千紫万紅   作:moon

25 / 26
限定品「ザルとウニ」

「おい、そこの馬の尻尾。」

すれ違う瞬間に掛けられた声を無視した。

自分の全身を白銀が覆っている。

「暴れ馬、てめぇだ。返事くらいしろ。」

無視して離れようとしたら、腕を掴まれた。

「俺を無視するなんざ、100年早ぇえよ。」

全身を黒い鎧が覆い、顔を黒い兜が覆っていた。

血なまぐさい眼が不気味に光る。

「なによ、金平糖。」

血なまぐさいを通り越して殺気を帯びた。

「いい度胸してんじゃねぇか。あぁ?」

 

変な夢。金平糖?確かにそうかも。

 

「鈍いクセに生意気な口ききやがる。」

散々フィレスや兄に言われた事を、今!何故!!言われなければならないのよ!!!

・・・少なくても戦場では鈍くはない。

「金平糖に言われる筋合いはないわ。」

腕を払いながら斬鉄姫は言う。

「てめぇは鈍いから鈍鉄姫だな。お似合いだ。」

全身真っ黒の男は馬鹿にした口調で言う。

何度も言わなくてもいいでしょ!

「棘棘しいわね。金平糖を通り越してウニだわ。」

「言いやがったな、鈍鉄姫。容赦しねぇぞ。」

 

ぽんっ 何の音?あら、ウニが一つ宙に浮いてる。

 

「え???」

「てめぇ、いい加減にしろよ。」

ウニがしゃべるの??っ痛!

痛い!痛いわよ!

「痛い!!!」涙が出るじゃないのよ!

「無様だなぁ、鈍鉄姫。」

ウニは白い鼻先をちくちく突付きながら傲慢に言い放つ。

・・・ウニに無様といわれる筋合いは無いわ!

うごうごするウニを睨みつける。

「俺がウニなら、てめぇはザルだぜ。ザル鉄姫。」

 

どすん え??鉄のザル??

ぽんっ ・・・ウニって、分裂したかしら・・・

 

どどどどど 雪崩のようにウニはザルに落ちる。

「痛い!痛いわよ!!」

「ザル鉄姫のくせに、生意気に痛覚はあんのかよ。」

 

早くこの場から逃れないと。でも、身体が重い。

 

「容赦しねぇと言ったぜ?俺は。」

ウニはザルでうごうごしている。

すごく痛いのよ!ウニなんかじゃない、この・・・

「サドニス!!」

 

----------

 

「・・・ここ・・・どこ・・?」

夢・・・何の夢・・・だった・・?

起きな・・きゃ・・・護・・衛・・・

声・・した・・・

黒い・・ボサボサの・・頭・・・誰・・?

「寝とけ。」

あぁ・・・眠っていい・・の・・・ね

もう・・少・・し・・・眠り・・たかっ・・・・私・・・・

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

文字数が足りないよと言われたので、「千紫万紅」の裏話をすこし。

当初の予定では、「焦茶」でアドニスはあれこれを自覚する予定でした。

でも話を書いていてアドニスに全然そんな素振がなく、「あれ?」と思ったのをよく覚えています。

当時は物語ってものを書くのも千紫万紅が二作目という。しかも書いた端から投稿という初心者マーク。

ずっと自覚しなかったらどうなるんだろうとは思ったものの、深く考えずに「ま、いっか。いつか気づくだろう」のノリでそのまま書き進めました。

アドニスが自覚しなかったらどうなっていたんだろうか。

しかも同時進行でアーリィとアリューゼの話も書いていたよ、この初心者マークは。

滾るって恐ろしい(笑)

 

 

「赤錆色」を書きながらアドニスが自覚したと判明し「ここでかよ!」とツッコんだのはいい思い出です。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。