早い話、女性の事が大好きでボクの性別を見間違えて優しくしていたのだ。女性関係だとダメな先輩だが男だと分かってからも色々と教えたり、会うと必ず挨拶してくれますし、きっと根の優しい良い人なんだろう。まぁ、先輩の女性を追う目を見ると男で良かったとたまに思いますがね。

 

「ハハハ……それで先輩はいつもこの時間に登校なんですか?ボクは今日は日直なのでこの時間なんですが」

「日直なのか大変だな。俺はちょっと用事があって早く来たんだがそうだお前も一緒に来いよ」

「用事ですか?まぁ、行ったほうが良いならご一緒させて貰いますが……」

「なら決まりだ。急いでいくぞ着いて来い」

 

 ボクが同意すると素早く腕を掴んで走り出した。ボクは落ち着いて転ばない様に兵藤先輩に合わせて足を動かした。そのまま怪し気な場所に連れ込まれて……みたいな事はなく、駒王学園に着き、荷物を置いたらまだ人の少ない階段の踊り場に集合した。

 

「兵藤先輩、何を、なさっているのでしょうか?」

「おい、裏切り者が!!」

「なぜ女子がこの場に来ている!!」

「ギブギブギ、違う、ソイツは男だ……ぐへぇ」

 

 そこにいたのは2年生の有名人、松田先輩と元浜先輩、兵藤先輩を合わせね変態3人組と呼ばれている方達だが……ボクは来る場所を間違えたのかもしれないと感じた。

 

「それでコイツを巻き込むって訳だ。一年のマスコットの片割れであり、女子に人気な茨がいれば怒るに怒れない筈だ」

「なるほど、流石はイッセーだな」

「やる事がどことなく姑息だな」

「うるせー!!と言う訳で、今日は朝から2つの運動部が練習すると言う情報が入ってな。覗きに行くぞ」

「すみませんが帰らせて貰います」

「そう言うなって、お前も男だろ?」

「男ではありますがそれとこれとは別です。犯罪の片棒を担ぐつもりはないんですょ」

「いいから行くぞ。元浜、松田、お前らも引っ張れ」

「「任せとけ」」

 

 そのままボクも覗きのポイントに連れてかれた。抵抗しようと思えば出来たが、問題は起こしたくないし、怪我をさせてしまう可能性を考えると出来なかった。そして情報が漏れている可能性を考えた女子たちによって先輩と一緒にボクも捕まった。

 

「次私ね」

「そろそろ交代したら」

「後ちょっとだけ」

「いいから交代!うわぁ小さいし柔らかい。て言うか肌がぷるぷるのモチモチじゃない。羨ましい〜」

「すみません。そろそろ帰して頂けないでしょうか?」

「ダメよ。変態3人組に騙されたとはいえ乙女の肌を見たんだから」

「もうちょっとこのままお人形役ね」

 

「さぁて、コイツラはどうしましょうか?」

「茨ちゃんみたいに可愛くもなんともないしね」

「ソフトボール部のバットがあるよ」

「いっそのこと男子の野球部にあるバット持ってきましょう」

 

「チクショー、なんでバレたんだよ?!」

「てか羨ましいぞ茨ァ!!」

「なんで女子に抱きつかれてんだよぉおおおお?!」

 

 兵藤先輩達は天井から吊るされボールを投げられたり、バットで叩かれていた。少し可哀想に思ったが自業自得だし、先輩達の所為でボクも捕まったのだし、庇えないかな。結局授業が始まるギリギリまでボクはおもちゃの様にもみくちゃにされていた。授業の準備はしていたのでそちらは良かったのだが、問題は別にあった。

 

「……へぇ、日直の仕事をすっぽかして随分楽しそうですね」

「いや、楽しくはなかったんだよ。だけど任せっきりになってごめんなさい。もしかしなくても怒ってるよね?」

「いえいえ、怒ってなんかいませんよ。変態に巻き込まれたのには同情します。ですが私が何かあったのかなと心配しながら日直の仕事を一人で黙々とやっていたのが馬鹿馬鹿しくなっただけなので気にしないでください」

「本当にごめんなさい。ボクに出来ることならなんでもするから許して」

 

 そう言うと小猫ちゃんはまだ怒ってる様で顔を赤くしてボクを睨んできた。

 

「何を言っているんですか!?そ、そんな事で、な、なんでもするなんて軽々しく言わないでください!!」

「ご、ごめんなさい。でも本当に何か償いはするよ。何かボクに出来ることはない?」

「はぁ……それじゃあちょうど言いにくかった事があるので言わせてもらいますよ」

「うん」

「部長から貴方をオカルト研究部に連れて来るようにいわれました。なので今日一緒に来てくれませんか?」

「それって()()()()()()()()

「はい、迷惑になるかなと思ってなかなか言い出せなかったのですが罰ならちょうど良いです」

「うん、それで償えるなら行かせてもらうね」

 

 どうにか許してもらえた様で良かった。人間じゃなくて悪魔だとしても学校で初めての友達の小猫ちゃんに嫌われなくて良かった。でも悪魔がボクを呼ぶとなると面倒にならないと良いんだけど、まぁ()()使()よりはマシだろう。

 


 

(なんですか、なんでもするって、申し訳無さそうな顔であんな事言われたらどうしようもないでしょう。しかもそう言われてドキッとするってぜったいにないですよ。顔が赤いの気付かれてないですよね。あーもう、なんなんですかこれは!?)

