愛する恋人を救うには   作:アッシュクフォルダー

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第十一話 花畑

公園にやって来た、詩音と奏。

 

「この辺りに、花畑があるって、

わたしが思い込んでいるだけかもしれない。

ごめん、雨の中、付き合わせちゃって…」

 

「僕は大丈夫だよ。

でも、この雨…結構、続きそうだな…」

 

詩音は奏と一緒に傘の中にいた。

 

「雨が止んだら、いい曲が思いつくと思う。

奏ちゃんも、そんなに、悩まない方がいい。

何かあったら、また、遊びに行く?」

 

「そうだね、その時は、お願いしようかな?

でも、今日は詩音くんのおかげで、

気分転換になったかな?」

 

「ホント?よかった」

 

「実は今日、お見舞いに行っていたんだ」

 

「お父さんの?」

 

「お父さん、倒れてから、何度も混乱するようになって、

今日は、わたしが生まれる前の話をしていたの。

その顔がすごく幸せそうで、

そんな、お父さんの笑顔を奪ったって思ったら、

すごく、苦しかった」

 

「奏ちゃん…」

 

「その時、思ったの。

わたしは早くまふゆを救える曲を作らなくちゃって。

それが、できないなら、ここにいちゃいけないって、思っている。

だけど、詩音くんが色々な場所に連れてってくれたから、

気持ちが楽になった。

だから、ありがとう、詩音くん」

 

「ううん…」

 

(奏ちゃん…ずいぶんと、自分で攻めているみたい…

僕も彼女の力になりたい…だから、せめて…!)

 

「ねぇ、奏ちゃん」

 

「ん?」

 

「奏は、まだ誰も救えていないっていうけどさ、

少なくとも、僕は救われているのかもしれない」

 

「えっ?」

 

詩音は自分の醜さと悪い部分を、奏に語るのだった。

 

「僕はちゃんと人と接しているのか、

って、よく思っているんだ」

 

「そうだったんだ…」

 

「でも、奏ちゃんの曲を聴いて、

もう少し、人付き合いが上手になれるように、

努力したいって、思ったんだ」

 

「詩音くんって、そういう人なんだね」

 

「そう…かな?

あっ、雨が上がって来たから、

僕の好きなスポットに行ってみない?」

 

「行ってみたいかな?」

 

「近くの噴水広場でね、花壇がとってもキレイなんだ。

ほら、見えてきたよ」

 

「あの花壇…もしかして…?」

 

「奏ちゃん?」

 

「ここが、お母さんと一緒にいた、花畑」

 

「花畑っていうか…大きな花壇だね…」

 

「なんていうか…ありがとう…詩音くん」

 

「ここ、カーネーションが沢山咲いていて、キレイ…」

 

「うん、キレイだな…」

 

すると、奏が!

 

「どうしたの?奏ちゃん?大丈夫?」

 

「ごめん…」

 

「でも、そっか、ここが奏ちゃんが、大切にしている場所なんだね」

 

「えっ?」

 

「なんていうか…嬉しいんだ、少しだけ。

奏ちゃんは、いつも、自分を責めていると感じだったから」

 

「うん、ありがとう、詩音くん」

 

「ちょっと、嬉しい」

 

「詩音くんがいてくれたから、

昔の思い出を素直に受け止めることが出来たと思う」

 

「そんな…何もしてないよ、僕は…

うん、どういたしまして」

 

こうして、二人で、

しばらく、カーネーションを見ていた。

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