「くそっ! くそっ! 何なんだよ! ふざけやがって!」
時間は深夜。【宿場町ホルアド】の町外れにある公園、その一面に植えられている無数の木々の一本に拳を叩きつけながら、押し殺した声で悪態を吐く男が一人。檜山大介である。
檜山の瞳は、憎しみと動揺と焦燥で激しく揺れていた。それはもう、狂気的と言っても過言ではない醜く濁った瞳だった。
「案の定、随分と荒れているね……まぁ、無理もないけど。愛しい愛しい香織姫が目の前で他の男に掻っ攫われたのだものね?」
そんな檜山の背後から、たっぷりの嘲りと僅かな同情を含んだ声が掛けられた。バッと音がしそうな勢いで檜山が振り返る。そして、そこにいた人物が密会の相手であるとわかると一瞬ホッとした表情を浮かべ、次いで拳を握り締めながらまるで獣が唸り声を上げる様な声音で言葉を返した。
「黙れ! くそっ! こんな……こんな筈じゃなかったんだ! 何であの野郎生きてんだよ! 何の為にあんな事したと思って……」
「一人で錯乱してないで、会話して欲しいのだけど? 密会中のところを見られたら言い訳が大変だからね」
「……もう、お前に従う理由なんてないぞ……俺の香織はもう……」
月明かりが木々の合間に作った陰影の中に、まるでシルエットの様に潜む人物に向かって檜山は傍らの木に拳を打ち付けながら苦々しく言う。
檜山がこの人物の計画に協力していたのは、香織を自分だけのものに出来ると聞いたからだ。その香織がいなくなってしまった以上もう協力する理由はないし、ソウゴへの殺人未遂の暴露を脅しの理由にされても、本人から暴露された以上今更だった。
しかし、そんな檜山に対して暗闇で口元を三日月の様に裂いて嗤う人物は、再び悪魔の如き誘惑をする。
「奪われたのなら奪い返せばいい。違う? 幸い、こっちにはいい餌もあるしね」
「……餌?」
言っている意味が分からず、首を訝しそうな表情をする檜山に、その人物は口元をニヤつかせながらコクリと頷く。
「そう、餌だよ。たとえ自分の気持ちを優先して仲間から離れたとしても……果たして彼女は友人達を、幼馴染達を……放って置けるかな? その窮地を知っても」
「お前……」
「彼女を呼び出すのは簡単な事だよ、何も悲観する事は無い。特に今回の事は、まぁ流石に肝が冷えたけれど……結果だけをみれば都合も良かった。うん、僥倖といってもいいね。王都に帰ったら、仕上げに入ろうか? そうすれば……きっと君の望みは叶うよ?」
「……」
檜山は無駄と知りながら、影に潜む共犯者を睨みつける。その視線を受けながらも、目の前の人物は変わらず口元を裂いて嗤うだけだ。
檜山はその計画の全てを知っている訳では無かったが、今の言葉で計画の中には確実にクラスメイト達を害するものが含まれていると察する事が出来た。自分の目的の為に、苦楽を共にした仲間をいともあっさり裏切ろうというのだ。そして、その事に僅かな嫌悪感も感じていないらしいと知り、改めて背筋に悪寒が走る。
(相変わらず気持ち悪い奴だ……だが、俺ももう後戻りは出来ない……
檜山は自分の思考が、既に滅茶苦茶である事に気がついていない。共犯者として、指示されるままにやってきた事から目を逸らし、常に自分の行いを正当化しその根拠を全て香織に求める。
影の人物には黙り込む檜山のそんな心情が手に取る様に分かった。なので口元に笑みを浮かべながら、分かり切った返答を待つ。
「……分かった、今まで通り協力する。だが……」
「ああ、分かってるよ。僕は僕の、君は君の欲しいものを手に入れる。ギブアンドテイク、いい言葉だよね? これからが正念場なんだ。王都でも、宜しく頼むよ?」
表情を歪める檜山を特に気にする風でも無く、その人物はくるりと踵を返すと木々の合間へと溶け込む様に消えていった。
後には、汚泥の様に濁った暗い瞳を爛々と輝かせる堕ちた少年が一人残された。
二人は気付かない。利用しようとしたその餌が、猛毒に浸された劇物である事に。
一方。町外れの広場で怪しげな会談が行われていた頃、別の場所でも二人の少年少女が月明かりに照らされて佇んでいた。
一方の密談場所とは異なり、その場所は小さなアーチを描く橋の上だった。町の裏路地や商店の合間を縫う様に設けられた水路に掛けられたものだ。
