ハイスクールⅮ×D 血塗られた蒼い薔薇   作:ひよっこ召喚士

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ニ華


 

 

 

 オカルト研究部に所属してからも茨の生活は特に変化はなかった。体質の事もあり、報告さえしていれば部室に毎回顔を出す必要もなく、その報告も監視役を継続している小猫が行っている。

 

 この街を拠点とした生活を茨はかなり気に入っている。必要以上に波風を立てる事はない方が良いと適度な距離で過ごしてきた。あの忌々しい連中の気配を感じ取るまでは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕天使(クソ烏)が……」

 

 

 

 

 

 

 街の中に入り込んでいる堕天使の気配、碌に隠しもしないで力を行使しているのか、それとも程度が低いのかは知らないが確実に居る。

 

 街から、いやこの世から駆除したい気持ちがあふれる。だけどそれをしてしまうと確実に目をつけられてしまう。部長は誤魔化せるだろうが、そのバックは違う。

 

 烏とボクだと光の質が違い過ぎる。不審に思われて調査されてしまえば誤魔化すのは難しいだろう。ただでさえ警戒しているのに、これ以上は面倒では済まない。

 

 小競り合いが絶えない3陣営だが外へ向けた外交などの面から一方的に攻撃するのは憚られている。裏での駆け引きや闇討ちが主になっている現状で部長が動くとは思えない。

 

「待つしかないか?」

 

 イライラして仕方がないが我慢するしかないだろう。ボクの立ち位置を考えるとしゃしゃり出るような真似は迷惑にもなる。

 

 

 

 

 

そんな甘い考えがいけなかった

 

 

 

 


 

 

 ここ最近の茨くんの様子は少しおかしく思えました。何かを隠している……というよりは何処か無理をしている様に思えます。

 

「茨くん、何かあったんですか?ここ最近、元気がないように見えるんですが……」

 

「ん?いや、具合も悪くないし何もないよ」

 

 そう言って笑ってみせる彼の表情は表面上はこれまでと変わりないものに見えた。だけど、どこか無理をしている様にも感じられた。

 

「そうですか……なら私の勘違いですね」

 

 追求する気にはなれなかった。踏み込まれたくない事があるなんてことは私もよく知っている。話したくないのに訊くような事は出来ない。それでも忘れないうちに伝言だけは伝えておかないと

 

「今日はオカルト研究部に顔を出してください」

 

「……なんでかな?部室に呼ばれるなんて珍しいね」

 

「部長が茨くんに伝えておく事があると……茨くん?」

 

 伝言を伝えると苦い表情を浮かべた茨くん。なにやら思い悩むようにブツブツと私でも聞き取れない声で何かを呟いていた。

 

 

殺しておくべきだった……

 

 


 

 

 イライラを伝えない様に、力を隠すように、感情も押さえつけ部室に出向く。すると見知った顔ぶれの中にさらに見慣れた顔を見つけた。

 

「えっ、茨がなんでここに?!まさか、お前も悪魔な…のかぁ…あぁ」

 

「耐性も無いのに茨くんに近寄ればそうもなります」

 

 エロに関することで問題ばかり起こしているどうしようもない先輩だが、優しい先輩だ。法的には間違ってはいるが人間としては真っ直ぐな先輩だった。

 

「…リアス部長、なんで兵藤先輩が悪魔になっているのか説明を聞かせて貰えるんでしょうか?」

 

「ええ、もちろん。とはいっても、イッセーが神器をもっており、才能があったから眷属に誘っただけよ。イッセーもハーレムを目指すと頑張ってるわ。そうよね?」

 

「えっ、ああ!!俺はハーレム王になるんだ!!」

 

 くだらない、つまらない、やさしくもない、都合が良いばかりのウソ、嘘、うそばっか。

 

「そうですか、あ、兵藤先輩!ボクは特殊な体質で悪魔にとっては毒な身体なので強くなるまで近付き過ぎると危険ですよ」

 

「ってことは悪魔ではないんだな。不思議な体質もあるんだな。それとも俺が知らなかっただけでこういう体質の奴って居るんですか部長?」

 

「いいえ、とても珍しいわ。それと悪魔でなくてもこうして顔を出しているから分かるでしょうけど同じ部活に所属はしてもらってるから仲良くしてね」

 

 大丈夫です。と笑顔で答えている兵藤先輩。吹っ切れた?そんなに簡単に死が乗り越えられるとでも思っているのか?

