Fate/loneliness 4 Fate Grand order -the survival plan-   作:からすまそういち

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第10話

 

 

 第五節 サバイバルプラン

 

 

 常暁城の門の前まで来た。

 すると門がひとりでに空き、城の中から使用人(メイド)が数人出てきた。

 そのメイド達はユークリッドに似た例の人形だった。

「おい、あいつ約束守ってねーじゃねーか」

「とにかく、案内されているなら進もう」

 メイド達は軽く会釈をすると城の内部へ歩いていく。

 ついていけばいいのだろうか。

 警戒をしつつも、私達は彼女達についていく。

 そして、通された場所は巨大な広間だった。

 中心に長いテーブルが置かれてあり、それぞれ向かい合うように椅子が並んでいる。

 テーブルの上には料理とお皿がいくつも並んでいた。

 ここは、食堂なのだろうか。

「お座りください。時期に領主さまが来られます」

 メイドが椅子に座るように促すので私達は座った。

 少し待っていると、黒い服に身を包んだ威厳のある背の高い男が中に入ってきた。

「待たせたな。我が友。そして、――外の人間よ」

 彼は私達とは反対側の席に着く。

「私は君達を歓迎しよう。ほら、料理も用意した。食べるといい。ここまで来るのに疲れただろう」

「テメエ、なんのつもりだ?」

「? 労っているのだが、分からないかね」

「分からないね。何故そうする。俺達が何しに来たかなんて知っているんだろ?」

「いや、知らない」

「は?」

「貴殿らが何しにここに来たのか私は微塵も知らないし、興味もない。そうだな。一応聞いておくか。何しに来たんだ貴殿は」

「おいおい、マジかよ。最後の最後でこれかぁ?」

「リツカ、話してくれ。実は私達も君が何者なのか――知らない」

 シャルルの問いで気付いた。

 そうか。忘れていた。

 自分たちが特異点修復の為にカルデアから派遣されたということを説明したのはクルースニクだけだった。彼以外、私達が何者かを知らない。

 知らないで――戦ってきた?

