まふゆの体調が戻り、少し経った時の話だった。
雨が降っている中、歩いていたら、
偶然、奏が通りかかった。
「奏ちゃん?」
「詩音くん」
「僕が傘を貸そうか?」
「いいの?」
「うん、もちろん」
詩音は奏に傘をあげた。
「ごめんね…傘を家に忘れちゃって…
早く曲を作らなくちゃ」
「うん」
「このままじゃ、まふゆに響かない。
もっと、作らないと」
「まふゆちゃん…少しずつだけど、
前を向いている気がする」
「わたしも、そう思う。
ごめん、もう帰らなくちゃ」
「ちょっと、待って!
カフェで、ゆっくりしたらどうかな?
リフレッシュしたら、曲作りがはかどると、
思うけど…?」
「それは、そうかもしれないけど…わかった」
詩音と奏は、カフェへやって来た。
詩音は奏のために、チョコレートパフェを、
詩音は自分のために、カプチーノを注文した。
「どうかな?」
「温まるね。
傘を忘れて出かけたから、大変だった。
でも、ありがとう、詩音くん」
「どういたしまして。
他のメニューはどう?無理やり連れてきちゃったから、
何かおごるよ?」
「大丈夫、そんなにおなかが減っていないから」
「わかった、食べたくなったら、いつでも言ってね」
「わかった…あっ、
この前の曲、聴いてもらったと思うけど、
まふゆに全然、響かなかった。
だから、新しいのを完成させたけど、
響かない気がして…」
「響かないって…そんなのわからないよ!
一回、聴いてもらったらどうかな?」
「ううん、自分でも、これじゃ、ダメなの。
迷路から抜け出せれない、そんな感じ」
「なんとなく、わかりそう…」
「このままじゃ、いつまで経っても…」
奏は、だいぶ困っていた。
「うーん、じゃあ、どこかに遊びに行かない?
家に閉じこもるよりも、外で行動していた方が、
いいと思う、ヒントがあるかもしれない!」
「そっか、わかった」
「じゃあ、ここにする?」
やって来たのは、ドールショップだった。
「ドールショップ?」
「まふゆちゃん、人形に反応していたから、
ヒントがあるかもしれない」
「なるほど…」
すると、オルゴールの音がした。
「オルゴールの音?キレイな音色」
「うん、本当だね、いい音」
「そういえば、奏ちゃんは、
オルゴールっぽい音、入れているね。
この前の曲も、奏ちゃんらしい、そう感じた」
「オルゴールの音は、好き。
わたし、お父さん作った、オルゴールの音を、
よく聴いていたから、その影響かもしれない」
「素敵な曲だね、どんな曲?」
「とても、優しくて、聴いているだけど…」
「奏ちゃん?」
(もしかして、答えたくないことを、
聞いちゃったのかな…?なんてことをしたんだ…)
「…」
「あっ、えっと…ごめんね…」
「ううん、大丈夫…」
ドールショップから出て、
しばらく、歩いていたら、フラワーショップを見つけた。
「あ、カーネーション」
「奏ちゃん、カーネーションが好きなの?」
「お母さんが、好きな花だから、
白いカーネーション」
「赤のイメージが強いけど、
白もキレイで美しい」
「そうだね、お母さんのお墓参りに行くとき、
白いカーネーションを持っていくんだ」
「そうなんだ、花がいい、癒されるから」
「うん、花畑に行きたい」
「花畑…確か、ここら辺にあったな…」
「うん、小さいときに、お父さんと一緒に行った覚えがある、
だから、行きたい」
「うん、僕も行きくなった」
こうして、二人は花畑を探すのだった。