Fate/loneliness 4 Fate Grand order -the survival plan-   作:からすまそういち

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第12話

 

 

 第六節 独神の黄昏

 

 

 全員でクドラクの城を出て、中央の大広場に向かう。

 そして、広場。

 巨像の前。自身の像の台に彼は長い足を組んで座っていた。

 ロキ。

 閉じる者。

 神々の世界を終わらせた者。

 妖艶な容姿。しっかりとした体躯。

 そして、飄々とした表情。

 彼は笑う。

「もしかして、なんだけどさ。束になれば勝てるとでも思っているわけ?」

 ロキは立ち上がった。そして、こちらに向かって歩く。

「ああ、勝てるさ。私達なら」

 シャルルが答えた。

「またぞろぞろとお揃いで。全員寝返ったのか? 一人くらいはこちらにつくかと思ってたんだけど」

「時間ならたっぷりあったからね」

「そうかい。おい、ユークリッド。お前、マスターと一緒に居たいんだろ? ここで死ねば永遠のお別れだぜ? ここじゃ無限に友達ごっこができるんだ。それはもういいのかい?」

「……ごっこ遊びは飽きたんでね。そろそろ、本当の友情ってヤツを見せつける時が来たのさ」

「ふうん、マザーはどうだい? この世界は飢えることがない、素晴らしい世界だろう? 無限に裕福でいられる。ここじゃ困る人間はいない。それはマザーが望んだ世界じゃないのか?」

「確かに。そうなのかもしれません。ですが、私の見解はこうです。私の思想は『人々を飢えから解放する』こと。ならば、人は、人間は飢えを知らなければならない。知った上で、私は根絶するのです。それが、人間が乗り越えるべき壁だと示すために」

「そうかよ。クドラクは……いいや。お前シャルルにべったりだし。シャルルの言うことは全部頷くだけだろ? 言いなり。人形のようにさ」

「我には我の考えがある。我が友とは利害の一致をしたまでだ。この世界は飢えがない。しかしそれは表面上の話だ。我々は、心の底から飢えている。失った友を弔うことすら許されぬ、心の飢えだ」

「あっそ」

 ロキはつまらなそうに首をもたげた。

「誰のおかげで生きていられるか。分かってないのか。一体全体誰がこの世界を支え続けているのか、理解できてねーのか」

「分かってるさ。この世界が維持できているのはロキ、お前のおかげだ。外の世界はメアリー・スーが滅ぼした。その浸食からお前は守ってくれている。この今も。

 だから今のうちに言っておくよ。

 ――ありがとう。

 ここまで俺達を守ってくれて」

 シャルルの言葉を聞いて、ロキが固まった。

「……じゃあさ」

 彼は零す。

「なんでこの世界に居てくれねーんだ。どうして外に出ようとする。外には何もねーって言ってんじゃねーか。お前らも分かってンだろ。この世界を否定することがどういうことか」

「分かってるさ、それでも私達は――」

「分かってねーよ! なんも分かってねー! お前らのそれはただの蛮勇なンだよ。意味がない。全くの無駄。自殺願望に等しい。何故お前らはそこまでしてこの世界を拒絶する? 俺がロキだからか? 所詮壊すことしかできねー神だとでも? 俺が笑顔のステキな優しい女神サマだったらお前達はここに居てくれるのか? どうなんだ⁉ ああ⁉」

「……お前がロキであることには関係ないよ。例え他の神がお前の役割を買っていても私達は同じことをしたさ」

「……それでも、今じゃないだろ」

 ロキは俯いた。

「ああ、そうさ。分かっているとも。俺は人間が越えるべき壁だ。いつかは斃さねばならぬ巨悪だ。だがよ、それは今じゃなくてもいいんじゃねーか。この世界に女が来た。これで交配ができる。そうしたら次の世代が生まれる。それを何代か繰り返して社会を作る。文明を作る。その後でいいじゃねーか。俺が口酸っぱくああしろこうしろ口出してさ。それをお前らの子孫がやっかみだして『こいつもういらねーな』なんて思ってさ。俺に毒を飲ませ暗殺する。そんな終わりじゃ駄目なのか? もっと遊べるじゃねーか。俺達でもっと。この世界で」