水路は料理店や宿泊施設が多い事から必要に迫られて多く作られており、そのゆるりと流れる水面には下弦の月が写り込んでいて、反射した月明かりが橋の上から水面を覗き込む、頭を包帯で包んだ少年の整った顔を照らしていた。
尤も、正確には覗き込んでいるのではなく“項垂れている”の方が相応しい表現であり、また整った顔は暗く沈んでいて、普段の輝きからは程遠い有様だった。
そんな、まるで会社が倒産した挙句多額の借金を背負ってしまった零細企業の元社長の如き姿を晒しているのは、ソウゴに物理的説教を食らって生死の境を彷徨った"勇者"天之河光輝だ。去り際に雫経由で渡された"神水"によって、どうにか外出できる程度には回復している。
「……何も言わないのか?」
光輝が水面の月から目を逸らさずに声をかけた。その相手は、十年来の幼馴染。旅立ってしまった女の子の片割れ、八重樫雫だ。
雫は光輝とは違って、橋の欄干に背を預けながら少し仰け反る様に天を仰ぎ、空に浮かぶ月を眺めていた。欄干の向こう側で、トレードマークのポニーテールが風に遊ばれる様にゆらりゆらり揺れている。
視線を向けてこない幼馴染の言葉に、雫もやはり視線を合わせず、月を見つめたまま静かに返した。
「何か言って欲しいの?」
「……」
何も答えない、否、答えられない光輝。水面に映る月を眺めていても、頭に浮かぶのは香織が想いを告げた時の光景。不安と歓喜を心の内に、祈りを捧げる様に告げられた想いは、その表情と相まって嘘偽りではないのだと病気レベルで鈍感な光輝をして確信させるものだった。
光輝は香織とは十年来の付き合いがあるが、未だ嘗てあれ程可憐で力強く、それでいて見ているこちらが切なくなる、そんな香織の表情は見た事が無かった。正に青天の霹靂とはこの事だった。
その表情を思い出す度に、光輝の胸中に言い知れぬ感情が湧き上がってくる。それは暗く重い、酷くドロドロした感情だ。
無条件に何の根拠も無く、されど当たり前の様に信じていた事。香織という幼馴染は、いつだって自分の傍にいて、それはこれからも変わらないという想い。もっと言えば、香織は自分のものだったのにという想い。つまりは、嫉妬だ。
その嫉妬が恋情から来ているのか、それともただの独占欲から来ているのか、光輝自身にもよく分かっていなかったが、とにかく"奪われた"という思いが激しく胸中に渦巻いているのだった。
しかし、"奪った"張本人であるソウゴ(本人は断固否定するだろうが)と共に行くと決めたのは香織自身であり、またソウゴという存在そのものと、有り得ないと思っていた現実を否定したくて挑んだ決闘では適当に殺されかけ、自分の惨めさとか、ソウゴへの憤りとか、香織の気持ちへの疑いとか、色々な思いが混じり合い、光輝の頭の中はぶちまけたゴミ箱の中身の様にぐちゃぐちゃだった。
だから、いつの間にか隣にいて何も言わずに佇んでいるもう一人の幼馴染の女の子に水を向けてみたのだが……返答は、実に素っ気無いものだった。続く言葉が見つからず、黙り込む光輝。
雫はそんな光輝をチラリと横目に見ると、眉を八の字に曲げて「仕方ない」といった雰囲気を醸し出しながら口を開いた。
「……今、光輝が感じているそれは筋違いというものよ」
「……筋違い?」
雫から思いがけず返ってきた言葉に、鸚鵡返しをする光輝。雫は月から視線を転じて、光輝を見やりながら言葉を続けた。
「そう。香織はね、最初からあんたのものじゃないのよ?」
「……それは……じゃあ、常磐さんのものだったとでも言うのか?」
ズバリ内心を言い当てられ瞳を揺らす光輝は、苦し紛れに殆ど悪態とも言うべき反論をした。それに対して雫は、強烈なデコピンでもって応えた。「いづっ!?」と思わず額を抑える光輝を尻目に、雫は冷ややかな声音で叱責する。
「お馬鹿。香織は香織自身のものに決まっているでしょ。何を選ぼうと、何処へ行こうと、それを決めるのは香織自身よ。当然、誰のものになりたいか……それを決めるのもね」
「……いつからだ? 雫は知っていたんだろ?」
"何を"とは問わない。雫は、頷く。
「中学の時ね……香織が常磐さんと出会ったのは……まぁ、彼の方は忘れていた…というより出会った事自体を知らなかったみたいだけど」
「……何だよ、それ。どういう事だ?」
「それは、いつか香織自身から聞いて。私が、勝手に話していい事ではないし」
