【完結】俺の世界、終わった。   作:渚 龍騎

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輝けるものに終焉を

 

 

 

 

 それは、あまりにも酷く、残酷な光景だった。

 

 

 

 ウルトラマンが圧倒的な絶望を振り撒く邪神に、成す術もなくただ叩きつけられていた。

 援護を施していた戦闘機の銃撃はまったく効かず、邪神の前ではあまりにも意味が無かった。

 なにせウルトラマンカラミティが放つ技の悉くが、ガタノゾーアの前に全て無意味。ただでさえ強固な表皮を持つガタノゾーアが、無であるグリーザを取り込むことで、グリーザの空間湾曲や『無』そのものを受け継いだ。

 

「──やってることがヤバイだろっ!」

 

 海上に叩きつけられながら、シュウは文句を叫び散らす。倒したと思えば、合体して強化。何倍どころか、何乗にも増幅して最悪になっていた。

 光による強化がカラミティの『トゥルーホープ』なら、ガタノゾーアは闇による強化に他ならない。

 闇そのものではなく、『無と闇』の融合。闇であり、無である存在こそガタノゾーアの第二形態だ。

 

 ガタノゾーアがグリーザを取り込むなど、完全な計算外。いや、誰であってもそんなこと考えるはずがない。ガタノゾーアの第二形態は詳細が不明な上、あったかどうかも明確にされていないのだから、分かる訳がない。

 

「くっそ、どんだけハードなことしてくるんだよ!」

 

 ガタノゾーアが最凶たるグリーザを取り込むことで、無へと至った邪神。だがカラミティは数名の光を身に纏ったのみ。謂わば、寄せ集めの光で得た強化形態に過ぎない。

 

 迫り来る暗黒の触手をブレイキングスマッシュで牽制。怯んだ触手に向けてカラミュームブレードで切断して──残りは援護に任せ、海上を蹴った。

 蛇のように伸びた顔のガタノゾーア。その眼前まで迫り、左脚を軸にして跳躍──右足で蹴り上げ、更には左足を振り上げてガタノゾーアに二連蹴り。

 

 海上に脚を叩き付けて震脚。溢れる勁力を全て引き絞った右腕に乗せ、更にはカラミティの光を溜めて『ダイヤモンド・クラッシュ』を叩き込む。だがしかし、ガタノゾーアから放たれたグリーザダークライトニングがその拳を押し返し、カラミティを吹き飛ばした。

 

「くっそ……っ!」

 

 苦渋を噛み締め、これでも諦めない意地を見せるが、それでも圧倒的な絶望を前にシュウも挫けそうになっていた。

 ガタノゾーアの元あった体長は約百二十メートル。だが今はその三倍にも巨大化して三百メートルあまりある。それだけでなく、取り込んだグリーザの能力をも扱い、不可解な動きに瞬間移動や空間湾曲、最悪に最悪の組み合わせでしかなかった。

 

『このままでは、いずれこちらの力が尽きる』

「分かってる! だがどうしようもないんだ!」

 

 グリーザを倒す為には、それこそ完全なる理屈を超えた力か、宇宙の穴を縫う針が必要になる。

 ガタノゾーアを倒す為には、膨大なる光の力を使い、ヤツの存在を完封しなければならない。

 例えグリーザの空間湾曲に『無』を看破しても、その次に待ち受けるのはガタノゾーアの強固過ぎる巨躯。それらを破るだけのチカラが、今のカラミティには残っていない。

 

「どうすればいいどうすればいい」

 

 どれだけ思考を巡らせても、解決する方法が見えない。まずグリーザを倒す手段すら持ち合わせていないのに、ガタノゾーアの第二形態と来た──俺の世界、終わった。

 グリーザにガタノゾーアにダークザギまでいる時点で終わっているが、ここまで抗って諦めたりなどしない。まだ共に戦ってくれる勇士がいる。

 

「なんとしてでも、この人たちは死なせない」

 

 天空を駆ける流星。雲を割く数機がガタノゾーアを牽制するが、その瞬間に素早く伸びた触手が一機を叩き落とした。

 

「──ッ!」

 