 

「なるほど、兵藤先輩との顔合わせでしたか、他に何か伝達事項とかはありますか?」

 

「いいえ、今日はそのために来てもらったわ。体質も含めて説明するなら直接会うのが一番でしょう」

 

 伝える気はないようで、やはりかと納得しつつも何処か落胆している自分がいる。

 

「そうですね。知ってればうっかり近寄って兵藤先輩がダメージを負わなくていいですからね」

 

 話を合わせ、そのまま用件が終わったので適当な所で部室を出ていく。結局は同じ穴の貉、悪魔もどうしようもないなんて知ってた事だろう。

 

 

 


 

 

 

「あ、お帰りにゃん」

 

「此処はボクの家で貴女の家ではないなのですが、黒歌(くろか)さん?」

 

 悪魔相手にイライラを溜めている所にこれまたはぐれとは言え悪魔のお出迎えとはいささか頭が痛くなりそうだ。

 

「何の用ですか?それと()()()とは言え貴女が()()に来るのはどうかと思いますよ」

 

 同じ名のもとに活動してはいるが一枚岩では決してない。むしろ叩けば埃が舞い上がり、バチバチと火花を散らして睨み合い、内部でメラメラと燃え上がるのは確定事項だ。()()()()()()、そんな理由で所属してる者だって少なくない。

 

「茨ちんってば真面目ちゃんなんだからぁ。そうそう、それにもしかしたら私の所属が決まるから無所属では無くなりそうだにゃん。美猴(びこう)は確定としてアーサーにルフェイの2人も入りそうかにゃあ?」

 

 続いた名前も組織の中でもはぐれ者に分類されそうな者達だ。いや、アーサーさんは一応所属はしている派閥があるか…それでもままごとみたいな英雄願望は持ち合わせていないから似たようなものですか。それよりも重要なのは……

 

「まさか勧誘に乗り気なんですか?!」

 

 あの白龍皇がこんな有象無象の集まりに興味を示すとは……龍に呑まれた戦闘狂と言う噂は本当でしたか。それはそれは……

 

「めでたいことですね。お祝いにご馳走でも作りますので良ければ食べていってください」

 

 そう笑みを浮べて提案すると黒歌さんは少し考えた素振りを見せると頷いてみせた。

 

「……それはありがたいにゃ!他のメンバーも呼んでも良いかにゃ茨ちん?」

 

「えぇ、もちろんです。ですが会場のセッティングは手伝ってもらっても良いですか?」

 

 家にある材料でも足りると思いますがせっかくなので色々と買ってきて料理したいですが、そうなるとそっちまで手が回らなくなりそうですからね。

 

「構わないにゃ、美猴にやらせるにゃ!」

 

「ははっ、自分で手伝う気は無しですか。それではまた後で」

 

 とりあえずは肉ですかね。全員それなりに食べるでしょうし、男組はさらに食べますから。それに肉料理は見栄えと言いますかお祝い感を出しやすいですしね。

 

 


 

 

 残された黒歌はいそいそと買い物へ出掛けていった茨を見送り、とりあえず一息ついた。

 

「ふぅ…茨ちんのあの顔は中々に極悪だったにゃ」

 

 それなりの場を潜り抜けてきた自覚があり、実際の実力も高い方である黒歌だが先程の茨の雰囲気には少し圧を感じ、冷や汗が流れた。

 

「分かり切っていた事だけど私達のチーム結成じゃなくて、()()使()()()()()()()()()()()()へのお祝いね」

 

 茨本人は普通に笑っていたつもりだったのだろうが、此処が自分の家で事情を知っている黒歌しか居ない状況故に漏れ出ていた。

 

 その笑みは笑うではなく嗤うと言った漢字の方が合っており、相手が弱る事を歓迎し、その怨敵を処理する時を脳裏に描いていたことだろう。

 

「あんだけのものを抱えてて普段は理性的なんだから、突然のアレは私でも怖いにゃ」

 