「えっと、私達は――」

 それから、カルデアについて話した。そして、今この世界がどういう状況なのかも。

「特異点、か。成程。そういう分類になるのか」

 男は合点がいったようで、頷いた。そして、シャルルに向かって言う。

「我が友よ。確かに君は間違っていなかった。ドンピシャに欲しい人材が来たではないか。流石だ」

「……賭けに成功しただけだよ。そういう奴らしか外から来れないだろうと思っただけさ」

「はっはっは。それでも。それでもだ。気分が良くなった。さあ、どんどん食え。さあ」

「……」

 話の流れが分からない。

 でも、料理を食べろと言われているので、食べた方がいいのだろうか。

 一応目の前の男が敵である可能性があるので迂闊に食べることはできない。

「いただきます」

 そんな私の心中を察したのか、シャルルはナイフとフォークを持って料理を食べ始めた。

 平気そうにしている。毒が入っていそうな雰囲気はない。

「我が宿敵から聞いてはいなかったか? ここでは死んでもすぐ復活するんだ。毒なぞ盛らぬよ。そもそも、殺すなら最初から身を剥ぎに行く」

 そう言われ、私とみっちーも料理に口をつけることにした。

 美味しい。どれもスパイスがよく効いていて食欲を増進させられた。

 しかし……

「肉料理しかないのはすまない。私が肉しか食えぬのでな。その代り、ありとあらゆる肉を集めた。豚肉鶏肉牛肉鹿肉馬肉……どれも美味いぞ」

 そういって彼も料理に手を運ぶ。

 素手で肉を握りしめ、それを豪快に口に運んでいった。

「クドラク。君はもうナイフもフォークも使えるだろう。脅しにくるのはやめてくれ」

「……戯れが過ぎた。すまない。人間の作法は美しいが、慣れると獣の心を忘れそうになる。客人の前だけでも、と思ったが、やり過ぎたか」

 彼はメイドを呼んで彼女にナプキンを持ってこさせた。彼はその大量のナプキンで口元と手を拭いた。

「藤丸リツカ。そういえば自己紹介が遅れていた。我が真明(な)はクドラク。ここでは勝手に伯爵を名乗らせてもらっている。君達がどう呼ぶかは自由だ」

「では、クドラク伯爵。質問が」

「なんだ」

「貴方はロキの統治に対して賛成派、なんですよね」

「そうだ」

「でも私達はロキを倒すために動いている」

「そうだな」

「では、貴方と私は敵同士、ということですよね?」

「客観的に見れば、そうだな。敵だ。我はロキから得たこの領地を守るために貴殿と戦わねばなるまい」

「じゃあよ、それはいつおっぱじめるんだ? ディナーの後か?」

「血の気が多いな。我と貴殿らが戦う必要は、()()()()()()

「え?」

「前提条件がまず違うのだ。我が宿敵からも聞いているだろう。『ここでは誰も死ぬことができない』のだ。ならば、生死をかけた争いは不成立。そもそも、真に戦うことなどできないのだ。決着なぞつかないのだから」

「……でも私達は戦って、」

 そうだ。私達は戦ってきた。

 クルースニク。

 カシマレイコ。

 ユークリッド。

 マザー・テレサ。

 私達は戦って――

「あれ?」

「気付いたか。そう何も得ていない。勝利して、貴殿らは何を得た? 我が宿敵は一言でも『賛成派』になるとでも言ったか? カシマレイコはどうだ? 君達の仲間になったか? エウクレイデスは戦いを拒絶しなかったか? マザーは懐柔できたのか?

 いや、何も為してなどいない。戦いによって貴殿らが得た結果は『ここまで来れた』ただそれだけのみ。状況は何も変わっていないのだよ」

「シャルル――」

 私は彼の方へ顔を向ける。

「私達を、騙したな」

「ごめんね、君達に余計な手間を取らせちゃったよ」

「ちょ、ちょっと待て。どういうことだ?」

「みっちー。この世界は、最初から戦う必要なんてなかったんだよ。何故なら決着がつかないから。決着がついたように見えても、それは終わりじゃない。私達は彼らに促されて戦わされていたんだ」

「は?」

「試されていたんだよ。シャルルに、クルースニクに――皆に」

「そう。本当に外から来た奴は使える奴なのかってことを。私達は試していたのさ。私達がロキを倒すのに必要な最後のピースなのかと」

「ま、待て! 話がうまく呑み込めねえ! じゃあ、なんだ。最初から賛成派反対派なんてものはいなくって――」

「そう、我らは既に全員『反対派』なのだ。ロキを倒すべく時間を費やし貴殿らが来るのをずっと待っていた。あとは貴殿らがちゃんと我らが想定していた救世主足りえるのか、ということだけだった。だがその確認ももう終わった。貴殿らがここに辿り着いた段階で、我らの査定は終了しているのだ」

「リツカ、合格だ。君なら後を任せられる。共に――ロキを倒そう」

 シャルルは立ち上がった。

 私達も、立ち上がる。

「でもさ、ここでそんな会話していいわけ? 俺達が戦ったのさ、外でロキが見ているからでもあったんだろ?」

「鋭いな。その通りだ。貴殿らを試すと同時に、ロキには気付かれない必要があった。だが、ここは大丈夫だ。ここが私の領地である以上、ロキは手を出せん」

「それでも感付いてはいそうだったけれどね。でも、それはもう仕方ないや。大広間に行こう、みんなが待ってる」

 シャルルに促され、私達は城の大広間に向かった。

 そこには皆がいた。

 クルースニク。

「話はついたようだな」

 カシマレイコ。

「ふふ、約束、守れた……しゃ、シャルル、わたし、えらい?」

 ユークリッド。

「もうボス戦かー」

 エウクレイデス。

「やれやれ、来てしまったの」

 カカ。

「仕方ないさ。あとはなるだけだ」

 マザー・テレサ。

「世界を正しき方向へ戻しましょう」

 皆が、集結していた。

「さあ、行きましょう。ついにここまで来ました。

 独りよがりの神サマに、三行半叩きつけてやりましょう!」

 シャルルはそう、高らかに宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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