 


 

 今日は朝から大変だったけどこれからの事を考えると疲れたなんて言ってられないですね。これから小猫ちゃんと一緒にオカルト研究部に顔を出さないといけないんだからね。オカルト研究部の部室がある校舎に来たけど、なるほど知らない人は近づけない様になってるみたいだ。

 

「既に部長たちは部室に居るはずです」

「案内ありがとう。それじゃ、入らせてもらうね」

 

 オカルト研究部だからか、それとも悪魔の拠点だからかは分からないがどことなく怪しげな雰囲気が感じられる。だが危険は感じられないのでそのまま部室内に足を踏み入れた。そして部屋の中を見渡すと名前だけは知ってる有名な方々の姿を見ることが出来た。そして嫌な気配を感じ、そちらへと視線を向けるとそこには憎き、怨敵である種族の血を引く者が居た。

 

「堕天使……」

 


 

 部室に現れた彼、百華茨は小猫に連れられて万人に受けそうな優しい笑顔を浮かべていた。来てもらったお礼と挨拶をしようとした瞬間に表情を顰めてただ一点、そこに居る相手を見つめて固まった。

 

 堕天使と言う言葉で自然と視線が女王である朱乃に集まる。彼女はハーフの堕天使から転生した悪魔だ。仮に彼が裏の事情を知ってる理由が堕天使との何らかの確執だとすれば……そこまで考えた所で一端考え込むのを辞めて朱乃の反応を見る。

 

 朱乃は自身が堕天使の血や力を引いている事を嫌っているから彼の反応は複雑なのだろう。どこか暗い表情を浮かべ、悲しさともどかしさ、自分への怒りが混ざっていると言った所でしょう。

 

 茨くんと朱乃の視線がぶつかり合い、互いに何をするでもなく固まっている。その場の空気も二人に合わせるかのように固まっている。このままでは埒が明かないと状況を動かすために私が声を掛ける。

 

「いつまで見つめ合ってるつもりかしら?呼び出して置いて勝手だけどそろそろ自己紹介を始めたいのだけど」

「あっ……はい、すみません。あの朱乃先輩、その……」

「いえ、謝罪はいりませんよ。過去に何があったのかは人それぞれですし、事情は訊きません。ですが貴方が堕天使に思う所が在る様に私も堕天使は嫌いです。私の事は堕天使でなく悪魔として扱ってください。それだけはお願いします」

「はい……」

 

 

 

「色々とトラブルはあったけど改めて自己紹介するわね。まずは私から、グレモリー家が次期当主、上級悪魔のリアスグレモリーよ」

「私は姫島(ひめじま)朱乃(あけの)、リアスの眷属で駒は女王ですわ」

「僕は木場(きば)祐斗(ゆうと)、リアス先輩の眷属で駒は騎士だ」

「知ってるでしょうが塔城(とうじょう)小猫(こねこ)、駒は戦車です」

「オカルト研究部はあなたを歓迎するわ」

 

「一年で子猫ちゃんと同じクラスの百華(ひゃっか)(いばら)です。よろしくお願いします」

 


 

 茨くんとの自己紹介の後は互いに質問し合う時間になった。裏の事をどれくらい知っているのか、オカルト研究部は普段何をやって居るのか、そう言った基本的なことくらいで、部長も茨くんの事情を訊こうとはしなかった。そうして敵意どころか害も無いだろうと判断したのか部長から茨くんに一つの提案が持ちかけられる。

 

「それで茨くん、私の眷属になる気はあるかしら?貴方の事情は知らないけどグレモリー家は眷属を必ず守るわ。この町に居るのであれば眷属になった方が過ごしやすくもなるわよ」

 

 それは勧誘だった。リアス部長の眷属の枠はまだかなり空いている。女王に副部長、騎士に祐斗先輩、僧侶はギャー君、戦車に私がいるが、それでも戦車、騎士、僧侶が1つずつ、それと兵士の駒が8個とかなり残っている。これからの事を考えれば優秀な眷属を増やそうとするのは当たり前な事だ。私もドキドキしながら茨くんの答えを待つ。

 

「ごめんなさい。ボクは悪魔には成れません」

「そう、残念だわ」

 

 茨くんは悩む事もせずに断った。リアス部長も断られる可能性が高いと考えていたのか残念そうではあるが納得しているようだ。

 

「だけど裏の事情を知って居る人をそのままにはしておけないわ。その力の事もあるしオカルト研究部に所属はしてくれないかしら?」

「それくらいでしたら大丈夫ですが、ボクが居たら迷惑だと思いますが……」

「居るだけならそこまで問題は無いわ。そこの心配は要らないわよ」

「なら入部します。これからよろしくお願いします」

「ええ、眷属では無いけど同じ部の仲間よ。これからよろしく頼むわよ」

「ふふ、よろしくお願いしますわ」

「よろしく、何かあったら頼ってくれて良いからね」

「茨くんもこれからは一緒ですか、ふふっ」

 

 こうしてオカルト研究部に新しい部員が加わった。これからの部活の事を考えると楽しくなりそうで自然と口が綻んでいた。

 

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