 温厚で親切な外面の下にどれだけの物を隠しているのやら。普段が大人しい者がキレた時の方が怖いと言うのは正しいと黒歌は感じた。

 

 少しの時間が経ち、気持ちを切り替えると食事に誘う予定の仲間が居るであろう場所へと向かい出した。

 

「茨ちんも光がなければ子種を貰いたいけど、あれだと受けた瞬間に死ぬ未来しかみえないしにゃあ〜」

 

 自分がもし悪魔になっていなければ、そんな無駄な考えは浮かんだ瞬間に捨てると、なんとか光を無効化して一夜を過ごす方法はないかと考える。

 

「うぅ~ん、()使()()()()使()と戦うのに悪魔の力は邪魔でしかないし、茨ちんの悪魔化は難しいしにゃあ……白音も餌付けされて懐いてるみたいだけど、あれだと進展も難しいし大変にゃねぇ」

 

 その後も合流するまで仙術や魔法、組織で開発された技術や所属しているメンバーの神器等も含めて無駄に高度に淫らな思考を続けるのであった。

 

 


 

 

 来客など黒歌さんがたまに、いやよく来る事以外は無い我が家にこれだけ人が来るというのは久しぶりですね。賑やかなのは嫌いではないですし、それは良いのですが……

 

「流石ですね」

「美味しいです。茨さん!!」

「ウメェなこりゃ!!」

「確かに美味いな」

『歓迎にこれ程のもてなしを用意するとは……含むところはあるようにも思えるがな』

「美味しいにゃ!!」

「……おいしい……うん……」

 

 テーブルに並べられた和洋折衷どころか世界中の料理の数々に客としてやってきた面々からの評価は良いみたいですね。それはさておき……

 

「貴方はなんでこんな所に来ているんですか白龍皇のヴァーリさん?」

 

「招待されたからだ。正確には黒歌から誘われたからせっかくだから顔を見に来た」

 

 黒歌達が組織内でのチームを結成する要となる件の人物であるヴァーリさんはこの場に無関係ではない。とは言えは…

 

「まだ正式に加入が決まった訳でもないのに来ても良いのかと言う話ですよ」

 

 聞いた話ではクソ烏のトップの秘蔵の存在だ。もっと遡るとまた話は変わってくるんでしょうが……でなければあの人達もヴァーリさんに話を持っていかなかったか。

 

『異質な気配と力を持つ男よ。その心配はない』

 

「二天龍が一角、白い龍(バニシング・ドラゴン)のアルビオンさんですね。心配がないというのは?」

 

『あぁ、先の言葉についてはヴァーリの腹が決まっているからだな』

 

「アルビオンの言う通りだ。既に答えは出ている。出された条件も悪くない。なによりアザゼルは和平の為に動いてる。そうなると此方に入る方が戦えそうだからな」

 

 なるほど烏の親玉が和平に向けて動いていると言う話は事実でしたか……鳥類共はもとより相手取るつもりでしたが悪魔が加わるとなると面倒になりかねない。

 

 どうにかして和平を潰す、最悪の場合には再び戦争を起こさせる必要がありそうですね。関係ない悪魔を巻き込むのはボクの矜持に反しますが、その悪魔が敵になるよりは良いでしょう。

 

「なるほど、チームが違いますので関わる機会は少ないかもしれませんがこれからよろしくお願いします」

 

「俺としてはお前とも戦ってみたいんだがな」

 

「こんなとこで茨ちんが戦いだしたら私が消滅するにゃ!」

 

 冗談には聞こえなかったので本当に戦うのが好きなんですね。黒歌さんに止められて諦めていましたが、条件が揃えばまた誘われかねませんね。

 

 そして黒歌さん、こんなとこって酷い言い草ですね。家を貶す意図は無いのは分かりますが、もう少しいい方を変えてほしいです。設備がないとか、結界が張られてないとかあったでしょう。

 

 まぁこれで白龍皇についての問題はなくなりましたが、そんな事よりも重要というか重大と言いますか、なぜこんな所に来たんですか……

 

「オーフィス様?」

 

「ん……黒歌達出掛ける、我ついてきた」

 