 慌てて駆け出す。戦闘機は炎を噴き出し、制御不能となって落下する。棚引く黒煙が天に昇りて、カラミティは戦闘機に視線を向けたまま駆けた。

 行く手を阻む触手の軍勢を潜り抜け、放たれる攻撃の全てを回避して飛び込んだ。

 海上に落下する寸前──カラミティは戦闘機を見事に掴み取り、倒れ込む直前で抱き抱えるようにして胸に寄せた。

 

「間に合った……」

 

 手にした戦闘機を見下ろして、パイロットの安否を覗く。彼はカラミティを見上げたまま、事の状況に理解できていなかった。

 だが無事なことだけは理解できた。

 海上に逃せる場所は見当たらない。

 カラミティが辺りを見渡した直後、全身に激痛が駆け巡った──グリーザの能力を得たガタノゾーアの光線、光弾、あらゆる攻撃が、カラミティに襲い掛かった。

 

 歯を食いしばり、意識が飛びそうな程の激痛に耐え、戦闘機を抱えたまま離さない。ガタノゾーアに背中を見せ、意識も離さず、ただただ迫り続く攻撃に耐える。

 

「────ッ」

 

 逃げたい──逃げない。

 イヤだ──だが、それでも。

 救いたい命があるから、シュウは決して────、

 その手を離さない。決して負けたりしない。

 

 攻撃を受け続けた影響故か、本来制限時間の存在しないカラミティの胸の発光体(カラータイマー)が音を照らして点滅を開始した。

 徐々にチカラが抜けていくのを感じる。

 カラミティの身体が傷付けられる度に、光の粒子が散って空気に溶けていった。

 

 いまここで意識を手放せば、手元にいるパイロットは助からない。海上に落下してしまえば、カラミティ以外に助けられる者はいなくなる。だからこそ、まだ意識は手放さない。

 

 ガタノゾーアの猛攻から耐え続けたが、カラミティは呻いて膝を付く。

 絶対的な絶望。可能性の未来は果てしなく遠くて、期待も、希望も、その殆どが闇に呑まれて、ウルトラマンの敗北を予期した。

 

「──俺のことはいいっ!」

 

 カラミティの手元から、そんな叫びが聞こえる。

 パイロットだ──彼はカラミティを見上げて、必死に首を振っていた。

 

「あんたが倒れたら、誰がアイツを倒すんだ! 俺のことはいいから、あんたはあんたのことを考えろ!」

 

 その通りだ。

 今現在、ガタノゾーアの第二形態と対抗できるのは、ウルトラマンカラミティのトゥルーホープのみ。

 ここで倒れれば、誰がガタノゾーアを倒す? 

 ここで負ければ、誰が世界を守り抜く?

 それでも────、

 だがそれでも────カラミティは離さない。

 ただ、救いたい──ただ、それだけの思いで。

 

「誰かが死ぬのは、見たくない……っ」

 

 シュウは激痛に耐えながら、苦渋を噛み締めて声を漏らした。

 誰かのために、何かのために──皆、その一心で戦っている。だからといって、消えていい命など存在しない。

 

『シュウ、このままでは……!』

 

 意識が、遠退く。視界が、黒に染まる。

 思考が、消える。記憶が、失っていく。

 ここまで来て、諦めることはしたくない──ウルトラマンたちはずっと、昔からずっとそうやってきた。

 諦めず、目の前のことから逃げたりしない。

 

 意識が遠退く寸前──視界の全てがスローモーションに映じる。自分の身体から舞う光の粒子。駆け抜ける激痛。動く度に揺らめき、荒れる海。

 見下ろすパイロットの表情が変わる。

 

 迫り続けるガタノゾーアの猛攻。こうなってしまえば、手の打ちようがなく、ただ死にゆくだけ。奇跡などなく、偶然もなく、神であっても手を貸したりはしない。

 

 ────もし、彼に助けがあるとしたら。

 

