愛する恋人を救うには   作:アッシュクフォルダー

16 / 22
第十六話 まふゆの断罪

ある日の朝比奈家にて…

 

「失敗だったわ。

あなたに、パソコンを買い与えたのも、

楽器を使わせたのも!」

 

「おかさ、さん…?」

 

「知らないうちに、音楽なんか初めて、

2年間も、私に隠し事をして、

勉強を怠って、ネットで、

よく知らない子達や、

遂には、詩音くんに、たぶらかされて!

こんな事になるなら、

何も与えるんじゃなかった!」

 

「…あ…」

 

「よく聞いて頂戴。まふゆ。

あなたのことを想っているのは、

詩音くんでも、あの子達でも無い。

この私よ!お母さんなのよ!」

 

「…っ!」

 

(私を、本当に想ってる…?)

 

(お母さんは、本当に私のことを、想って、

…こう言っているの…?)

 

(わからない…)

 

(わからない…けど…)

 

絵名、瑞希、奏、詩音、

そして、ミク達が脳裏に浮かんだ。

 

(みんなといる時が、あたたかい…)

 

(わたし達は、ちゃんと、ここにいるから…

まふゆの想いを守って…)

 

と、ミクの声が微かに聞こえたような気がした。

 

(心が落ち着く…だけど…ここは…この場所は…)

 

(お母さん)

 

(お母さんは、本当は、私を…)

 

(わからない…わからない…?)

 

(でも、無理だ…)

 

(これ以上は…もう…っ!)

 

「…?」

 

ミクの歌声が聴こえる…そんな気がした。

 

(奏の曲…それに、ミクの歌声まで…)

 

(あたたかい…この、あたたかさに、

ずっと、触れていたい)

 

(もっと、聴きたい…)

 

「ごめんなさい。大声を上げちゃって…

でも、まふゆは、わかってくれるでしょう?

まふゆは、本当は、いい子で優しい子だと、

お母さん、信じているから」

 

「…っ!」

 

まふゆの瞳が漆黒に染まった。

もはや、光が存在しなかった。

 

(…お母さん…おかあ、さん…

オカアサンって、ダレダッケ…!?)

 

(そうだ、でも、苦しい、辛い、痛い、疲れる、

醜い、憎い、嫌だ…ナンダロウ、コノ、カンジョウ…!?)

 

(ごめんなさい。私が悪い…?

でも、もう、ここには…)

 

(ここには…っ)

 

(ニゲテモ、イイ…!?)

 

(でも、本当にそれでいいの…?)

 

(私がいなくなったら、お母さんは…?)

 

(お母さんを置いて…?

そんなの、私には…でもっ…)

 

「もう一度、頑張りましょう。

お母さんも、頑張るから!

ね?お願い。まふゆ」

 

「…っ!」

 

まふゆは、家を飛び出し、逃げ出した!

 

「まふゆ!」

 

まふゆは、奏の家にやって来た。

 

そこで、泣いていた。思いっきり…

 

冷たい雨の中、まふゆが走りながら、

宵崎家のドアを何度も叩き、泣き叫んでいた。

それを聞いた、奏が、走って、

まふゆを宵崎家の中へと入れ込み…

 

「奏、私!

私、ちゃんと、伝えたの!お母さんに!

でも…でも…!」

 

「…まふゆ…」

 

「どうして、私、ここにいるんだろう…

お母さん、すごく、怒っていて、悲しんでいて…

それなのに…私!

全部、私が悪いのかな…?

もう…死にたいよ…」

 

「…大丈夫だよ、まふゆ。

大丈夫…大丈夫だから…」

 

奏は、まふゆを温かく抱きしめた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。