「じゃあ、本当に、教室で香織が何度も常磐さんに話しかけていたのは……その……好きだったから……なのか?」
「ええ、そうよ」
「……」
聞きたくない事実を至極あっさり告げる雫に、光輝は恨めしそうな視線を向けた。尤も、雫はどこ吹く風だったが。
その態度にも腹が立ってきたのか、光輝は駄々をこねる子供の様に胸中の思いを吐き出した。
「……何故、常磐さんなんだ。日本にいた時の彼は、やる気は無いし、運動も勉強も特別なものなんて何もなかったじゃないか。……いつもヘラヘラ笑って、その場凌ぎばかりで……香織が話しかけた時も適当な態度だし……俺なら、香織をおざなりに扱ったりはしない。いつも大切にしていたし、香織の為を思って出来るだけの事をして来たのに……それに彼は、あんな風に女の子達を侍らせて、物扱いまでしてる最低な奴なんだぞ? それだけじゃない、アイツは人殺しだ! 無抵抗の女性を躊躇い無く殺したんだ。どうかしてるよ! そうだよ、あんな奴を香織が好きになるなんて、やっぱりおかしい。何かされたに違いなッ『ズビシッ!』ぐはっ!?」
話している内にヒートアップして、ソウゴの悪口どころか勝手な事実を捏造し始めた光輝に、再度雫のデコピン(無拍子ver)が炸裂した。「何をするんだ!」と睨む光輝をさらりとスルーして、雫は呆れた表情を見せる。
実はこの時。雫のデコピンがコンマ一秒でも遅れていたら、悪口が耳に届いていたソウゴによって光輝が"
「また悪い癖が出てるわよ? ご都合解釈ばかりするのは止めなさいと今までも注意してきたでしょうに」
「ご都合解釈って……そんな事」
「してるでしょ? 光輝が、常磐さんの何を知っているのよ? 日本での事も、こっちでの事も、何も知らないのに……あの女の子達だって楽しそうな、いえ、寧ろ幸せそうな表情だったわよ? その事実を無視して勝手な事言って……今の光輝は、常磐さんを香織にふさわしくない悪者に仕立てあげたいだけでしょうが。それをご都合解釈と言わずして何て言うのよ?」
「だ、だけど……人殺しは事実だろ!」
「……あの時、私は彼女を殺すつもりだったわ。力が及ばなくて出来なかっただけで。これから先も……同じ事があれば、私はきっと、殺意を以て刀を振るう。生き残る為に。私自身と大切な人達の為に。本当に出来るかは、その時になってみないと分からないけどね……一応、殺人未遂な訳だけど……私の事も人殺しだと軽蔑する?」
光輝は、雫の告白に絶句する。
幼馴染が、面倒見がよく責任感と正義感も人一倍強い雫が、本気で殺意を抱いていたと聞いて、急に遠い存在に思えてしまった。しかし雫の苦笑いの中に、人を害する事への憂いと恐怖の影がチラついている気がして、光輝は頭を振った。
そんな光輝を見つつ、雫は独白とも言える話を続けた。
「確かに、彼の変化は驚いたけどね……日本にいた時の彼の性格を考えると、別人と言っても過言じゃないもの。本人曰く今が素の方らしいけど……まぁ香織は、それでも彼に"常磐ソウゴ"を感じたみたいだし、全てが変わった訳ではないのでしょうけど……忘れてはならないのは、彼が私達を助ける為に彼女と戦って、私達の代わりに殺したんだって事よ」
「……殺した事が正しいっていうのか」
「正しくは……ないのでしょうね。人殺しは人殺しだもの……正当化は出来ないし、してはならないのでしょう」
「だったら……」
「それでも、私達に常磐さんを責める資格はないわ。弱いが故に、結果を委ねてしまったのは、他ならない私達なのだから……」
要するに、文句があるなら自分でどうにかすればよかったという事だ。望んだ結果を導き出す事が出来なかったのは、単純にそれだけの実力がなかったから。他人に全てを任せておいて、その結果にだけ文句を言うなどお門違いもいいところである。
言外にそう言われた事に気がついた光輝は、ソウゴが無双している間、何も出来ずに這いつくばっていた自分を思い出し、反論出来ずにむっつりと黙り込んだ。その表情には「でも人殺しが間違っているのは事実だ!」という不満がありありと浮かんでいる。
そんな頑固な光輝に、雫は諭す様な口調で今までも暗に忠告して来た事を、この世界に来て自分自身が感じた事を交えて語った。
「光輝の、真っ直ぐなところや正義感の強いところは嫌いじゃないわ」
「……雫」
