太陽がまだ顔を見せない時刻。
「ほら!腕立てあと三十回!顔地面につけろ!」
「うぅ…うぅ…。」
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朝の如春のしごきを終えた俺は泊城の城門をくぐって与えられた部屋に戻っていた。部屋といっても完全な個室ではなく五人ほどか寝そべられる簡素な部屋だ。窓も一つしかなく、プライバシーは存在しない。部屋での行動は同部屋の者に見られている。つまり脱走者が出ないよう互いを監視しあっているのだ。脱走者が出れば「同部屋の者のは脱走のことを知っていて見逃したのでは?」と疑われてしまう。そうなれば、
「名無し、まだお前に護衛班の班員を紹介していなかったな。」
「あぁまだ紹介されてないけど。他の班員はどこにいるんだ?俺はまだ如春と管外班長しか知らないんだが。」
「他の奴等は別の班の仕事を手伝っているんだ。なんでも懇意にしている客に大量の荷物を頼まれたそうで人手が足りないから俺と管外班長を除く四人が行ったんだ。もうじき帰ってくると思うぜ。」
「どんな人たちなんだ?」
「んんー四人をそれぞれ一言で表すとクズ、クズ、クズ、クズだな。」
「全員クズじゃん…。」
「そう全員クズ。賭博、娼館、詐欺、人攫いすべて悦んでやるクズ。」
たしかにクズだと思うが如春お前も娼婦に
「他の班員は今はいい。それより護衛班の人間が最もやらなくちゃいけないことがある。なんだと思う?」
「えっ、身体を鍛えることじゃないの?」
「それも大事だ。しかし、俺達は護衛班。襲ってくる敵を撃退しなくちゃいけないな。なら何が必要だ?」
「…剣か?」
「そお!そのとおり!剣だ。だが最初は剣を振るじゃなく、剣に振られる。
「つまり今から剣術を学ぶのか。」
「そんな大層なもんじゃねえ。敵を殺せるように剣に熟れる。それだけだ。それを身につけるための修行をするんだ。ついてこい。」
如春が部屋から出たので俺も後について行く。俺達の部屋から歩いて三分ぐらいのところにある大きい扉の前で如春は止まった。剣の修行も城壁の外ですると思っていたが建物の中でするみたいだ。如春は扉を押して開けた。床は木で出来ていて壁は白く木刀が掛けてある。神棚がない道場のような造りになっている。如春は壁に掛けられていた木刀を二つ手に取り、一つを俺に投げ渡した。
「とりあえず俺に打ってこい。」
「えっ?いいの?」
「剣握ったことないやつに遅れは取らねぇ。早くしろよ。」
「それじゃ遠慮なく。オラっ!!」
如春に木刀を振り下ろした。如春は俺の太刀筋を見切っているのか横に避けると俺の腹に木刀をあてた。強い力が込められてはいなかったが壁にふっ飛ばされた。
「いってぇ…。」
「な?剣に振られたろ?」
「いや、剣に振られる感覚がイマイチわかんない。」
「それが剣に振られてるショーコ。ある程度使い熟せるようになると剣を身体の一部みたいになる。そこが護衛班にいる以上最低限の実力。お前はまず自分が剣に振られていることがわかる位になること。」
「はい…。」
「まあ初めてにしては上出来だぜ。大抵のはゲロはいて立ち上がれねえ。それだけの威力で打ってるからな。名無しお前才能あるぜ。」
「そっそうかな?」
「そうそう。」
剣は男の浪漫だからか才能があると言われて結構嬉しい。だが、俺は如春に剣を避けられ反撃されてガードできず壁に叩きつけられた。そんな俺に才能なんてあるのか?如春が俺にやる気を出させるための嘘なんじゃないのか。
「たしかに俺に避けられ反撃を食らったがさっきも言ったように大抵はゲロ吐いて立てない。お前はゲロ吐いたり、立ち上がれなくなったりしていない。なにより木刀とはいえ剣を人間相手に容赦なく振り切れるのは才能アリとしか言えないだろ。」
「あっ。」
そのとおりだ。俺はなんの躊躇いもなく如春に木刀を振り下ろした。現代日本で生活しているときはそんなこと出来なかった。法律があってそんなこと出来なかった。こう言うと法律がなければ出来るヤバイやつと思われるが俺はそうじゃない。今まで喧嘩を一度もしたことがないし、なによりイジメラレっ子でビビリの俺にできるわけない。しかし、俺は如春に木刀を振り下ろした。躊躇なくだ。この身体になったときにモラルや倫理観をなくしてしまったのだろうか。
「肉体も剣の腕前も鍛えれば強くなる。もう一回かかってこい。」
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「ハアッ…ハアッ…。」
「やっぱりお前才能あるは。あれから四十九回やってるが頑丈だしなにより根性がある。ちゃんとした師に仰げば大成したかもな。」
「ハアッ…いっ一回も…あたって…ない…。」
「そりゃそうだろ。俺はなんだかんだで護衛班に八年位いるんだ。新入りに攻撃食らったら立場ねえーよ。」
「そっそれはそうだがハアッ…もう少し手加減ハアッ…してくれないか?」
「手加減ん?そんなことしてたら強くなれねえよ。今回は初日だからこれだけだが明日以降はもっと厳しくしごいてやる。いいな?」
「あい…。」
「お前すごい汗かいてんな。」
