──ザ・ファントムズ本拠地。
「ひ、ひぃいいぃ!!も、申し訳ねぇでございますぅぅぅ!!」
床に這いつくばり、情けない声を上げるのは──敗北した怪人、ブレイカー男爵。
先日の戦闘でColorsに完敗した彼は、幹部たちの前に連れ戻され、今まさに詰められている真っ最中だった。
「情けないわねぇ、ブレイカー男爵♡」
妖艶に笑うのはマダム・ノワール。黒いドレスの女幹部。
「硬さなど、脆さと紙一重だ」
静かに呟くカゲロウ男爵。影に潜む忍者幹部。
「ハッハッハ!だからオレが行くべきだったんだよなぁ!!」
豪快に笑うジェネラル・バグス。筋肉自慢の軍人幹部。
しかし──そんな中、一際冷たい声が響く。
「無様は、許されん」
静かに歩み寄るのはドクトル・ブラーク。ザ・ファントムズの科学者。
その目は冷酷そのものだった。
「失敗は許容する。しかし……醜態は別だ」
義手から放たれる紫電が、ブレイカー男爵を容赦なく撃つ。
バチィィィンッ!!!
「ギャアアアアアア!!」
一瞬にして、ブレイカー男爵は黒焦げとなり沈黙した。
「掃除しておけ。次は……私の怪人が舞台に立つ番だ」
ブラークは静かに、しかし確実に告げた。
そんなやり取りを、玉座の上からじっと見下ろす巨大な影。
「ヒーロー……Colors……。壊す価値がある存在になりつつあるな」
低く重い声が、その場の空気をさらに冷やす。
ザ・ファントムズの次なる作戦が、静かに動き出していた。
──その頃。市街地。
私は、ブルーさんと一緒に任務の一環で買い物に出ていた。
今日は備品の買い出し。戦いばかりがヒーローの仕事じゃないことは、もう知っていたけれど……こうしてブルーさんと二人きりで行動するのは、まだ少し緊張する。
「……すごい人ですねぇ……」
私は周囲の賑わいを見て思わず呟いた。
家族連れ、友達同士、カップル──
普通の日常が、ここにはちゃんとあった。
「休日だからな。これくらいは想定内だ」
ブルーさんは淡々とした声で答えながら、手際よく買い物カゴに必要なものを入れていく。
(さすがだなぁ……)
でも──その時だった。
「……あれ?」
胸の奥が、ざわついた。
言葉にできない違和感。目に見えない“何か”が、空気に混じっているような──そんな感覚。
「ホワイト?」
ブルーさんが気づいて声をかけてきた。
「い、いえ……気のせいだと思います」
……でも、本当にそうだろうか。
ブルーさんは私をじっと見つめると、静かに言った。
「……その感覚。馬鹿にするな」
「……え?」
「ヒーローは、違和感を察知することで生き残る。たとえ気のせいでも、警戒するに越したことはない」
胸のざわつきが、少し強くなった気がした。
「……感じるのは、お前だけじゃない」
ブルーさんのその一言が、妙に重たく響く。
日常のはずのこの街の空気に、わずかに混じる異質さ。
それは──確かに迫ってきている“何か”の存在だった。
Colorsとザ・ファントムズ──
その次なる戦いの幕は、すぐそこまで近づいていた。