猿人類となった男と見える子ちゃん   作:好きな領域は【誅伏賜死】

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どうも。もうミゲルみたいな助っ人外国人呼べよと上層部に思ってしまった作者です。
そう言えばみこってハナの生命オーラ的なアレって見えないんでしたっけ?あくまでアイツらがよく寄ってきてるから「憑かれ易い」って状況証拠から判断してるだけで。


【第一視】見られる男

 はいどーも、ターボ婆の撮影をしようと山中に籠もってたら崖から落ちてきたトラクターに『ロードローラーだッ!』されて異世界(実質現代社会)に転生した「冬月水賀」だよ。職業は三流オカルト雑誌のルポライター!

 

 承太郎さんの無敵のスタープラチナみたいな重機押し留めるスピードとパワーは持ってなかったので一瞬で圧死した俺の側に現れたのは、クソ長い顎髭を伸ばした白髪のローブ姿の老人という割りかしステレオタイプの神さんだった。

 

 転生する際に神さんから「オカルトホラーモノの世界だけど能力何がいい?」と言われたので畏れ多くも敬愛する。夏油傑様の姿と術式である【呪霊操術】を下賜され晴れて“猿”から“猿人類”にランクアップエクシーズ・チェンジしました。やったぜ

 

 ……え、そもそも夏油傑とは誰か?(聞かれてない)

 夏油様はあの現代呪術界最強と言われる五条悟の高専時代の同期であり良き親友だったが、とある出来事(0巻読んでね)でその思念から人に害を及ぼす呪霊を生んだり呪術師を迫害する非術師に嫌気が指し「非術師が呪霊を生み出すならソイツら皆殺しにすればエエやんけ!」と思い至り呪術界に宣戦布告。自らの思想に賛同した呪詛師と自らが従える数千の呪霊を持って本編開始前の大ボスを務め上げたお方です。

 

 因みに私達を「猿」と呼び蔑んで下さり尽くして尽くして尽くしまくった末にゴミのように捨てて下さる素晴らしい人間でもある(重要)。

 

 正直彼の人が闇堕ちしたのは若者故の浅慮と思い込み、劇中でかなり腐り切っているとされる呪術界の上層部の陰謀。そして激情家でもあったことによる俯瞰して物事をみる能力の欠如にあるような気はするがそれは割愛。

 

 因みに名前は神さんには「そのまま夏油傑でええんじゃないの?」と言われたが、さすがに傑物である彼の名前を凡人である自分がそのまま騙る訳にもいかないので名字の「夏油」を「夏⇔冬」「油⇔水」と漢字を借り受け変換し、そこから名前辞書を引いてどこにでもある凡人的な名前に変えさせてもらった。

 

 そうしてトンチキな名前(凡的な名前にした筈なのに友人達にはそう言われる)となった私はそうしてこの世界に来たのだが――

 

 まずこの世界、ひたすらに呪霊が多い。

 

 特級相当(指標として丁度いいので流用させてもらってる)こそ生まれてから数度しか見た事ないが、呪霊自体の数がバカみたいに多い。

 

 ちょっと“そういう”噂のある場所に行こうもんなら通行があるにも関わらず人間よりも呪霊の方が多いのではないかと思う程いるし街中にも平然といる。

 

 その代わり人を積極的に襲う呪霊は余りいない……ある条件下の人間を除いてだが。

 

 だが余りいないというだけで、無差別的に人間に危害を加えようとする呪霊がゼロというわけではない。なので私は今転生した先で生まれた実家の寺院の住職をしながらも呪術師の真似事をして呪霊を祓っている。

 

 夏油様の呪霊を調伏し、また自身よりも数段階劣るモノは無条件に取り込む【呪霊操術】は低階級がべらぼうに多いこの世界の呪霊達とはかなり相性が良く。町を練り歩くだけで低級の呪霊が勝手に球になっていく

 

 散歩も出来て呪霊のストックも増えるなんて一石二鳥!という訳で現在定期的に行なっている町散歩の途中なのだが………

 

 

 

(何やら視線を感じる…)

 

 とある街の大通りを歩いているのだが、何故か私は視線を感じていた。

 仕事着でもある法衣を着ていないとはいえ間違いなく長身の部類に入る夏油様ボディ(驚きの185以上)なので視線を感じる事はそう珍しい事ではないが、この視線は数分前からずっと私に付き纏っている。殺意や害意はないが…困惑と、怯え?と人混みの間をすり抜けながら私は考える。

 

「…少し探ってみるか」

 

 そう思い大通りを外れ横道に入り暫く歩いた後、空中浮遊の特性をもった河豚の様な呪霊を操り即座に上空に移動する。下手に警戒されても困るので帳は張らずにおく。

 

「あ、あのっ……!」

 

 暫く待っていると、少々息を切らせた様子の少女が私が来た道と全く同じ方向から入ってきた。少女だが、直後に「ヒュ」と押し殺すような悲鳴をあげた。

 

 その視線の先には“如何にも”な呪霊がいた。人間を遥かに超える巨体を持った3級相当の呪霊だ。彷徨いてるだけで反応しなければ大した害はないが――

 

『アレ…ネェミタ?』

「ッ……!」

 

 今回のように、「自分を知覚した存在」がいる場合は話は別だ。人間としての怨念/集合意識がそうさせるのかは分からないが彼らは自身が見える存在に強い興味と執着を示す。

 

 対抗手段としては真っ当に祓うか、現在少女がしているように見えないフリ…要するに“シカト”が効果的なのだが。アレでは手遅れだろう。というか……

 

「ひょっとして彼女は祓う手段を持っていない…“見える”だけの一般人なのか?」

 

