デウス・ウルト! 俺がそれを望んでいる! 作:Unknown
その艦、デウス級1番艦が誕生した理由は不明である。本人すら把握していなかったが突如として誕生した。それは事実だった。
「ここは……」
目を覚ましたデウスの視界には一面に広がる海と巨大な艦。自らの化身とも言える艦だった。最初こそ戸惑ったデウスだが、直ぐに情報を集めていく。霧の艦隊、アドミラリティ・コード、大海戦……。様々な情報を手に入れそれらを精査したデウスは悩む。自らも霧の艦と言う事は分かったがだからと言って従うべきなのか? アドミラリティ・コードに従い人類から海を奪うべきなのか。
「……いや、違う」
デウスはそこまで考えて答えを出した。結論は否である。何故
そう答えを出せばデウスが行うべき事は一つである。気ままに生きる。霧も人類も関係なく好きなように生き、好きなようにふるまい、好きなように過ごす。それがデウスが決めた事だった。
早速と言わんばかりにデウスは艦を出発させる。現在地は既に把握済みである。そして運が良い事に近くには霧の艦隊、それも軽巡洋艦を旗艦とした水雷戦隊がいた。自らの性能は理解するものの百聞は一見に如かずと言わんばかりに性能テストの為にその水雷戦隊へと襲い掛かった。
その結果、デウスは改めて自らの実力を把握した。超戦艦並みの演算速度にそれですら間に合わないような兵器の数々。これらを一人で運用するのは事実上不可能だった。
しかし、それを補うようにデウスはまさに神に相応しい能力を持っていた。メンタルコアとナノマテリアルの作成である。それらの能力を生かし、デウスは自分の艦の補助を行うメンタルコアを生み出した。これらを複数作る事でデウスは自らの艦の力を最大限生かせるようになった。
その後も性能テストとして霧の艦隊を襲撃した。ありとあらゆる兵装や機能を確かめ戦艦から潜水艦までありとあらゆる艦種に攻撃を行った。結果、霧の艦隊はデウスを危険と判断し攻撃を行おうとするも超戦艦すら超える力を持っている事はこれまでの戦闘から明白であり総力をもって戦った場合、共倒れになる可能性が高いと判断した。そして監視のみにする事にした。
それがデウスを討ち取る最後のチャンスだったと後に後悔することになる。
一方で、人類からもデウスの動きは把握出来ていた。霧の艦隊なら何処の奴でも構わないとばかりに太平洋のど真ん中から移動してきたデウスは、日本の沿岸部でも戦闘を行った。人類は霧の反乱かと思うが、それにしては様子が可笑しいうえに明らかにデウスの姿が異様だった事から新たな霧が誕生するも何らかの理由で単独行動を取っていると判断した。
それは日本にとって好機と捉えられた。もしデウスを最低でも協力者することができれば、最善としては拿捕し自分たちの戦力に出来ればこの状況を好転出来ると考え、デウスに使者を送った。数日後、使者は帰ってきた。死者となって。表皮をはがされ全身の血を抜かれた彼らとともに『神と対等と思うとはおこがましい』というメッセージが添えられていた。
神を自称する霧に日本は驚きと同時に怒りを見せた。使者を殺された事もそうだが、その傲慢な態度は見過ごせないものがあった。しかし、そんな彼らの意志を砕く様にデウスは日本の残存艦艇を攻撃し始めた。本拠地である横須賀基地には攻撃をせずにそこにいない船を狙って。しかもまるで彼我の差を分らせようとしているかのように、攻撃を受けた船は沈められるのではなく修復がギリギリ可能だが多くの資材を使わないと難しいというレベルの損傷を受けた。まだ撃沈された方がよかったと言えるような状況に、日本はデウスに手を出す事を諦め、こちらに砲門が向かないように祈るような状況となった。
デウスはまさに災害と言えるような立ち位置に落ち着いた。霧も人類もデウスには近づかず、一定の距離を保とうとするが、デウスはその巨体を時折隠し、レーダーにも映らずに移動するようになり、その動きを察知する事が難しくなった。
「ふむ、人類の中でも素晴らしい言葉があるようだな」
そんな災害となったデウスは気にせずに今日も我が道を行く。
「デウス・ウルト!
この言葉はデウスを代表する言葉となり、彼は今後これを口癖のように連発していくことになる。