 テロ組織のボスが部下の家に遊びに来ないでください…と言いたい所ですがそもそも何を言ってもあまり意味がない位の方ですからね。

 

 何に興味を持たれたのかは知りませんがゾロゾロと家に入ってくる顔ぶれの中に貴女がいたのを見つけた時は白龍皇を見た時よりも驚きましたよ。

 

「茨、我でも見たことない。興味深い」

 

「前々から言われてますがそんなに良いものではないですよ。それにオーフィス様と比べたらちっぽけな力ですし」

 

「ちっぽけ違う、同質の力じゃない、それ故に測りにくい、でも龍王に劣らない、全盛期の二天龍にも迫る」

 

「ほう」

『ほう』

 

 戦闘狂と御本人がいる場所でそんな事を言わないで欲しいんですが……それに貴方達も反応しないでください。

 

「買いかぶり過ぎです。ボクと龍では質が違いすぎますし、実際に戦えばまず敵いませんのでそんな風にこちらを見ないでください」

 

 その後も美猴さんが調子に乗って暴れ出したり、黒歌さんがだる絡みして来たりと騒ぎを起こしながらもパーティは無事……と言えるかは分かりませんが終了はしました。大変でしたし、後片付けもまだ残ってますが……

 

「多少気は紛れましたね」

 

 まだまだ面倒ごとは続きそうですが、良い情報は手に入りましたし、たまに肩の力を抜くのも良いものですね。

 

 

 


 

 

 

 その後、兵藤先輩を紹介されてからはオカルト研究部に呼ばれる事はなかった。あくまで一般人であり、眷属ではないボクを烏に巻き込まない為の処置だろう。

 

 おそらく既にオカルト研究部は相手と出くわしている。兵藤先輩から血の匂いと光の気配をほんの少しだが感じられた。

 

「雑魚とはぐれでは殺した所でパンチに欠けますね」

 

 兵藤先輩が動き回ってるのは見ていますし、リアス先輩も管理者としてアクションを起こす筈です。少し調べればあれ等が独断で動いてるのは分かることですからね。

 

 万が一事が大きくなる様ならこちらも対処は必須。それ故に教会へと向かう先輩達の様子は見守っていましたが……

 

「呆気ない……」

 

 そしてやはり何処までも烏はクソだと言うことが分かりましたね。兵藤先輩の人生を狂わせておいてなお迷惑をかけてから逝くとは……百害あって一利なし、あれ等はやはり生きてるべきではありませんね。

 

 それにしてもアーシア・アルジェントさんですか……なんとも数奇な運命ですね。教会に祭り上げられ、悪魔に狙われ、教会に捨てられ、堕天使に利用され、最後に悪魔に拾われる。

 

 三陣営の全てと関わっていると言うのは敵対関係も含めればそう珍しくもないですが、全てに所属していた人物というのはまぁ少ないでしょう。

 

 悪魔がはぐれエクソシストを拾って眷属にするのは無くはないです。それでもはぐれになってでもエクソシストを続ける連中が素直に悪魔に従う訳でもないので事例は本当に僅かでしょう。

 

 そしてアーシアさん自体は末端も末端、何も知らないただの信者に近い。教会の汚い部分なんて欠片も知らないのでしょう。知らなければ良いと言う訳ではありませんがね。

 

「堕天使が減ったから良しとしましょう」

 

 そして、数日後にはアーシアさんは駒王学園に転入しボクの先輩の一人になった。なんでも兵藤先輩の家に住んでいるそうだ。

 

「はじめまして、アーシア・アルジェントです。よろしくお願いします」

 

「百華茨です。こちらこそよろしくお願いします」

 

 こちらとしてはちっともはじめましてではないんですがそんな事はおくびにも出さないで挨拶には応じた。

 

 ボクの光の力に驚き、何処か尊敬に近い視線を送りながら手を差し出してくる新しい先輩。その手を握ればおそらく簡単に消滅してしまうと伝えると「そうでした……」と落ち込んでいる。

 

 これから先、たまにであるがまた部室にも呼ばれる様になるんでしょう。その時に話をするかは分かりませんが少なからず関わることにはなりそうですね。

 

 

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