「でもね。もうそろそろ、自分の正しさを疑える様になってもいいと思うのよ」
「正しさを疑う?」
「ええ。確かに強い思いは、物事を成し遂げるのに必要なものよ。でも、それを常に疑わず盲信して走り続ければ何処かで歪みが生まれる。だからその時、その場所で関係するあらゆる事を受け止めて、自分の想いは果たして貫く事が正しいのか、或いは間違っていると分かった上で、"それでも"とやるべきなのか……それを、考え続けなければならないんじゃないかしら? ……本当に、正しく生きるというのは至難よね。この世界に来て、魔物とはいえ命を切り裂いて……そう思う様になったわ」
雫が魔物を殺す度にそんな事を考えていたとは露知らず、光輝は驚きで目を丸くした。
「光輝。常にあんたが正しい訳ではないし、例え正しくてもその正しさが凶器になる事もあるって事を知って頂戴。まぁ今回のご都合解釈は、あんたの思い込みから生じる"正しさ"が原因ではなくて、唯の嫉妬心みたいだけど」
「い、いや、俺は嫉妬なんて……」
「そこで誤魔化しやら言い訳やらするのは、格好悪いわよ?」
「……」
再び俯いて、水面の月を眺め始めた光輝。ただ、先程の様な暗い雰囲気は薄れ、何かを深く考えている様だった。取り敢えず、負のスパイラルに突入して暴走という事態は避けられそうだと、幼馴染の暴走癖を知る雫はホッと息を吐いた。
そして今は、一人になる時間が必要だろうと凭れていた欄干から体を起こし、そっとその場を離れようとした。そんな踵を返した雫の背に光輝の声がポツリとかかる。
「雫は……何処にも行かないよな?」
「……いきなり何よ?」
「……行くなよ、雫」
「……」
どこか懇願する様な響きを持った光輝の言葉。光輝に惚れている日本の生徒達や王国の令嬢達が聞けばキャーキャー言いそうなセリフだったが、生憎雫が見せた表情は"呆れ"だった。
香織がいなくなった喪失感に弱っているのかもしれないが……雫はチラリと肩越しに揺らめく月を見やった。先程から、光輝がずっと眺めていた水面の月だ。
「少なくとも私はその"月"ではないけれど……縋ってくる様な男はお断りよ」
それだけ言い残し、雫はその場を後にした。
残された光輝は、雫が消えた路地を暫く見つめた後、再び水面の月に視線を移す。そして、先程の言葉の意味に気がついた。
「……水月……か」
鏡花水月。それは、鏡に映る花や水に映る月の様に、目に見えども手に取る事が出来ないものを差す言葉。無意識に眺めていた水面の月を香織とするなら、確かに手に取れないものなのかもしれない。
雫は自分を"水月"ではないと言った。手に取れる可能性があるのだ。だが、その後の言葉は痛烈だ。思わず光輝は苦笑いする。幼馴染の女の子に自分は何を言っているんだと。
光輝は幻の月を眺めるのは止めて、天を仰いだ。手を伸ばせば無条件に届くと信じて疑わなかった"それ"が、やけに遠く感じる。光輝は深い溜息を吐きながら、厳しくとも優しい幼馴染の言葉をじっくり考え始めた。
変わるのか、変わらないのか……それは光輝次第だ。
そんな光輝の足元で、彼の影がほんの僅かに一瞬濃くなった事に気付いた者は誰もいなかった。
時間は少し進む。
光輝達が、【宿場町ホルアド】にて、再会によって受けた衝撃と別れによる複雑な心情を持て余していた夜から三週間程経った。
現在、光輝達は王都に戻って来ていた。理由は唯一つ。光輝達の致命的な欠点──"人を殺す"事について浅慮が過ぎるという点を克服する為だ。魔人族との戦争に参加するなら、"人殺し"の経験は必ず必要となる。克服できなければ、戦争に参加しても返り討ちに遭うだけなのだから。
尤も、考える時間はもうあまり残されていないと考えるのが妥当だ。【ウルの町】での出来事は既に光輝達の耳にも入っており、自分達が襲撃を受けた事からも、魔人族の動きが活発になっている事は明らかだ。それはつまり、開戦が近いという事。故に光輝達は出来るだけ早く、この問題を何かしらの形で乗り越えねばならなかった。
そんな光輝達はというと、現在只管メルド率いる騎士達と対人戦の訓練を行っていた。龍太郎や近藤達、永山達もある程度の覚悟はあったものの、実際ソウゴが女魔人族を焼き殺す瞬間を見て自分にも出来るのかと自問自答を繰り返していた。
