まふゆが家出して、数日後。
「お父さんは、心配しているよ」
「まだ、帰りたくない…」
「…そうか、わかったよ」
まふゆの父が、宵崎家にやって来ていた。
「…ごめんなさい」
「体調や具合に、変わりは無いか?
必要な物があったら、持ってくるよ」
「…大丈夫。間に合っているから…
ありがとう」
「わかった。宵崎さん。
まふゆをよろしくお願いします」
「はい」
「まふゆ、また日曜日に来るからね」
と、まふゆの父は、宵崎家から、出ていった。
その後。
「はい。まふゆ、お茶を淹れたよ」
「ありがとう…いい香り」
「よかった」
「えっと…ロイヤルミルクティーと、
レモンティー、望月さんが、持って来てくれたんだ」
「そうなんだ。少し、落ち着いた。ごめん」
「ううん、大丈夫だよ。気にしないで」
「ありがとう。それじゃあ、部屋に戻るね」
「わかった」
「うん」
「わたしは、外に出るから、すぐに帰って来るから」
「いってらっしゃい」
まふゆは、部屋に戻り、寝ていた。
(足がもつれて…!)
母の顔が、急に脳裏に浮かんだ。
(…!進めない…!)
まふゆは、眠りにつこうとしたが、魘されていた。
(お父さん、来てくれたけど…何もなかった。
お父さんに心配かけている。ずっと…
私のせいで…きっと…私が奏の家にいる限り、
勉強しないと…!帰りたくない。
胸が冷たい…苦しい…!詩音くんに電話しようかな…?)
まふゆは、詩音に電話した。
(家出しちゃった…奏の家に)
(奏ちゃんの家に?)
(うん…)
(わかった。まふゆちゃん。僕も力になるよ)
(わかった。ありがとう。詩音くん…)
まふゆは、電話を切った。
(ミクなら、何て言うんだろう…)
(まふゆ)
(ミク…?)
ニーゴミクが、ホログラムとして、現れた。
「ミク…奏の曲に合わせて歌ってる」
(うん…)
「私、奏の家にいる。家出…しているの…」
(そう…これ)
「これは…絵本…?」
(何故か、出てきた…)
「どうして…?苦しい…怖い…お母さんが…」
(まふゆ…また、来て)
「うん」
(この場所には、きっと意味がある。
そんな気がするから…)
「うん」
まふゆは、再び、眠りについていた。
お母さんを思い出すたびに、苦しくて怖い思いをしていた。
(何も考えたくない…今は…眠りたい…)
と、まふゆはベッドで寝ていた。
しかし、妙な夢ばかり見ていた。
お母さんに襲われ、虐げられ、圧をかけられる、非情な悪夢。
(助けてよ、支えてよ、救ってよ…お願い…
詩音くん、奏…それに…ミク)
と、まふゆは悪夢にうなされるのだった。