私は色を知らない
私は物を知らない
私は音を知らない
私が知ってるのは何もない空間
何も見えないし、触れないし、聞こえない
だってここには何もないもの
誰も来ない
何もいない
私はこれが普通なの
だって知らないものを知ろうなんて思わないでしょ?
だって興味が無いものを知ろうとしないでしょ?
それが私
今もそうなの!自分の声も知らないの!
どうして悲しくないのって?悲しくないのってなに?
・・・へー泣いたりすることなんだ泣いたりするってなに?
あなたへんね~私に何をさせたいの?
ここに来る人たちはみんな私なんて見えてないものいるのにいないなんてふしぎだよねー
そんななかであなたは私を見つけたんだもの!
でもね?私に関わってるとあなたも同じになっちゃうよ?それでもいいの??
いいのね・・・まあ私の知らないことを聞かせてくれないかしら?
外には不思議なものがたくさんあるんだ
こうして「直接」語りかけているのに平気なのはそのおかげかしら?
どうしたの?・・・ほね?ほねってなに?
人間の一部?なるほど!私の中にもあるのね!!
さわったらわかる?・・・体の中にあるのね・・・そっか~
胸だったらわかる人もいるの?首筋とか??へー・・・このゴツゴツしたものがそうなのね~
私は出口がわからないの・・・目も耳も閉ざされているから
でもね?そこに何かが来たりするとわかるの!ずぅーと集中してると空気が動くの
そうしてそれを感じたら話しかけるの!
でも・・・ほとんどいなくなるの・・・気味悪がって逃げちゃうの・・・
どうしたの?私に触って??私はもうなれたよ・・・でもあなたの手は暖かいね・・・
ねえ・・・わがままを一つ言ってもいい?
あのね・・・このまま一緒にいて欲しいなって・・・
こんなに優しくされたら・・・もう戻れないよ・・・
いいの?本当に??嬉しい・・・それとね?これはお願いなんだけど・・・
私の拘束を解いて欲しいの
むずかしいこと・・・え?もう解いてる?
────
少女はその目を恐る恐る開くと
辺りは真っ暗だった
今まで聞こえていた声の主はそこにおらず
足元には大量の液体とぶよぶよしたものが落ちている
また目を閉じようとした時同じ声が聞こえる
「お待たせ!道を開けてきたよ!」
少年は手を伸ばし少女はその手を掴む
闇を抜けその目に写るは「光散らばる闇」
少女はその場に崩れ落ちる
今まで見たいと思った物はなく
今まで聞いた音もなく
全てが新しいその世界に声を発した
「これはなんといえばいいの」
「それが嬉しいだよ・とらわれていたお姫様」
少女は新しい暗闇を見た
新しい音を聞いた
今までの(たった一人の闇)は(皆が見る共通の闇)となった
その後二人はその生涯を共に過ごしまた闇の中へと還っていった