公園にやって来た、詩音と奏。
「この辺りに、花畑があるって、
わたしが思い込んでいるだけかもしれない。
ごめん、雨の中、付き合わせちゃって…」
「僕は大丈夫だよ。
でも、この雨…結構、続きそうだな…」
詩音は奏と一緒に傘の中にいた。
「雨が止んだら、いい曲が思いつくと思う。
奏ちゃんも、そんなに、悩まない方がいい。
何かあったら、また、遊びに行く?」
「そうだね、その時は、お願いしようかな?
でも、今日は詩音くんのおかげで、
気分転換になったかな?」
「ホント?よかった」
「実は今日、お見舞いに行っていたんだ」
「お父さんの?」
「お父さん、倒れてから、何度も混乱するようになって、
今日は、わたしが生まれる前の話をしていたの。
その顔がすごく幸せそうで、
そんな、お父さんの笑顔を奪ったって思ったら、
すごく、苦しかった」
「奏ちゃん…」
「その時、思ったの。
わたしは早くまふゆを救える曲を作らなくちゃって。
それが、できないなら、ここにいちゃいけないって、思っている。
だけど、詩音くんが色々な場所に連れてってくれたから、
気持ちが楽になった。
だから、ありがとう、詩音くん」
「ううん…」
(奏ちゃん…ずいぶんと、自分で攻めているみたい…
僕も彼女の力になりたい…だから、せめて…!)
「ねぇ、奏ちゃん」
「ん?」
「奏は、まだ誰も救えていないっていうけどさ、
少なくとも、僕は救われているのかもしれない」
「えっ?」
詩音は自分の醜さと悪い部分を、奏に語るのだった。
「僕はちゃんと人と接しているのか、
って、よく思っているんだ」
「そうだったんだ…」
「でも、奏ちゃんの曲を聴いて、
もう少し、人付き合いが上手になれるように、
努力したいって、思ったんだ」
「詩音くんって、そういう人なんだね」
「そう…かな?
あっ、雨が上がって来たから、
僕の好きなスポットに行ってみない?」
「行ってみたいかな?」
「近くの噴水広場でね、花壇がとってもキレイなんだ。
ほら、見えてきたよ」
「あの花壇…もしかして…?」
「奏ちゃん?」
「ここが、お母さんと一緒にいた、花畑」
「花畑っていうか…大きな花壇だね…」
「なんていうか…ありがとう…詩音くん」
「ここ、カーネーションが沢山咲いていて、キレイ…」
「うん、キレイだな…」
すると、奏が!
「どうしたの?奏ちゃん?大丈夫?」
「ごめん…」
「でも、そっか、ここが奏ちゃんが、大切にしている場所なんだね」
「えっ?」
「なんていうか…嬉しいんだ、少しだけ。
奏ちゃんは、いつも、自分を責めていると感じだったから」
「うん、ありがとう、詩音くん」
「ちょっと、嬉しい」
「詩音くんがいてくれたから、
昔の思い出を素直に受け止めることが出来たと思う」
「そんな…何もしてないよ、僕は…
うん、どういたしまして」
こうして、二人で、
しばらく、カーネーションを見ていた。