「呪いだとしても、私を救いたい…?
ふふ、認めるなんて、潔いね」
「…」
「…」
「でも、もしその曲を聴いても、
きっと変わらない。
少し救われて、また消えたいっていう、
想いが強くなるだけ…
だから、もういいの、放っておいて」
「まふゆちゃん…ふざけないでよ!」
「…」
「…!」
「ハッキリ言うけど、消えた方がいいとか、
自分を探せないとか、
グチャグチャいっている、まふゆちゃんは…
心底腹が立つ!
僕自身、何をしているんだって…思ってしまうくらい!」
「…」
「消えたいとか、平気で言えるわけ?
僕や奏ちゃんの気持ちを踏みにじって…
確かに僕も、まふゆちゃんを責め過ぎたと思っている」
「何、言っているの?私は何もっていない、ずっと」
「何もない?僕にとっては、
まふゆちゃんと僕は違うって、感じている!
まふゆちゃんは、こんなに、すごい作品が出来る。
僕には、出来ないことが、出来るんだ。
期待してくれている人だって、沢山いる!
まふゆちゃんには、僕には無い才能がある」
「じゃあ、詩音くんは、何がしたいの?
自分は正義の味方のつもりなの?」
「僕は正義の味方じゃない。決して。
ただ、みんなと一緒に、
まふゆちゃんを救いたい、
消えるのは、絶対に許さないから」
「私の曲が、すごいだなんて、
そんなの、どうだっていい。
私が欲しいのは、すごい曲でも、誰かの賞賛でもない、
私は、ただ、見つけたいだけ、
でも、そんなのは、無理だってわかっていたら、
もう、どうでもいいの、
二人には、わからないかもしれないけど」
詩音は泣いた。
自分の頭の中が、全く整理が付かない状態だった。
「僕は…僕や奏ちゃん達じゃ、ダメなのか…」
「勝手なこと、言わないで」
「…!」
「勝手に共感して、救おうとして、嫉妬して…
やめてよ、もう、十分でしょう…
私は…消えたい…それが、私の本当の想いなの」
「まふゆ…それでも、わたしは、
まふゆを救いたい」
「…っ!もう疲れたの!
希望があるからって!まだ、見つかるって!
だったら、最初から見つからないって、
思っていた方が、楽だった、
だから…もう、もう…もう!
救われるなんて、思いたくない!」
「…!!」
「もう疲れたの!探しても、探しても、
探しても、探しても!違うって、絶望して…
もう、これ以上、どうしようもないじゃない!」
「わたしが作り続ける」
「え?」
「この曲で、まふゆが救えなかったとしても、
救えるまで、曲を作り続ける。
まふゆが自分を見つけられるまで、
曲を作り続ける」
「何言っているの?」
「わたしは、もう、目の前で誰かが、
消えるのは、嫌だから」
「でも…でも!奏も本当は消えたいんでしょ!」
「うん、そうだよ、
だから、もし、わたしが絶望して、消えそうになったら、
その時、まふゆは、まだ見つかっていないって、
言ってくれればいい。
そう言ってくれれば、わたしは曲を作れられる」
「何それ…自分が何を言ってるか、わかっているの?」
「わかっている」
「どうして、そこまで…」
「それは…わたしの、ただのエゴだよ、
だから、まふゆの分まで、増えたって、
なんてことはないよ」
「見つからないまま、終わるかもしれない・
それでも…本当に…やるの?」
「うん」
「はは、二人とも、そんなに必死になって、バカみたい。
はははは…もう少しだけ、探してみるよ」
「まふゆ…」
「まふゆちゃん…」
「本当に、二人とも、傍にいてくれる?
救ってくれるの?」
「もちろん」
「うん」
まふゆは救われたかもしれないと、
二人は、そう思うのだった。