「それが…どうかしたか?」
「お前も一度いったことあると思うけどここ風呂があるんだよけど、どうする。」
「…俺も入っていいのか?」
「護衛班は死にやすい。だから
「すっごく風入りたい。絶対に入りたい。」
「よし、風呂場に案内してやるよ。ついてこい。」
如春に連れられ風呂場にやってきた。ここに来るのは二回目だ。趙李に連れられた時は布で身体を拭いて終わりだったが今回はしっかりと浴槽に浸かりたい。たしか風呂に入るためには管理してる人に伝えないとダメみたいだかその管理人はどこにいるのだろうか。最初の時はそんな人見てはいないが。
「風呂に入るぞ。」
「管理人にいわなくていいのか?」
「先に伝えてある。「護衛班の二人が入る」ってな。」
「オオ!準備いい!!」
「だろ〜。俺気配りが出来るイイ男だもの。そう思うだろ!」
「さっすが如春!イイ男はちがう!中華一の色男!!」
「ガァハハハハ!キブン良イィィゼ!?事実だから!!」
やっぱこいつ馬鹿だな。いや俺もだな…。
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如春を
「おい名無し、なんで泣いているんだ?」
「うぅ…なんでもない。」
「いや、なんでもないわけ無いだろ。俺に話してみろ。少しはラクになるぞ。」
「うぅ…。」
「…たしかにいきなりこんなとこに連れてこられて不安で心がいっぱいなのはわかる。俺も辛かった。だけど、それに負けちゃだめなんだ。それにここも慣れれば案外悪くないんだぜ?特に女の子が─」
隣でバカがなにか騒いでいるがやかましい。俺は久々の風呂を堪能しているんだ。邪魔すんなボケ。
「─だからよ、元気出してまた修行しようぜ。そうだ!初仕事無事に達成できたらいいトコ連れて行ってやるよ!ものすっごくいいトコだからさ楽しみにしとけよ?」
まだなにか騒いでいるが無視だ無視。今度はいつ風呂に入れるかわからないからしっかり楽しみたいんだ。ほっといてくれよ。
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窓の格子から外を見ると太陽が地平線に沈んでいた。風呂を満喫した俺は部屋に戻っていた。最初のときもそうだったが籠にいれたはずの服がなくなっていて別の服が籠に入れられていたのだがあの風呂の管理人がやってくれているのだろうか。そうだとすればお礼を言わねばならない。次はいつ風呂に入れるのか…。
「名無しまだだ。まだ終わってないぞ。」
「なんだ?今度はサウナか?」
「
「飯?飯もここで食えるのか?」
「いや、ここでは飯を食えねえ。だから街に出掛けるんだ。飯食いにな。」
「…俺、金持ってないけど。」
「気にすんなって。俺が奢ってやんよ。だからついてこい。」
飯を食うために俺達は街に繰り出した。よくよく考えると俺はここに来て一度も飯を食ってない。ストレスで空腹を忘れていたのだろう。街には屋台や飯屋が夜だというのに賑わっている。この光景は俺が生きていた時代の夜とあまり変わらない。料理を食べながら談笑している。家族連れもいるようだ。酔っているのか服を脱いで裸踊りをしている者もいる。
「名無し、なに食いたい?なんでもいいぞあんまり高くないとこなら。」
「ンンなに食べようか迷ってる。オススメは?」
「それなら鬼ババアの店だな。大通りから外れるが安くて旨い。金が足りなかったらツケといてくれるしな。返さねえと鬼になるけど。」
「ならそこに行こう。」
「決まりだな。鬼ババアの店に行くぞ。」
俺達は鬼ババアの店を目指して歩き出した。
キングダム公式ガイドブックでは
経験値、武力、指揮力、知力、政治、美貌の6項目ですが今作ではすこしいじらせていただきます。美貌は士気の値にもなります。
●経験値の数値
SS →+10(楽毅将軍のみですが)
S →+5
A→+4
B→+3
C →+2
D→+1
となります。
●一騎討ちの場合
武力+個性+経験値+武器+その他(仲間からの声援や最強の自負など)の合計値で決めます。
例)李信
93+一騎(+1)+頑強(+1)+王騎の矛(+3)(もしくは漂の剣(+2))+仲間の声援(+3)=(王騎の矛の場合)合計武力値101 なので原作の龐煖との一騎討ちは李信が勝利したことになります。
●軍や隊を率いる場合
人数はそこまで重視はしていません。キングダムって将軍が討ち取られることは一騎討ちで決まることがほとんどなので。
知力+個性+経験値+指揮力+美貌の合計値で優勢か劣勢か決めます。
例)河了貂
90+気配察知(+2)+2+87+89(私の勝手な基準で
す)=合計知力値270 となります。
政治は軍人にあまり関係ないので極力出さない方針です。
●どちらとも個性や経験値がありますが経験は経験でも「軍師」または「武将」としての経験値とさせていただきます。例)王翦、桓騎は軍略家として超一級ですがどちらとも軍師ではなく、将軍ですので「武将」にわけられます。玄峰や摩論は軍師なので「軍師」にわけられます。他にも李牧や霊凰、呉鳳明などは桓騎や王翦と同じで武将の枠組みにわけられます。
読みにくくすみません。