時間は無いものの、無理に人殺しをさせて壊れてしまっては元も子も無いので、騎士団員達も頭を悩ませている。
そんなある意味鬱屈した彼等に、その日ちょっとした朗報が飛び込んできた。
愛子達の帰還だ。普段なら光輝のカリスマにぐいぐい引っ張られていくクラスメイト達だったが、当の勇者に覇気がないので誰もがどこか沈みがちだった。手痛い敗戦と直面した問題に折れてしまわないのは、雫や永山といった思慮深い者達のフォローと鈴のムードメイクのおかげだろうが、それでも心に巣食った深い靄を解決するのに信頼出来る身近な大人の存在は有難かった。誰もが、いつだって自分達の事に一生懸命になってくれる先生にとても会いたかったのだ。
愛子の帰還を聞いて、真っ先に行動したのは雫だ。雫は、色々相談したい事があると先に訓練を切り上げた。ソウゴに対して何かと思うところのありそうなクラスメイト達より先に会って、愛子が予断と偏見を持たない様に客観的な情報の交換をしたかったのだ。
ソウゴから譲り受けた漆黒の鞘に収まる、これまた漆黒の刀身に片刃造りの妖刀を腰のベルトに差して、王宮の廊下を颯爽と歩く雫。そんな彼女の姿に、何故か男よりも令嬢やメイドが頬を赤らめている。世界を超えても雫が抱える頭の痛い問題だ。自分より年上の女性に「お姉様ぁ」と呼ばれるのは本当に勘弁して欲しいのだ。
雫は【ウルの町】で、ソウゴが色々暴れた事を聞いていたので、愛子からソウゴについてどう思ったかも直接聞いてみたかった。愛子の印象次第では、今も考え込んでいる光輝の心の天秤が、あまり望ましくない方向に傾くかもしれないと思ったからだ。どこまでも苦労を背負い込む性分である。
「きっと、ウルでも無茶苦茶して来たのでしょうね……こんな刀をポイッとくれちゃうくらいだし……まったく、何が"ただ硬くてよく切れるだけ"よ。国宝級のアーティファクトじゃない」
そんな事を独り言ちながら、そっと腰の刀に手を這わせる雫。愛子の部屋を目指しながら、この刀のメンテナンスについて相談する為、国直営の鍛冶師達の下へ訪れた時の事を思い出す。
この刀、雫は単純に"黒刀"と呼んでいるが、黒刀をこの国の筆頭鍛冶師に見せた時の事。
最初は"神の使徒"の一人である雫を前に畏まっていた彼だったが、鑑定系の技能を使って黒刀を調べた途端、態度を豹変させて雫の肩を掴みかからんばかりの勢いで迫って来たのだ。そして、どこで手に入れたのか、誰の作品なのかと、今までの態度が嘘の様に怒涛の質問、いや、尋問をして来たのである。
目を白黒させる雫が、何とか筆頭を落ち着かせ、何事かと尋ね返した。
すると彼曰く、これ程の剣は王宮の宝物庫でも見た事が無く、出力や魔力を受けるキャパシティ、武器としての機能性、作りの精密性等、全ての点において聖剣すら軽く凌駕する代物だったのだという。
そして詳しく調べた結果、黒刀は魔力を流し込む事で何かしらの仕掛けが発動するという事が分かった。また、鞘の方にも仕掛けがあるらしい事も分かった。
刃の部分は、少なくともアザンチウムが含まれているのでまず欠ける事も無く、メンテナンスも殆どいらないという。
ただ問題があるとすれば、魔力を流し込む為の魔法陣が無い事である。それも当然だ。ソウゴが直接魔力を操れる事もあるが、元々製作段階で雫以外が使えない様に幾重にもロックが掛かっているのだ。なので、現状の雫が使う分においては“ただ硬くてよく切れるだけ”という言葉は間違っていない。
そして、これだけ専門家の自分達が全力を尽くしても一割も解析出来ないという不可解な黒刀に、王国直属の鍛冶師達は闘志を燃やした。
これほどの機能性・精密性を持った武器は作れないが、使える様にする位はしてみせる! と。要は、何とかして使用者の魔力を流し込める様にしようという訳だ。
結果、三日三晩一睡もせず、筆頭鍛冶師を中心に国直属の鍛冶師達が他の仕事を全てほっぽり出して総出で取り組んだ結果……殆ど全ての鍛冶師達が魔力を無駄に枯渇させて数日間寝込んだという、何の実りも無い結果だけが残った。
だが、それも当然の話。黒刀は片手間の即席とはいえ、ソウゴ自身が作った武器である。その製作には鍛冶神ヘファイストスの権能と伝説の刀鍛冶・千子村正の業が使われており、要は歴とした"神造兵装"なのだ。
如何に技術を持っていようと、人間の手に負える代物ではないのである。
