詩音と奏は、まふゆの母親に会うため、
指定された時間で、その場所に訪れていた。
宮益坂のある場所。
待ち合わせ、10分前の事だった。
「ここ?」
「うん」
「待ち合わせ場所は、この辺りだよね…?」
「今日はちゃんと、話さないといけない」
「うん、わかってる」
奏は、いつもより、険しく、
そして、何かを思う表情をしていた。
「だから、わたしは…」
奏は詩音に、ありったけのことを話した。
「わかった。僕も協力する。
まふゆちゃんのためだから」
「ありがとう。詩音くん」
しばらくすると…
「この人だ」
「この人が…」
「あぁ」
「もしかして、Kさんかしら?
それに、詩音くんまで」
と、まふゆの母が、話しかけてきた。
「あ…はい。宵崎奏です。
えっと、まふゆさんには、
いつも、お世話にいます。
今日は、よろしくお願いします」
「ふふ、まふゆの母です。
よろしくね、宵崎さん。
それに、詩音くん。久しぶりね」
「お久しぶりです」
「この間は、ごめんなさい。
チャットで文章を書くのは、慣れていなくて、
冷たい印象を与えてしまったかもしれないわ」
「いえ、そんな、わたしも、チャットは、
あまり、得意じゃなくて…」
「それより、宵崎さんは、まふゆの名前を、
知っているのね」
「はい、何度か会って話をしていて、
後、詩音さんからも、まふゆさんのことを、
よく、聞いています」
「あら、そうだったの。
それじゃあ、今日は、色々な、話が出来そうね。
ゆっくり、座れる、場所を探しましょう」
「はい」
「は、はい…」
ホテル内のカフェにて…
「ふふ、そんなに緊張しなくても、大丈夫よ。
ここは、信頼できる店だから」
(奏ちゃん、僕がついている)
(うん、ありがとう、詩音くん)
と、詩音と奏は心で通じ合っていた模様。
「でも、私も最初、来た時、緊張したわ。
とっても、豪華で、何から何まで、
立派な場所ですもの。
だけど、大丈夫よ。すぐに慣れるから」
「そ、そうなんでしょうか…」
(どうしよう…詩音くん)
(大丈夫、僕がついている、落ち着いて話そう)
(うん)
「のんびり、くつろいで、ちょうだい。
まふゆのお祝い事は、いつも、このホテルに来るの。
家族みんなの特別な場所よ」
「…」
「…」
「あぁ、ごめんなさいね。
まふゆの友達に、会うのが楽しみで、
つい、喋りすぎちゃったわ。
ええと、ケーキセットでいいかしら?
それを、3人分。
ここの、ケーキは、すっごく、美味しいのよ。
ぜひ、食べてちょうだいね」
「あ、はい…ありがとうございます」
「それで、何だけど…宵崎さんは、
いつ頃から、まふゆと、お友達になったの?」
「いつから…えっと…大体、2年位前です」
「そう…普段、まふゆは、どんなことをしている?」
「音楽サークルで、一緒に曲を作っています。
まふゆさんには、作詞を担当してもらって…」
「詩音くんは?」
「僕は…その、補助的な役割ですね…」
「あぁ、あれね、悪いとは思っていたけど、
少しだけ、見させてもらったわ。
とても、素敵だったわ」
「あ、ありがとうございます…」
「ふふ、私も、よくクラシックを聴いたりするけど、
自分で、作る、という発想は無かったから、
まふゆが、音楽やっているって、知った時は、驚いたわ。
あぁいう、曲を作る時、結構大変じゃない?」
「あ、いえ…そこまでじゃないですけど…
インスピレーションが無い時は、
詩音くんに、手伝ってもらったりしています。
まふゆさんに、いつも、助けてもらっています」
「そうなのね。
ふふ、まふゆが活躍しているようで、嬉しいわ。
でも、そろそろ、来年、大学受験で忙しくなるんじゃない?
まふゆから、聞いたけど、同い年の子達で、
集まっているんでしょう?
宵崎さんも、勉強と音楽を両立させるのは、
大変じゃないかしら?」
(空気が変わった…)
(恐ろしいのは、ここから)
一体どうなる!?