ある一軒家
そこには陶芸家が住んでいた
過去その男は有名になりたくさんの賞を得た
???)これは想い描いていたものと違う・・・
男は悩んでいた・・・心に描いたものが作れなくなっていた
男は一枚の写真を手に取る
そこには男の他に女性と子供が二人いる
男は高齢で写真の女性は亡くなってしまい、子供たちも遠く離れてしまっており何の音沙汰もない
???)あの頃は・・・楽しかったな・・・
無意識にろくろを回す
土を載せ思い思いに形を作る
目を閉じて感覚のみで造り上げる
そうしてできたのは「小さな盃」
???)はは・・・婆さん・・・懐かしいな・・・
これは亡くなった妻との思い出の品
酒に弱かった妻は「あまり飲めないけどこのくらいなら」といつも「小さな盃」で飲んでいた
またろくろを回す
???)ああ・・・お前も来てくれてるのか・・・
できたのは少し大きめの茶碗
育ち盛りの息子はいつもよく食べていた
何でもよく食べよく遊びよく怪我をしていた
またろくろを回す
できたのは大小二つの茶碗
???)あのときはワシも頑固だったな・・・
娘が彼氏を連れてきたときだいぶ嫌な想いをさせてしまったな・・・
内心認めていたがハハ・・・今ではいい思い出じゃな・・・
男は過去を思い出しながら次々と新しい作品を造り上げる、だがそれらはすべて形だけ造り上げすぐに新しい作品に変えてしまう
???)ああもうここまで来たのか・・・私は家族を大切にできていたのかな・・・
男は壁に飾られたたくさんの表彰状を見て考えていた
今までの思い出は楽しい場面しかない
そしてそこには家族がいなかった
???)私にとってはとても充実していたが「家族はどうだったんだろう」・・・
男は悩んでいると昼になる
台所で卵焼きやサラダを作りちゃぶ台で一人それを食べる
???)婆さんもこんな感じだったんかな・・・
子供達も・・・こんな感じだったんかな・・・
男はその後特に意味もなく家を出て歩く
森は風に軽く揺れ暖かい日差しが差し込み
男を優しく包む
???)やあこんにちは・・・今日も元気そうだね・・・
道行く動物達に挨拶をする
男の姿を見た動物たちは警戒し姿を隠す
歩いていると夕暮れになる
ペースを変えずに家に戻っていると、だんだん世界から色が失くなっていくようにみえた
だが男は焦っていなかった
いつもの事だろうと
家につくとおもむろにろくろを動かす
始めはとてもゆっくり回していた
だんだんと早くなり次第に周りの色は「それにうつしだされていった」
そして数日後その作品は完成していた
男は満面の笑みを浮かべ家族の写真の前に飾る
外側は明るく華やかな花瓶を・・・