「それは、駄目だ。お前がそこまでもつかどうか分からない。もう既に限界なんだろ? 世界を維持するために力を使いすぎてるんだ、お前は」

「もたせてみせる! もたせてみせるさ! この俺が弱っているだと? あり得ない! 俺を誰だと思ってる!」

「……」

 シャルルは押し黙ってしまった。

 私にも分かる。

 ロキは嘘を言っている。

 世界を守って維持して平気だなんて、そんな嘘は。

 本当はどれだけの負担がかかっているかは分からない。

 けれど、彼の顔に現れた焦りからは彼の中の「本当」が垣間見えた。

「私達はお前を否定しに来たんじゃない。お前からその重責を取り除こうと、そう思って集まったんだ」

「俺を除け者にしてか⁉ 隅で密かに集まって俺を殺そうって話をしてたンだろ⁉ ああ⁉」

「……ごめん、でも、これだけは言わせてくれ。話を聞かなかったのはお前の方なんだよ。何を言ってもお前は耳を貸さなかった。だから、お前を乗り越えるしかなくなった」

 ロキは手で顔を押さえた。

「分かった。いいさ。お前たちが出ていくって言うんならこっちから願い下げだ。シャルルとそこの女、藤丸リツカだけは残してやる。人類存続の為に必要だからだ。でもサーヴァントは要らない。ループに必要な聖杯戦争存続のための役割は全部俺が引き受ける。それでシャルル、お前の考えも変わるだろ」

「……」

 シャルルは答えなかった。

「無駄、無駄。無駄なンだよお前たちがいくら手を組んで共闘しようが俺には届かない。決して」

「それはどうかな」

 シャルルはアーチャーの名を呼ぶ。

「は、ここに」

 那須与一は彼の元に現れ、彼に一本の長槍を差し出した。

 その槍を見たロキは大きく目を見開き、振り返る。

 ロキを象った像は大きく崩れていた。

「テメエ、いつ気付いた?」

「お前は言った。ループにはサーヴァントが必要だと。聖杯戦争を模すために七騎が必要なんだ。でもロンギヌスはこの世界の何処にもいない。お前は殺してループさせないと言ったがそれは違う。彼はループに必要だった。でも彼が生きていると都合が悪い。彼の宝具は刺された者を超強化するものだからだ。だからお前は封印した。彼の名を冠するその槍に封じ込めて、自身の像に。彼が姿を消してから現れたのがあの像だったからな」

「ちっ、それで分かったのか。確証なんてないくせに」

「あったさ。私はここ数十年島中を探して回った。そして分かったんだ。この島の何処にもロンギヌスがいないということに。そしてそれは、どこにもいないのではなく、最初からここにあったということだった」

 彼は長槍を掲げた。すると、サーヴァント達が一列に並ぶ。

 そしてシャルルは彼らの背後に回ると、並んだ彼らを一直線に長槍で薙いだ。

「⁉」

 一人一人背中が切られていき、端のクルースニクにまで刃は届いた。

「ロンギヌス。それは傷つけた者を殺し、三日後に強力な神性を与えて復活させる聖なる槍。これで、私達を強化する!」

 ロンギヌスを引き刃先を手元に寄せると、彼は自身の腕さえもその槍で傷つけた。

「この世界はループの所為で時間が狂っている。その上、お前はこの世界では死んだ瞬間に復活するというルールを付け加えた。それにより、ロンギヌスで傷つけられたものはその場で復活し神性を得る。これが私達の、切り札だ!」

 見栄を切ってみせるシャルル。

 そして、サーヴァント達に後光が差す。

 それはシャルルの宣言を証明していた。

 しかしロキは動じなかった。

 むしろロキは肩を上下させて大笑いする。

「まさか! それで俺に届くとでも⁉ はっはっは! 笑わせンなよ! 隠してはいたがたかだかロンギヌスごときで俺の神性を上回れると思っていたのか⁉ くーくっくっく! 面白れェ! たかが神の子! 本物の神に敵う筈がねェ! それで俺と戦うつもりか⁉」

「ああ、お前に引導を渡してやる。

 ――宝具、解放」

 全員が、ロキを真っ直ぐに見据えた。

「――聖なる十字剣(スヴェティ・クリーシュ)

 クルースニクは剣を構えた。

雨夜、されど一人(わたし、きれい?)

