デウス・ウルト! 俺がそれを望んでいる!   作:Unknown

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第九話「マルタ島の改造」

「ふむ、やはりこの島は素晴らしい……」

「……?」

 

 デウスは空中に作ったクラインフィールドを足場にマルタ島を見回していた。そして、島の全貌をその目で確認したデウスは感極まったように呟いたがその言葉に共感できなかったのかイ402は首を傾げている。

 4年前には完全に島から人は消え完全な無人島となった為町はゴーストタウンとなりかつての栄華は霧による破壊や風化で廃墟へと変わりつつあった。

 

「ふむ、先ずは首都であったバレッタの修復からだな」

 

 そう言うとデウスはナノマテリアルを創造し、バレッタの街に放り込んでいく。銀の砂嵐がバレッタの街に発生していき破壊された街を近未来的な都市に変えていく。世界遺産登録されたが霧により破壊されたバレッタ市街はその面影を残しつつ全てが作り直されていく。

 

「海に面しているし埋め立てを行い港を持った軍事都市に変えていくか。イ402、お前はどう思う?」

「……興味はないです」

 

 デウスの言葉に素っ気なく返す402。ただデウスによって作り変えられていく街を黙って眺めているのみだった。その様子につまらないなと感じつつバレッタを弄っていく。その姿は日本の横須賀の防護壁に似ているが強度はけた違いである。霧の艦隊でも使われる強制波動装甲で出来ておりメンタルコアを配置すればクラインフィールドすら展開可能である。完成すれば世界で一番防衛能力が高い島へと変貌するだろう。

 

「島の内部には砲塔やミサイルポッドを複数設置する。浸食魚雷も海底より発射できるようにしよう。防御方面はそうだな……。強制波動装甲で覆うか? そうすればクラインフィールドが島全体で形成出来る……」

「……」

 

 ブツブツと呟きながらデウスはマルタ島の改造を進めている。そんな様子を402は見ていたがふと気になる事を聞いてみた。

 

「デウス。貴方は何故メンタルモデルが男性なのですか?」

「は? いきなりなんだ? 別に男の姿だろうと問題は無いと思うが?」

「我々は霧は人間が船の名前に女性名を付ける事から女性の姿をしています。ですが、貴方はその法則からも外れています」

「あー、成程な。簡単な話だ。最初から男性思考だっただけだ」

 

 デウスが誕生した時、思考回路は男性風で動いていた。男性口調の女性だったという線もあるが別に霧の艦隊のメンタルモデルは必ず女性でなければいけないわけではない。故にデウスは思考に沿ってメンタルモデルを男性として作成した。その気になれば女性の姿にもなれるが“その気”になったことがない為、いまだ性別を変えた事は無い。

 

「深い理由は無いという事ですか?」

「そうだな。だが、霧のメンタルモデルが女性ばかりの中一人だけ男性と言うのは特別感があるだろう? 神である俺にとっては最高の状態と言える」

 

 女性の中に一人だけ男性がいれば誰もがその男性を“特別”だと思うだろう。(デウス)を名乗る彼にとってはそれはまさしく最高の状況と言えた。故に、彼は男性のメンタルモデルを形成していた。

 

「それ以上の理由が何か必要か?」

「……いえ、そんな事はありません」

「ならば暇そうなお前にも手伝ってもらおうか」

 

 402の質問に答えたデウスは演算能力の一部を彼女に渡して街づくりの手伝いをさせる。いきなりの事に困惑する402に対してデウスは有無を言わせずに言う。

 

「ここをこうしてこうする事でこうなって……」

「はぁ、ありがとうございます? ……って、何故私まで?」

「そりゃ隣で見ているだけでは暇だろう? マルタ島の北西には二つ島があるし最北端のゴゾ島を任せる。好きに改造してみるといい」

「……」

 

 デウスにそう言われても402はただただ困惑する事しか出来ない。いきなり島の改造のやり方を口頭で教えられ、好きなように弄ってみろと言われても、はい分かりましたと出来る人物などそうそういない。精々こういった事に興味のある人物くらいだろう。

 

「……」

 

 402は無難にデウスの模倣をする。島全体を強制波動装甲で覆い島の内陸部に砲台を設置していく。何の面白みも個性も無い要塞が建造されていく。

 ふと、ここで402は疑問に思った。デウスはどれだけのナノマテリアルを創造できるのか。デウスは現在も大量のナノマテリアルを創造している。本来ならあり得ない事態だが、デウスが行ったのならと何処か諦めに似た納得感が湧いてくる。しかし、だからと言って彼の限界を見極めないという訳にはいかない。彼の限界を知るためにも402はゴゾ島の魔改造を始めた。ナノマテリアルを使ってあたりを無駄に埋め立て、道路を無駄に造って必要のない交通網を整備する。更に無駄にナノマテリアルを消費する建造物や武装などを造りまくった。これでかなりの量のナノマテリアルを消費したが、デウスに限界が来た様子はない。何が楽しいのか402の方を楽し気に眺めている。

 

「……何か?」

「いや、お前も個性があったんだなと思ってな」

 

 デウスは優し気な笑みを浮かべる。一体何の事か分からなかったが自分が作った島を見て納得した。ゴゾ島は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。地上の建造物は砲台以外はただ造っただけの装飾品でしかなかったが、その分地下は充実していた。

 

「別に潜水艦を優遇するのは構わないぞ。むしろそちらを潜水艦用にするのも悪くはないかもな」

 

 デウスはゴゾ島の様子を見ながらマルタ島の改造を進めていく。その様子を見て402は笑みを浮かべた。無意識且つ本人も気づいていなかったが、それは明らかにデウスとの時間を“楽しい”と感じた事を表していた。

 そうして402はデウスとの島の改造を楽しみつつ感情を形成していくのだった。

 

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