 それは最後まで希望を信じて止まぬ者が、全力で奔走して突っ走り、ガタノゾーアの攻撃を止める他ない。だがそれでも、間に合ったかどうか定かではない。

 だが、それは違った。

 偶然でもない必然たる奇跡。

 人類を、地球を、その全てを守る為に存在する光の意思(チカイ)だ。

 全ての宇宙に置いて、それはこう呼ばれる存在である。

 

 ────即ち、光の戦士(ウルトラマン)

 

 その瞬間、()()()()()()()()()()()()()

 なによりもその異常を察知したのはガタノゾーア。その一瞬で、誰もが驚愕する。一秒後に待ち受ける死の世界に、光を纏った乱入者。

 ガタノゾーアの放った光線、光弾が相殺される。

 それはガタノゾーアだけでなく、カラミティやその戦場に集う戦士たちも、刹那でそれを見て感じた。

 

 

 ────あの光は、なんだ?

 

 

 遍く暗黒の世界を照らす一条の輝き。

 異常を察知したガタノゾーアがグリーザダークライトニングを放つが、光は一瞬でそれを相殺するとガタノゾーアを吹き飛ばす。

 光は天を舞い、カラミティの前で停止。そして光が光に吸い込まれ、眩い輝きで辺りを照らし尽くして集結する。やがてそれは人の形を象り、輝きが消えると、カラミティを見下ろして頷く。

 その姿にシュウは驚きを隠せず、目に涙が溜まるのを感じ、思わずその名前を叫んだ。

 

 ────それは、()の有名な真の勇者。

 

「──ウルトラマンコスモスっ!」

 

 白銀の身体に紫電を宿した宇宙より来たる神秘(スペースコロナモード)

 コスモスは両腕に神秘のチカラを溜め込み、ガタノゾーアから放たれる光弾と同時にオーバーループ光線を撃ち放った。

 光弾を全て貫通させ、オーバーループ光線は命中。ガタノゾーアが吼え猛け、その瞬間にコスモスは両腕を広げて金色の光を身に纏う。光が全身に絡みつき、その姿を一変──未来を繋ぎし希望の姿(フューチャーモード)と姿を変えて、カラミティの横に駆け寄った。

 

『カオスヘッダー! 大丈夫かい?』

『……コスモス』

 

 手を取ったコスモスは、自らフューチャーフォースを与えてカラミティの傷とエネルギーを癒やす。そしてカラミティのその姿と、シュウの存在に気が付き、微笑んで頷く。

 

『君がカオスヘッダーを助けてくれたんだね』

「なんで、ウルトラマンコスモスが……」

『その話はまた後で。今は──』

 

 視線を横に向け、シュウも視線を辿って理解した。

 オーバーループ光線が巻き起こした爆炎を振り払い、ガタノゾーアが両腕を薙って吼えた。

 コスモスはカラミティの抱えていた戦闘機に手を翳して、淡い光と共に『ミラクル・リアライズ』で一瞬で修復。そのままパイロットがコスモスとカラミティを一瞥して頷き、そのまま飛び立った。

 カラミティが、コスモスが、互いに頷いて構える。

 

「まさか、本当にウルトラマンが……」

 

 コスモスを一瞥して、シュウは彼の横に立っていることが信じられず、現実を夢だと疑うしかない。だが目の前にはガタノゾーア、横にはウルトラマンコスモス。痛みも最悪なほど感じた故に、現実だと信じるしかなかった。

 本物のウルトラマンに会えるなど、誰が考えていただろうか。世界が終わったと確信していたが、希望が見えた。

 

『──テェヤッ!』

『──ジュアッ!』

 

 コスモスが、カラミティが、二人の光の戦士が同時に吼えてガタノゾーアを捉えて跳躍。縦横無尽に駆ける触手の軍勢を躱し、ブレイキングスマッシュ、エクリプススパークで牽制。コスモスの迫り来る触手や光弾の全てをカラミティが蹴散らして、コスモスが攻撃を仕掛けた。

 高所からの急降下によるキックはガタノゾーアを蹴り抜き、カラミティが正面からカラミュームストライクを放った。

 

 真紅の光線は触手の軍勢を一蹴。だがガタノゾーアに直撃する寸前で空間が歪み、光線は天高く捻れて飛んだ。

 