 なら試すような悪い事をしたなぁと思い、浮遊呪霊から手を離し降下。呪力を込めた拳を呪霊へと向け……

 

 

 

 

(今日も、すごいいるなぁ…)

 

 黒いストレートの髪に少し陰気だが整った顔立ちをしている少女、四谷みこには見えてはいけないものがある日を境に見えるようになっていた。

 性別、身長、容姿や特徴はバラバラだが。一様に言えるのはみなドス黒いオーラと存在感を纏い。ひたすら自分に対して「見える?」と聞いてくる事だった……

 

 みこの生まれは退魔の家系でもないし、知り合いに霊媒師も悪魔祓いも…ましてや寺生まれのTさんもいない。

 札貼りもエイメンも「 破ぁ!! 」も出来ないみこに出来るのは、ひたすらに彼らを無視し普段通りに振る舞う事だけだった。

 

『ワタシヲミテ……』

「今日はなんか映画でも見に行こうカナー…」

 

 そして今日のみこは親友の百合川ハナや自身の弟とは別に、一人で休日の昼下がりの町を歩いていた。

 早速燃えでもしたのかボロボロのワンピースをきた女の霊が声を上げたが、みこは自身のスマホの地図アプリを見るふりをしてスルーした。

 

(でもやっぱり、このままじゃいつ反応しちゃうか分からない。……不勉強だけど数珠とかつけたり盛り塩とかやってみようかな)

 

 しかし流石に打開策が欲しいと考えたみこだが、そこでふとスマホをから目を離し視線を上にあげる。

 

「えっ」

 

 そこでみこの目に入ったのは、とある一人の男性だった。絹のような艶やかなに長髪に180は優に超えてるであろう巨躯。服装は簡素なパーカーとパンツで固めた簡素な物だが、問題は男性自体ではない。

 

(な、何アレ…!?)

 

 余談だが、みこの目に見えるのは幽霊だけではなく。「幽霊の発する黒いオーラ」も見えている。

 大抵幽霊の力量と直結した規模で発せられたソレはみこの幽霊をシカトする上で大事な要素の一つであった。

 

 閑話休題(はなしをもどすと)

 

 その男性からは、本来幽霊しか発せられない筈の黒いオーラが発せられており。しかもその規模はその男性の周囲だけ夜になったのではないかと思うほどに濃密なモノだった。男性も幽霊なのかと目を逸らそうとしたみこだが、その視界の端に驚くべき光景が写った。

 

(他の人たちが避けてく…!もしかして、生きてる人!?)

 

 男性とその周囲の人間は互いの通行の邪魔にならないように避け合っており、それは通常人間には見えない幽霊ではありえない事だった。

 

「…どうしよう」

 

 ここでみこは二つの選択肢を得た。

『明らかに危なそうなこの男性を避ける』

『ある程度の危険を承知で声をかけるか』

 普段のみこなら前者一択だが、現在のみこはかなり精神が参っている状態であり。話が通じそうな人間(幽霊?)がいるのであればこの事を相談したいという思いは秒刻みで強くなっていく。

 

「よし……」

 

 悩むこと数秒、「声を掛けてみよう」という結論に至ったみこは。男性に声をかけようとするが……

 

「………………」

 

 それまでゆったりとしたペースで歩いていた男性はふとその歩みを速め、横道へと逸れていってしまった。

 

「ッ…追いかけよう」

 

 その時点で男性を見なかったことにするという選択肢は既にみこの脳内にはなかった。意外と強情な子である。

 

 男性を追いみこは駆け足にその後を追い同じ横道へと入ろうとし、その直前で一瞬の躊躇から足が竦むが。そんな本能からの警告を理性で黙らせ意を決して踏み入れ、タイミングを逃すまいと胸に息を吸い込んだ。

 

「あ、あのっ……!」

『………?』

 

 しかし、緊張からか目を瞑ったのが災いとなったのかみこが目を開いた先には男性の姿はなく、代わりとばかりにそこには数日前のみこには見えなかった…しかし不幸にも今のみこには見える様になってしまった大きな幽霊の姿があった。

 あまりにもあんまりな不意打ちに、みこは己のポーカーフェイスが一瞬崩れる感覚を自覚し「あっこれは気付かれた」と自分のどこか冷めた部分でそう自覚した。

 

『アレ…ネェミタ?』

「ッ……!」

 

 幽霊はみこの顔を覗き込みながらそう譫言のように呟きながらもその目には昏い思念をありありと感じ取れた。

 顔が強張り意識が軽く遠のく、ふと自分がいかにも見えていないように振る舞える者はないかと目を動かすが、閑静な裏路地には地面に散らばったゴミ程度のものだった。

 

(どうやったら誤魔化せ…ダメ出来ない――)

 

 すわここまでかと、みこは目を瞑った。

 

「――試すような真似をして申し訳ない」

 

 ふと、みこの上から落ち着いた声音と共に男性が降り。幽霊の脳天に拳を振り下ろした。

 

『アグゴギュ!?』

「すまないね、緊急故祓わせてもらったよ」

 

 単語どころではない、出せる「音」をとにかく喉から絞り出したような断末魔をあげた幽霊は最初からいなかったように霧散し。男性は拳を振り下ろした形の体勢からゆっくりと普通の姿勢へと戻った。

 

「まずは自己紹介といこう、私の名前は冬月水賀だ。君の名前を聞いてもいいかな?」

「…よ、四谷みこ。です」

 

 自分と同じような呪霊が見えるだけではない。呪霊と同じオーラを発し、ましてや殴り殺した“殺霊犯”とも言うべき男にみこは辛うじて返答することが出来た。




ストックがそろそろなくなるので「これが俺本来の更新頻度だぁ!」になります。
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