そんな事も露知らず。職人魂の凄まじさを思い出して遠い目をしていると、目的地である愛子の部屋に到着した。ノックをするが、反応はない。国王達への報告をしに行っていると聞いていたのでまだ戻ってきていないのだろうと、雫は壁に凭れて愛子の帰りを待つ事にした。
愛子が帰ってきたのは、それから三十分程してからだ。廊下の奥からトボトボと、何だかしょげかえった様子で、それでも必死に頭を巡らせているとわかる深刻な表情をしながら前も見ずに歩いてくる。
そして、そのまま自分の部屋の扉とその横に立っている雫にも気づかず通り過ぎようとした。雫は、一体何があったのだと訝しそうにしながら、愛子を呼び止めた。
「先生……先生!」
「ほえっ!?」
奇怪な声を上げてビクリと体を震わせた愛子は、キョロキョロと辺りを見回し漸く雫の存在に気がつく。そして雫の元気そうな姿にホッと安堵の吐息を漏らすと共に、嬉しそうに表情を綻ばせた。
「八重樫さん! お久しぶりですね。元気でしたか? 怪我はしていませんか? 他の皆も無事ですか?」
今の今まで沈んでいたというのに、口から飛び出るのは生徒への心配事ばかり。相変わらずの"愛ちゃん先生"の姿に、自然と雫の頬も綻び、同時に安心感が胸中を満たす。暫し二人は再会と互いの無事を喜び、その後情報交換と相談事の為愛子の部屋へと入っていった。
「そう、ですか……清水君が……」
雫と愛子、二人っきりの部屋で、可愛らしい猫脚テーブルを挟んで紅茶を飲みながら互いに何があったのか情報を交換する。そして、愛子から【ウルの町】であった事の次第を聞き、雫が最初に発した言葉がそれだった。
室内にはやり切れなさが漂っている。愛子は悄然と肩を落としており、清水の事を気に病んでいるのは一目瞭然だった。雫は、愛子の性格や価値観を思えばどんな事情が絡んでいても気にするのは仕方ないと思い、掛けるべき言葉が見つからない。
しかし、このまま落ち込んでいても仕方ないので、努めて明るく愛子の無事を喜んだ。
「清水君の事は残念です……でも、それでも先生が生きていてくれて本当よかったです。常磐さんには本当に感謝ですね」
愛子は微笑みかけてくる雫に、また生徒に気を使わせてしまったと反省し、同じく微笑みを返した。
「そうですね。再会した当初は、私達の事も、この世界の事も全部興味がないといった素振りだったのですが……八重樫さん達を助けに行ってくれたのですね。それに小さな子の保護まで……ふふ、頼もしい限りです」
そう言って遠い目をする愛子の頬は……何故か薄らと染まっている。雫は「一生徒を思い出すにしては、何だか妙な雰囲気じゃない?」と訝しみ、「ふふっ」と時折思い出し笑いをする愛子を注視した。
その視線に気がついた愛子が「コホンッ!」と咳払いをして居住まいを正す。しかし取り繕った感は消せなかったので、何となく感じる嫌な予感に頬を引き攣らせつつ、雫は少し踏み込んでみる事にした。まさか、いくらなんでもそれはないだろうと半ば自分に言い聞かせながら。
「……先生? さっき、危ない状態から助けられたと聞きましたけど、具体的にはどの様に?」
「えっ!?」
「いえ、死んでいたかもしれないと言われては、やはりどうやって助かったのか少し気になりまして……」
「そ、それはですね……」
雫は瀕死のメルドをごく短時間で治癒してしまった秘薬や、たった一言で傷や損傷を全快させたソウゴの術の存在を思い出し、それではないかと当たりをつけていたが敢えて知らないフリをして聞いてみた。すると、先程よりも一層、頬を赤らめ始めた愛子。視線は泳ぎまくり、ゴニョゴニョと口ごもって中々話しだそうとしない。……実に怪しい。
雫は剣士らしく、一気に切り込んだ。
「……先生。常磐さんと……何かありました?」
「あ、ありませんよ? な、何かって何ですか? 普通に、私と彼は教師と生徒ですのよ!」
「先生。落ち着いて下さい。口調がおかしくなってます」
「!?」
激しく動揺している愛子。必死に「私は教師、私は教師……」と呟いている。本人は心の中だけで呟いているつもりなのだろうがダダ漏れだ。雫は確信した、程度はまだ分からないが、愛子がソウゴに対して他の生徒とは異なる特別な感情を抱き始めている事に!
(常磐さん! 貴方って人は! 愛ちゃんに何をしたのよ!)
