ディーノの小冒険   作:むろふし

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勇者ラーハルトとパプニカの姫後編

「まさかこれ程腕が立つとは思わなかった」

 

賢者バロンは憎々し気にラーハルトを睨み付ける。

その手にはモンスターを封じ込め、解き放つ事が出来る魔法の筒が握られていた。

 

「バロン、あなたまさか…」

「姫、貴女は不幸にもこの島でモンスターに襲われ死ぬのです。そして後継者のいなくなったパプニカは私のものとなるのだ」

「…この事はテムジンも知っているの?」

「もちろん、話を持ち掛けたら嬉しそうに協力すると言ったよ。人望がないなレオナ姫、ふはははっぎゃッ!?」

「!?」

 

自慢げに自分たちの企みを話し始めたバロンをラーハルトは容赦なく叩きのめした。

 

「拘束しろ。魔法を使われては厄介だ、口も塞いでおけよ」

 

唖然としながらもすぐさま我に返り護衛の魔法戦士たちは気絶したバロンの口に猿轡を噛ませ縄で縛りあげた。

 

「そこが大穴だ。さっさと儀式を済ませろ」

「あなた、本当に強いのね…」

 

人間性はともかくとして、ラーハルトの実力をレオナは素直に感心するのだった。

 

 

 

その頃。

バロンの悪事に加担している司教のテムジンは…。

 

(…バロンの奴め、遅いではないか…)

 

バロンがいつまで経っても帰ってこない為にイライラしていた。

 

「テムジン殿、どうかされましたかな、先程からイライラされているようじゃが」

 

その様子を見たブラスがニコニコしながら声を掛けてきた。

 

「え、ええ、姫の身を心配していたのです」

「ほぉ、そうですかァ…なぁに、この島に人を襲う様な邪悪なモンスターはおりませぬ。姫様の儀式も無事終わり、今頃帰ってきているところじゃろうて。何せ姫様の身はラーハルトが守っておるんじゃ、心配ご無用ですぞ、ひょっひょっひょ」

「…そ、そうだと良いのですか…」

 

(ちっ、気色悪い鬼面道士めが。バロンが戻ってきたら真っ先に始末してくれるわ)

 

などと心の中で思いながらバロンを待っていたのだが…。

 

 

「んー!ん~~~~!」

「なっ!バ、バロン…!?」

 

 

縄で縛られ鼻水を垂らすバロンと怪我一つないレオナ姫がテムジンの前に現れた。

 

「パプニカ司教テムジン、お前の悪事は全てこのバロンから聞きました。無駄な抵抗はやめて素直にお縄に着きなさい!!」

「ぬ、ぬぅ~~~!!おのれレオナ姫~~~~!!者ども!!かk「ラリホーマ」…ZZZZzzz…」

 

最後の抵抗を試みようとするも側にいたブラスのラリホーマによってテムジンとその配下の魔法戦士たちは一気に眠りに落ちてしまった。

 

「ふん、こんな事じゃろうと思ったわい。全く災難でしたな、姫さま」

「ブラスさん! …ごめんなさい、私たちがこの島に来たせいで、危険な目に遭わせてしまって…」

「全くだ、そう思うならさっさと帰れ」

「これこれラーハルト、すまんな姫様、こやつは真面目過ぎてのぉ…わしらはこうして無事じゃった、それで良いではないか」

「ブラスさん…」

 

自分に危害を加えようとした重臣たち。

会ったばかりの自分を守り優しい言葉をかけてくれたブラスたち。

今回の事件でレオナは色々な事を学べた様な気がした。

 

「皆さーん、お食事でもいかがですか~」

「ぴぴぴ~♪」

 

そこへ、ソアラとゴメちゃんがやって来た。

 

「あら、皆さんお昼寝かしら?」

「ぴー?」

 

ラリホーマによって眠らされた悪党どもを見てそう言ったソアラの言葉に、レオナたちは笑い合うのだった。

 

 

 

 

 

その頃、ディーノたちは…。

 

 

 

「こ、こいつが息子だと?」

 

魔族の武器職人であるロン・ベルクはディーノを見て愕然とした。

その身体つきや掌の剣ダコを見ればそこそこのレベルだと分かったが、如何せん、顔つきはアホだった。

 

「うむ、目元はソアラ似で癖毛は私似だな。まぁ当然か、私とソアラの息子なのだから」

「そういう事を言ってるんじゃない…相変わらずの親バカが…」

 

ロン・ベルクとバランが出会ったのはバランたちがラーハルトと一緒に旅を初めて暫く経ってからの事だ。

ラーハルト用の武器を欲したバランがとある村の武器屋に紹介してもらった名工、それがロン・ベルクだった。

 

バランとロン・ベルクは一言二言会話をすると本気で戦い合った。

竜闘気全開の竜の騎士と互角の戦いを見せる武器職人にラーハルトは驚愕し、素直に敬意を抱いた。

そして、ラーハルトは愛用の魔槍を手に入れたのだった。

 

「アンタがガキを連れて来たって事は…扱えるのか、紋章の力を?」

「もちろんだ、私とソアラの息子だぞ」

「はいはいご馳走さん…おい、小僧、紋章を出してみろ」

「はっ、はい!!」

 

ディーノはグッと全身に力を込めると、額に竜の紋章が輝き始めた。

 

「…あの後アンタは言ったな、赤子だったこのガキを見せびらかして、この子が成長し紋章を自在に扱えるようになった時、この子の全力に耐える武器を作ってくれと…そして俺はそれに考えてやると言った…」

「あぁ」

「こんなに早く来るとは思わなかったぞ」

「私もだ、こんなに早くディーノが竜の紋章を使えるようになるとは思わなかった。流石は私とソアラの息子だ」

 

自慢げに誇るバランと呆れるロン・ベルクの会話にディーノは照れた。

 

「……結論から言うと武器は作れん、その理由はアンタも分かってるんじゃないか?」

「オリハルコンか」

「そうだ、この世界のどの金属よりも固いと言われるオリハルコン、それがないから武器を打てない。そして…お前の息子だが…」

 

ロン・ベルクはディーノをじっと見ると眉をひそめた。

 

「…こいつの本当の実力を知りたい、武器の話はそれからだ」

「…うむ、息子を頼む」

「え?え?え?」

 

 

 

 

こうしてディーノとロン・ベルクの剣術稽古が始まった。

 

 

 

 

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