吉川詩音は思わず激昂していた。
「今まで、まふゆちゃんの母親として、見てきたが、
娘を思う気持ちが、一切、伝わってこない」
(詩音くん…なんか、言い過ぎだと思うけど…
でも、わからなくもない…!)
「わたしたちと曲を作る事が、
まふゆにとって、必要だと思うから…!」
「あら、二人とも、どうして、そこまで、必要なのかしら?」
「まふゆちゃんを救うためです」
「えっ?」
「僕には、感じるんです。
ずっと、一緒にいたからこそ、わかるんです。
まふゆちゃんには、音楽が必要だと、
彼女のやりたいことが、ここにあるって、
僕は思うんです」
「でも、この際だから、言っておくね。
音楽もサークル活動も、
あの子の人生に必要ないと思うのよ」
「…!」
「だから、二人とも、
あの子のことを、思うなら、サークルを辞めるように、
勧めて貰えるかしら?
二人の口から、聞いたら、
きっと、あの子も、納得いくはずよ」
「少し待ってください」
「何かしら?」
「まふゆは、以前、私と詩音くんの前で、
消えたいって、言っていたんです」
「まふゆが…消えたい…?」
「はい、それに、自分が何をやりたいのか、
わからない、状態なんです」
「みんなと曲を作りたいと、そう言っていた」
「そんな、まふゆが、わたし達と、
音楽活動がやりたいと、言ってくれたんです」
「だから、サークル活動を、許してやってください。
僕からも、お願いです」
「…」
「お願いします!今の、まふゆから、
音楽をとったら、まふゆは…!」
「あの子…そんな風に思っていたの」
「そうなんです、だから!」
「そうだったのね、きっと、まふゆは、
いい子だから、まふゆからも、聞いてみるわ」
「本当に…本当に、そう思うなら、
今の、まふゆの、本当の気持ち、
本当に、やりたいことを、聞いてあげてください」
「そうすれば、きっと、サークル活動が、
必要だなんて、わかってもらえると思います」
「それに、どうして、まふゆが苦しんでいるのかを…」
「そうね、本当にありがとう。二人とも、
ちゃんと、まふゆの気持ちも、聞かないとダメよね。
ちゃんと話し合って…
サークル活動や音楽をするよりも、
看護師を目指すよりも、医者になる方が良いって、
改めて、わかってもらえないと」
「すみません、それは、違うと思います」
「何が違うの?」
「あなたは、まふゆのことを、何も考えていません。
まふゆの気持ちを、抑え込んでいるように、
見えたから」
「あら…心外ね。どうして、そう思われるのかしら?」
「…」
すると、詩音が、激昂する。
「お前は、母親失格だ。考え込んでいるだけだ!
まふゆちゃんの気持ち、何も考えていない、
まふゆちゃんのこと、何もわかっていない。
お前は、ただの毒親だ!」
「詩音くん!?」
「僕は、アンタを許さない。
僕からも、一つ言っておく、
お前の思い通りには、させない!」
「…わたしは、あなたに、どう言われようと、
まふゆの傍から、一切離れません」
「そう、詩音くんもだけど、残念ね」
まふゆの母に、怒った詩音は、
奏を連れて、その場を後にした。