初日
俺とコウタは、ひたすら走っていた
「どけ、コウタ俺が先にいく」
「なに言ってるんだよ、そしたら俺が襲われんだろ」
俺たちは、アナグラのとある場所でダミー荒神から逃げていた
神機があればこんな無様なことにはならないのだが、今日の持ち出しは禁止とされていた。そして何よりも…
「もっと、考えて逃げろ。2日間休みなしでの体力強化訓練だ、ダミー荒神いがいにも、トラップもあるからな。食料はどこかにあるから、勝手に探せ!!」
「そんな、無茶ですよ。
ダミー荒神って、休まないじゃないですか」
すでにバテそうな、コウタが泣きそうに言う
「バカ者、本当の戦場でも、荒神は休むことなく襲ってくる
どう考えて、うまく立ち回るか、そして生き残るためにどうするか。それを考えるのにこの訓練は必要不可欠だ。ダミー荒神も攻撃を仕掛けてくるが何も死にはしない」
「えっ、良かった。じゃあ、もう少し遅くしても大丈夫かな」
コウタがスピードを落とす
ダミー荒神はここぞとばかりに、もう、ダッシュ
「まぁ、死ぬほど痛いがな」
「それ、先に言ってください!!」
コウタがもうスピードで俺の横を抜ける
「コウタ、もう諦めよう。黙って逃げ切るしかねぇよ。」
「タクト、お前ハンデで、そんな重りつけてんのに良く走れるな!!」
そう、俺は、新型ということもありハンデとして両手両足に一つ10キロの重りをつけて走っている
さすがに、これで2日はかなりきついだろう
「お互いベストを尽くしてがんばれ、私は2日後にまたくる」
そういうと、ツバキさんは扉の向こうへと消えた
~2日後~
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
コウタは、息をきらし、足が震えている
あの2日間
俺たちはかなり激しく動きまわった、
坂に上って逃げようとしたら、上から大きな鉄球らしきものが転がってきたり
ダミー荒神が、急に3体になったり
コウタが俺をおとりに逃げたり
俺がコウタをおとりにしたりと
いろいろありすぎた
最後には、二人がかりで、ダミー荒神を鉄球で、1体破壊した
おかげさまで、まぁ傷だらけ
俺たちは訓練終了の合図である笛の音をきき、ツバキさんがくるまでしばしの休息
*
「リンドウ、彼をどうみる?」
いままで、神機使いとしても、かなりの場数をこえ、今では多くの新人ゴットイーターを育ててきた雨宮ツバキが
新型のゴットイーターに疑念を抱いている
「と、いいますと。どういう意味ですか姉っじゃなくて、教官どの」
「コウタも実に体力はもった方だろう、2日も動いて倒れずに立っている。だが新型の神条のほうは、軽く息を乱してるだけで顔色も変わっていない。彼が休んでいる映像もほとんどなかった。ここまでくると、優秀というより、異常だな。何か知っているかリンドウ」
リンドウは姉であるツバキにたいして、重々しく口をひらく
「これは、独り言ですが、支部長のディスクの上にあった資料をちらりとみたんですが、なんでもあの既に壊滅した暗殺組織のタランチュラには、暗殺のエリートを作るために小さい子どもを集め、優秀な人材を作ってたとか、その当時の子どものトップである少年が、組織から消されそうになったところをうまく逃げだせて、ゴットイーターになったとか…」
「あのタランチュラの出身なのか!?」
タランチュラ
殺人蜘蛛
ゴットイーター、ゴットイーター協会の有名どころ、政治家など多数の人を暗殺してきたかなり大きな組織だった
大規模なゴットイーターへのテロ活動なども行っていたが、一昨年には組織のアジトらしきところが、荒神に襲われ壊滅
いまでは、生き残っているものはほとんどいないという説が、有力になっている
「じゃあ、あいつも人を殺しているのか?」
不安そうに問いかける姉にリンドウは
「それは、ないかと…子どもの育成に関する書類はいくつか見つかったらしく、その予定では、壊滅してしまったあの日に初めて暗殺のテストを行う手はずだったみたいなので。あれもう独り言じゃなくなっちまった」
リンドウは、とぼけているように言う
「そうか、ならとりあえず一安心だ。だが、リンドウ彼を常に意識しておけ。さてと彼が入隊してくれたのが、凶とでるか吉とでるか…」
*
しばらくして、ツバキさんが俺たちの前に現れた
「二人とも、よく頑張った。実にすばらしい、ダミー荒神を倒そうなどと言うバカな考えが出てきたうえに、それを実現させるとは、よくやった」
ツバキさんが、やたらと誉める
段々嫌な予感が
「では、これから次の訓練だ!!」
「休みはないのですか!!!」
ゴットイーターの地獄の訓練はまだまだ続く
と思いきや
残りの訓練はほとんど神機の基本的な使い方や集団での作戦などの講義などだったので、なんとか俺とコウタは1週間を乗り切れた
遂に荒神との戦闘が始まる