最早誰が見てもわかるくらい頬を引き攣らせた雫は、心の中で絶叫する。もうソウゴもフラグ建築については光輝の事を言えないレベルだ。光輝と異なるのは、相手の好意に対して鈍感という訳ではなく、はっきり答えを出すところなのだろうが……愛子に関してはそれも微妙だろう。
思わぬところに親友のライバルが潜んでいた事に、雫は引き攣る頬を手で隠しながら天を仰いだ。何だか無性にソウゴの事が憎らしくなり、いっそ何かしら間接的な仕返しをやろうかと危険な考えが過ぎったが……突如悪寒が走り、何とか思い止まる。
愛子と雫は二人して咳払いを繰り返して気を取り直すと、先程のやり取りなど何も無かった様に話を続けた。
「それで、先生。陛下への報告の場で何があったのですか? 随分と深刻そうでしたけど」
雫の質問に愛子はハッとすると共に、苦虫を噛み潰した様な表情で憤りと不信感を露わにした。
「……正式に、常磐さんが異端者認定を受けました」
「!? それは! ……どういう事ですか? いえ、何となく予想は出来ますが……それは余りに浅慮な決定では?」
ソウゴの力は強大だ。たった一人で六万以上の魔物の大群を殲滅した。ソウゴの仲間も、通常では有り得ない程の力を有している。にも関わらず、聖教教会に非協力的で場合によっては敵対する事も厭わないというスタンス。王国や聖教教会が危険視するのも頷ける。
しかしだからといって、直ちに異端者認定するなど浅慮が過ぎるというものだ。
異端者認定とは、聖教教会の教えに背く異端者を神敵と定めるもので、この認定を受けるという事は何時でも誰にでもソウゴの討伐が法の下に許されるという事だ。場合によっては、神殿騎士や王国軍が動く事もある。
そして、異端者認定を理由にソウゴに襲いかかれば、それは同時にソウゴからも敵対者認定を受けるという事であり、あの容赦無く苛烈で理解不能な攻撃が振るわれるという事だ。その危険性が上層部に理解出来ない筈がない。にも関わらず、愛子の報告を聞いて、その場で認定を下したというのだ。雫が驚くのも無理はない。
雫がそこまで察している事に、相変わらず頭の回転が早い子だと感心しながら愛子は頷く。
「全くその通りです。しかも、いくら教会に従わない大きな力とはいえ、結果的にウルの町を救っている上、私がいくら抗議をしてもまるで取り合ってもらえませんでした。常磐さんは、こういう事態も予想してウルの町で唯でさえ高い"豊穣の女神"の名声を更に格上げしたのに、です」
愛子は一度言葉を切ると、悩まし気に頭を振った。
「護衛隊の人に聞きましたが、"豊穣の女神"の名と"真王陛下"の名は、既に相当な広がりを見せているそうです。今彼を異端者認定する事は、自分達を救った"真王陛下"と"豊穣の女神"そのものを否定するに等しい行為です。私の抗議をそう簡単に無視する事など出来ない筈なのです。でも彼等は、強硬に決定を下しました。明らかにおかしいです。……今思えば、イシュタルさん達はともかく、陛下達王国側の人達の様子が少しおかしかった様な……」
「……それは、気になりますね。彼等が何を考えているのか……でも取り敢えず考えないといけないのは、唯でさえ強い常磐さんに"誰を"差し向けるつもりなのか? という点ではないでしょうか」
「……そうですね。恐らくは……」
「ええ。私達でしょう……まっぴらゴメンですよ? 私は、まだ死にたくありません。常磐さんと敵対するとか……想像するのも嫌です」
雫がぶるりと体を震わせ、愛子はその気持ちは分かると苦笑いする。
恐らくこの場にソウゴが居れば、「中途半端に力を持つから面倒事に巻き込まれるのだ間抜け」とでも言っただろう。
それはさておき、問題は笑い事では済まない。
何せ厄介な事に、光輝が不興を買ったせいで現状教会の人間や騎士達より、自分達はソウゴにとって心証が悪い。その上二度目は無いと明言されているのだ、恐らく殺される危険性は下手な刺客よりも跳ね上がっているだろう。
よしんば見逃してもらえるとしても、雫と遠藤、愛子、優香達ぐらいだろうか。
そして、国と教会側からいい様に言いくるめられてソウゴと敵対する前に、愛子は光輝達にソウゴから聞いた狂った神の話を話す決意をした。証拠は何もないので、光輝達が信じるかは分からない。なにせ今まで、魔人族との戦争に勝利すれば神が元の世界に戻してくれると信じて頑張ってきたのだ。
実はその神は愉快犯で、帰してくれる可能性は極めて低く、だから昔神に反逆した者達の住処を探して自力で帰る方法を探そう! 等といきなり言われても信じられるものではないだろう。
光輝達が話を聞いた後、戯言だと切って捨てて今まで通り戦うか、それとも信じて別の方針をとるか……それは愛子にも分からないが、とにかく教会を信じすぎない様に釘を刺す必要はある。愛子は今回の事で、それを確信した。
「八重樫さん。常磐さんは、自分が話しても信じないどころか、天之河君辺りから反感を買うだろうと予想して、私にだけ話してくれた事があります」
「話……ですか?」
「はい。教会が祀る神様の事と、常磐さん達の旅の目的です。証拠は何も無い話ですが……とても大事な話なので今晩……いえ夕方、全員が揃ったら先生からお話したいと思います」