「俺が思うに、ガタノゾーアはまだグリーザの能力を扱い切れていない」

 

 完全に取り込めているのか疑問視されるが、もし本当にグリーザの全ての能力を掌握して扱えるのなら、瞬間移動や『無』の本質をもそのまま得ているはず。

 攻撃もグリーザの不可解かつ変幻自在の予測不可能なものではなく、触手やグリーザダークライトニング、そして光弾のたった三つのみ。主なのはガタノゾーアが元から持っている触手。攻撃の殆どがそれに頼っている。

 

「完全にグリーザを取り込んでしまえば、ガタノゾーアは本当の意味で倒せなくなる」

 

 『闇』にして『無』。そうなれば終わりだ。

 グリーザは謂わば『宇宙の穴』。それだけ強大な存在たる『(グリーザ)』を取り込むのは、ガタノゾーアであっても困難であるはず。現状考えられるのは、グリーザを完全に取り込むには時間が掛かるということ。

 それまでに倒さなければ、ウルトラマンキングのような全てを超越したチカラが必要になる。

 

『だが、今のままでも相手は強力だ。どうする?』

 

 カラミティの問い掛けに、触手と光線を回避しながら思考を巡らせる。

 今はウルトラマンコスモスの助力もある。だがそれでもガタノゾーアの第二形態を屠るには、火力も何もかもが足りない。

 チカラの残量も制限時間も、全てが消える前に打開する方法を考えなければ、ガタノゾーアには勝利できない。

 コスモスのフューチャーモードは無限のポテンシャルを秘めているが、ガタノゾーアもまた『無』たる存在。

 

「──諦めないだけだ」

 

 ただ一言告げて、シュウは戦闘に集中する。

 奇跡に頼りはしないが、今ここにウルトラマンコスモスがいるだけでも希望が持てる。最後の最後まで、僅かな勝利をも信じて諦めずに戦い抜くのみ。

 

『□□□□□□□□□──ッ!!!』

 

 ガタノゾーアの咆哮と共に無数の光弾が円弧を描いて、カラミティとコスモスに降り掛かる。カラミティたちを貫き、海上に落下して巻き上げた海水が辺りに散った。

 続けてガタノゾーアの長い首が不規則に揺らめき、紫紺の光線グリーザダークライトニングが大気を抉って放たれる。先に痛みを振り払って立ち上がったコスモスが、カラミティより一歩前に踏み出て指先からゴールデンエクストラバリアを展開して防ぐ。

 だが完全に受け止め切れるはずがなく、コスモスは徐々に押し返され、バリアにもヒビが入っていく。

 

「──コスモスッ!」

 

 素早く立ち上がり、高速移動を以て瞬間的にエネルギーを集束。カラミュームストライクを右腕から放出。グリーザダークライトニングを押し返してガタノゾーアの頭部に直撃──続いてコスモスが一瞬で詰め寄ると、拳を振り抜き渾身の一撃を叩き込んだ。

 

 ウルトラマンカラミティ トゥルーホープ

 ウルトラマンコスモス  フューチャーモード

 

 二人は互いに戦ったことはあれど、共に協力することなど今まで経験したことがない。ましてやシュウは今日がウルトラマンになって初めて、まともな連携などできるはずがなかった。

 ────だが、それは違った。

 

 カオスヘッダーがコスモスを信じている故か、コスモスの考えている事が手に取るように感じる。しかしそれはコスモスが合わせてくれているのか、二人の連携は互いの隙を埋めて、完璧なコンビネーションでガタノゾーアと互角に戦えていた。

 

「──二人いてもまだ足りないのか!」

 

 希望を抱く光の巨人が二人。それでもまだガタノゾーアの第二形態には届かない。終止符を打つには、一手が足りない。

 思考を巡らせても打開策なんて見つからない。

 弱点も見つからない。なにをどう行動すれば、ガタノゾーアを打ち倒すことができるのか、まったく分からない。

 

 そして、ガタノゾーアの振り払った巨大な鋏が、コスモスを叩き落とす。寸前で腕を交差させて防御していたが、あまりの巨躯にコスモスは海上に落下。

 