 カシマレイコは笑い声をあげた。

ああ、素晴らしき我らが栄光(エウクレイデス)

 エウクレイデスとユークリッドは手に厚みのある本を持った。

全て捨て奉仕せよ(マイ・レヴォレトリィ)

 聖女は祈りを捧げた。

我死せず夜が明けようと(スヴィタニア・ゾムリエチ)

 クドラクは人狼に変身しながら高らかに雄たけびをあげた。

扇穿つ一矢(おくしまいっせん・よいのあと)

 那須与一は弓を大きく引いた。

神死する人間の槍(ロンギヌス)

 シャルルは手に持つその槍を天高く掲げた。

 全員が、ロキを確実に捉えていた。

 シャルルが呟く。

「リツカ、光秀。貴女達は後方で支援を。できるだけ力は温存してください。貴方達の仕事はこの先にあります」

「は、はい」

「おっけー」

 私達も構えた。

 戦争が、始まる。

「……いいぜ。お前達がその気なら、そうするさ。今からループを一時解除する! お前らサーヴァントは全員根絶やしだ!」

 ロキは(くう)から剣を取り出した。

「――魔鳥滅ぼす輝きの剣(ロプトル・レーヴァテイン)

 その剣は、紅く輝いていた。

 禍々しいほどに光る紅。

 燃え滾る炎を連想させるそれを、ロキは握りしめた。

 そして彼は剣から放たれる紅く刺々しいオーラを身に纏う。

 それもまた、焔。

 炎剣から噴き出た炎に包まれたかのようだった。

「フォーメーションA! ロキを食い止めろ!」

「「「了解‼」」」

 クルースニク、マザー・テレサ、ユークリッドが前に出た。

 ユークリッドは大量の人形を地面から生やし、生成しながらロキに突っ込んでいく。

 その間シャルルはクドラクの背後につき、ロンギヌスで彼を刺した。

 そして刺しては抜き刺しては抜きを繰り返していく。

「何してるんですか⁉」

「彼は誤った殺され方をすると強くなって復活する。殺して蘇った者を強化するロンギヌスとは相性抜群だ。これで死亡と再生を繰り返しながらクドラクをロキにまで辿り着かせる――」

「そうはさせるかよ――」

 ロキが一歩前に出た。ユークリッド達を蹴散らしながらこちらに向かってくる。

「邪魔させるか!」

 クルースニクがロキの前に立つ。ロキの刃を剣で受けた。

「俺達もいるもんね!」

 ユークリッド達はロキの足を掴んだ。一人また一人と波のようにロキに掴まって動きを奪っていく。

「テメエ、増えることしか能のないくせに……ッ」

悔しいか?俺達に負けるのが(わたし、きれい?)