「それは……いえ、分かりました。なんなら今から全員招集しますか?」
「いえ、あまり教会側には知られたくない話なので自然に皆が集まる時、夕食の席で話したいと思います。久しぶりに生徒達と水入らずで、といえば私達だけで話せるでしょう」
「成程……分かりました。では、夕食の時に」
その後、雫と愛子は雑談を交わし、程よい時間で分かれた。夕食の約束は守られないと知る由も無く……
時刻は夕方。
鮮やかな橙色をその日一日の置き土産に太陽が地平の彼方へと沈む頃、愛子は一人誰もいない廊下を歩いていた。廊下に面した窓から差し込む夕日が、反対側の壁と床に見事なコントラストを描いている。
夕日の美しさに目を奪われながら夕食に向かう愛子だったが、ふと何者かの気配を感じて足を止めた。前方を見れば、丁度影になっている部分に女性らしき姿が見える。廊下のど真ん中で、背筋をスっと伸ばし足を揃えて優雅に佇んでいる。服装は、聖教教会の修道服の様だ。
その女性が美しく、しかしどこか機械的な冷たさのある声音で愛子に話しかけた。
「はじめまして、畑山愛子。あなたを迎えに来ました」
愛子はその声に何故か背筋に氷塊でも放り込まれた様な気持ちを味わいながらも、初対面の相手に失礼は出来ないと平静を装う。
「えっと、はじめまして。迎えに来たというのは……これから生徒達と夕食なのですが」
「いいえ、あなたの行き先は本山です」
「えっ?」
有無を言わせぬ物言いに、思わず愛子が問い返す。そこで、女性が影から夕日の当たる場所へ進み出てきた。その人物を見て、愛子は息を呑む。同性の愛子から見ても、思わず見蕩れてしまうくらい美しい女性だったからだ。
夕日に反射してキラキラと輝く銀髪に、大きく切れ長の碧眼、少女にも大人の女にも見える不思議で神秘的な顔立ち、全てのパーツが完璧な位置で整っている。身長は女性にしては高い方で百七十センチくらいあり、愛子では軽く見上げなければならい。白磁の様に滑らかで白い肌に、スラリと伸びた手足。胸は大きすぎず小さすぎず、全体のバランスを考えれば正に絶妙な大きさ。
ただ残念なのは、表情が全くない事だ。無表情というより、能面という表現がしっくりくる。著名な美術作家による最高傑作の彫像だと言われても、疑う者はいないだろう。それくらい、人間味のない美術品めいた美しさをもった女だった。
その女は、息を呑む愛子ににこりともせず淡々と言葉を続けた。
「あなたが今からしようとしている事を、主は不都合だと感じております。あなたの生徒がしようとしている事の方が“面白そうだ”と。なので時が来るまで、あなたには一時的に退場していただきます」
「な、何を言って……」
ゆっくり足音も立てずに近寄ってくる美貌の修道女に、愛子は無意識に後退る。刹那、修道女の碧眼が一瞬輝いた様に見えた。途端、愛子の意識に霞が掛かる。思わず本能的な危機感から、魔術を使う時の様に集中すると弾かれた様に霞が霧散した。
「……成程、流石は主を差し置いて“神”を名乗るだけはあります。私の“魅了”を弾くとは。仕方ありません、物理的に連れて行く事にしましょう」
「こ、来ないで! も、求めるはっ……うっ!?」
得体の知れない威圧感に、愛子は咄嗟に魔術を使おうとする。しかし、詠唱を唱え終わるより早く、一瞬で距離を詰めてきた修道女が迫る。その時初めて、修道女と愛子の目が合った。その瞬間、
糸が切れた人形の様に修道女が崩れ落ちた。
「……?」
いきなり倒れた修道女に対し、警戒しつつ目を逸らさない愛子。
しかし次の瞬間、背後からの突然の衝撃によって崩れ落ちた愛子は、意識が闇に飲まれていくのを感じながら背後の襲撃者の呟きを聞いた。
「ご安心を、殺しはしません。あなたは優秀な駒です、あのイレギュラーを排除するのにも役立つかもしれません」
愛子の脳裏に、威風堂々たる魔王が思い浮かぶ。そして届かないと知りながら、完全に意識が落ちる一瞬前に心の中で彼の名を叫んだ。
───常磐さん!
「? ……しかし、一体何があったのでしょう?」
愛子をまるで重さを感じさせない様に担いだ先程の修道女と瓜二つの襲撃者は、ふと廊下の先に意識を向けて探る様に視線を這わせた。
そこにあるのは、突如動かなくなった修道女の体。
暫くじっと観察していた襲撃者は、徐に廊下の先にある客室の扉を開く。
そして中に入り部屋全体を見回すと、わざとらしく足音を立てながらクローゼットに近寄り、勢いよく扉を開けた。
しかし中には何もなく、襲撃者は再度首を傾げると再び周囲を見渡し、あちこち見て回った。やがて、何もないと結論づけたのか愛子を担ぎなおすと、踵を返して部屋を出て行った。
すると襲撃者は、三度目の不可解を目の当たりにする。
いつの間にか、倒れていた修道女の体が消えていた。
襲撃者は音も無く消えた修道女の体に目を眇めつつ、その場を後にした。
静寂の戻った部屋の中で、震える声がポツリと呟く。
「……知らせないと……誰かに」
部屋の中には誰もいない。しかし、何処かに遠ざかる足音がほんの僅かに響き、やがて、完全に静寂を取り戻した。
実はソウゴに再会したメンバー全員、本人が知らない間にソウゴに色々細工されてます。