「──コスモスッ!」

 

 視線を向けた直後──眼前に一瞬で迫ったガタノゾーアが、巨大な鋏でカラミティを挟み込んだ。

 巨躯に見合った剛力がカラミティの身体に食い込み、あまりの激痛にシュウは絶叫を上げて喀血。藻掻いても無駄──鋏を掴んで無理矢理こじ開けようとしても、余計に食い込むだけで意味がない。

 肉が抉れ、骨が軋み、死が迫る。

 声なき絶叫に歯を食いしばり、何度も鋏に拳を振り下ろしてもびくともしない。

 

 ガタノゾーアはグリーザダークライトニングとシャドウミストを混ぜた光線を放ち、無防備に晒されたカラミティに当て続けた。

 四肢が引き千切れる。

 身体が激痛に駆ける。

 意識が漆黒に溶ける。

 視界が暗黒に染まる。

 記憶が虚空に消える。

 視界の端でコスモスが必死に助けようと尽力を尽しているが、一人の抵抗も虚しく振り払われた。

 

 眼前に死を感じた。

 ガタノゾーアの表情が、僅かに微笑んだようにも見える。侮蔑の嘲笑たる笑みで、ガタノゾーアはカラミティを睥睨した。

 

「──笑っ、てんじゃ、ねえよ……ッ」

 

 何かが千切れる。意識が消えかける。だがシュウは激痛を噛み締めて、眼前で嗤うガタノゾーアを睨む。

 負けたくない。

 諦めたくない。

 認めたくない。

 終焉(おわり)たくない。

 眼下で未だ諦めずにカラミティを救おうとするコスモスを一瞥。彼もまだ、諦めてなどいない。

 

 ウルトラマンコスモス。

 彼は自分よりも遥かに強大な相手でも果敢に立ち向かい、何度倒れても好機を逃すことなく、倒れる度に立ち上がってきた。

 ウルトラマンコスモスと春野ムサシは諦めたことなどない。守りたいものを守るために戦ってきた。

 

「俺は、コスモスから……ッ、ムサシから! ウルトラマンたちから……ッ!」

 

 苦痛を噛み殺して、獰猛な眼差しで相手を睨んだ。

 拳を鋏に振り下ろし、ガッシリと掴んで全力を込める。両腕の筋肉が張り裂けそうになり、更に食い込む刃を抉じ開けていく。だがそう簡単に鋏が開くことはない。

 それでも、シュウは止めない。

 ────なぜなら、

 

「俺は、ウルトラマンから……ッ! 諦めないことを、教わったァァッ!!」

 

 瞬間、声が聞こえた。

 誰かが呼ぶ声。誰かが叫ぶ声。その全てが『ウルトラマンを激励する言葉』だった。

 

『──負けるなっ!』

『──頑張れっ!』

 

 激励の言葉が、輝きを増す。

 遍く暗黒を縫って、金色に輝く光が一条に(はし)る。その数は、カラミティが得たものよりも遥かに多く、空を覆い尽くす暗黒を照らし尽くすほどの()だった。

 数千、数万、数億、その光は瞬く間に増えて行き、あらゆる輝きがカラミティとコスモスに流れ込む。

 

「これは……」

 

 温かく、柔らかく、爽やかな感覚。

 かつて超古代の光の巨人(ウルトラマンティガ)が、マドカ・ダイゴが共に刮目したその輝き──それは、まさに光。

 病室にいたツバキたちの希望。そして次なるは世界中で希望を諦めぬ人々の光が、カラミティに、コスモスに輝きを与える。

 

 爆大なエネルギーを宿した蒼き輝きが、カラミティを挟み込む鋏を打ち砕く。それは、ウルトラマンコスモスが放ったコスモストライクの一撃。

 人々の輝きを宿した強烈な光線。

 カラミティはコスモスの横に並び立ち、互いに見合ってゆっくりと頷く。

 

 刹那──世界中の光が完全に集結する。

 それらは二人の巨人に希望と心の光を悠然と煌めかせ、巨人たちが光を宿して眩く輝き出す。

 黄金の輝き。ガタノゾーアは目を疑い、あまりの輝きに咆哮して後退りした。

 