「ハッ、んなわけねーだろ――っておい、今のは!」

「――答えたな」

 カシマレイコはロキの隣についていた。耳元で囁くほどの近さで彼女は宣告する。

 そして、彼の左腕を掴んだ。

「ばっ、やめ――」

「――あはは」

 ロキの腕を、彼女は引き抜いた。

「ぐああぁぁぁぁぁああぁぁああぁぁぁぁあぁあ‼」

 左腕を千切られたロキは悶える。

「やった! やったわ! シャルル! わたしも役にたって――」

「このォ! ゴミクズがァ!」

 ロキは思い切り炎剣を薙いだ。剣からは炎が噴き出し、鍔迫り合いをしていたクルースニクや足止めをしていたユークリッド達は吹き飛ばされる。

「――あ」

 そして、その乱暴な一撃はカシマレイコの身体を横一文字に両断した。

 真っ二つにされた彼女は斬撃に身体を流されるかのように吹き飛び、地面に叩きつけられ、跳ねる。

「切華‼」

 その様子を見たシャルルの手が、止まった。

「我が友よ、行け。彼女に別れを告げられるのは我が友だけだ。あとはこちらでやる」

「クドラク……」

「槍を渡すのだ。早く」

「分かった、ありがとう」

 シャルルはロンギヌスをクドラクに渡し、カシマレイコの元へ駆け寄った。

「切華!」

 シャルルは彼女の上半身を抱きかかえるように持ち上げた。

「わたし……わたしやったわ。どう? えらい?」

「うん、うん……切華はよくやった。頑張ったよ」

 カシマレイコの目が朧に霞んでいく。彼女は手でシャルルの頬をなぞった。

「ああ、ああ、シャ、ルル」

「なに?」

「――わたし、きれい?」

「ああ。君はとても――綺麗だ」

「ああ、よかっ――」

 カシマレイコ、もとい渡島切華は、光の粒となって消えた。

 彼女の最期の表情は、とても、穏やかなものだった。

「あああああああああ‼」

 身もだえ続けるロキ。彼は我を失ってブンブンと炎剣を振っている。

 その波動で大地は割れ、炎が立ち込めるようになった。

 我を失ったロキは最早炎の斬撃を飛ばす爆破装置になり下がっていた。

 そして、その装置は無造作に斬撃を飛ばし、

 一つの斬撃がシャルルを捉えた。

「危ない!」

 私が身を乗り出すよりも速く、彼はシャルルの前に出て盾となった。

「マスター!」

 那須与一だった。

 シャルルを覆うように壁となり、炎の衝撃から彼を守った。

「マスター。大丈夫ですか」

「アーチャー……」

「私のことはよいのです。私はマスターのために身を捧げると誓ったのですから」

 那須与一の身体は炎上し続けている。あれではあと少ししかもたないだろう。

「マスター、暫く暇を頂きます。ああ、ああ――最期に私の名を、呼んではくれませんか。今の貴方のサーヴァントである、私の名を」

「そんなの、何度だって呼ぶさ。与一。君はボクの友達(サーヴァント)だ。ずっと。これまでも、これからも」

「ああ、有難きお言葉――」

 那須与一は頭を垂れ、膝をついた姿勢のまま炎と共に光となって消えた。

「我が友! 早く我の背に!」

「分かった!」

 シャルルが走ってクドラクの元に戻り、ロンギヌスを受け取る。その間に吹き飛ばされたクルースニク達も体制を立て直したようだった。再びロキの元へと向かう。

「あああああああ‼」

 悶え続けていたロキが目を覚ました。彼は炎剣で千切られた左腕の断面を焼き塞いだ。

「くそが。この俺様の腕を持っていくだと? あり得ねえ、あり得ねえ!」

「それがあり得るのですロキ。貴方が定義したこの世界では」

「マザー……ッ。しぶといババアめ」

「泥臭くてもいい。地道に築くのが私の信条なので」

「まだ終わっていないぞロキ! お前はここで斃す!」

「俺達もまだまだいるもんね!」

 クルースニク達がロキに突撃する。しかし、ロキはやはり強力だった。

 片腕を失った状態でもクルースニクと互角に渡り合う。

 襲い掛かるユークリッドの波も炎で弾き飛ばした。

 マザー・テレサの銃弾を浴びても平然としている。

「――神の子に俺が止められるものか」

 規格が違うンだよ、と彼は言う。

「大人しく俺に管理されていればよかったんだ。そしたら俺に殺されることもなかったんだ。分かるか⁉ 無駄なンだよお前らのやっていることは!」