『□□□□□□□□──ッ!!』

 

 その輝きは、かつてウルトラマンティガの宿した完全なる奇跡の光。希望は光となりて、奇跡の輝きを放った。

 

 ウルトラマンカラミティ。

 ウルトラマンコスモス。

 二人の勇者が黄金に輝き出す。

 それは、まさに奇跡の輝き(グリッター)

 

 邪神を打ち払う奇跡の巨人が、此処で立ち上がる。

 巨人と邪神が相まみえる。

 『無と闇』を支配する邪神と、『光と心』を抱きし勇者が激突する。闇が辺りに蔓延り、光が辺りを照らし尽くす。最悪と奇跡の衝突は世界を明滅させ、全てが光に照らされる。

 

『これだけの光があれば……シュウ、君のチカラを貸してくれ』

「どうすればいい?」

『ただ想いのままに、邪神を打ち払う一手を考えればいい』

 

 シュウは了承してからコスモスを見つめる。するとコスモスは何かを察して頷き、ガタノゾーアの前に駆け出た。

 強化されたコスモストライクがガタノゾーアを撃ち抜き、高速移動を多様して回避しながら攻撃を与える。

 コスモスの時間稼ぎの中──シュウは瞳を閉じ、精神を集中する。意識がカラミティと繋がり、全てが融合して記憶が混じり合った。

 カラミティ──カオスヘッダーはシュウの記憶から一つを模倣(コピー)して、全ての準備が整った。

 あとは、ただその想いのままに動くのみ。

 

『シュウ!』

「カラミティ!」

 

 覚醒したカラミティが足を一歩引く。両腕を引き絞り、一気に前に突き出して交差。その瞬間カラミティの身体が光り輝き、両腕をゆっくり広げていくと、光が一本の線となって伸びる。

 それは、かつて奇跡を宿した光の巨人(グリッターティガ)が、世界中の子供たちと共に撃ち放った最強の一撃。

 それこそ、絶対なる一条の光。

 その名は────、

 

《 グリッターゼペリオン光線! 》

 

 ᒪ時に組んだ直後に、ウルトラマンティガの幻影が重なり合い、極限まで増幅された光粒子エネルギーが爆発。一条の極光が辺りを照らし尽くして、海を切り裂く。強大なエネルギーが巻き起こす漠然とした波が大気をも消し飛ばして、『無』を覆すとガタノゾーアに直撃。

 それだけでカラミティの行動は終わらない。

 胸の発光体(カラータイマー)に奇跡の輝きを集結させ、タイマーフラッシュスペシャルが放たれた。

 その威力はガタノゾーアを仰け反らせるだけでなく、三百メートルあまりある巨躯を簡単に吹き飛ばした。

 

『「──コスモスッ!」』

 

 カラミティ(シュウ)の声が合わさり、吹き飛ばされたガタノゾーアにコスモスが追い打ちを畳み掛ける。蒼き光が集い、グリッターコスモストライクを以てガタノゾーアの巨大な鋏を粉砕。

 カラミティの横に降り立ったコスモスは視線をシュウに向けて、ゆっくりと力強く頷いた。

 

 両者の意識が交わる。

 カラミティとコスモスは自らの腕を互いに交差させ、己の中に駆け巡る奇跡の光が瞬く。そのまま大きく振り回して腕を引き絞った。

 ウルトラマンカラミティ。

 ウルトラマンコスモス。

 カラミュームストライクとコスモストライク。

 二人が持つ最強にして最高の光線を轟かせる。撃ち放った二つの奔流が絡み、混じり合い、一つの光線となりて『クロスパーフェクション』が──否、『グリタリングパーフェクション』が、邪神ガタノゾーアを撃ち抜く。

 

 

 束ねられた光の奔流は海を裂き、空を割り、真っ暗な暗黒を照らし尽くして、光をより彼方へと届ける。その輝きは、まるで勝利を祝福するかのように辺りを照らして包み込んだ。

 

 

 奇跡の光たちは、世界を覆い尽くす闇を、そして邪神そのものを打ち払った。




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