 彼は血の涙を流す。

 その涙もすぐに灼熱の蒸気で蒸発した。

「――もっと遊んでいたかった。それだけなのに」

 彼の左腕の欠損部分から炎が噴き出す。

 それはまるで新しい腕かのように形作られている。

 その腕でマザー・テレサの首を掴んだ。

「マザー!」

 クルースニクが叫ぶ。

「よいのです!」

 彼女もまた声を張り上げる。

「ロキ。人が前に進むには犠牲が必要です。それが人の営みというものです。神と人の歩みは違うもの。貴方には理解できぬ選択をするのもまた人間。その時貴方が取る行動がこれだというのなら、しかとその眼に焼き付けることです。貴方が今殺す存在を。さあ、この私を殺してみなさい! 私は退かない! 媚びない! 絶対に! それが私を作り上げてきたものだ! 私を支持してくれた人達を私は忘れない! それが私に許されたたった一つの誇りなのだから!」

「マザァー!」

 ロキは掴んだ彼女を引き寄せた。

 マザー・テレサは銃を手放す。

 そして、その手でロキの頬を撫でた。

 蒸発した血の涙の跡をなぞる。

 それだけで彼女の腕は燃え落ちた。

 それでも、聖女は微笑む。

「痛々しい。それでも私達は戦わねばならなかった。もし、出会ったのがここでなかったならば、私達は共に食卓を囲む仲になったでしょう。――ロキ」

「俺を憐れむな。ただのニンゲンが」

「ふふ、すみません。こういう性分なもので」

 

 その時、聖女は思った。

 長い旅だったと。

 その旅は生前とはまた違った苦しい歩みだった。

 でも、得られたものが多くあった。

 愛するマスター。仲間たち。

 そして、気付き。

 彼女が本当にすべきだったこと。

 それは、今目の前で別れたくないと駄々をこねる悪戯の神様に寄り添ってあげることだったと。

 彼女は最期に気付いたのだった。

 

「――ロキ。貴方に祝福があらんことを」

 聖女はそう言って、焼け落ちた。

「マザーも逝ってしまった。シャルル。もう我が行かぬとまずいぞ」

「分かった。行こう」

 シャルルはクドラクにロンギヌスを渡した。

「お前の力を見せてやれ!」

「ああ。――うぉぉオオォオオオ■■■■■■‼」

 クドラクは槍を受け取ると、高らかに吼え、ロキに向かって走り出す。

 それは荒ぶる獣の咆哮。

 言葉に聞こえぬ野生の波動。

 しかし、その一言だけはしっかりと聞こえた。

「■■■■■■■■■神死する人間の槍(ロンギヌス)■■■■■■■■■■‼」

 クドラクはロキに突きを繰り出した。

 ロキは両手で炎剣を構え、その刃で突きを受ける。

「■■■■■■■■■■‼」

 クドラクは叫びながらロキに突進を続ける。

 しかし、ロキの身体は動じなかった。

「ははは、これが。これが切り札だと⁉ この程度、受けきってみせる!」

「ああ、これからが――切り札だ。

 フォーメーションB!」

「「「ああ!」」」

 クルースニクとユークリッド、エウクレイデスがクドラクの隣に立つ。

 そして、彼らもロンギヌスを握った。

「「俺達の力も籠める!」」

「はは、それでも、それでもだ! それでも尚足りぬ! このロキには――届かぬ!」

 炎剣から火炎が噴き出し、それがロンギヌスを伝って私達の元へ流れ込んでいく。

「しまっ――」

 サーヴァント達が次々と呑み込まれていく。

「ははははははははははははははは‼ 終わりなンだよ全て! 全てなァ!」

 ロキはロンギヌスを弾いた。

 そしてクドラクの首を掴み、そして――

 

 首骨を、折った。

 

 だらんと垂れるクドラクの両腕。彼の手からロンギヌスは離れ、地に落ちた。

 ロキは落ちたロンギヌスを拾う。

「これが! これがお前らの希望か! だが所詮はヒトの夢! この俺様には遠く及ばねえンだよ!」

 彼は炎剣を腰に仕舞ってロンギヌスを両手に持ち、それを二つに折って投げ捨てた。

「あ、ああ――」

 膝をつく。

 ロキは邪悪に笑った。

「安心しな。これからもっと長い冒険がお前を待ってるぜェ。ははははははは!」

 

 

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